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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.8~ part1)

2013-01-25 13:35:24 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はペンギンさんノートからご紹介
今回のノートはほとんど映画感想だった。

  

photo1:『小さな恋のメロディ』の可愛い主演者2人。
photo2:その後の帰省時には、もうすっかり成長していたみーちゃんに関する日記
photo3:親友と新潟の花火大会に泊りがけで行った時の旅行記。

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『白い婚礼』(1989)
監督:ジャン=クロード・ブリソー 出演:ヴァネッサ・パラディ ほか
今やフランスでも大人気というパラディのアイドル映画。
やらわかく真っ直ぐな金髪、細く華奢な首筋、同じく華奢な身体。17歳。
ロリータ趣味でない者でも男にとってはもってこいの設定にして、この主人公。
教師と生徒の禁断の恋愛ものは、ずっと受け継がれるのね。

少女は頼れる父親的存在を求め、救われようとする。
男は自分とともに年老いる妻をよそに少女に性欲を向けるが、
結局は社会的地位、妻への罪悪感で「君はまだ若い」て常套文句で逃げる。
愛の形はいろいろあるから、どれが本物とは決められないけど、
自己愛を埋めてほしい似た者同士が、単に「愛している」と思い込んでいるだけでは?
ラストの画面いっぱいの海岸線のシーンは唯一ホッとさせられるほど美しい。
少女が魔性に見えるのもムリはないけど、男に寄生せざるを得ない不安定な女の立場に根本的原因があることも見逃せない。


『ベルーシ ブルースの消えた夜』(1989)
監督:ラリー・ヒアース 出演:マイケル・チキリス、レイ・シャーキー ほか
1982年、L.A.。『サタデー・ナイト・ライヴ』で一気に名を上げ、ブルース・ブラザースとしてダン・エンウッドと組んでブルースを歌い、
7本の映画に主演したコメディアン、ジョン・ベルーシは、ホテルの部屋でオーバー・ドゥースによって死んだ。
その彼が幽霊になって起き上がり、黒人の天使と一緒に半生を振り返るなんて、なんて粋な脚本なんだろう。
ジョンにすっかりなりきってるマイケルの演技(風貌も声も動作もソックリ)には驚く。

コカイン、LSD、アンフェタミンなどのドラッグのオンパレードに1日3箱の煙草。
トップをキープするために彼自身が選んだ道なら誰も文句は言えまい。
海岸をダンとドライブ中「もしお前が死んだら死因はヤクじゃない、お前が選んだんだ、だから涙はナシだ」
なんて会話もショックだが、死ぬ直前まで彼の伝記を書いたウッドワードと
「どうしてヤクにおぼれたか」の新事実を聞くやりとりをしていたってゆうのも信じがたい話。

アイロニーに満ちたニクソンのコントや、日本人としてはちょっと笑えないサムライのコント等
ベストシーンが織り込まれているのはとても嬉しい。できれば下積み以前のことも見たかった。
いつから彼があれほどワイルドな暮らしをするようになったのか。ノーマルな時は皆から慕われる“イイ奴”なのに。
誰も彼が命を猛スピードですり減らしてゆくのを身近にいても止められなかった。
彼も他のカリスマスターのように'70年代に燃え尽き、'80年代まで乗り越えられなかったジャンキーだったのだろうか?
彼らと同じくジョンも死によってなお伝説として生き続けている。
「ジョン・ベルーシを書くことは、アメリカを描くようなものだ」
今作はドラッグをリアルに生々しく描いた作品でもある。
白い粉で自らの身体を滅ぼしてゆく人間が今でもなんと多いことか!
行く手に死しかない彼らを救う手立てはないのだろうか?


『アメリカの友人』(1976)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ ほか

何も怖いものはない。恐怖以外は。分からない。自分が誰なのか。他人は誰なのか。

先のないドイツ職人とアメリカ人。出会いは悪かったが互いに交わすなんてことない
カラクリのおもちゃの贈り物だけでうちとけてしまう微妙なやりとり。
ロードムーヴィーを撮り続けるヴェンダースは、異国で人と人が触れ合う設定が好きらしい。
なぜトムがドイツ男にそれほど友情を感じ、求めるのかはよく分からない。
何を考えているかが読めなくて、孤独の中にも張り詰めた緊張感があるホッパー自身のキャラクターと
おっとりとした平穏な静けさをもつガンツ自身のキャクターが大いに生きている。

政治家、画商、マフィア、ロックミュージシャンと知り合いは多いが年中旅生活で孤独なトムが
テープレコーダーに向かっていう上記のセリフのリフレインもホッパーだからこそ意味深い。
また音楽、特にロックにはうるさいヴェンダース作品は、ちょっとした鼻歌や町に流れている音楽にもとても気を遣っているのが分かる。
全体的に暗い色調だが、たとえばマフィアを待ち伏せして、トムが男にさしいれを持っていったのをひっくり返してしまい
「短い命がまた縮んじゃったよ」なんていうギリギリのジョークは可笑しい。


『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994)
監督:奥脇雅晴
毎年恒例となった金曜ロードショーが企画・放送する夏休みスペシャル。
その年に話題や関心の的となった事柄を取り入れたハイテンポな迫力ある映像が売り。
モンキー・パンチの原作とはかなりイメージや全体の雰囲気も違うけど、
今の時代を彼らも一緒に生きているリアルさがある。
世界を股にかけたルパン一味の活躍にタイタニック号のロマンが加わっただけで興味深い。
この間、書店で原作も見つけた。原作は大人向けのマンガでダンディズムの匂いがプンプン、
哀愁さえ漂っているけど、TV版では子ども向け、ユーモアのセンスがポイント。
なんといっても'70年代からのシリーズと声優が変わっていないのが嬉しい。


『RAMPO』(1994)(劇場にて
監督:奥山和由 出演:本木雅弘、竹中直人、羽田美智子 ほか
映画誕生して100年、松竹が活動して100年、そして江戸川乱歩の生誕100年と、
3つのめでたい100年が重なったという今年(←記憶間違ってないかな?
2年半もかけて製作された久々面白そうな邦画ということで1人で観に行ってきた。
平日午後1時とあって客はパラパラ。友だち同士や子どもだけのお客さんもいたけど、ハッキリいって子どもには勧められない。

というのも確かに乱歩は名探偵・明智小五郎の活躍する少年推理小説で有名、私もそのファンの一人だけど、
これはストーリーよりも映像と構成の奇抜さが目玉。
それから次から次へと様々なジャンルのタレントが出るキャスト。
明智をモックンが演るってゆうのはちょっと抵抗があったけど、
バタ臭い雰囲気、三つ揃いのスーツにパーマが似合いそうな、知的でしかもどこか冷たく妖しい乱歩の世界に合う。
見終わってみればなるほどハマったキャスティングだった。

例の評判の“サブミナル効果”はいかに!?
1カットでも分かりやすく入っていたから、何の映像かなんとなく見えた。
だから潜在的に脳に働きかけ、話を盛り上げたかどうかはあやしい。
最初のアニメーションの不思議な組み合わせといい、後半は特に速いカット割りに鼓動のような効果音、
どこかカフカを思わせるトリップワールドは、かつての生臭い日本映画とはちょっと違っていた。
必要以上に長く、精神的に暴力的なシーンは、女性にとっては見るに耐えないもの。


『硝子の塔』(1993)
監督:フィリップ・ノイス 出演:シャロン・ストーン、ウィリアム・ボールドウィン ほか
原題“SLIVER”の意味は「細片、裂片」???
覗かれる透明な硝子の部屋の高層マンションってことでは邦題のほうがピッタリきて分かりやすい。
エロティック・サスペンスをここまでメジャーにしたのはストーンの人気かも。
バリバリ働く現代女性の日常生活に潜むありふれた恐怖から近代社会を鋭く暴いてゆく。
原作は映画と違う結末となるとちょっと興味深い。もしかして真犯人が違うとか?

『氷の微笑』同様、真犯人が最後まで分からない。
セリフの中にパール・ジャムが出てきたり、「日本へ出張するんだ」なんてのが入っていかにも現代っぽい。
なんでも起こり得る大都市N.Y.では、隣り同士でも何をしてる人か全然わからないけど、
こんなにカメラだらけで筒抜けの部屋なんてとてもじゃないがいただけない。
今作のキャッチコピーは「見たいですか? それとも見られたいですか?」


『TINA』(1993)
監督:ブライアン・ギブソン 出演:アンジェラ・バセット ほか
いまやパワーとエネルギーの権化のようなロックシンガー、ティナ・ターナー。今作はとても話題となった。
最近、アイク&ティナ・ターナーバンド時代のパワフルでワイルドな映像を観て、
男顔負けのドスのきいた歌いっぷり、体中からほとばしるリズムとスピード、
パワーのあるダンスからは、とても夫のDVや、幼い頃に母親が家出した深い心の傷跡などはまったく想像できない。
一攫千金のスターになる男の話はよくあるけど、女がここまでのぼってゆく話はなかなかないだけに、
見事に自立して、自分と人生を信じた女性の姿を見るととても羨ましいし、気持ちがいい。
仏教徒で、家庭的、43歳で復活して、いまだダイナマイトなセクシーボディにロック魂を持ち続けているのはビックリ!
「ボウイやミックみたいに歌いたい」彼女はそれ以上の存在となった。
踊り方から歌いっぷりもソックリに体当たりで演じたバセットは一見の価値あり。
サントラもイイ。そして、世界に多いDVに耐える女性の問題を改めて深刻に考えさせられる。


『オリヴィエ オリヴィエ』(1992)
監督:アグニエシュカ・ホランド 出演:ブリジット・ルアン ほか
あの美しい「秘密の花園」の映像詩を撮った女性監督が、同じ子どもを主題にしてはいるが
今作はあまりに悲しいストーリーをしっとりと描いている。
人がそれぞれ異なるように、その性愛もそれぞれだけど、表の逆には必ず裏がある。
歪んで汚れた現実も確実に存在しているという事実を突きつけられる。

今作は、実話に基づいたフィクションだけれど、今、この瞬間も世界中で大勢の子どもたちが誘拐され、
その多くは暴行を受けたり、殺されたりしている。
でも母親らは決して諦めずに消えた少年少女を探し続けているんだ。
女性監督のきめ細かさで、母子の愛だけでなく、微妙に変化してゆく家族それぞれの愛憎劇も丁寧につづられている。
南仏はたくさんの仏映の背景を飾ってきたが、どこまでも広がるまっさらな青い空、
一面の黄色い小麦畑?は、悲しく美しくはかない素晴らしい舞台となっている。


『フェリーニのローマ』(1972)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ピーター・ゴンザレス ほか
「全ての道はローマに通ずる」という格言を信じた幼少の頃のフェリーニ。
その彼がローマという長く重い歴史をもつ都市を様々な角度から撮ったドキュメンタリーフィルム。
たくさんの古く美しい建物、そこに住む活気あふれる人々の語らい、次々出される料理と音楽、妖しげなショウetc...
幻想的なライトアップに斬新なスタイルを取り込んだショーはいつもながら突飛で豪華な
フェリーニ映画の芸術が楽しめると同時に大きな皮肉でもある。
貴族の美青年から妖しい魔女のようなイタリア美人、フェリーニ本人も出演したり、
撮影している様子を撮影したり、形やストーリーにこだわらず、昔も今もあらゆる人があふれてごった返し
他人のすることなどお構いなし、血気盛んなローマの人々をありのまま、ファンタスティックな効果も添えて、
たっぷり2時間繰り広げられる。旅行に訪れた気分になる。


『トゥルー・ロマンス』(1993)
監督:トニー・スコット 出演:クリスチャン・スレイター、パトリシア・アークエット ほか
ピリッとスパイス、どっさりの砂糖、これは現代版『俺たちに明日はない』。
今作にはエルヴィスのサウンドと霊以外にも見どころがある。
1つは定年退職した元警官の父を演じるデニス・ホッパーと、
マフィアの役が十八番になっちゃったクリストファー・ウォーケンの背筋も凍るハマリきった演技。
もう1つは、警察とマフィアの下っ端が鉢合わせしてパニックになるシーン。
今までありそうでなかったマジなシーンだけに可笑しい。

美味しい俳優を惜しみなく使ってる。人気爆発中のスレーターを筆頭に、
ブラピ、ヴァル・キルマー、クリストファー・ペンはびっくりするほど太った!
でも、エルヴィスってそんなにヴァイオレンスでダーティなイメージかなあ?
どっちかというとプレイボーイで甘いイメージなんだけど。
「ディア・ハンターはイイ映画だ」など、監督のフリークさがあらゆるセリフに見えてくる。
映画好きのための映画って感じ。ヴァイオレンスムーヴィの逸品。

コメント

notes and movies(1994.8~ part2)

2013-01-25 13:35:23 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『アダムス・ファミリー2』(1993)
監督:バリー・ソネンフェルド 出演:ラウル・ジュリア、アンジェリカ・ヒューストン ほか
ここまで不吉で不気味で暗く美しい映像に凝りまくり、価値観を逆転させて、
この世の中を鋭く鮮やかに皮肉った痛快にしてアートなブラックコメディはない。
細かい芸の数々は見過ごすには惜しいほど。
特に気に入ったのは予告でもそのノリの良さを象徴する音楽と、
フェスターのウェディングカーについてた缶と死体の組み合わせがサイコー。
この映画の魅力はとてもこのスペースじゃ書ききれない。


『地獄のシスター』(1987)
監督:ビル・コンドン 出演:エリック・ストルツ、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか
『ルームメイト』でメジャーにも顔を出すようになったリー。
他にもたくさん小品に出ているらしく掘り起こせばいろいろありそうだけど、
ベビーフェイス、ちょっと秘密めいた繊細なキャラクターと、確かな演技力はもっと評価されるべき。

同じく登り調子のストルツ。最初は姉の異常愛によるドロドロものかと思いきや、
『サイコ』風ならずちょっと意表をつかれたけど、単なる甘いマスクの男に終わらないのは正解。
タキシード姿で鏡から飛び出す幻想シーンなんてちゃんとサイコホラーのツボを分かっている。
現代的な美青年で、これからも期待大の若手演技派。この2人の顔合わせだけでも興味深い。
一番良かったのは、犬のベンの見事な演技力!


『エクソシスト3』(1990)
監督:ウィリアム・ピーター・ブラッティ 出演:ジョージ・C・スコット ほか
夏といえばオカルト。'70年代オカルト映画の人気に火をつけた『オーメン』、『サスペリア』と並ぶ本家本元。
次第にレベルが下がる続編ものでも、1作目と同スタッフとあって、惨殺シーンやその他エグイシーンはなし、
悪魔つきもの本来の不気味な四次元的力、因縁による復讐劇等、オーソドックスなホラーに徹している。
『博士の異常な愛情』で怪演したスコットが老警部役を重く演じる。

日本人には悪魔信仰に今一つ真実味が感じられないが、現代にも悪魔の存在を信じる人が多いのだろう。
神が人の形なら、悪魔も人に化けている。結局、神話や伝説、宗教も悪魔も、人の心に深くしみついた産物だと思う。
今作でも人を殺すのは、やはり人の仕業であり、人ほど恐ろしく残虐になり得るものは他にいないということだ。
昔は魔女や吸血鬼、その他もろもろ無実の罪で、人によって想像を絶する方法で大勢殺されたのはまぎれもない事実。
もし魂が不滅なら復讐に値する迷える魂はきっと無数に存在することだろう。


『グラン・ブルー』(1988)
監督:リュック・ベッソン 出演:ジャン・マルク・バール、ロザンナ・アークエット ほか


深くおおきい青のなかに何があった?

これが仏映だってことを忘れていた。
潜水の深さとタイムを競う世界的大会があることなんて知らなかったが、これは単にそれだけの映画じゃない。
仏映は常に男と女、生と死、人生を描き続けているんだ。
ジャックは海底の暗黒の世界に父と親友を飲み込んで返さなかった自然の巨大な力、死を見ていた。
しかし、海は女性の如く新たな命を産み育む存在でもあるんだ。
潜水がここでは人間という生命体そのものへの挑戦、自然の逆らえない力への挑戦、
そして太古から行われてきた超越の儀式にもなっている。

でも、どうして女はいつもあてもなく恋人を待っていなくちゃならないのかしら?
「海に潜ると上にあがってゆく理由が見つからない」
女性の愛は死を引きとめる力を持たないのかしら?
でも“男のロマン”には必ず、それを見つめる他者の眼が必要なんだ。
今作も男の友情物語で終わっていたら、これほど感動的なドラマにならなかったはず。

今作の見どころのもう一つは、やはり海の美しい映像とともに、まるで俳優と友だちか同類みたく
映画に参加しているイルカたちとのシーンの数々。そのどこまでもピュアな存在。
ジャック役のジャンは、鍛えられた身体にピュアな美しさを持っている。
潜るまでのスローモーションシーンは現実離れしていて、エンゾの言う通り、魚類に近い

深海に落ちてゆく、その先に果たして行き着く底はあるのか?
漆黒の世界で出会った、生命と歓びそのものの象徴のイルカとたわむれるジャック。
私はラストシーンの続きは、きっと彼は戻ってくるという気がしてならなかった。


『ジャック・サマースビー』(1993)
監督:ジョン・アミエル 出演:リチャード・ギア、ジョディ・フォスター ほか
実話だとしても複雑な話。自分の命を捧げるほどの代償は何だったか?
それは、アメリカ映画が撮り続けている“帰るべき家と家族”だ。
最近話題の「帰宅恐怖症」のおじさんたちに観せてあげたい。
帰っても居場所がないのは、それなりの家族への振る舞いをしていたからでは?と疑ってみたらよさそう。

ジョディが出ている映画ならとにかく観るべき。
若い時から全然変わってないギアの都会的なプレイボーイな甘さと対照的に、
中世の面倒臭い衣装もピッタリハマって髪の毛1本まで南部女になりきっている彼女の一挙手一投足は見逃せない。
ギア自身が製作に関わったせいか(?)妙にセクシャルなシーンやセリフが多い(完璧ボディの奥さんがいるのに?
私が好きな法定ミステリーでもあり、当時の開拓者のくだりもあり、黒人問題などは
『風と共に去りぬ』でも描かれたが、白いシーツをかぶった集団など、現代の黒人から観たらどう思うだろうか?


『アトランティス』(1992)
監督:リュック・ベッソン ほか


「日常の雑踏から脱して潜ろう。深く、もっと深く・・・」

地球に存在するもうひとつの世界。そこには、空気の代わりに何もかも一つに溶けこませる水がある
『グラン・ブルー』を撮った監督だけに、今までテレビの企画では数多いが、
1本の映画、それも徹底して水面下のみ、どんなに浅瀬の波打ち際でも、ラストの1カット以外はすべて水の中、
そして人間はひとりも出演しない、これほど美しく海とそこにすむ生物を撮った映画はない。
海底に没したという大西洋の伝説の楽園アトランティスはここに存在している。

(内容とそれに関する感想も詳しく書かれていたが省略した


『ホット・ショット2』(1993)
監督:ジム・エイブラハムズ 出演:チャーリー・シーン ほか
湾岸戦争をいち早く取り上げて、フ○インのそっくりさんを使っての政治風刺などでとことん笑わせる。
前作と同じキャストなのはファンには嬉しい。そこに『ツイン・ピークス』の男優も混ざってすっかり溶け込んでいる。
なんといっても本作を支えているのはチャーリーの真面目くさったコメディ演技。
硬派の彼に演らせればなんでも笑える。ギャグが隅々まで盛り込まれていて目が離せないのがこのシリーズ。
ハリウッド映画のパロディがどこまで見抜けるかがポイント。
ノーパンで脚を高々とあげる『氷の微笑』のパロや、戦争アクションをもろにバカにした『ランボー』のパロ、
『地獄の黙示録』のパロではマーティン・シーンとの親子共演なんてのまでありサービス満点。
カンフーまで飛び出すこのシリーズはまだ続けるつもりかしら?


『冬の嵐』(1988)
監督:アーサー・ペン 出演:メアリー・スティーンバージェン ほか
残暑続きの夜に観るにはちょうど涼しい雪に覆われた館で起こるコワーイミステリー
スリルたっぷりのサイコホラーで、どうにももどかしさでイライラさせられるシーンの連続。
絶体絶命の監禁状態にされる前に助かるチャンスはいくらでもあったのに。
雪の壁で逃亡が困難なのは『シャイニング』で使われた通りだし、
電話線が切られてたりしたら当然怪しむべきなのに、「あなたが犯人ですか?」と聞いて
「はい、そうです」っていう犯人など存在しない。証拠品の1つでもとってサッさと逃げりゃいいのに・・・
とはいえ、恐怖の中では冷静な判断力は発揮できないのかも。観客を怖がらせる効果でもあるしね。


『引き裂かれたカーテン』(1966)
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース ほか
さすがヒッチコック。豪華な顔合わせで主演の2人の実力が充分堪能できる、
観どころたっぷり2時間満足なスパイ・サスペンス。
時代を感じさせない展開の早さ、面白さ、そしてお決まりの監督登場シーンも要チェック!
それぞれのシーンで心憎いほど細かい演出があって見応えある作品にしている。
日本人としてはちょっと理解しがたいがめでたいエンディングは娯楽として楽しませてくれるヒッチコックならでは。
一つ残念といえばジュリー扮するセーラもこのスパイ劇に参加してほしかったのに、単なる逃亡や計画のお荷物にとどまっていること。
助手としても教授に信用されない、映画中の華的役割しか与えられていないのがちょっとひっかかる。


『ピアノ・レッスン』(1993)
 
監督:ジェーン・カンピオン 出演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル ほか
1年に1本出逢えるか出逢えないかの名作をどうこう評価するのは難しい
舞台は厳しい自然。野蛮で粗野な開拓前の容赦ない自然と共に生きていた時代の女傑伝説とでもいおうか。
確かに周囲に翻弄される忍耐強い女性という従来の典型的ヒロインではあるけれど、
聾唖というハンデキャップが、かえって自我を押し通す意志の力となっているエイダには
同性として共感する部分もあり、複雑な思いを抱かせる部分もある。
ハンターはまさに適役。小柄な身体にまとった喪服のような黒い衣装、黒い髪、青白い病的な透き通った肌、
その華奢さからくるセクシャルさ、男の支配欲をかきたてる頑固さ。
中国でその昔、少女を未成熟に抑えこむ風習が好まれた話を思い起こさせる。

対照的に働く男たちの胸の厚み、カイテルのヌードは女性より美しくハっとさせられるのは女性監督ならではの1シーン。
近頃過激になる一方のラブシーンより静的で、強烈な精神の愛は、観客の官能を震わせる。
母の口の代わりとなり、愛情を独り占めしようとする娘はいじらしく、その子役が高く評価されたのもうなづける。
1シーン、1カットすべてに流れるピアノの音のように静かな詩、美、芸術。

(穴のあいた靴から覗く真っ白い足のシーンがあったよね?

コメント

notes and movies(1994.8~ part3)

2013-01-25 13:35:22 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『小さな恋のメロディ』(1971)
監督:ワリス・フセイン 出演:マーク・レスター、トレイシー・ハイド ほか
日本で大ヒットし、主演の2人もアイドルになった今作に初めて触れたけれど、
様々なジャンルがある中、これは純粋なスクールもの。
'70年代という自由や解放を求める時代の雰囲気がにじみ出ている。
難しい解釈なしに、10代始めの男の子と女の子、微妙な心の動き、
あふれんばかりのエネルギーと無邪気さをそのままフィルムにおさめただけでも価値がある。
マークとハイドは、どちらもヒットはこの1本のみ。
2人のどこまでもピュアで嘘のないまっさらな愛らしさが永遠に人々の心に語り継がれてゆく。

英国も日本に負けないくらい教育熱心な国のようだが、「本当の教育とは何か?」という大きな問いも重要なテーマ。
子どもをルールで押さえつける退屈で理不尽な教師、体罰、体面をとりつくろい、話をろくに聞きもしない親。
「どうして幸福になっちゃいけないの?私たち一緒にいたいだけなのに」
道理、道徳はすべて大人たちが都合のいいように作りあげたものばかり。
それに従って生きていく子どもたちは、同じようなつまらない大人になってゆく。
♪TO LOVE SOMEBODY などやわらかくロマンティックなビー・ジーズの音楽もピッタリ


『ラストムービー』(1971)
監督・出演:デニス・ホッパー 出演:ピーター・フォンダ、ジュリー・アダムス ほか
音楽:クリス・クリストファーソンほか
こうゆう訳の分からなさの中にもストーリーがあって、詩と映像があるフェリーニ風どんちゃん騒ぎの映画も嫌いじゃない。
『イージーライダー』の後、ホッパーが原案を出して実際ペルーに行って撮ったけど、
ハリウッドでは受け入れられなかったっていう裏話にも納得。
タイトル通り、これはアンチハリウッドのホッパーが作り出した、ハリウッド映画自体を批判した作品。

ホッパーが自分のオールヌードの生々しい性描写を披露したり、所々野原の美しい風景があり、
クリスが♪BOBY & MAGGY を歌うシーン、'70年代フォークミュージックを散りばめているあたり、手作りで自由な撮り方は独特。
途中何箇所か"SCENE MISSING"なんて意味不明のテロップも今じゃあまり気にならないけど、
きっと当時は「一体何なんだ?」と感じただろう。
「唯一、俺が犯した過ちは映画だ」
でもいまだに映画稼業から離れないで、いつのまにやら
ハリウッドの大御所の一人になっていたホッパーは、今作をどう振り返るだろう。
はかない夢を追い続け遠くはなれた荒野に「よそ者」として暮らすアメリカ男。
異国を愛しながらそこになじめず、恋人を愛しながら必要以外の時は殴ったり、罵倒したり
暴力とセックスのニューシネマだけど、どうしてか嫌いにはなれない。


『三文オペラ』(1989)
監督:メナハム・ゴーラン 出演:ラウル・ジュリア、リチャード・ハリス、ロジャー・ダルトリー ほか
題名は聞くけど観る機会のなかった今作。映画化も3度目。
ザ・フーのロジャーがロックオペラからオペラ映画に出演し、
歌も演技もすっかり役者になりきっているのは全く予想外/驚
ラウルが今年54歳とはまたビックリ。中世の紳士風、実はレディキラー役にピッタリ。
歌声は別だろうけど、プロの歌手にひけをとらない演技。
しかし、ロンドンにこれほど浮浪者があふれ、警察も汚職にまみれ、貧困で満ちていたのか?
「裕福なら善人にもなれる」これが現実だろうけど、決して歌って笑い飛ばしちゃいられない。
今作は究極の社会風刺で、現代社会にも厳しく訴えるものだ。


『ウィズ』(1978)
監督:シドニー・ルメット 出演:ダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソン ほか
音楽:クインシー・ジョーンズ
たっぷり2時間、名作『オズの魔法使い』のジュディ・ガーランドも忘れるほど
ありそうでなかったオール黒人キャストのミュージカル映画
白人ばかりの映画が当然の中、俳優がすべて黒人なのは珍しいんじゃないかな?

ダイアナとマイケルていうスーパースター2人の共演
ダイアナは歌唱力だけでなく感情たっぷりの演技にダンサーとまじってのアップテンポなステップもあり、
マイケルも今じゃ絶対かかしの演技なんてしないだろう/驚
女性のように透き通った声に、美形の顔立ち、歌はもちろん、難しい独特な動きのある役を見事に演じている。

舞台はN.Y.。地下鉄や暴走族なんかも登場させて、ブラックミュージックによるミュージカルが一番の見どころ。
♪外へ出るのよ、一人じゃなにも始まらない。外の世界は広いわ、助けを求めるの
というドロシーのセリフにハッとした。
ファンタジーとして楽しませると同時に現実世界を描く、そしてアメリカ映画にはいつも
「帰るべき家と家族」というテーマがある。
ロケの1つに遊園地のあるコニーアイランドが出てくるのはいかにもって感じが出ている。


『1941』(1979)
監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ダン・エイクロイド、ジョン・ベルーシ、ナンシー・アレン、ジョン・キャンディ ほか
ハッキリいってスピルバーグにはコメディ映画は向いてないってことに尽きる
真珠湾攻撃後の日本との戦争って設定も、日本人にしてみれば気持ちよく笑えるテーマではないし、
戦争風刺にしても東洋人や黒人差別、偏見のギャグばかり。
唯一スピルバーグらしいのは、セットを気前よく次から次へとぶっ壊して、きっと金がかかっただろう
と思わせることと、『スターウォーズ』並にオーケストラを使ったパンパカパーン!て音楽かな。

ベルーシの起用を宣伝しておいて、マッドな飛行機野郎(相変わらずの信じられないハンテンションのドタバタぶり
の他は大した活躍の場がないし、ダンの頭脳派な笑いをとるシーンも少ない。
金髪美人がやたら出てきて、マッチョで能無しの兵隊にバービー人形みたいに引きずりまわされるのも見ていていい気がしない。
2時間たっぷりあって、途中からすっかり寝てしまった
世界の三船さんは、日本軍司令官役でコメディにも出演してたのね。ディズニー映画『ダンボ』に涙する大佐はイイ。


『イージー・ライダー』(1969)
監督・出演:デニス・ホッパー 出演:ピーター・フォンダ、ジャック・ニコルソン ほか
挿入歌:ステッペン・ウルフ♪Born to be wild、ザ・バーズ♪Born to follow、ザ・バンド♪The Weight、
フラタニティ・オブ・マン♪Don't bother me、ジミヘン♪If 6 was 9、ロジャー・マギン♪It's all right Ma、♪Ballad of Easy Rider ほか
ロックンロール、ドラッグ、セックス、バイオレンス、、、ホッパーが撮ったニューアメリカンシネマの始まり。
まともな死に方をしないだろうと思ってはいたが、こんなショッキングなラストシーンは'60年代の終わりを象徴するかのよう。

「アメリカは自由のためなら人殺しだってする。皆が話す“個人の自由”を説くことと、
 自由であることは全く違う。本物の自由がそこにあると皆恐れるんだ。君の長髪がそれを象徴してるのさ」

キャプテン・アメリカなんて名とは程遠いジャンキー、バイクも虚勢そのものに思える。
ワイルドに生きてワイルドに死ぬことを夢見る彼ら'60年代の落とし子とは?
精神を解放し、偽善を暴き、戦争がくだらないと主張し、現代の様々な選択肢を作り、
わたしたちはそれに甘んじている。彼らが世の中を変え、動かしたと言うこともできる。
今じゃすっかり落ち着いたホッパー?も、この頃は世界を変えてやろうとする若いヒッピーだったのかと思うと不思議な気がする。
彼らの中にはとうに早死にした奴もいれば、安定して、今の現代っ子に
「一体何を考えてるんだ」と首をかしげる者もいるんだろう。


『ヘアー』(1979)
監督:ミロス・フォアマン 出演:ジョン・サベージ、トリート・ウィリアムズ ほか
第1級ロック・ミュージカル。ベトナム戦争に行き詰まったアメリカで若者たちは動き始めた。
グルーヴィーなロック、ドラッグ、ラヴ&ピース、そしてタイトル通り長い髪を伸ばして
戦争や上流階級の地位を守るためのあらゆる体制に反対するために。
'80年代の到来を思わせるクリアで洗練された映像で見事に'60年代をよみがえらせ
♪アクエリアス はじめブラックミュージックを使って、これまでのハリウッドミュージカルとは
まったく違った自然でセンスあふれる作品に仕上がっている。

個人主義のアメリカ人がこれほど男女わきあいあいと調和のとれたハーモニーが響く
博愛主義者の集団ばかりとは信じられないくらい、白人も黒人も、男も女も、
クラスレス、平等でただ自由に愛し合うだけならとても美しいのに
軍の訓練場に反戦のロックが流れて、ギターのうなる音に背筋がゾクっとする。

サベージは『ディア・ハンター』で大成功した直後の作品で、信じられないくらいキュートでセクスィ
バーガー役のトリート!?も完璧キュート、アガシ風にワイルドでセクシー。
ビーズに羽飾りのヒッピースタイルでの独創的なダンス、センスのイイユーモアもあり、
ロマンスあり、10代の妊娠あり・・・まさに一流品。


『ネットワーク』(1976)
監督:シドニー・ルメット 出演:フェイ・ダナウェイ、ピーター・フィンチ ほか


「これは視聴率が悪くて殺された最初の男でした」・・・言葉も出ない。

「私たちは怒っている。もう耐えられない!」という叫びが町中に響き渡るシーンは圧巻。
日常生活にテレビがすっかり溶け込んでいるテレビ世代としては、今作は本当に複雑な心境。
殺人、誘拐、事故、火事、スキャンダル・・・毎日毎日見たくもないのに流れる悲惨なニュース。
ウンザリしきっているはずなのに、そこに永遠の真実など存在しないと分かっているのに、
食べものから衣服、言葉から思想までまさにテレビの言う通り。
「間・非個人の集団」そう、まさにそれだ。

テレビのような速いテンポで痛烈にアメリカの実体、テレビ業界の実体を暴く痛快さの反面、
ハワードの言う一言一句はそのまま私たちの現実生活を批判してもいるんだ。
ダイアナは「テレビの化身」、心も情もない魔女的に描かれている。
従来なら“仕事一本の男に、泣いて待つ女”というパターンが、'70年代の女性解放運動とともに逆転して、
そのバリバリなキャリア・ウーマンぶりは見ていてとても気持ちがいいが、マックスは彼女に惹かれながら
「君は狂人だ」という。ボーヴォワールなら一体何というだろうか?
こんなストレス過剰な日々じゃ、テレビ業界人は長生きできないんじゃないの?!


『白昼の幻想』(1967)
監督:ロジャー・コーマン 出演:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、スーザン・ストラスバーグ ほか
「現代、問題になっている麻薬をとりあげたショッキングな映画です」
これはドラッグが、問題というより、むしろ素晴らしいという讃歌だ。
初めてLSDを試した時のヘヴィトリップを延々と描いた作品。
後にアメリカン・ニュー・シネマ・ムーブメントを起こすピーターとホッパーが共演。
B級映画の王様コーマンの名のもとに、あらゆる幻想的なカメラワークを駆使して、
まるで観客も一緒にstonedしている気分に誘う。主には金髪美女とのセックスだけど。
女性がトリップしたら男性のイメージを見るだろうか? 全然別のもののような気がする。

「何か欠けているんだ」「皆そうよ」「現実じゃ物足りないのね」

日本でも10代の普通の学生がスピードやコカインにまで手を出している時代が来ている。
退屈で、いつも失望させられる現実から抜け出して“自己発見のため”に脳内に潜り込む。
そこはLOVE & PEACE、宇宙と美とのコンタクトの世界。その先は・・・?!
人間とは似ても似つかない二度と現実と意識に戻れないデッドエンド。
イメージの中にはあのウッドストックのシーンもある。
ロック、セックス、ドラッグざんまいだった'70年の象徴ウッドストック。
テレビからは生臭いベトナム戦争のニュースが流れていた。
平和なぬるま湯につかって、ゆっくりと精神が歪んでいきつつある現代、
自分の本来の姿、一番恐れている恐怖、脳を解放するのも一興のごとく思えてくる。
酒、煙草、とにかくヒトにはなぜか時々毒が欲しくなるときがあるのだから。


『SOMETHING WILD』(1988)
監督:ジョナサン・デミ 出演:ジェフ・ダニエルズ、メラニー・グリフィス、レイ・リオッタ ほか
モンド(風変わりな)・ムーヴィー
ロマンスあり、アクションあり、でもノリのいいコメディなのがイイ。
ジミヘンの♪ワイルド・シング のレゲエ調、テーマ曲もサイコー。
ジェフのいかにも普通なヤンキーぶりは笑えるし、リオッタが初映画出演にして見事な存在感。
メラニーはエキゾチックな黒髪のボブスタイル、ベビー・ボイス、型破りなまさにワイルド・ガール。

「死んだライオンより、生きた犬さ」

ハチャメチャな女の子に人生までハチャメチャにされちゃった不運な男。
でも、毎日腐りそうに退屈な世帯持ちには、いつかこんな女の子が現れて、
生活を変えてくれないかとちょっと願っているってのが今作のメッセージでは?

コメント

notes and movies(1994.8~ part4)

2013-01-25 13:35:21 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ハメット』(1983)
製作:フランシス・フォード・コッポラ 監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:フレデリック・フォレスト、ピーター・ボイル ほか
終始、完璧ハード・ボイルドの世界。酒、煙草、舞台は主に夜、酒場、埠頭・・・不健康な要素たっぷり。
チャイナタウンでのハード・ボイルドは'74年にロマン・ポランスキーが『チャイナタウン』で撮った。
三つ揃いのスーツにそろいの帽子、革靴ってゆうダンディズム。必ず男を貶める悪女が現れる。
隠れんぼをして遊ぶ子ども、居場所を教えるなと目くばせを交わすシーンはとてもイイ。
ヴェンダースよりコッポラ色のほうが濃い。


『カウボーイ・コップ』(1991)
監督:マーク・ティンカー 出演:デニス・フランツ ほか
『ヒル・ストリート・ブルース』のフランツが主演の一人とあってチェックしただけ。
N.Y.の新人騎馬警官のドタバタ騒ぎを描いたなんてことない娯楽作。
この監督は低予算で一体何がいいたくてこれを撮ったのか?
権威の象徴の騎馬警官らを馬鹿にするためか、N.Y.もまんざら悪くない所だと思わせたいのか?
H.S.B.ではワルもビビらす鬼警官役のデニスは、すっかり警官役のイメージが定着してしまった。
H.S.B.のほうがずっとキマってるんだけど。


『雨のなかの女』(1969)
監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演:シャーリー・ナイト、ジェイムズ・カーン、ロバート・デュバル ほか


「雨でできている人たちがいるんだ。泣くと溶けて消えてしまう」
「会ったことは?」「ある。一度だけ」

どうしようもないくらい暗く悲しいけど、ストーリーがイイ作品。
カーンのなんともいえない役所には心が痛む。
それぞれ自分では手に負えない問題を抱える人たち。
私たちは純粋さ、素直さ、真実を追いかけながら、実際目の前にそれがあると
そのストレートさにどうしていいのか分からなくなるのかもしれない。
レイン・ピープルとは一体どんな人たちなのだろう?
深い傷と悲しみの中にも美しく透明な詩情があふれている。まるでそぼふる雨みたいに。

「女は美しく、男はカッコいい。でも見た目は普通の人と同じだ。だけど雨で作られているんだ」


『SILENT MOVIE』(1976)

監督・出演:メル・ブルックス 出演:マーティー・フェルドマン、ドム・デイルズ、バート・レイノルズ、ジェイムズ・カーン、
アン・バンクロフト、ライザ・ミネリ、ポール・ニューマン、マルセル・マルソー ほか
当たり外れ、浮き沈みの激しいコメディ映画業界に君臨するメル・ブルックスのナンセンス・ドタバタコメディ映画
変わらぬ人気の秘密は監督自ら笑かしてくれること、老若男女、誰にでも一目で分かる笑いのメジャー性にある。
無声映画が絶滅して長いハリウッドに、メジャー中のメジャーな大スターを選りすぐり、
サイレントのナンセンス・コメディーを撮れるのは、彼以外に誰がいるだろうか?

サイレントの特性を生かして、皮肉ともとれるけど、ブルックスの芸達者ぶり、
分かりすぎるほど分かりやすいストーリーと設定、笑いの数々、
ハリウッド映画のパロディを撮り続ける異端児、彼みたいな人がいたほうが断然楽しい


『TOUGH GUYS DON'T DANCE』(1987)
監督:ノーマン・マイラーズ 出演:ライアン・オニール、イザベラ・ロッセリーニ ほか
心底腐りきった金持ち連中によるコカインと200万ドルの大金を巡っての愛憎劇。
気のいい好青年のイメージのオニールが、終始目にクマのある冴えない男役。
「金髪女は皆、魔女だ」てゆうハリウッド映画にピッタリな悪女もの。
あんまり登場人物が多くて混乱してくる。
出る人出る人、皆歯をくいしばるように喋るオーバーアクティングで、私たちは極悪人ですって連中ばかり。
なんか変だけど、海沿いの別荘に住むヒマな上流階級の中には、こんな風に腐りきっている人がいるのかも。
200万ドルで買った豪華な邸宅もいかにも空虚に見えた。


『ヤング・フランケンシュタイン』(1974)
 
監督:メル・ブルックス 出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、マーティ・フェルドマン ほか
恐怖映画の古典的作品をモノクロで、お定まりの設定も踏まえて思い切りパロったのが今作。
メッシュが入った超ビッグなパーマの博士の婚約者は、まぎれもない『フランケンシュタインの花嫁』のパロ。
フランケンは図体もデカいが精力も絶倫て設定も笑える。

コメディとはいえ、その姿から人々に恐れられ嫌われる人造人間フランケンは、
やっぱりどこか哀愁に満ちていて、その純粋さゆえに憎みがたいキャラクター。
博士に仕込まれたタップダンスまで披露しちゃうなんて愛らしいモンスターじゃないか。
せむし男マーティの怪演は不気味でイイ。背中のコブがいつのまにか逆側に移動しちゃってるギャグはサイコー!爆
コメディだけど、人の愛を訴えかける原作の格調高いクラシックな雰囲気をそのまま残していて
ブルックスは心底映画を愛しているんだろう

(メル・ブルックス大好き!


『大地震』(1974)

監督:マーク・ロブソン 出演:チャールストン・ヘストン、エバ・ガードナー、ジョージ・ケネディ ほか
'70年代パニック映画ブームの1つ、ロスで起きたマグニチュード7の大地震によるパニックを描いた超大作。
パニック映画のお定まりは、最初の1時間ほどは、これから起ころうとする災害のことなど露知らずの人々の日常シーン、
そして後半の1時間は、ひたすら大混乱と必死に生き延びようとする人々の助け合い、エゴのぶつかり合いのサバイバルシーン

東京湾近郊は、かつての関東大震災が再び起こるという不安を抱えている。
問題は、今作でもあるように「地震観測所は何のためにあるのか?」せっかく予測しても1~2日前。
それも、市民のパニックによる事故を予想するとうっかり報せることも出来ない。
これは自然と文明社会との対決でもある。高層ビルその他都市中心部の被害を見れば分かる
「いい街だったのに」というだけでは済まされない。

恐怖とともに、混乱の中で起きるもろもろのトラブルやパニックを防げたかもしれない要因、警告を
教訓としてもっと観客に訴えるシーンがあるべきじゃないかな?
自然災害を止める手立てはないにせよ、被害を最小限にして一人でも多く生き残れる方法はあるはずだから。
映画としての娯楽性を出すのも難しい。他の『ポセイドン・アドベンチャー』等と比べると少々弱い。
それにしても女性は、パニックの中でもレイプの危険にまで怯えなくちゃならないなんて、なんとも形容しがたい気持ち。


『エル・トポ』(1967)

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 出演:アレクサンドロ・ジェドロウスキー、ロバート・ジョン ほか
GUNS GUNS GUNS
銃さえあればどんなに気が弱い奴でも一発バン!とやれば人が殺せる、なんでも思いのまま。
今作の芸術性など問題じゃない。世界中で大量虐殺、戦争、殺人をしている連中全員に見せてやりたい。
これだけしつこく見せなきゃ話の分からない野蛮人が多いから。
「フェリーニが西部劇を撮ったらこうなるだろう」て 彼は絶対こんな暴力映画は撮らないよ。

「モグラは太陽を求めて土を掘る。そしてやっと地上に出、太陽を見た時全盲になるんだ・・・」

これだけ殺人と暴力が絶えない狂った世界で「生きる理由」って一体何だろう?


『マインド・スナッチャー 狂気の人体実験』(1972)
監督:バーナード・ジラード 出演:クリストファー・ウォーケン、ジョス・アクランド ほか

「1954年。カナダ人学者が脳の中に快感と痛みをつかさどる箇所を発見。
 それ以来、世界中の病院や研究所でウサギ、サル、そして人間の脳に電線がとりつけられた」

ストーリーは重いけど、ウォーケンの無名時代のマイナー作品に出会えるのはなんという奇跡。
若いのなんの!この当時から狂気が静かに漂う雰囲気と演技力は説得力がある。
最近はもっぱら悪の権化、マフィアや銃のイメージだけど、この路線のほうがイイのになあ。
彼の存在感と、とらえがたく透明な妖しい美しさは、博士だろうが軍人だろうが吸い込まれるだろう。

実話に基づいているとは驚いた。医学や軍の研究では動物実験によって大量の命がむごい状況で殺されている。
「君は孤独で不幸だ」「誰でもそうだ。しかしそれも自分の一部だ。
 自分の息子にも実験して幸せにしてやったらよかったのさ」
「実験の失敗が外に漏れたら、現代医学の狂気の沙汰と大騒ぎになるだろう」
まったくその通り。実験するならまずそれを命令した連中から先に試してみればいい。
次々と出る新薬の効果は確かに大きい。
でもその影にある膨大な動物や人命の犠牲はとても正視できない問題だ。


『クレオパトラ』(1963)
 
監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ 出演:エリザベス・テイラー、リチャード・バートン ほか
かつてのハリウッド・スペクタクル超大作の1つ。
エジプトの神秘を代表する絶世の美女の半生、その美貌と野心、そして誰より母国を愛し守ろうとした
彼女の姿をいくらか神話的、ドラマティックに描いている。
どことなくイメージが重なり合う大女優ベスが演じ、そしてバートンとの不倫からの結婚等で話題になったらしい。
高額なギャラは実にバートンの40倍!
何万人というエキストラを使って、活気に満ちた人々の様子を再現し、
これが紀元前40年も昔の話とは信じがたいほど。戦争の武器は石や火など基本的なものだったけど。

所々場面の切り替えが早くて追いつけないところもあったけど、とにかくロマンティック。
身も心も燃えつくすような愛とは!?
「苦しいのだ、私を自由にしてくれ。夜は私の元に来てくれるか?そうすればこの闇も安らかなものとなろう」
「愛に仕えてはならない」
さすがに実際愛し合ってた共演とあって説得力がある。
でも、スフィンクスと同じくらい美しく神秘に包まれたクレオパトラという女性は一体どんな人だったのだろうか?

コメント

notes and movies(1994.8~ part5)

2013-01-25 13:35:20 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづきで、ペンギンノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『インディア・ソング』(1974)
原作・監督:マルグリット・デュラス 出演:デルフィーヌ・セイリグ ほか
話題になったあの『ラ・マン』の映画とあって期待したが
詩的な映像、女性2人のナレーションともいえぬ会話か思い出話をしているような
セリフはなく、変わった手法がたっぷり2時間、これを映画館で観客に観せるのは大胆。
一応なにかの賞をもらって芸術的評価は高いらしい。

「困難でもないし、楽でもない。なにもない、インドには」
「なにもできないということですか」
「そう、でもそれを言ってしまえば実もフタもない」
'70年代のインドの自然風景は美しい。動く風景写真といった感じ。
歴史的なことが分からないのが残念。東洋的な物腰の女性の美しい歌声が耳に残る。
「花の匂いがする」「それは疫病です」「彼らは突然はじけるように死ぬんですって」


『メル・ブルックスの新サイコ』(1977)

監督・出演:メル・ブルックス 出演:マダリーン・カーン、クロリス・リーテマン ほか
パロディ映画を撮らせたら超一流、メル・ブルックス監督が主演も兼ねて
サイコホラーの巨匠ヒッチコックに捧げたこの1本。原題は「高所恐怖症」。
ヒッチコック作品のパロを総結集させた今作も大爆笑間違いなし。元ネタを当てるのも楽しい。

カメラを寄せすぎて窓を割ったり、引きすぎて壁を突き破ったり、芸が細かいのがブルックス流
今回一番腹を抱えて笑ったのは『鳥』のパロ。公園にいるリチャードを襲う鳥、、ならぬ鳩のフン。
どこまでも追ってきてフンまみれになる単純な発想が笑える。


『エレメント・オブ・クライム』(1984)
監督:ラルス・フォン・トリアー 出演:マイケル・エルフィック ほか
全体がオレンジ色で終始しているせいか、ずっとジメジメした熱い湿気、
どこもかしこもウンザリするほど薄ら汚く見える。安ホテルも、家も、舟も、人も・・・狂気が漂っている。
『羊たちの沈黙』でも惨殺を繰り返す異常犯に対して心理を読むために犯人なりきるというシーンがあったが、
ずっと覚めない悪夢でも見ているよう。皆抑揚のない喋り方、とにかく湿っぽくて、こんなに陰気な映画が他にあるだろうか?

(すごい批判


『マッキントッシュの男』(1973)

監督:ジョン・ヒューストン 出演:ポール・ニューマン、ドミニク・サンダ ほか
スパイ映画もなかなかいい。ポール主演で前回もヒッチコックの『引き裂かれたカーテン』を観たけど、
脱出、逃亡、観ているととっさの事態に役立つような知恵がつきそう。
でも、カーアクションあり、2階から飛び降りたり、必死に走ったり、並外れた体力がないとね
予想もつかないだしぬけなアイデアがポイント。
ドミニク・サンダの影と知性、クールな美貌はスパイ工作員にはピッタリ。
せっかくのポールとの共演なのに色っぽいシーンがないのはちょっと残念。
タイトなパンツスーツでキメた彼女が出ると作品がキュっと引き締まる。


『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』(1984)
監督:ジョン・セイルズ 出演:ジョー・モートン ほか
面白い!どこかの別惑星からきた異性人が、なんと黒人の姿を借りてハーレムにやって来た!て設定。
カルチャー・ショックもの。イノセントで言葉が話せず、とっても平和的なブラックのE.T.。こんな宇宙人ならいつでも大歓迎。
町の区画が黒と白ではっきり分かれているのはやっぱり不思議。
同じ人種同士だと何も言わなくても“兄弟”と呼び合って、すぐ仲間扱いしてくれるところや
自分たちの歴史やルーツに誇りをもっていることなど、独特な文化ながら温かみも感じる。
N.Y.のダウンタウンといえばドラッグ、娼婦、ストリートキッズやらでもっとも騒がしくてヤバいところ。
そこには立派に生きている人々がいて、普段の生活がある。
今作ではそんな大都市に住む人々の日常の顔がのぞけるっていう魅力もある。
主人公のジョー・モートンのトボケて愛嬌たっぷりなキャラがイイ。ラストはソウルミュージックでキマり


『二十日鼠と人間』(1992)

監督・出演:ゲイリー・シニーズ 出演:ジョン・マルコビッチ ほか
原作:ジョン・スタインベック
'30年代アメリカのもうひとつの生活。その日暮らし同様の安月給で過酷な条件下で働く下級労働者たち。
地主白人労働者黒人労働者の圧迫、被圧迫者の身分がハッキリと分けれられている。
登場人物らは皆なんらかの孤独を抱えている。ジョージとレニーは結局どういう関係だったのか?
男の友情というだけでは片付けきれないものがある。老人が可愛がっていた老犬への気持ちと同じなのだろうか?
自ら監督と主演をしているシニーズのピリっと張り詰めたシリアスな演技は、今作への深い想い入れをうかがわせる。
マルコビッチはさすがの演技派。レニーのイソセンス、不気味な力強さ、赤ん坊のような大男、複雑で重いキャラクターを見事に表現。
今作のよさは原作の素晴らしさ。不朽の名作と呼ばれるだけの原作をぜひ読んでみたい。


『赤い薔薇ソースの伝説』(1992)
監督:アルフォンソ・アラウ 出演:ルミ・カバソス ほか
外国のある地方では今でも“妊娠中や生理中の女性がヨーグルト(チーズだっけ?)を作ると酸っぱくなる”
などという迷信がまことしやかに代々伝わっている。
これは料理に始まり料理に終わる、家と完全に同一化している女たちの物語り。
現実と幻想、生きている人も死人もともに存在するなんとも温かみが残る感動作。
涙を流して作った料理にはみんな絶望的になったり、その気持ちははるか遠くの他人にまで響き伝わってしまうなんてファンタジック。
愛着がモノに伝わり、それを読む超能力者もいるわけだし、まんざら神話ともいえまい。

そして、これは母親と娘の愛憎劇、自立など難しい関係も描いたメキシコ風『シンデレラ』のようでもある。
「家のしきたり」「道徳」をことさら頭ごなしにわめいた母の家族、娘たちが皆どんな辛い運命をたどることになったか。
世界中でいまだ若い女性を縛りつけ、花開いてゆく、自由に伸びてゆく芽をことごとく摘み取り、
ただ家の中、台所を這い回り、親や子どもの世話に毎日必死に明け暮れて年老いてゆくだけの
理不尽な「社会のおきて」なるものが現代にも信じがたいほどに生き残っている。
母のようにはなるまいと決まりを破ってゆく若い女性、ルールを作った男たちへの強烈メッセージを持っている。


『モノリス』(1993)
監督:ジョン・イヤーズ 出演:ビル・パクストン ほか
モノリス=(建築:彫刻用等の大きな)一本石、一枚岩、一本石の碑(柱など
「ヒドゥン」の大ヒットでこの手の“人間にのり移る宇宙生命体”の話が増えている感じ。
理解に苦しむ変な奴は、もしかするとのり移られた人間のほうなのかも。
ゴジラみたく目から火を噴く武器をもつ宇宙人を軍事に利用するため、
国家最高機密扱いで進める「ブルー・ブック計画」は実際存在するだろうか?

なぜか『エイリアン』系統から離れられないジョン・ハート
今作ではスーツがビシっと決まった調査局のボス役。非人間的でモノリス計画にすっかりハマっている。
何を演らせてもハマっちゃう彼の見どころがいまひとつ少なかったのが物足りない。
SFと刑事アクションを合体させて、政治的メッセージをもちながらコメディでもある。
で、よくありがちなコンビを組んだ男女の刑事がデキちゃうロマンスもありかと思えば、
微妙なところでおあずけ、即興でアタック、クールに冴えてる女デカ、フリンには同性としてスカっとした気分になる。
ラストの軽めのロックはSF向きじゃないけどイイ。


『ボディガード』(1992)
監督:ミック・ジャクソン 出演:ケビン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン ほか
これぞハリウッドのロマンス映画。これぞヒット作って感じ
2大スターの起用、テーマ曲も大ヒット、これは文句なく儲かったことだろう
映画初出演のヒューストンだが、本業の役とあって、華やかな表舞台と、そこを降りて、
一人息子を愛し、ボディガードを愛してしまう一人の女性の微妙な女心を見事に演じている。
歌はもちろん、ルックスも完璧、富も名声も揃って、女優も出来る。
つくづくアメリカの大きさ、層の厚さ、そこから生み出される一流のパフォーマンスには頭が下がる。
悲恋や悲劇のほうがずっとあとまで思い出に残るんだよね。


『フォーリング・ダウン』(1993)
監督:ジョエル・シュマッカー 出演:マイケル・ダグラス ほか
スキンヘッドの殺人武器マニアに扮したフレデリック・フォレスト!このスタイルは一生忘れられないぞ!(忘れてしまった
平凡なサラリーマンのフェンスは、アメリカの怒りを代弁し、たまりにたまったストレスが一気に爆発して、
日常にある偽善を次々と暴き、破壊してゆく。すべては「家族のもとへ帰る」そのためだけに。
しかし肝心の家族は悲しいことに夫から逃げてゆく。狂っているのは彼なのか? 社会なのか?
アメリカン・ビジネスマンの不幸をしょってサイコ男に終始一貫したダグラスと、
娘を亡くし、やっかいな妻、冷たい同僚ももろともせず刑事業、人間を愛するベテラン保安官役を
ロバート・デュバルが懐深く演じている。この2大名優の顔合わせだけでも観る価値大。


『SALMONBERRIES』(1991)
監督:パーシーア・ドロン
自分のルーツ探しの『愛情物語』風の旅と、ベルリンの壁崩壊、ドイツ人の複雑な心境がからんだ見応えある1本。
アラスカの広大な雪原、吹き荒れる凍てついた風、エスキモーの厳しく静かに息づく生活を舞台にしているのが魅力。
前回は全く逆のテキサスの熱と砂ばかりの地での『バグダッドカフェ』を監督したドロン作。
今回もk.d.langが♪BAREFOOT を歌う。雰囲気が♪I'm calling you にちょっと似ている。
フェリーニにニーノ・ロータ、ベルトルッチに坂本龍一、それぞれ自分のイメージにピッタリくるお気に入りの音楽担当がいるのかも

ヴェム・ヴェンダースとデヴィッド・リンチのかけ合わせのよう。
ロード・ムーヴィーでもあり、不可思議な幻想シーンもある。
話に引きこむのはやはりカッツ役の、どう見ても男の子風の女の子、実際は男優が演じているのかも?!
でももし本当に女なら、男の子風の振る舞い方、細かく微妙な演技にはついつい引きこまれてしまう。
カッツがどう生きてきたのかという過去はあまり語られずに秘密が保たれているゆえに
なぜかひきつけられるロスウィータの気持ちも分かる気がする。

♪裸足で雪の上を歩いていこう もしあなたがドアを開けてくれるなら

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