メランコリア

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考える絵本7『しあわせ』

2013-01-21 17:37:02 | 
考える絵本7『しあわせ』(大月書店)
辻信一/文 森雅之/絵

辻さんは、NGO「ナマケモノ倶楽部」を設立。ステキな名前の団体だな
自らの南米でのペペさんや、コーヒー店のマスターとの思い出を1冊の本にしたとのこと。
食料や富の分配の話は、先日読んだ『アミ小さな宇宙人』ともリンクした。
というより、すでにそういった暮らしを実践している人々がいることに驚いた

そして、宮崎駿さんが、田畑はよく原風景とか言われるけれども、
他の植物を根こそぎとって切り拓いた人工のものですからってゆってた意味も少し分かった気がした。

 

▼あらすじ
少女マヤは、お父さんが通う珈琲屋さんに初めて入ってみた。
マスターのさちおさんは、特別席のナマケモノ椅子に座るよううながす。
マヤはいつしか眠ってしまい、南米の国に行き、ジャカランダの物語りを聞く。

木はフェリシダ家のペペ老人とその家族を紹介する。

「10の家族がそれぞれ畑をもち、家畜を飼っている。
 自分たちの食べるものはほとんど作っているし、
 足りないものがあれば、互いに借りたり、分けあったりする。
 だからあまりお金はいらない。そう、みんなでひとつの家族みたいなもんさ」

『コーヒーは金のなる木』と言われ、競い合うように森を燃やし、木を切ってコーヒー園をつくり、
農場主たちの家族は豊かになっていった
でも、豊かさは、かえって幸せの邪魔をしたりするんだよ。



ペペは若い頃、都会の建設会社で働いていたが、病気になった時、
ナマケモノを見て子どもの頃の夢を思い出し、農場に帰ってきた。



だれもがもっている弱さを認めあい、助けあい、足りないところを補いあう。
そうすれば、みんなもっと幸せになれるはずだ。ペペはそう思ったんだ。

農場で農薬を使いだし、農薬が溶けた水を飲んだ牛が死んだり、
農薬をまく人が頭痛を訴えたりした
ペペはブラジルで初めてのオーガニックのコーヒー園を作る。

人間が幸せであるためには、ほかの生きものの幸せが大事らしいって気づく。

世界では、人間たちが裕福になるために、地形を変え、森を切り拓き、水や空気を汚し、
それはまるで、人間が自然を相手に戦争をしているみたいだった。
世界中で公害や原発事故や戦争が起こり、
このままでは人間の未来はない、と多くの人が思いはじめた。

フェアトレードとは
フェアは公平、トレードは交換。
大好きなリンゴを分ければ、きみの食べるぶんは減る。でも、友だちと一緒に食べたら楽しい。
友だちは、喜んで、お返しに別のものを分けてくれる。
フェアトレードは、そんなふうに相手の身になって、分かちあい、
両方が前よりも幸せになる交換のことをいうんだよ。


【あとがきメモ】

ヒマラヤの山奥には
「どれだけ豊かかより、幸せかどうかが大切だ」という考え方を
国の憲法にまで書き込んでいるブータンという国もある。

「しあわせ」という言葉の中には「居合わせ」という言葉がある。
いろんなモノやコト、ヒト、イキモノと「いあわせ」てきたこの奇跡に感謝するしかない。


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