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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『想い出のサンジェルマン』

2007-07-17 22:31:57 | 映画
『想い出のサンジェルマン』~LE DESORDRE A 20 ANS(1967) フランス
監督:ジャック・バラティエ
出演:ボリス・ヴィアン、ジュリエット・グレコ、ロジェ・ヴァディム、ジャン・コクトー ほか

何かひとつの事柄にハマりはじめると、次から次へとその先が知りたくなって
止まらなくなってしまう。今ではフランス映画のコーナーの前に張り付いて、
この1本1本の中に一体どんな夢が詰まっているのかと想像するといてもたっても
いられない。これは渇望に近い。

そういえば、今年はまだ冷牟田竜之presentsの恒例DJイベント『Taboo』
開かれていないんだった。本人は9月ってゆってたけど、それなら今年も
まだまだ楽しめるってわけ。

そもそもヴィアンにハマったきっかけは、ヒヤムが彼の小説を読んで、DJイベントの
名前もそれにちなんだと知ってから。アングラのヤヴァい感じを忘れちゃダメだって常々
ゆってるヒヤムのことだから、きっと『Taboo』も今作に出てくるような本来はもっと
いかがわしい感じのイベントにしていたいんじゃないかしら。
小説はどれもハズレがないが、1番好きなのは『うたかたの日々』
自由な想像力、自由な言葉で書かれる独特な文体で惑わされてしまうけど、
実はとてもシンプルで、限りなく純粋なラブストーリー。

そのヴィアンが出演する今作には、ほかにも先日観た『素直な悪女』、『スエーデンの城』ほか
数々の映画を撮った監督ロジェ・ヴァディムなども出演している貴重なドキュメンタリー映画。
(うん、いろいろつながってきてるな
1940年代に様々な才能ある若者がたむろしたサンジェルマン界隈の様子と、
そこにいた当人が当時を思い出して語る20年後の1960年代の対比で構成されてる。
ジャズで踊っていた時代とサイケデリックなファンクで踊る若者の対比が面白い。
(わたしはこの'60-'70サウンドでうねるように踊る独特な踊り方が好きだ
しかしそれももうすでに30年以上も前の話。現代のサンジェルマンはどんな感じだろうか。

天才的な作家・詩人でもあり、ジャズ・トランペッターでもあり、ジャズ評論家でもあり、
シャンソンの作詞作曲家でもあり etc.. ヴィアンは知れば知るほど多才で、多面的。
本作でも自作の演劇を自ら演じたり、ギターを弾きながら歌を披露したりしてる。
病に怯えながら(ペットは命を縮めると言われていた)、最期は小説『墓に唾をかけろ』が
映画化され、封切初日の劇場で命を落とした。享年39歳。


『(中略)かわいい少女たちとの恋愛、それとニューオリンズの、つまりデューク・エリントンの音楽。他のものは消え失せたっていい、醜いんだから。』(ボリス・ヴィアン『日々の泡の「まえがき」より』




追記。
本作に出てきた難しい言葉の意味を調べたメモ。
実存主義:人間の実存を哲学の中心におく思想的立場。合理主義・実証主義に対抗しておこり、20世紀、特に第二次大戦後に文学・芸術を含む思想運動として展開される。キルケゴール・ニーチェらに始まり、ヤスパース・ハイデッガー・マルセル・サルトルらが代表者。実存哲学。

ミュゼット:1バグパイプの一種。ふいごで送風する方式で、17~18世紀にフランスで流行した。2牧歌風の三拍子の舞曲。