メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『衹園囃子』(1953)

2024-10-01 18:02:08 | 映画
監督:溝口健二 原作:川口松太郎

出演
美代春(芸妓):木暮実千代
栄子(舞妓・美代栄):若尾文子
沢本(栄子の父):進藤英太郎
お君(お茶屋の女将):浪花千栄子

楠田(車両会社の専務):河津清三郎
神崎(役所の課長):小柴幹治
佐伯(楠田の部下):菅井一郎

小川(美代春の馴染み客):田中春男
今西(お茶屋の客):伊達三郎
助次郎(男衆):志賀迺家弁慶
幸吉(男衆):石原須磨男
女紅場の教師:毛利菊枝
八重:大美輝子
菊春:橘公子
舞妓:三田登喜子





【内容抜粋メモ】
16歳の栄子は美代春を訪ねて来る
美代春:芸者のウソは商売の駆け引きや
男は捨て台詞を吐いて出て行く

エイコ:
母が死んでから叔父は体で金を払えなどと言う
姉さんのような舞妓さんになりたい








洋品店の沢本
片手が不自由なエイコの父・沢本

沢本:
病気で商売もうまくいかず娘まで手が回らない
干渉しない代わりにハンコも押さない

エイコ:苦労してもどこにも行く所がない きっとガマンします
美代春:お母さんに負けない芸者になるには相当苦労する
美代春はエイコを仕込むと約束する



先生:
外国人が日本に来ると芸者ガールを期待している
京都の祇園の舞妓が代表
生きた芸術作品 無形文化財

太鼓、鼓、三味線などの楽器、踊りを習ったり
家の掃除、料理、縫物もする









美代春:1年経ち、筋がいいからお座敷に出しても恥にはならない
女将・お君:衣装が立派でないといけない 30万くらい用意しないと
女将に金を貸してもらう

髪を結ってもらう
髪結い:これからは売り物だから、いい旦那さんがつくように
名前は美代栄に決まる 着物、かんざしで飾る









通りで挨拶に回る 美代春の妹と紹介される
楠田(車両会社の専務)が来ている
神崎(役所の課長)と8000万円の大仕事の話

クスダはミヨエにどんどん酒を飲ませる
踊りが始まる
カンザキはミヨハルが気に入ってジロジロ見てる











ミヨエは泥酔して家に戻る
父が浴衣の布を贈ってくれた



ミヨエ:
お客から口説かれて断ったら基本的人権はどうなる
訴えてもかましまへんか?

舞妓:
旦那をとるのは一人前の女になること
相手は62のおじいちゃん イヤでも断れない

お君:
クスダさんがミヨエをもらいたいと言った
身分に不足はない
まだまだお金をつぎこまなきゃならない
用立てたお金も返してもらわな
あのお金はクスダから出てる

ミヨハルにも旦那をもつよう説得する

またクスダに呼ばれるミヨエ
ミヨハルはカンザキの所に来る
カンザキ:僕は年増趣味かもしれないね

お君はミヨエも説得する
クスダは野球拳で大騒ぎ



電車で東京へ呼ばれるミヨハルとミヨエ
こんな個室があるんだ

父が挨拶に来て、ミヨエは部屋を出る
沢本:八方から借金に迫られて、夜逃げするように飛び出してきた

マンションの高層階で1人で飲んでるクスダ
京都から2人を連れてきたとカンザキを呼ぶ

クスダ:君は今夜、カンザキに付き合ってくれよ
ミヨハル:急に困ります
クスダ:オレの生きるか死ぬかの境目 今後絶対不自由はさせない

クスダは急にミヨエに迫り、ミヨエはクスダの舌を噛んで出血し、入院した








お君が謝りに来る

佐伯:
問題はカンザキを振ったミヨハル
そのために8000万円の危機
カンザキは怒って連絡も来ない

お君:今度はきっとまとめます

ミヨエはクスダが嫌いだったと泣く
お君はミヨハルを叱る

お君:
私がひと声かけたらどうなるか知ってるか
専務さんの顔を立てるならまた力になる

ミヨハル:なんとかしてお払いします
お君:それまで出入りしないで








お座敷のキャンセルの電話が続く
お座敷ではミヨエの一件が笑い話になってる









酔った客と芸者が家になだれこんでくる
小川:銭回そうか?

芸者仲間はミヨエをなぐさめて声をかける

ミヨハルは1人で三味線を弾いて歌う

沢本がお金の相談に来る

沢本:
どこにも行く所がない 家主からも追い立てられて5万、10万でもないと
あんたのお陰でミヨエも人気者になったことだし

ミヨハル:
急に言われてもどうにもならない
お商売に出られない

指輪、かんざし、時計を渡す



サエキ:今晩、カンザキにミヨハルを引っ張ってこないとクビになる
お君からミヨエが謝りに来たから迎えに来てと電話がある

ミヨハルはミヨエを叱って帰らせる
サエキ:君は命の恩人ですわ
お君は明日から座敷に呼んでやると約束する
ミヨハルは嫌々カンザキの寝室に来る



ミヨハルは夏帯などいろいろお土産を買って帰る

ミヨエ:
好きでもない人といるなら私、舞妓辞めたい
世界の名物もみんなウソや!
体を売らんと芸者できないなら姉ちゃんもやめて

ミヨハル:
やめて、どこ行くのや!
私はもう慣れきってるが、あんたの体だけはキレイに守りたいと思ってる
私は親きょうだいもないけど、人間の情けだけは持ってるつもりや
こないだの晩お父さんが見えた
人間なんて1人きりだとみんな寂しいもんや

ミヨエは泣いて謝る
ミヨハル:今日からあんたのダンナは私や








次々とお呼びがかかり、ミヨハルはミヨエの顔におしろいを塗る

祇園祭か




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ジュニア世界の文学 10 ぼろぎれマリー リュース・フィロル/作 学研

2024-10-01 17:50:12 | 
1972年初版 内村瑠美子/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


ジュニア世界の文学シリーズはその名の通り
子どもから大人に成長する際に読むのに最適な
素晴らしい作品ばかりが揃っている

耳が聞こえない父との2人暮らしで
子どもが母の代わりを務めるのはムリだよな
母を失った家庭に冷たい周囲の態度もひどい

空想に浸っていた幼年時代から無理やり成長せざるを得ず
周囲がみんな自分を嘲笑しているように見えて心を閉ざしている間は
色メガネで世界が歪んで見えることに本人は気づかない
こうした状態は大なり小なり、みんなあるよね


【内容抜粋メモ】

登場人物
父 アドルフ 耳が聞こえない
母 テレーズ
娘 マリー
叔母 エンマ

隣家シャンドワーヌ家
ジュスタン
ローズ 妻
フレデリック 息子 愛称キキ
ジェルメーヌ 女中
ヌヴィオン夫人 ローズの姉

エステル・ノブレ 薬剤師の娘
ポーリーヌ 親友
フィリップ
アネット 母レオンティーヌはベロー家の女中をしている



長いこと寝たきりだった母テレーズが亡くなり、父と6歳の娘マリーが遺された
父は狩猟での事故で完全に聴覚を失い、テレーズが病気になってから独り言がクセになっていた

父:
あいつら、わしからマリーを取り上げようとしやがった!
あのちびはわしが育てる! もう娘しかいないんだ

母が「ツライ時は自分にお話してあげれば、忘れることができる」と言っていたため
幼いマリーは空想の世界を作るようになる

奇妙な衣装を着たマリーを見て
隣家の女中ジェルメーヌは“ぼろぎれマリー”と言って笑う

ブドウの収穫が終わると、恒例の盛大な舞踏会が開催される
娘たちは1年中この日を夢見て、美しいドレスを思い描く

叔母エンマは、毎朝、マリーの世話に来てくれるが
貧しいため、いろんな手伝いに周り、来れない日もあり
家の中はたちまち荒れ放題になる

薬剤師の娘エステルはいつもお菓子を持っていて
子どもたちの上に立ち、マリーをからかう

フィリップだけはマリーの味方になってくれるが
マリーはキキを自分の騎士だと崇拝している



マリーは9歳になり小学校中等級に通う
アネットが転校してきて、2人は友だちになる
アネットは父の不在について何も話さないため、刑務所にいるんだと噂になる

父は借金を抱えて、仕方なくオー・ヴァンの土地を売り、トラクターを買う

親友ポーリーヌは隣り町の裁縫師のもとで働き始め
舞踏会で着るドレスを自分で縫うと宣言する

マリーもお針子になる夢を語る
マリー:そして、お金持ちでハンサムな青年と結婚するの



エンマと父が激しく言い争うのを見てしまう

アドルフ:
テレーズが死んでから何ひとつうまくいってないのは本当だ
人を雇ったが、彼らが何を思っているか分からない
雹が降って、果樹は病気になり、ブドウは日照りにあった
だが、娘は不自由ない暮らしができるようにテレーズに約束した
小さい王女さま 母さんはそう呼んでいた

エンマ:
あんたの夢なんてシャボン玉みたいなものよ
美しく七色に輝いて、そのうち割れて、手の中には何も残らない



エンマからアネットの父に関する話を聞く

腕のいい左官だったが、5mも落下して骨折し、高所恐怖症になり
2年後にはアルコール依存症で2年間専門病院で治療を受けた
ベロー家は一家をグルッス農場に雇うことにした

エステル:あのおばかさんはキキに恋してる!
キキ:僕は相手にしてないよ

という会話を耳にしてショックを受けるマリー
マリー:ぼろぎれマリー、夢なんかおしまいにするのよ!

幼年期の庭は扉を閉じた
自分の夢想という色めがねで見ていた外界に対して目を開くと
キキがいかに愚鈍かが分かった

父とフレドゥーが言い争った後、狩猟中にフレドゥーの犬が撃たれて死に
帽子が吹き飛ばされる事件が起きた

フレドゥーは密猟をしていたため訴えることは出来ないが
村の人々はアドルフがやったのではないかと疑う

マリーが今年のお祭りには行かないと言ったのに驚いて
父はドレスがないのが問題だと思い
自分のモノを売って金を作り夜会服をプレゼントする

マリーはそれを見て、グロテスクなほど悪趣味だと思うが
父を傷つけまいとドレスを着て出かけ
森で夜まで隠れていようとしてエステルに見つかり嘲笑される

雨の中、逃げ回ってドレスは破れ、母の名を叫び、高熱で倒れる

医師は転地をすすめ、高原の保養所に移る
陶器、絵画などの実技指導があるのに
マリーは人目を避けて、自分の殻に閉じこもる

ポーリーヌからの手紙で舞踏会の夜、エステルはマリーのドレスに嫉妬して笑ったため
みんなエステルのいじわるを非難して仲間外れにしていると教えるが
ポーリーヌの慈悲深いウソだと思う

マリーが裁縫で縫ったブラウスが一番高い値で売れたと褒められる

フレドゥーの帽子を撃ち抜いたのはキキで
シャンドワーヌ家は高い口止め料を払ったと父が話す



1年が経ち、マリーはもうすぐ17歳になる
帰宅する前にもう一度検査が必要だという手紙に慌てた父は
ブドウの収穫をせずに駆けつける

「南仏に雹の嵐が降り、ブドウが全滅」という記事を読み
アドルフ:破産だ・・・グランド・クレールを売らざるをえまい

父子は人目を避けて帰宅するが、心配した村人によってブドウは収穫されていたと分かる

すっかり美しくなったマリーに驚く友人たち
マリーはキキのダンスの誘いを断って、フィリップに家まで送って欲しいと頼む

大人の世界にも素晴らしい城がある
そして、これから探さねばならないのだ



あとがき
夢想は必然的に他者の侵入を拒む孤独な世界のみのもので、現実の前には脆い
人生における真の夢には他者と関わる愛の裏付けがなければならない


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