1990年初版 昇隆一/訳 武部本一郎/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
ロシアはなんとなく謎に包まれた国で
国民の生活もよく見えない感じがしているけれども
どこに住んでいても、ヒトの喜怒哀楽には変わりないんだなと分かる
私は夏休みもスケジュールをたてて宿題する子どもだったから
今作に出てくるように「勉強しなさい」と大人に言われて
「はい、やります」と何度約束してもやってこない子の気持ちは分かりがたいが
その心理の奥底には、恥ずかしさ、周りに迷惑かけたくない、叱られたくない不安感などが
複雑に積み重なって、自身にもどうしたらいいか分からなくなってる感じなのが伝わる
そうした友人を見て、ウソに付き合ってあげることは本人のためにならない
と分かっていても、友情や裏切りの狭間で悩む心理も分かる
学校で平均的に学ばせる教育法の根底を改めて
その子が一番輝く才能を伸ばしてあげるようにしたら
こうした問題も減るのでは?
シーシキンは、アーユルヴェーダでいうところの“ヴァータ体質”じゃないかな
考えや行動が風のようにあちこち移り変わる
逆に言うと、いろんなアイデアが思いつく
そうした長所を生かすほうがいいよね
【内容抜粋メモ】
登場人物
イーゴリ先生 校長
オリガ先生 担任
ワロージャ ピオネール指導者
ピーチャ・マレーエフ 4年生
妹リーカ 3年生
父 製鋼所で鋳型をつくっている
コスチャ・シーシキン 転校生
●新学期のはじまり
夏休みはあっという間に過ぎてしまい、9月1日から新学期がはじまる
隣りの席の親友フェージャは、家庭の都合で引っ越してしまい、憂鬱なピーチャ
4年生になると、地理、歴史、博物が加わる
さんざん遊んだ後、急に勉強にスイッチしなくちゃならないのが難しいと思う
転校してきたシーシキンは遅刻してくる
理由を聞かれて、間違えて5年のクラスに入ったと言う
●ピーチャのにがてな宿題
妹リーカは、宿題をやっつけないと、遊んでいても楽しくないと言う(私もそのタイプ
ピーチャは、がり勉は体の毒で、帰宅したら2時間ほど休む必要があると言い張る
ピーチャは数学が大の苦手で、黒板で問題を解く時
きまってそばの生徒にこっそり教えてもらう
授業が終わると、フットボールに夢中になり、帰りはいつも遅くなり
疲れと眠気で宿題どころじゃなくなる
●ちびっ子マドロスのまんが
夏休み中に修繕した学校はすっかりキレイになる
絵が上手いイーゴリは、壁にマドロスの絵を描いて、みんなから褒められるが
担任のオリガ先生から、誰が壁を汚したのか?と聞かれて、みんなかばって黙る
校長のイーゴリ先生も来て、学校にかかる費用は国民が払っているのだから
大切に使わなきゃダメだと諭す
シーシキンが近所に住んでいると分かり、帰りが遅くなっても
ピーチャがいっしょなら母親に怒られずに済むと言われて訪ねる
動物好きなシーシキンは、ペットにしている白ネズミを見せて、2匹くれる
その後、シーシキンを家に呼んで、リーカは白ネズミとシーシキンが気に入る
●落第点
イーゴリは学校の壁新聞の絵を担当する
それがマドロスの絵そっくりで、壁に落書きしたのがイーゴリだとバレる
イーゴリは級長グレープの指示で、こっそり答えを教えてもらっている
ピーチャの絵を描いたため、ピーチャは抗議文を書く
ピーチャは算数、シーシキンは国語で落第点をとる
●よく勉強しよう
クラスの総会で、こっそり教えるのを禁止しようという運動が起きる
班長のユーラは、班のみんなが落第点をとらないよう決める
オリガ先生は、そのために早寝早起き、予習・復習をするよう言う
シーシキンは国語だけは3点しかとれないが
みんなの前で4点とることを約束する
●ピーチャの大奮闘
今日から頑張ろうと思っても、気づくとフットボールに夢中になって日が暮れている
自分には強い意志の力がないのだと落ち込むピーチャ
やりたくないことを率先してやろうと決意して
大好きなケーキもガマンする
“休息”とは、なにか面白いことをすることなのに
他に何をすればいいのか分からない
雨の日にフットボールはできないため、クラスメイトのアリクの家に行って
算数を教えてもらおうと思うが、アリクは将棋に夢中で
「将棋は算数向きに頭を鍛えるんだ」と言って、2人で勝負するも
こてんぱんに負けてしまう
以来、毎日、アリクの家で将棋をするようになり、だんだん強くなる
父から入門書を借りて読むと、毎回勝つようになり、アリクにも貸してあげる
●演芸大会
学校で演芸大会がある準備で忙しくなるが
ピーチャとシーシキンは成績を上げないとダメだとオリガ先生に言われる
ワーニャとイーゴリは『ルスランとリュドミーラ』を演じる
勇士ルスランが魔物の顔と戦う場面で馬を演じることを思いつくシーシキン
リーカに手伝ってもらい、布を縫って馬の皮をつくり
2人がかぶって、歩く練習を積む
本番前にワーニャを説得して、馬に乗って現れると、みんなから拍手喝采を浴びるも
ピオネール指導者のワロージャさんは、笑う場面でないのに
馬の動きに注目が集まって、芝居を台無しにしたと注意する
1学期の成績表がきて、ピーチャとシーシキンはまた落第点
シーシキン:
休みの前に親に見せたら、みんなくさっちゃう
ぼくはお母さんが好きなんだ
ピーチャも休みが終わる頃に見せようと思う
●二度めの落第点
11月7日は大十月革命記念日
父はピーチャに幻灯をくれて、みんなで工場の人たちとデモをする
家にお客がたくさん来て、「勉強はどうかな?」と聞かれるたび
「よくやります」と言って、プレゼントをたくさんもらったが
ウソをついたことで悲しくなる
落第点を母に叱られ、父にもしぼられる
屋内体操場でバスケットボールができるようになり
バスケットボールが得意なシーシキンは大喜びするが
入れるのは勉強する生徒だけ、と言われてガッカリする
オリガ先生:
遅れている者は、よくできる人たちが助けてあげなければいけません
誰かに教わっていては、いつまでたっても自力で解けない
宿題を出すのは、生徒が自分一人で考える習慣をつけるため
●ピーチャの勉強法
ピーチャは算数の問題を読むが、ひっかけのように感じてイライラする
リーカに宿題を教えてほしいと言われて
3年生の問題が分からないのは恥ずかしいため
外で遊んでおいでと出してからモーレツに考えて
絵に描いて、やっと解答の出し方に納得する
リーカ:まあ、兄さんはなんて説明が上手いんでしょう!
ピーチャ:わからない時はいつでもオレに言えよ
●コスチャのいたずら
ピーチャは勢いづいて、3年の問題を復習してみると
苦手な算数が分かってきて、克服し、バスケットボールのチームにも入れる
一方、シーシキンはたくさんの動物の世話に明け暮れている
野良犬を飼って、ロブジクと名付けた
母:勉強はすんだの?
シーシキン:いますぐやるよ カメにエサをやってから
母:いますぐばかり言うけど、ちっともしないじゃないの
シーシキン:すぐだよ 檻を作らなきゃ
シーシキンは苦手な書き取りの授業がイヤで学校をサボるようになる
3回目で仮病がバレて、母はカンカンに怒り、動物を全部追い出しなさいと叫ぶ
とうとう、ちゃんと勉強するならロブジクだけは飼っていいと約束させるが
シーシキンは1つのことをやるのがすぐ飽きてしまうため
なにも続かないと分かる
●サーカス見物
クラス全体でサーカスを見に行き、丸の中でオートバイが走り続けたり
軽業師、猛獣使い、数をかぞえる犬、ピエロなどに夢中になる
シーシキンは曲芸師になると決めて、早速、足で箱を回そうとして失敗
皿回しでは、家の皿を何枚も割り、ガラス窓も粉々にして
また母を怒らせる
書き取りのある日に、また仮病で休んだシーシキン
シーシキン:明日も行かないよ オリガ先生が聞いたら、病気だと言ってくれ
ピーチャはオリガ先生にウソをついたことを悔やむが
どうしていいか分からずに悩む
●犬に計算を仕込む
シーシキンはサーカスに入って芸人になるといって、ロブジクに数を教え
ピーチャにも協力させるが、母にバレて
勉強しなければ、褒美にあげる砂糖は隠すと言われる
ロブジクは1で「ワン」と吠えることは覚えるが、他の数字でも1度しか吠えずに
シーシキンは怒りだす(自分のできなさ具合を投影してるのもあるのかも
●コスチャのずる休み
シーシキンは冬の寒い中、遠い町はずれをうろつき歩く
ピーチャは気がかりで、自分の勉強も集中できない
母:いい友だちが見つかれば、彼はきっといい子になるわよ
シーシキンの家を訪ねて、シーシキンの父は彼が赤ちゃんの時に
戦争で亡くなったと分かる
明日は、真面目に話し合おうと決心するピーチャ
●万事休す
クラスメイトがシーシキンを見舞おうと言い出して
仮病がバレてしまう
オリガ先生も来て、クラスメイトは仮病のことを話す
オリガ先生:
サーカス学校に行くにも、中学校を卒業しなければ入れませんよ
あなたはずっとお母さんをだましていくつもり?
シーシキンはまた勉強すると約束する
●校長先生に呼び出される
ワロージャ:
ピーチャは友だちが間違ったことをしていたのを知りながら
過ちを直してやることができなかった
先生か、ぼくか、クラスの友だちに話すべきだったんだ
ほんとうの友だちなら、もっと厳しく言わなければいけないよ
校長にも呼び出されて、叱られるかと思ったが
校長:
ピーチャを見習って、早速とりかかるんだ
サーカスの犬は信号を出した時に吠えるよう訓練しているんだ
学校の演芸会で、ロブジクの余興を見せてくれ
●コスチャを助けよう
シーシキンが責任をもってシーシキンの勉強を見ると約束する
シーシキン:
オレには意志の力がまったくないんだ
オレは結局、ろくな者にはなれないんだ!
文法から始めて、自分で考える練習をさせる
班員がみんな勉強しているか見に来る
シーシキン:オレはいつも平気なフリをしていたけど、心の中は煮えくり返りそうだったんだ
●犬の訓練に成功
シーシキンはまた落第点をとり、ピーチャは自分に教える能力がないのだと落胆する
シーシキンはロブジクの訓練が早くやりたくて、勉強に集中できないと告白する
訓練の甲斐あって、信号を出すと吠えるのを止めることができるようになった
●新年祭
舞台に立つ衣装をリーカに作ってもらい
客に慣れさせるために、いろんな家を周って芸を見せていたら
ロブジクは砂糖を食べ過ぎて、芸をやらなくなってしまう
本番で、客席から算数の問題を出してもらい、ピーチャが答えを考えて
ロブジクに吠えさせると、答えを間違えてしまうが
じっくり考えて、見事成功して、拍手喝采を浴びる
●図書係になったコスチャ
冬休み後の書き取り試験でコスチャは及第点をとる
オリガ先生は2人に学級図書館の課外活動をすすめる
家から本を持ってきてもらい、目録をつくり
壊れた本は修繕し、もっと本を大切にするようポスターも書く
コスチャは本を貸すたびに、大切にしろと注意する
(なにか弱みがある者ほど、優位に立った時に、弱い者をしいたげる傾向にある気がした/汗
●学校一のクラス
シーシキンはようやく4点をとり大喜びする
シーシキン:
このクラスにほんとうの友情があったから
みんながぼくを助けてくれたことが分かった
シーシキンは早く母親に見せたいから
学業日誌に4点と書いてほしいとオリガ先生に頼む
シーシキン:これは春の風だ じきに3月がやって来る
ピーチャは彼と自分に起きたことを全部書こうと思いつき実行した
学年末試験では、ピーチャとシーシキンは全科目満点をとり5年生に進級した
■解説
ニコライ・ニコラーエビッチ・ノーソフ
1908年 キエフ市生まれ
父は貧しい芝居の俳優
ノーソフは15歳でレンガ工場で働き、独学で勉強した
のちに映画監督になった
その他の作品
『ひょうきん者』
『階段』
『かくれんぼ』
『きゅうり』
『サーシャ』
『空想家』 ほか
本作はスターリン賞を受賞
有名な長編『ネズナイカの冒険』を出版
ノーソフはソ連では稀なユーモア作家
いわば「だめ人間」を主人公に取り扱うのは
それまでのソ連では許されなかった
1976年 死去
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
ロシアはなんとなく謎に包まれた国で
国民の生活もよく見えない感じがしているけれども
どこに住んでいても、ヒトの喜怒哀楽には変わりないんだなと分かる
私は夏休みもスケジュールをたてて宿題する子どもだったから
今作に出てくるように「勉強しなさい」と大人に言われて
「はい、やります」と何度約束してもやってこない子の気持ちは分かりがたいが
その心理の奥底には、恥ずかしさ、周りに迷惑かけたくない、叱られたくない不安感などが
複雑に積み重なって、自身にもどうしたらいいか分からなくなってる感じなのが伝わる
そうした友人を見て、ウソに付き合ってあげることは本人のためにならない
と分かっていても、友情や裏切りの狭間で悩む心理も分かる
学校で平均的に学ばせる教育法の根底を改めて
その子が一番輝く才能を伸ばしてあげるようにしたら
こうした問題も減るのでは?
シーシキンは、アーユルヴェーダでいうところの“ヴァータ体質”じゃないかな
考えや行動が風のようにあちこち移り変わる
逆に言うと、いろんなアイデアが思いつく
そうした長所を生かすほうがいいよね
【内容抜粋メモ】
登場人物
イーゴリ先生 校長
オリガ先生 担任
ワロージャ ピオネール指導者
ピーチャ・マレーエフ 4年生
妹リーカ 3年生
父 製鋼所で鋳型をつくっている
コスチャ・シーシキン 転校生
●新学期のはじまり
夏休みはあっという間に過ぎてしまい、9月1日から新学期がはじまる
隣りの席の親友フェージャは、家庭の都合で引っ越してしまい、憂鬱なピーチャ
4年生になると、地理、歴史、博物が加わる
さんざん遊んだ後、急に勉強にスイッチしなくちゃならないのが難しいと思う
転校してきたシーシキンは遅刻してくる
理由を聞かれて、間違えて5年のクラスに入ったと言う
●ピーチャのにがてな宿題
妹リーカは、宿題をやっつけないと、遊んでいても楽しくないと言う(私もそのタイプ
ピーチャは、がり勉は体の毒で、帰宅したら2時間ほど休む必要があると言い張る
ピーチャは数学が大の苦手で、黒板で問題を解く時
きまってそばの生徒にこっそり教えてもらう
授業が終わると、フットボールに夢中になり、帰りはいつも遅くなり
疲れと眠気で宿題どころじゃなくなる
●ちびっ子マドロスのまんが
夏休み中に修繕した学校はすっかりキレイになる
絵が上手いイーゴリは、壁にマドロスの絵を描いて、みんなから褒められるが
担任のオリガ先生から、誰が壁を汚したのか?と聞かれて、みんなかばって黙る
校長のイーゴリ先生も来て、学校にかかる費用は国民が払っているのだから
大切に使わなきゃダメだと諭す
シーシキンが近所に住んでいると分かり、帰りが遅くなっても
ピーチャがいっしょなら母親に怒られずに済むと言われて訪ねる
動物好きなシーシキンは、ペットにしている白ネズミを見せて、2匹くれる
その後、シーシキンを家に呼んで、リーカは白ネズミとシーシキンが気に入る
●落第点
イーゴリは学校の壁新聞の絵を担当する
それがマドロスの絵そっくりで、壁に落書きしたのがイーゴリだとバレる
イーゴリは級長グレープの指示で、こっそり答えを教えてもらっている
ピーチャの絵を描いたため、ピーチャは抗議文を書く
ピーチャは算数、シーシキンは国語で落第点をとる
●よく勉強しよう
クラスの総会で、こっそり教えるのを禁止しようという運動が起きる
班長のユーラは、班のみんなが落第点をとらないよう決める
オリガ先生は、そのために早寝早起き、予習・復習をするよう言う
シーシキンは国語だけは3点しかとれないが
みんなの前で4点とることを約束する
●ピーチャの大奮闘
今日から頑張ろうと思っても、気づくとフットボールに夢中になって日が暮れている
自分には強い意志の力がないのだと落ち込むピーチャ
やりたくないことを率先してやろうと決意して
大好きなケーキもガマンする
“休息”とは、なにか面白いことをすることなのに
他に何をすればいいのか分からない
雨の日にフットボールはできないため、クラスメイトのアリクの家に行って
算数を教えてもらおうと思うが、アリクは将棋に夢中で
「将棋は算数向きに頭を鍛えるんだ」と言って、2人で勝負するも
こてんぱんに負けてしまう
以来、毎日、アリクの家で将棋をするようになり、だんだん強くなる
父から入門書を借りて読むと、毎回勝つようになり、アリクにも貸してあげる
●演芸大会
学校で演芸大会がある準備で忙しくなるが
ピーチャとシーシキンは成績を上げないとダメだとオリガ先生に言われる
ワーニャとイーゴリは『ルスランとリュドミーラ』を演じる
勇士ルスランが魔物の顔と戦う場面で馬を演じることを思いつくシーシキン
リーカに手伝ってもらい、布を縫って馬の皮をつくり
2人がかぶって、歩く練習を積む
本番前にワーニャを説得して、馬に乗って現れると、みんなから拍手喝采を浴びるも
ピオネール指導者のワロージャさんは、笑う場面でないのに
馬の動きに注目が集まって、芝居を台無しにしたと注意する
1学期の成績表がきて、ピーチャとシーシキンはまた落第点
シーシキン:
休みの前に親に見せたら、みんなくさっちゃう
ぼくはお母さんが好きなんだ
ピーチャも休みが終わる頃に見せようと思う
●二度めの落第点
11月7日は大十月革命記念日
父はピーチャに幻灯をくれて、みんなで工場の人たちとデモをする
家にお客がたくさん来て、「勉強はどうかな?」と聞かれるたび
「よくやります」と言って、プレゼントをたくさんもらったが
ウソをついたことで悲しくなる
落第点を母に叱られ、父にもしぼられる
屋内体操場でバスケットボールができるようになり
バスケットボールが得意なシーシキンは大喜びするが
入れるのは勉強する生徒だけ、と言われてガッカリする
オリガ先生:
遅れている者は、よくできる人たちが助けてあげなければいけません
誰かに教わっていては、いつまでたっても自力で解けない
宿題を出すのは、生徒が自分一人で考える習慣をつけるため
●ピーチャの勉強法
ピーチャは算数の問題を読むが、ひっかけのように感じてイライラする
リーカに宿題を教えてほしいと言われて
3年生の問題が分からないのは恥ずかしいため
外で遊んでおいでと出してからモーレツに考えて
絵に描いて、やっと解答の出し方に納得する
リーカ:まあ、兄さんはなんて説明が上手いんでしょう!
ピーチャ:わからない時はいつでもオレに言えよ
●コスチャのいたずら
ピーチャは勢いづいて、3年の問題を復習してみると
苦手な算数が分かってきて、克服し、バスケットボールのチームにも入れる
一方、シーシキンはたくさんの動物の世話に明け暮れている
野良犬を飼って、ロブジクと名付けた
母:勉強はすんだの?
シーシキン:いますぐやるよ カメにエサをやってから
母:いますぐばかり言うけど、ちっともしないじゃないの
シーシキン:すぐだよ 檻を作らなきゃ
シーシキンは苦手な書き取りの授業がイヤで学校をサボるようになる
3回目で仮病がバレて、母はカンカンに怒り、動物を全部追い出しなさいと叫ぶ
とうとう、ちゃんと勉強するならロブジクだけは飼っていいと約束させるが
シーシキンは1つのことをやるのがすぐ飽きてしまうため
なにも続かないと分かる
●サーカス見物
クラス全体でサーカスを見に行き、丸の中でオートバイが走り続けたり
軽業師、猛獣使い、数をかぞえる犬、ピエロなどに夢中になる
シーシキンは曲芸師になると決めて、早速、足で箱を回そうとして失敗
皿回しでは、家の皿を何枚も割り、ガラス窓も粉々にして
また母を怒らせる
書き取りのある日に、また仮病で休んだシーシキン
シーシキン:明日も行かないよ オリガ先生が聞いたら、病気だと言ってくれ
ピーチャはオリガ先生にウソをついたことを悔やむが
どうしていいか分からずに悩む
●犬に計算を仕込む
シーシキンはサーカスに入って芸人になるといって、ロブジクに数を教え
ピーチャにも協力させるが、母にバレて
勉強しなければ、褒美にあげる砂糖は隠すと言われる
ロブジクは1で「ワン」と吠えることは覚えるが、他の数字でも1度しか吠えずに
シーシキンは怒りだす(自分のできなさ具合を投影してるのもあるのかも
●コスチャのずる休み
シーシキンは冬の寒い中、遠い町はずれをうろつき歩く
ピーチャは気がかりで、自分の勉強も集中できない
母:いい友だちが見つかれば、彼はきっといい子になるわよ
シーシキンの家を訪ねて、シーシキンの父は彼が赤ちゃんの時に
戦争で亡くなったと分かる
明日は、真面目に話し合おうと決心するピーチャ
●万事休す
クラスメイトがシーシキンを見舞おうと言い出して
仮病がバレてしまう
オリガ先生も来て、クラスメイトは仮病のことを話す
オリガ先生:
サーカス学校に行くにも、中学校を卒業しなければ入れませんよ
あなたはずっとお母さんをだましていくつもり?
シーシキンはまた勉強すると約束する
●校長先生に呼び出される
ワロージャ:
ピーチャは友だちが間違ったことをしていたのを知りながら
過ちを直してやることができなかった
先生か、ぼくか、クラスの友だちに話すべきだったんだ
ほんとうの友だちなら、もっと厳しく言わなければいけないよ
校長にも呼び出されて、叱られるかと思ったが
校長:
ピーチャを見習って、早速とりかかるんだ
サーカスの犬は信号を出した時に吠えるよう訓練しているんだ
学校の演芸会で、ロブジクの余興を見せてくれ
●コスチャを助けよう
シーシキンが責任をもってシーシキンの勉強を見ると約束する
シーシキン:
オレには意志の力がまったくないんだ
オレは結局、ろくな者にはなれないんだ!
文法から始めて、自分で考える練習をさせる
班員がみんな勉強しているか見に来る
シーシキン:オレはいつも平気なフリをしていたけど、心の中は煮えくり返りそうだったんだ
●犬の訓練に成功
シーシキンはまた落第点をとり、ピーチャは自分に教える能力がないのだと落胆する
シーシキンはロブジクの訓練が早くやりたくて、勉強に集中できないと告白する
訓練の甲斐あって、信号を出すと吠えるのを止めることができるようになった
●新年祭
舞台に立つ衣装をリーカに作ってもらい
客に慣れさせるために、いろんな家を周って芸を見せていたら
ロブジクは砂糖を食べ過ぎて、芸をやらなくなってしまう
本番で、客席から算数の問題を出してもらい、ピーチャが答えを考えて
ロブジクに吠えさせると、答えを間違えてしまうが
じっくり考えて、見事成功して、拍手喝采を浴びる
●図書係になったコスチャ
冬休み後の書き取り試験でコスチャは及第点をとる
オリガ先生は2人に学級図書館の課外活動をすすめる
家から本を持ってきてもらい、目録をつくり
壊れた本は修繕し、もっと本を大切にするようポスターも書く
コスチャは本を貸すたびに、大切にしろと注意する
(なにか弱みがある者ほど、優位に立った時に、弱い者をしいたげる傾向にある気がした/汗
●学校一のクラス
シーシキンはようやく4点をとり大喜びする
シーシキン:
このクラスにほんとうの友情があったから
みんながぼくを助けてくれたことが分かった
シーシキンは早く母親に見せたいから
学業日誌に4点と書いてほしいとオリガ先生に頼む
シーシキン:これは春の風だ じきに3月がやって来る
ピーチャは彼と自分に起きたことを全部書こうと思いつき実行した
学年末試験では、ピーチャとシーシキンは全科目満点をとり5年生に進級した
■解説
ニコライ・ニコラーエビッチ・ノーソフ
1908年 キエフ市生まれ
父は貧しい芝居の俳優
ノーソフは15歳でレンガ工場で働き、独学で勉強した
のちに映画監督になった
その他の作品
『ひょうきん者』
『階段』
『かくれんぼ』
『きゅうり』
『サーシャ』
『空想家』 ほか
本作はスターリン賞を受賞
有名な長編『ネズナイカの冒険』を出版
ノーソフはソ連では稀なユーモア作家
いわば「だめ人間」を主人公に取り扱うのは
それまでのソ連では許されなかった
1976年 死去