過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はペンギンさんノートからご紹介
今回のノートはほとんど映画感想だった。
photo1:『小さな恋のメロディ』の可愛い主演者2人。
photo2:その後の帰省時には、もうすっかり成長していたみーちゃんに関する日記
photo3:親友と新潟の花火大会に泊りがけで行った時の旅行記。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『白い婚礼』(1989)
監督:ジャン=クロード・ブリソー 出演:ヴァネッサ・パラディ ほか
今やフランスでも大人気というパラディのアイドル映画。
やらわかく真っ直ぐな金髪、細く華奢な首筋、同じく華奢な身体。17歳。
ロリータ趣味でない者でも男にとってはもってこいの設定にして、この主人公。
教師と生徒の禁断の恋愛ものは、ずっと受け継がれるのね。
少女は頼れる父親的存在を求め、救われようとする。
男は自分とともに年老いる妻をよそに少女に性欲を向けるが、
結局は社会的地位、妻への罪悪感で「君はまだ若い」て常套文句で逃げる。
愛の形はいろいろあるから、どれが本物とは決められないけど、
自己愛を埋めてほしい似た者同士が、単に「愛している」と思い込んでいるだけでは?
ラストの画面いっぱいの海岸線のシーンは唯一ホッとさせられるほど美しい。
少女が魔性に見えるのもムリはないけど、男に寄生せざるを得ない不安定な女の立場に根本的原因があることも見逃せない。
■『ベルーシ ブルースの消えた夜』(1989)
監督:ラリー・ヒアース 出演:マイケル・チキリス、レイ・シャーキー ほか
1982年、L.A.。『サタデー・ナイト・ライヴ』で一気に名を上げ、ブルース・ブラザースとしてダン・エンウッドと組んでブルースを歌い、
7本の映画に主演したコメディアン、ジョン・ベルーシは、ホテルの部屋でオーバー・ドゥースによって死んだ。
その彼が幽霊になって起き上がり、黒人の天使と一緒に半生を振り返るなんて、なんて粋な脚本なんだろう。
ジョンにすっかりなりきってるマイケルの演技(風貌も声も動作もソックリ)には驚く。
コカイン、LSD、アンフェタミンなどのドラッグのオンパレードに1日3箱の煙草。
トップをキープするために彼自身が選んだ道なら誰も文句は言えまい。
海岸をダンとドライブ中「もしお前が死んだら死因はヤクじゃない、お前が選んだんだ、だから涙はナシだ」
なんて会話もショックだが、死ぬ直前まで彼の伝記を書いたウッドワードと
「どうしてヤクにおぼれたか」の新事実を聞くやりとりをしていたってゆうのも信じがたい話。
アイロニーに満ちたニクソンのコントや、日本人としてはちょっと笑えないサムライのコント等
ベストシーンが織り込まれているのはとても嬉しい。できれば下積み以前のことも見たかった。
いつから彼があれほどワイルドな暮らしをするようになったのか。ノーマルな時は皆から慕われる“イイ奴”なのに。
誰も彼が命を猛スピードですり減らしてゆくのを身近にいても止められなかった。
彼も他のカリスマスターのように'70年代に燃え尽き、'80年代まで乗り越えられなかったジャンキーだったのだろうか?
彼らと同じくジョンも死によってなお伝説として生き続けている。
「ジョン・ベルーシを書くことは、アメリカを描くようなものだ」
今作はドラッグをリアルに生々しく描いた作品でもある。
白い粉で自らの身体を滅ぼしてゆく人間が今でもなんと多いことか!
行く手に死しかない彼らを救う手立てはないのだろうか?
■『アメリカの友人』(1976)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ ほか
何も怖いものはない。恐怖以外は。分からない。自分が誰なのか。他人は誰なのか。
先のないドイツ職人とアメリカ人。出会いは悪かったが互いに交わすなんてことない
カラクリのおもちゃの贈り物だけでうちとけてしまう微妙なやりとり。
ロードムーヴィーを撮り続けるヴェンダースは、異国で人と人が触れ合う設定が好きらしい。
なぜトムがドイツ男にそれほど友情を感じ、求めるのかはよく分からない。
何を考えているかが読めなくて、孤独の中にも張り詰めた緊張感があるホッパー自身のキャラクターと
おっとりとした平穏な静けさをもつガンツ自身のキャクターが大いに生きている。
政治家、画商、マフィア、ロックミュージシャンと知り合いは多いが年中旅生活で孤独なトムが
テープレコーダーに向かっていう上記のセリフのリフレインもホッパーだからこそ意味深い。
また音楽、特にロックにはうるさいヴェンダース作品は、ちょっとした鼻歌や町に流れている音楽にもとても気を遣っているのが分かる。
全体的に暗い色調だが、たとえばマフィアを待ち伏せして、トムが男にさしいれを持っていったのをひっくり返してしまい
「短い命がまた縮んじゃったよ」なんていうギリギリのジョークは可笑しい。
■『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994)
監督:奥脇雅晴
毎年恒例となった金曜ロードショーが企画・放送する夏休みスペシャル。
その年に話題や関心の的となった事柄を取り入れたハイテンポな迫力ある映像が売り。
モンキー・パンチの原作とはかなりイメージや全体の雰囲気も違うけど、
今の時代を彼らも一緒に生きているリアルさがある。
世界を股にかけたルパン一味の活躍にタイタニック号のロマンが加わっただけで興味深い。
この間、書店で原作も見つけた。原作は大人向けのマンガでダンディズムの匂いがプンプン、
哀愁さえ漂っているけど、TV版では子ども向け、ユーモアのセンスがポイント。
なんといっても'70年代からのシリーズと声優が変わっていないのが嬉しい。
■『RAMPO』(1994)(劇場にて
監督:奥山和由 出演:本木雅弘、竹中直人、羽田美智子 ほか
映画誕生して100年、松竹が活動して100年、そして江戸川乱歩の生誕100年と、
3つのめでたい100年が重なったという今年(←記憶間違ってないかな?
2年半もかけて製作された久々面白そうな邦画ということで1人で観に行ってきた。
平日午後1時とあって客はパラパラ。友だち同士や子どもだけのお客さんもいたけど、ハッキリいって子どもには勧められない。
というのも確かに乱歩は名探偵・明智小五郎の活躍する少年推理小説で有名、私もそのファンの一人だけど、
これはストーリーよりも映像と構成の奇抜さが目玉。
それから次から次へと様々なジャンルのタレントが出るキャスト。
明智をモックンが演るってゆうのはちょっと抵抗があったけど、
バタ臭い雰囲気、三つ揃いのスーツにパーマが似合いそうな、知的でしかもどこか冷たく妖しい乱歩の世界に合う。
見終わってみればなるほどハマったキャスティングだった。
例の評判の“サブミナル効果”はいかに!?
1カットでも分かりやすく入っていたから、何の映像かなんとなく見えた。
だから潜在的に脳に働きかけ、話を盛り上げたかどうかはあやしい。
最初のアニメーションの不思議な組み合わせといい、後半は特に速いカット割りに鼓動のような効果音、
どこかカフカを思わせるトリップワールドは、かつての生臭い日本映画とはちょっと違っていた。
必要以上に長く、精神的に暴力的なシーンは、女性にとっては見るに耐えないもの。
■『硝子の塔』(1993)
監督:フィリップ・ノイス 出演:シャロン・ストーン、ウィリアム・ボールドウィン ほか
原題“SLIVER”の意味は「細片、裂片」???
覗かれる透明な硝子の部屋の高層マンションってことでは邦題のほうがピッタリきて分かりやすい。
エロティック・サスペンスをここまでメジャーにしたのはストーンの人気かも。
バリバリ働く現代女性の日常生活に潜むありふれた恐怖から近代社会を鋭く暴いてゆく。
原作は映画と違う結末となるとちょっと興味深い。もしかして真犯人が違うとか?
『氷の微笑』同様、真犯人が最後まで分からない。
セリフの中にパール・ジャムが出てきたり、「日本へ出張するんだ」なんてのが入っていかにも現代っぽい。
なんでも起こり得る大都市N.Y.では、隣り同士でも何をしてる人か全然わからないけど、
こんなにカメラだらけで筒抜けの部屋なんてとてもじゃないがいただけない。
今作のキャッチコピーは「見たいですか? それとも見られたいですか?」
■『TINA』(1993)
監督:ブライアン・ギブソン 出演:アンジェラ・バセット ほか
いまやパワーとエネルギーの権化のようなロックシンガー、ティナ・ターナー。今作はとても話題となった。
最近、アイク&ティナ・ターナーバンド時代のパワフルでワイルドな映像を観て、
男顔負けのドスのきいた歌いっぷり、体中からほとばしるリズムとスピード、
パワーのあるダンスからは、とても夫のDVや、幼い頃に母親が家出した深い心の傷跡などはまったく想像できない。
一攫千金のスターになる男の話はよくあるけど、女がここまでのぼってゆく話はなかなかないだけに、
見事に自立して、自分と人生を信じた女性の姿を見るととても羨ましいし、気持ちがいい。
仏教徒で、家庭的、43歳で復活して、いまだダイナマイトなセクシーボディにロック魂を持ち続けているのはビックリ!
「ボウイやミックみたいに歌いたい」彼女はそれ以上の存在となった。
踊り方から歌いっぷりもソックリに体当たりで演じたバセットは一見の価値あり。
サントラもイイ。そして、世界に多いDVに耐える女性の問題を改めて深刻に考えさせられる。
■『オリヴィエ オリヴィエ』(1992)
監督:アグニエシュカ・ホランド 出演:ブリジット・ルアン ほか
あの美しい「秘密の花園」の映像詩を撮った女性監督が、同じ子どもを主題にしてはいるが
今作はあまりに悲しいストーリーをしっとりと描いている。
人がそれぞれ異なるように、その性愛もそれぞれだけど、表の逆には必ず裏がある。
歪んで汚れた現実も確実に存在しているという事実を突きつけられる。
今作は、実話に基づいたフィクションだけれど、今、この瞬間も世界中で大勢の子どもたちが誘拐され、
その多くは暴行を受けたり、殺されたりしている。
でも母親らは決して諦めずに消えた少年少女を探し続けているんだ。
女性監督のきめ細かさで、母子の愛だけでなく、微妙に変化してゆく家族それぞれの愛憎劇も丁寧につづられている。
南仏はたくさんの仏映の背景を飾ってきたが、どこまでも広がるまっさらな青い空、
一面の黄色い小麦畑?は、悲しく美しくはかない素晴らしい舞台となっている。
■『フェリーニのローマ』(1972)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ピーター・ゴンザレス ほか
「全ての道はローマに通ずる」という格言を信じた幼少の頃のフェリーニ。
その彼がローマという長く重い歴史をもつ都市を様々な角度から撮ったドキュメンタリーフィルム。
たくさんの古く美しい建物、そこに住む活気あふれる人々の語らい、次々出される料理と音楽、妖しげなショウetc...
幻想的なライトアップに斬新なスタイルを取り込んだショーはいつもながら突飛で豪華な
フェリーニ映画の芸術が楽しめると同時に大きな皮肉でもある。
貴族の美青年から妖しい魔女のようなイタリア美人、フェリーニ本人も出演したり、
撮影している様子を撮影したり、形やストーリーにこだわらず、昔も今もあらゆる人があふれてごった返し
他人のすることなどお構いなし、血気盛んなローマの人々をありのまま、ファンタスティックな効果も添えて、
たっぷり2時間繰り広げられる。旅行に訪れた気分になる。
■『トゥルー・ロマンス』(1993)
監督:トニー・スコット 出演:クリスチャン・スレイター、パトリシア・アークエット ほか
ピリッとスパイス、どっさりの砂糖、これは現代版『俺たちに明日はない』。
今作にはエルヴィスのサウンドと霊以外にも見どころがある。
1つは定年退職した元警官の父を演じるデニス・ホッパーと、
マフィアの役が十八番になっちゃったクリストファー・ウォーケンの背筋も凍るハマリきった演技。
もう1つは、警察とマフィアの下っ端が鉢合わせしてパニックになるシーン。
今までありそうでなかったマジなシーンだけに可笑しい。
美味しい俳優を惜しみなく使ってる。人気爆発中のスレーターを筆頭に、
ブラピ、ヴァル・キルマー、クリストファー・ペンはびっくりするほど太った!
でも、エルヴィスってそんなにヴァイオレンスでダーティなイメージかなあ?
どっちかというとプレイボーイで甘いイメージなんだけど。
「ディア・ハンターはイイ映画だ」など、監督のフリークさがあらゆるセリフに見えてくる。
映画好きのための映画って感じ。ヴァイオレンスムーヴィの逸品。
今回はペンギンさんノートからご紹介
今回のノートはほとんど映画感想だった。
photo1:『小さな恋のメロディ』の可愛い主演者2人。
photo2:その後の帰省時には、もうすっかり成長していたみーちゃんに関する日記
photo3:親友と新潟の花火大会に泊りがけで行った時の旅行記。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『白い婚礼』(1989)
監督:ジャン=クロード・ブリソー 出演:ヴァネッサ・パラディ ほか
今やフランスでも大人気というパラディのアイドル映画。
やらわかく真っ直ぐな金髪、細く華奢な首筋、同じく華奢な身体。17歳。
ロリータ趣味でない者でも男にとってはもってこいの設定にして、この主人公。
教師と生徒の禁断の恋愛ものは、ずっと受け継がれるのね。
少女は頼れる父親的存在を求め、救われようとする。
男は自分とともに年老いる妻をよそに少女に性欲を向けるが、
結局は社会的地位、妻への罪悪感で「君はまだ若い」て常套文句で逃げる。
愛の形はいろいろあるから、どれが本物とは決められないけど、
自己愛を埋めてほしい似た者同士が、単に「愛している」と思い込んでいるだけでは?
ラストの画面いっぱいの海岸線のシーンは唯一ホッとさせられるほど美しい。
少女が魔性に見えるのもムリはないけど、男に寄生せざるを得ない不安定な女の立場に根本的原因があることも見逃せない。
■『ベルーシ ブルースの消えた夜』(1989)
監督:ラリー・ヒアース 出演:マイケル・チキリス、レイ・シャーキー ほか
1982年、L.A.。『サタデー・ナイト・ライヴ』で一気に名を上げ、ブルース・ブラザースとしてダン・エンウッドと組んでブルースを歌い、
7本の映画に主演したコメディアン、ジョン・ベルーシは、ホテルの部屋でオーバー・ドゥースによって死んだ。
その彼が幽霊になって起き上がり、黒人の天使と一緒に半生を振り返るなんて、なんて粋な脚本なんだろう。
ジョンにすっかりなりきってるマイケルの演技(風貌も声も動作もソックリ)には驚く。
コカイン、LSD、アンフェタミンなどのドラッグのオンパレードに1日3箱の煙草。
トップをキープするために彼自身が選んだ道なら誰も文句は言えまい。
海岸をダンとドライブ中「もしお前が死んだら死因はヤクじゃない、お前が選んだんだ、だから涙はナシだ」
なんて会話もショックだが、死ぬ直前まで彼の伝記を書いたウッドワードと
「どうしてヤクにおぼれたか」の新事実を聞くやりとりをしていたってゆうのも信じがたい話。
アイロニーに満ちたニクソンのコントや、日本人としてはちょっと笑えないサムライのコント等
ベストシーンが織り込まれているのはとても嬉しい。できれば下積み以前のことも見たかった。
いつから彼があれほどワイルドな暮らしをするようになったのか。ノーマルな時は皆から慕われる“イイ奴”なのに。
誰も彼が命を猛スピードですり減らしてゆくのを身近にいても止められなかった。
彼も他のカリスマスターのように'70年代に燃え尽き、'80年代まで乗り越えられなかったジャンキーだったのだろうか?
彼らと同じくジョンも死によってなお伝説として生き続けている。
「ジョン・ベルーシを書くことは、アメリカを描くようなものだ」
今作はドラッグをリアルに生々しく描いた作品でもある。
白い粉で自らの身体を滅ぼしてゆく人間が今でもなんと多いことか!
行く手に死しかない彼らを救う手立てはないのだろうか?
■『アメリカの友人』(1976)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ ほか
何も怖いものはない。恐怖以外は。分からない。自分が誰なのか。他人は誰なのか。
先のないドイツ職人とアメリカ人。出会いは悪かったが互いに交わすなんてことない
カラクリのおもちゃの贈り物だけでうちとけてしまう微妙なやりとり。
ロードムーヴィーを撮り続けるヴェンダースは、異国で人と人が触れ合う設定が好きらしい。
なぜトムがドイツ男にそれほど友情を感じ、求めるのかはよく分からない。
何を考えているかが読めなくて、孤独の中にも張り詰めた緊張感があるホッパー自身のキャラクターと
おっとりとした平穏な静けさをもつガンツ自身のキャクターが大いに生きている。
政治家、画商、マフィア、ロックミュージシャンと知り合いは多いが年中旅生活で孤独なトムが
テープレコーダーに向かっていう上記のセリフのリフレインもホッパーだからこそ意味深い。
また音楽、特にロックにはうるさいヴェンダース作品は、ちょっとした鼻歌や町に流れている音楽にもとても気を遣っているのが分かる。
全体的に暗い色調だが、たとえばマフィアを待ち伏せして、トムが男にさしいれを持っていったのをひっくり返してしまい
「短い命がまた縮んじゃったよ」なんていうギリギリのジョークは可笑しい。
■『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994)
監督:奥脇雅晴
毎年恒例となった金曜ロードショーが企画・放送する夏休みスペシャル。
その年に話題や関心の的となった事柄を取り入れたハイテンポな迫力ある映像が売り。
モンキー・パンチの原作とはかなりイメージや全体の雰囲気も違うけど、
今の時代を彼らも一緒に生きているリアルさがある。
世界を股にかけたルパン一味の活躍にタイタニック号のロマンが加わっただけで興味深い。
この間、書店で原作も見つけた。原作は大人向けのマンガでダンディズムの匂いがプンプン、
哀愁さえ漂っているけど、TV版では子ども向け、ユーモアのセンスがポイント。
なんといっても'70年代からのシリーズと声優が変わっていないのが嬉しい。
■『RAMPO』(1994)(劇場にて
監督:奥山和由 出演:本木雅弘、竹中直人、羽田美智子 ほか
映画誕生して100年、松竹が活動して100年、そして江戸川乱歩の生誕100年と、
3つのめでたい100年が重なったという今年(←記憶間違ってないかな?
2年半もかけて製作された久々面白そうな邦画ということで1人で観に行ってきた。
平日午後1時とあって客はパラパラ。友だち同士や子どもだけのお客さんもいたけど、ハッキリいって子どもには勧められない。
というのも確かに乱歩は名探偵・明智小五郎の活躍する少年推理小説で有名、私もそのファンの一人だけど、
これはストーリーよりも映像と構成の奇抜さが目玉。
それから次から次へと様々なジャンルのタレントが出るキャスト。
明智をモックンが演るってゆうのはちょっと抵抗があったけど、
バタ臭い雰囲気、三つ揃いのスーツにパーマが似合いそうな、知的でしかもどこか冷たく妖しい乱歩の世界に合う。
見終わってみればなるほどハマったキャスティングだった。
例の評判の“サブミナル効果”はいかに!?
1カットでも分かりやすく入っていたから、何の映像かなんとなく見えた。
だから潜在的に脳に働きかけ、話を盛り上げたかどうかはあやしい。
最初のアニメーションの不思議な組み合わせといい、後半は特に速いカット割りに鼓動のような効果音、
どこかカフカを思わせるトリップワールドは、かつての生臭い日本映画とはちょっと違っていた。
必要以上に長く、精神的に暴力的なシーンは、女性にとっては見るに耐えないもの。
■『硝子の塔』(1993)
監督:フィリップ・ノイス 出演:シャロン・ストーン、ウィリアム・ボールドウィン ほか
原題“SLIVER”の意味は「細片、裂片」???
覗かれる透明な硝子の部屋の高層マンションってことでは邦題のほうがピッタリきて分かりやすい。
エロティック・サスペンスをここまでメジャーにしたのはストーンの人気かも。
バリバリ働く現代女性の日常生活に潜むありふれた恐怖から近代社会を鋭く暴いてゆく。
原作は映画と違う結末となるとちょっと興味深い。もしかして真犯人が違うとか?
『氷の微笑』同様、真犯人が最後まで分からない。
セリフの中にパール・ジャムが出てきたり、「日本へ出張するんだ」なんてのが入っていかにも現代っぽい。
なんでも起こり得る大都市N.Y.では、隣り同士でも何をしてる人か全然わからないけど、
こんなにカメラだらけで筒抜けの部屋なんてとてもじゃないがいただけない。
今作のキャッチコピーは「見たいですか? それとも見られたいですか?」
■『TINA』(1993)
監督:ブライアン・ギブソン 出演:アンジェラ・バセット ほか
いまやパワーとエネルギーの権化のようなロックシンガー、ティナ・ターナー。今作はとても話題となった。
最近、アイク&ティナ・ターナーバンド時代のパワフルでワイルドな映像を観て、
男顔負けのドスのきいた歌いっぷり、体中からほとばしるリズムとスピード、
パワーのあるダンスからは、とても夫のDVや、幼い頃に母親が家出した深い心の傷跡などはまったく想像できない。
一攫千金のスターになる男の話はよくあるけど、女がここまでのぼってゆく話はなかなかないだけに、
見事に自立して、自分と人生を信じた女性の姿を見るととても羨ましいし、気持ちがいい。
仏教徒で、家庭的、43歳で復活して、いまだダイナマイトなセクシーボディにロック魂を持ち続けているのはビックリ!
「ボウイやミックみたいに歌いたい」彼女はそれ以上の存在となった。
踊り方から歌いっぷりもソックリに体当たりで演じたバセットは一見の価値あり。
サントラもイイ。そして、世界に多いDVに耐える女性の問題を改めて深刻に考えさせられる。
■『オリヴィエ オリヴィエ』(1992)
監督:アグニエシュカ・ホランド 出演:ブリジット・ルアン ほか
あの美しい「秘密の花園」の映像詩を撮った女性監督が、同じ子どもを主題にしてはいるが
今作はあまりに悲しいストーリーをしっとりと描いている。
人がそれぞれ異なるように、その性愛もそれぞれだけど、表の逆には必ず裏がある。
歪んで汚れた現実も確実に存在しているという事実を突きつけられる。
今作は、実話に基づいたフィクションだけれど、今、この瞬間も世界中で大勢の子どもたちが誘拐され、
その多くは暴行を受けたり、殺されたりしている。
でも母親らは決して諦めずに消えた少年少女を探し続けているんだ。
女性監督のきめ細かさで、母子の愛だけでなく、微妙に変化してゆく家族それぞれの愛憎劇も丁寧につづられている。
南仏はたくさんの仏映の背景を飾ってきたが、どこまでも広がるまっさらな青い空、
一面の黄色い小麦畑?は、悲しく美しくはかない素晴らしい舞台となっている。
■『フェリーニのローマ』(1972)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ピーター・ゴンザレス ほか
「全ての道はローマに通ずる」という格言を信じた幼少の頃のフェリーニ。
その彼がローマという長く重い歴史をもつ都市を様々な角度から撮ったドキュメンタリーフィルム。
たくさんの古く美しい建物、そこに住む活気あふれる人々の語らい、次々出される料理と音楽、妖しげなショウetc...
幻想的なライトアップに斬新なスタイルを取り込んだショーはいつもながら突飛で豪華な
フェリーニ映画の芸術が楽しめると同時に大きな皮肉でもある。
貴族の美青年から妖しい魔女のようなイタリア美人、フェリーニ本人も出演したり、
撮影している様子を撮影したり、形やストーリーにこだわらず、昔も今もあらゆる人があふれてごった返し
他人のすることなどお構いなし、血気盛んなローマの人々をありのまま、ファンタスティックな効果も添えて、
たっぷり2時間繰り広げられる。旅行に訪れた気分になる。
■『トゥルー・ロマンス』(1993)
監督:トニー・スコット 出演:クリスチャン・スレイター、パトリシア・アークエット ほか
ピリッとスパイス、どっさりの砂糖、これは現代版『俺たちに明日はない』。
今作にはエルヴィスのサウンドと霊以外にも見どころがある。
1つは定年退職した元警官の父を演じるデニス・ホッパーと、
マフィアの役が十八番になっちゃったクリストファー・ウォーケンの背筋も凍るハマリきった演技。
もう1つは、警察とマフィアの下っ端が鉢合わせしてパニックになるシーン。
今までありそうでなかったマジなシーンだけに可笑しい。
美味しい俳優を惜しみなく使ってる。人気爆発中のスレーターを筆頭に、
ブラピ、ヴァル・キルマー、クリストファー・ペンはびっくりするほど太った!
でも、エルヴィスってそんなにヴァイオレンスでダーティなイメージかなあ?
どっちかというとプレイボーイで甘いイメージなんだけど。
「ディア・ハンターはイイ映画だ」など、監督のフリークさがあらゆるセリフに見えてくる。
映画好きのための映画って感じ。ヴァイオレンスムーヴィの逸品。