メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『香華』(1964)

2024-10-05 09:42:03 | 映画
監督:木下惠介 原作:有吉佐和子

出演
須永朋子:岡田茉莉子 小牡丹
郁代:乙羽信子 母
安子:岩崎加根子 郁代の娘
高坂 再婚相手
須永つな:田中絹代 祖母
八郎:三木のり平
女将:市川翠扇
太郎丸:杉村春子
杉浦:菅原文太
江崎:加藤剛
江崎の妻:奈良岡朋子
神波:宇佐美淳也 旦那
野沢:岡田英次
村田:内藤武敏
敬助:北村和夫
大叔父:村上冬樹
叶楼々主:柳永二郎
呉服屋の番頭:桂小金治



※FODチャンネル for Prime Video対象作品

「岡田茉莉子さん出演作まとめ」に追加します


岡田茉莉子さんが20代から60代まで演じきった長編
今作でも薄幸な役なんだよな

野沢役の岡田英次さんは映画『また逢う日まで』で観た人か
気づかなかった



【内容抜粋メモ】

一部 吾亦紅の章

紀州
広々とした土手を葬列が歩く
白い喪服の未亡人・郁代

男:ついに二百三高地が落ちた 日本帝国バンザイ!



郁代:朋子はこの家の跡取り
ツナ:3人の子どもがある後妻になるのは苦労だ

2人は取っ組み合いのケンカになる
朋子が人形遊びできれいな声で歌う



イクヨは娘を残して再婚
(似たキャストで、似たような話、最近観たな

イクヨはトモコに用事があると来る
ツナ:あんたとは戸籍が違う 親不孝!泣
イクヨが持ってきた着物を引き裂くツナ



大雨の夜
祖母は倒れている

子どもが泣いて夫に愚痴るイクヨ

イクヨ:
あんたがウチを閉じこめてる
さっさとこんな家は出て行く!

ツナは少し気が狂ってる
イクヨは家を出た
男:あんたの病気で家にいずらくなった



東京
イクヨ:お金がいる
夫:神田の本屋なんてやめたらどうです?
娘の安子が寝ている
「ハハキトク スグカエレ」と電報がくるが無視

その後、母が亡くなった
幼いトモコが喪主をしている

イクヨ:紀州へ行ってトモコを連れて来て!



静岡
軍人が街中で訓練している
高坂はトモコを連れて来て女将に10歳のトモコを見せる

女将:
筋はいいかもしれない
芸1本で立てるだけにしこみましょう

部屋に案内され、高坂はさっさと出て行く



師匠と向かい合って厳しい三味線の稽古を受けるトモコ
同情する芸者たち



コノエ(イクヨ)が初見せ
女将:早く借金を返しておくれ
トモコは顔をそむける

女将:あの花魁を知ってるんだね
トモコ:お母さんです

イクヨの名乗る田沢は父の姓
契約書には25とあるが、本当は30
旦那:間違ってもおっかさんと呼ぶんじゃないぞ



木枠の向こうで客を引く遊女たちの中にイクヨもいる
客の隣りで堂々とした花魁ぷり
その前で踊るトモコ

大した花魁だと評判になるが芸者たちはやっかんで皮肉を言う







急に落ちぶれて臼でお茶を挽いてるイクヨ
トモコが差し入れに来ると顔をぶって叱られて泣く

芸者仲間から皮肉を言われても平気なイクヨ
また身ごもっている それで客から捨てられた?







トモコは母のために餅を買って来る
口に合わないと捨てるイクヨ
トモコは初潮を迎えて泣いてすがる
イクヨ:お前も女になったんだ



東京
すっかり成長したトモコは人力車で座敷に呼ばれる
髪の結い方が違うのは処女じゃなくなった印
野沢:祝ってやる
ムリにキスしようとして、着物の裾を噛む

初老の神波がトモコを買う
神波:お母さんを呼んだらどうだ?

芸者の顔写真が並ぶ中にイクヨもいる
客:写真に騙された 目じりのシワに化粧がたまってるw

トモコのもとに行くから女将から証文を返してもらう
イクヨと客の赤ん坊は静岡に来た旅役者にもらわれた

女将:
子持ちの花魁じゃどうしようもなかった
トモコが出て行く時「おっかさんお願いします」と言っていたよ/泣



イクヨは2階からトモコが挨拶周りするのを笑って見物している
色っぽく笑う女がいたと笑い話になる
トモコ:素人の着る着物じゃない/怒

イクヨは太郎丸から20円のお小遣いをもらったのを責める

イクヨ:
何もすることがなくて退屈なんだよ!
お前だけが頼りなんだから









軍人も芸者と遊んでいる
杉浦(菅原文太さん/驚
江崎はトモコに惹かれる



稽古を休んだりして太郎丸に注意される
太郎丸:あんたには赤坂一のダンナがついてるんだから

野沢:浮気ならいいが、花柳界の女が惚れたらおしまいだ
トモコ:無口なキレイな人です

太郎丸:あんたは心底惚れる女だ だから困るんだよ

トモコは江崎の胸で泣く









正月 洋食レストランで食事する江崎とトモコ
江崎:4月になれば少尉になる 今日は着物を奢るよ 百貨店でも行こう

トモコ:いつか奥さんにしてくれますか?
江崎:結婚はしたい だが、僕には財産もない
トモコ:私、何年でも待ちます








太郎丸:
出世の妨げになるに決まってる
少尉じゃ相手にとって不足ですよ

トモコ:家でも建てて引かせてくれると言ってくれた
太郎丸:お妾になるのがイヤで断ったんでしょ?



大正12年
芸者が泣いて帰ってくる
トモコは店を切り盛りしている

9月 12時 関東大震災
崩れる木造家屋 逃げ惑う人々 割れる地面!



二部 三椏の章

12月25日 大正天皇崩御 昭和元年

イクヨ:
大阪はいいとこやった
派手な着物を買ってもらった
純金のスイス製腕時計ももらった
八郎は前から私のことを好きだった

来年が還暦の神波が亡くなった
イクヨ:築地のど真ん中に大きな旅館を建ててもらって喜べばいい



知り合って8年になる江崎が来て様子が変

江崎:
君とは結婚はできん 理由は言いたくない
コウナミ伯爵とは何者だ?

トモコ:
2人の間では言ってはいけないことだった
震災で宿が潰れた時、花柳界から去って頑張ってきた

江崎:
家が君を興信所で調べてしまった
芸者と結婚した兵隊もいる
親は親、子は子という考えもあるが
結婚には上官の許可が必要

イクヨが以前、遊女をしていたことで破談になる

トモコ:このまま行ってしまわないでください!
江崎:仕方がないんだ!



神波の告別式
野沢と一緒にお焼香する



本願寺の鐘が聞こえる
トモコは来年26、母は43になる

イクヨ:
年をとるのはつまらん
赤坂にいれば次の男ができるのに



杉浦が久しぶりに旅館に来る
杉浦:江崎は去年、結婚して男の子が生まれた
トモコ:それはおめでとうございます
杉浦:いつから他人になったんだ? 江崎は言わんのだ


野沢:もう一度旦那もったら?
トモコ:今度、男ができたら正妻にしてもらう 妾だけはなりたくない



田舎から八郎が来る
妻は亡くなり、イクヨに呼ばれて上京した
イクヨが色っぽく迫るのを聞いてるトモコ

翌日、イクヨと結婚したいと頼む
イクヨは八郎より7つ上

トモコ:
大阪に帰りなさい 結婚を何回したら気が済むの?
私はできなかったのに!

イクヨ:うちが女郎なら、この子は妾や!
トモコ:女郎の娘だからって江崎と結婚できなかった!
イクヨ:親不孝もん! こんな家出る!



京都

野沢:
12年の付き合いだ わしは君に惚れ続けてきた
女房にしない男はごめんだと言ったが
女房も子もいるわしといるのはなぜだ

トモコ:
私には何もない
のんさんなら、ヒザに抱きついて泣けると思った



東京大空襲
再び東京の木造建築が燃える
(この時代はほんとに散々だったねえ・・・

終戦 焼野原
屋根もない所で茶漬けを食べてるイクヨとトモコ
61になったイクヨは大阪も面白くないと出てきた

イクヨ:
八郎は何も言ってこない どないしたんだろう?
うちが死んだらお父さんの墓へ入れて

トモコ:死んだら八郎の墓に入るのよ



中野の山野達夫を訪ねる
妻・安子は身ごもってる
リプトンの紅茶を出す 砂糖もたっぷりある

トモコ:
お母さん、私と一緒にずっと防空壕住まいなの
めどがつくまで母を預かってくれない?

安子:
自業自得 戦災でいびられて
大阪行ったら「何しに来た」って言われたのを忘れない

トモコ:
1年でいいから 食費は払います
この家も私が買ってあげた

山野:親だきょうだいは古い 個人主義の時代だ
トモコ:けっこうです!



防空壕の中に家具を置いてるのか/驚
こんなに何もない所によく迷わず帰ってこれるな/汗

トモコ:
お母さんの娘は私だけ
ここに立派な家を建ててみせる
お母さんも私と一緒に苦労してください
地下室にある食器があるはず 食堂やろう!

八郎が迎えに来て泣いて再会を喜ぶ
八郎の家は焼け残った
トモコ:死んだら八郎のお墓に入れてもらいなさいよ

キリっとした立ち姿カッコイイ!









江崎大佐に絞首刑?という記事が出る

復員局の村田:
隊で起きたことの責任
マッカーサーが判を押すまで1年かかる
すべて向こうがやることで止められない

トモコ:とにかく会わせてほしい

村田:
戦犯収容所に面会で入れるのは5人だけ
妻と子どもが3人いるから、欠員が出たら知らせます

花野屋の名詞を渡す

雨の中もお参りするトモコ
半年経ってもまだ会えない

3年で女ひとつで大きな屋敷にした/驚
庭に吾亦紅が咲いている 片思いの花

イクヨはまた家を出てきた

イクヨ:
もともと好きでもないおっさんやった
赤の他人と暮らすのはイヤ
前のようにうちと暮らして



復員局から電話
村田:面会の欠員が出た 30分で来てください 進駐軍のトラックが来てしまう

トラックには正妻と息子2人、娘1人も乗ってる

SUGAMO PRISON
金網越しだが笑顔の江崎
トモコ:おひさしゅうございます
挨拶だけして先に出るトモコ

イクヨが呼んだ八郎がまた来ている
トモコ:2人ですぐ出ていきなさい! 誰が面倒なんてみるもんか

江崎の絞首刑が執行されたと載るが誤報
トモコ:刑が軽くなるよう祈るしかない

ミツマタの花が咲くと恋人に会えるという言い伝えがある
店で靴磨きしてる八郎

速達が来て、慌てて復員局に出かけるトモコ

村田:
13日未明、処刑されたと通達があった
遺体が遺族に返ることはない
遺骨がどこにあるかも分からない

(戦犯だって、アメリカが決めたことで
 戦争にどっちが悪いとかないよな

たくさんのお札を庭で焼くトモコ



200万相当の如来を譲るという男
仏壇に位牌をつくるのに父の戒名も覚えてないイクヨ

江崎が死んで4年経った
つな、野沢、江崎の位牌も頼んで泣くトモコ

トモコは接客中に急に倒れて入院する
八郎が見舞ってるがイクヨは一度も来ない

トモコ:
私はとうとう1人も子どもと産めなかった
今度の手術で女も終わった

安子は夫とうまくいかず家に来てる
八郎が泣いて、イクヨはもう亡くなってることを知る
トモコを心配して病院に駆けつけようとしてジープにはねられて即死だった



トモコが退院し、大勢が出迎える
如来の前にイクヨの遺灰が2つある

トモコ:お母さん、あなたはこうして帳尻をきれいに合わせて死んでしまったんですね

八郎:
大阪に家もある お骨を頂いて帰りたい
そのつもりで遺骨を2つに分けた
半分はトモコのものやと言い張ってた

安子の息子ジョウジ:
病気治って良かったね
僕、八郎と寝てた 1人じゃおっかない

トモコ:おばちゃんが一緒に寝てあげる

ミツマタの花を仏壇にあげる

トモコ:
お母さん、ミツマタの花が咲きましたよ
どっかで末きちさんとめぐり逢いなさいよ

ジョウジを寝かすトモコ
小さい頃に人形を寝かした時の歌をうたう



昭和39年 和歌山
トモコはイクヨの骨をもって実家を訪ねるが断わられる
トモコ:いずれ私と一緒の墓をつくる
ジョウジはもう大学生

女性(誰だっけ?)と一緒に窓の外の海を見る
寄せる波があっても返す波がない


なんだかフシギな終わり方


コメント

ジュニア世界の文学9 早春 ハルディス・M・ヴェーソース 学研

2024-10-05 09:28:10 | 
1971年初版 山内清子/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


ジュニア世界の文学シリーズはどれをとっても秀逸
自分を重ねて読み進めて、客観視することができる



【内容抜粋メモ】

登場人物
ブルブラッセン家
父エイリック

インゲル 長女 15歳
トーラ 妹
クヌート 弟 事故で背中を痛めた

スヴェーレ・フグリ 隣家に住むインゲルの幼馴染 17歳 弟オラフ
ランディ 母が神経症を患っている
ヨルディス
エルセ 母子家庭
ロス夫妻



スキー教室の帰り道、父が正体なく酔いつぶれて歩いているのをマネて笑う子どもたち
恥をかいたインゲルは秘密の岩かげに行って泣く



去年の春
父はお気に入りの弟クヌートを連れて飲みに行った
亡くなった男児の代わりに可愛がっている

クヌートは自動車に乳母車ごと跳ね飛ばされて崖に落ちて強く背中を打った
母:酔っぱらって、子どものことを忘れたからこんなことになったんだわ!

クヌートはしばらく入院して、退院後も背中にコルセットをしている
引きずらない母は子どもっぽいと思うインゲル

学校の宗教の時間に「7度を70倍するまで許すべきだ」と教わったが
許すとは、なんと難しいことだろう

下の子たちが生まれる前はお父さん子だったインゲルは
その日から、父への不信が心の傷となって、関係が変わってしまった

真相を知るために事故現場に行き、マグヌス夫人から話を聞く
お酒を出した時にエイリックが通りかかったため夫人が誘った
父は子どもがいたためそれほど飲みはしなかった

マグヌス家の幼い双子は無茶なほどクヌートを乗せた乳母車を何度も押していた
そこに自動車が通りかかり、乳母車をはねて過ぎていった

乳母車が崖に落ち、父は慌てて追いかけて腕をケガした
母に話すと「運転手が悪い」と言う
母:父さんを許してあげて

母は貧しい家庭に育ち、父は酒乱だったため、インゲルよりはるかにツライ思いをした
父はそれほど飲まないし、飲んでも暴力を振るったりしないからいいと言う



1人の見知らぬ男が割れやすい氷の上を滑っているため大声を出して注意する
その際、スキーで転んで足を捻挫したインゲル

ヒュッテを買ったロス氏は、命を救ってくれたお礼に家に連れて行く
都会から来たお金持ちの夫妻とオシャレで居心地の良いインテリアに驚くインゲル

夫人は湿布して、夕食をごちそうしてくれる
食後にラジオでクラシックを聴いて、泊まっていくようすすめる

夫妻には、以前、同じインゲルという名前の女の子がいたが
生後数か月で亡くなっている

夫人は同じ名前のインゲルに偶然とは思えない縁を感じる
インゲルに使ってない部屋を与えようかとまで考える

インゲルは父の件を話す

ロス夫人:
お父さんをあまり厳しく責め過ぎているのでは?
私たちは何度でも許さなければならない
あなたの値打ちは、あなたの人格で決められるものよ


母が迎えに来て、家に戻る
母:インゲルが父に逆らうほど、父は酒に溺れてしまう

あの事故の後、汚名をそそぐために父は謹慎していなければならなかったはずだ
それが出来なかったのは、父の意志の弱さだ



隣家の幼馴染スヴェーレが様子を見に来る
小さい頃はよく遊んだが、学校に行くようになってから
それぞれ別の友だちと付き合うようになった

インゲルは1室で家族みんなと寝るのはイヤだと主張し
屋根裏部屋を自分用にしてもらう

ロス夫人はヒュッテを引き払う際、インゲルのためにいろんな小物をくれた

母はロス夫人と話した時、インゲルに部屋を使ってもらい
そこから学校に通い、ピアノも習えばいいと言っていたと伝える
インゲルは夢のような話を信じる

父はインゲルのために本棚を作ってあげるが
娘が部屋にカギをかけていることにショックを受ける

“自分の部屋にいるということが、どんなに自由なものかということは
それを経験したことのなり母に説明しても分かってもらえないだろう”



成人の儀式である「堅信礼」が近づき、インゲルは友人と着ていくドレスに刺繍をする
ランディとヨルディスが踊りだし、エルセは口笛を吹き
インゲルはロス夫人からもらったハモニカを吹く

気づくと隣家でスヴェーレたちが見ていて、父母に注意される
ランディは美容師、エルセは洋裁師、ヨルディスは結婚する夢を話す

インゲルはロス夫人の話を秘密にする

“仕事は、なにかの罰でさせられるものではない
 生活とは、そんなものではないはずだ
 母のようにはなりたくない”

父はインゲルの堅信礼用に高価な服や靴を揃えてくれた
今日1日くらいうわべだけでも仲良くしようと思ってもなかなかうまくいかない

「われらの負いをも許したまえ われらに負いめあるものを・・・」

晴れ着を着てインゲルは無事に堅信礼を終える



5月17日の憲法記念日
パーティーでイバールからダンスに誘われたランディは断る
意地悪ばかりするからってそれは非礼だと責めたインゲルもまた
スヴェーレの誘いを断ったのに、同情からイバールと踊り
ランディとケンカになる

エルセの母はプロポーズを受けて、再婚することになる



母から生地をもらい、エルセに手伝ってもらってオシャレな夏服を作ってもらう
秋から学校に通うと決めたエルセに驚く

ロス夫妻を訪ねると、13歳のリーブという親戚の少女がいて
「うちの子どもになる」と聞いてショックを受け、インゲルはまた岩かげに来る
ロス夫人:リーブのお友だちになってくださいね

部屋に来てと言ったことを忘れたのか?
ロス夫人も所詮あてにならない大人の一人にすぎないのか
父を許せないのと同じように、ロス夫人を許すのは難しい

雹の嵐になり、近くに落雷する
命の危険を感じて、この世で信頼できるのは父だけだと分かる
その父がインゲルを心配して森まで探しに来てくれる

父:いつかおまえが話していたのを覚えていたんだよ
インゲル:父さんにすまないことをした

父:わしを許せると思うかい?
インゲル:私こそ許してくれる?

雷雨は止み、インゲルはロス夫人の話を父母にする
母:こんなうまい話をお前が真に受けると知っていたら話さなかったのに

ロス夫人が心配して家に来て、父母は事情を話す

ロス夫人:
私を許してくれるかしら?
あの時、深く考えずにいたが、忘れていたわけではなかった

リーブは父親が大好きだったが、戦時中、娘に会おうと捕虜収容所を脱走して射殺された
リーブは自分のせいで父が死んだと思った

その後、母が働いて倒れて亡くなった
リーブは母も自分のために犠牲になったと思い込んだ

インゲルは事情を知らず、僻んでいたことを認める
冷静に考えると夢のような話を信じて子どもっぽかったと振り返る





あとがき

ハルディス・モーレン・ヴェーソース
1907年生まれ 現代ノルウェーのもっとも優れた詩人の1人タリエイ・ヴェーソースと結婚

本書は当時のノルウェーの平均的な農村を舞台にして
他者に対する「許容」の問題を底辺に置き
スヴェーレとの恋愛感情や、少女の心理のうつり変わりを微細に描いている

1940年にナチが全土を占領し、5年間、ノルウェーは自由を奪われ
文芸作品の出版も禁止された



コメント