「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

ファイザーがワイスを買収

2009年01月29日 | 製薬業界トレンド
話題にするのが数日遅くなりましたが
ファイザーがワイスを買収することが本決まりです。
(具体的なことは下記リンクへ)
米医薬品大手のファイザー、ワイスを買収へ(ロイター)
ファイザー、ワイス買収しても2011年問題の解決ならず(日経NET)
米製薬大手ファイザー、同業大手ワイスを6兆円買収(asahi.com)
米ファイザーを格下げ、ワイス買収計画受け=フィッチ(ロイター)


数年前にビックファーマを読んだときには大げさに書かれているなぁと思っていたのですが
書かれていたことは現実であったのかなと、考えを改めなくてはならないと思っています。
具体的には「薬を作り出す」会社ではなくて「薬(もしくはパイプライン)を持っている会社」を買い取り
現金化する会社
、一種の投資会社のように見える。
愚直な考え方から批判するのであれば、製造業は他に先んじる魅力ある製品を作れないと
収益を上げ続けるのは難しい(かつてのウォークマンや現代のi-phoneなど)
結局、営業力も宣伝力も本当に力のある製品を覆すことはむつしい。
(…なので、オクスリツクル製薬のMRさんにはSIUは足を向けて眠れない)
だから先日のように研究開発部門を切り離すのが最適化は疑問である。
もちろん研究部門は聖域化されやすいので、きちんとコスト管理はしなきゃいけないのだが…
(自分が研究所にいるのでバイアスのかかった意見です)

違う一面から見るとワイスは現在余り魅力的な物件に見えない(上市品は特許切れ間近だし、パイプラインも貧弱)。
その辺は日経NETにも書いてあるし誰でも思いつく。
そう考えると単に巨額のお金を投資する投資会社としてファイザーを見ても
いいオペレーションをしたとは思えない。
研究現場の感覚だと、世界のTop20位に入る製薬会社なら技術力にそう大差はないだろう(SIUの感覚以外の根拠無し_笑い)。
siRNA、抗体、再生医療(ES細胞やiPS細胞を含む)は多少は差があるが特許のことを除けば
ワイスほどの大きい企業じゃなくて、もっとお買い得なベンチャーは沢山ある。
それを買い取って社内に大量にいるPhD(なんせリストラするほどいる)を使って数年で追いつくのは
そんなに困難ではないと考えられる。

穿った見方をすると、買収の連続により金利負担は増えるが損金を表に出さないまま
退職を迎えることが出来るストックオプションを持つ経営陣ではないかと
しがないヒラ研究員のSIUは思ってしまうのです。



自家用ジェット

2009年01月28日 | 製薬会社な日常
to DOリストをチェックしていた時のこと
(以下のようにやることが列記してあります)

to DOリスト
--------------------------------------------
•スクリーニング結果をPJにメール
•ELISA購入x2箱
•出張用飛行機の購入(JTBへ連絡)
•先週の飲み会のお金を山田さんへ(2千円)
•…
•…
--------------------------------------------


ん?
なんだこの違和感は?
もう一度見てみよう
to DOリスト
--------------------------------------------
•スクリーニング結果をPJにメール
•ELISA購入x2箱
•出張用飛行機の購入(JTBへ連絡)
•先週の飲み会のお金を山田さんへ(2千円)
•…
•…
--------------------------------------------


あれ、いつの間にか「飛行機の購入」することになってる!?
プライベートジェットか…
どうしよう、今度のボーナス一括じゃ足りないことは確かだな(笑)

*注1:もちろん「出張用飛行機”チケット”購入」の間違いです。
*注2:「ELISA」を「ELIZA」と素で書き間違えていましたのを
ご指摘いただいた(感謝)ので訂正しました(2009.1.30)
ELISAプレートを何百枚(さすがに千はいっていないと思いますが)使って
実験しといて、イージーミスをしているのだワタシは(涙)

のんきな日常

2009年01月27日 | 製薬会社な実験生活
今日、in vivoの実験をしていて
(body weightとかfoodintakeとかの測定、まあつまりは汚れる仕事です)
テクニシャン(技術職)のお姉さんとした会話。

お姉さん「世間の人はこんな『製薬会社の研究職』っていったら
キレイなオフィスで最新鋭の機械に囲まれて実験していると
思っているだろうねぇ」
SIU「そうですね、こんな腐海の森に立ち入るような格好*で
入ると思っていないですよね」
お姉さん「私はドラフトの前でピペットを扱ってるイメージだったよ」
SIU「それはどちらかというと合成研究者のイメージですね
今日のワタシ達はどっちかというと…」
お姉さん「お掃除おばさんとか家政婦さんだよね(苦笑)」
SIU「なんか火曜サスペンスっぽいですね
『研究者は見た!巨大製薬会社の黒い陰謀』とか、、、」
お姉さん「主演は市原悦子さんかね。。。」
SIU「二人して立派な火サスの女王になりましょうね」
お姉さん「火曜サスペンスと言えば温泉だよね
あー、温泉も行きたいなぁ」
すいません、いつもこんなくだらないことを話しながら実験してます。

就職活動中の皆さん、製薬会社の研究者になるのに
木の実ナナ似でも片平なぎさ似でもアドバンテージには
なりませんのでご了承を(苦笑)

<補足>
腐海の森に立ち入るような格好
SPF(平たく言えば感染症を起こさない)グレードのお部屋なので
入る前は服を特殊な物に着替えて(靴下までも!!!さすがに下着はそのままで良い)
手洗いして、エアシャワーを浴びて、中でエタノールにて消毒して専用スリッパで入ります。


無力さ

2009年01月25日 | 製薬会社な休日
今日、知り合いの方のお見舞いにいってきました。
まだ若いのにガンでした。

SIUの担当領域(研究分野)は循環/代謝に対する薬です。
でも、もし自分の担当分野がガンだったら、薬の副作用で苦しんでいる彼と
そのご家族とまともに話すことも出来ず、ただ謝ることしか出来なかったかもしれません。

投薬している姿を見て、自分達の仕事は無駄じゃないと思いました
だけど、自分たちの仕事は病に対してまだあまりにも無力だとも感じました。

筑波生活-いい明日を目指して-

2009年01月24日 | 製薬会社な休日
今日は先輩夫妻(+双子とお犬様)と「soNUTE」という
アジアンリゾート風のお店でご飯。(筑波在住の方へ⇒
協和発酵の研究所から学園線に向かった方にあるお店です)
久しぶりに会いましたが、ヒト様のお子様&お犬様でもかわいいね
親バカになってしまうヒトの気持ちも分かりませう。
しかしホントちょっと前に比べてオシャレなお店が増えました。
昔は筑波センター周辺ぐらいしかお店はなかったのに。

お昼を食べた後、買い物にいったんですが最近出来たけど未だ行っていなかった
巨大ショッピングモールiias tsukuba(イーアス)に行ってきました。
研究学園駅の近く。

いやビックリ、半端ない大きさです。
最近のショッピングモールの大きさはすごいです。
御殿場のアウトレットに行ったことがある方は
あれが全部室内にあると思っていただければ…(それは言い過ぎか?)

MOVIX(シネマコンプレックス)、ビレッジバンガード(雑貨屋?)、巨大書店などSIUが
近くにあってほしいと願う物たちが近くに出来てよかった…

でもね、かなり昔から筑波に住んでいるSIUは新人さんに
対して思うのです。。。
新しく出来たのも含めて、今はシネコンが2つもあるけどね
昔は筑波駅(当時は電車が通ってなかったけど)の西武にしか
映画館がなくて、しかもちっちゃーいスクリーン一つだったんだよ。
それ以外は土浦まで(車でン十分)行かねばならなかったんだよ。

だからね、、、筑波を不便とか言うなー
今と比べりゃ、文明開化の香りがするわい!(意味不明)
、、、年寄り臭い感じですみません。

あ、全然関係ないですけど
さっきのショッピンクモール「イーアス」(…『いい明日』このネーミングセンス(涙))には
筑波大で作ったロボット「HAL」が見れるブース(?)がありました。
興味がある方はネットで調べるといいかも。

美味しいお茶

2009年01月22日 | 製薬会社な日常
料理の話をネタにしたのでついでにオススメのお茶の話。
お茶は料理に比べて用意も片付けもそんな大変じゃないので
家にいる時は何かにつけていれて飲んでます。
使いやすい&洗いやすい器具も家に揃ってきましたし。

いま一番好きなお茶は
烏龍茶の凍頂烏龍 (清香)ルピシア
これは台湾のお茶。烏龍茶なのに煎れたては緑茶のようなきれいな緑
しばらく経つと琥珀色に変わってきます。これがキレイでヒマだとずーと見てます(笑)
味も烏龍茶にありがちな苦い味ではなくてさわやかな味。
最初、無印のティーバックを適当に買ってきた時にたまたま凍頂烏龍茶が
まぎれてて凍頂ウーロン茶にはまったんですが、いくつか飲み比べてみた結果
LUPICIAの物が一番好きでした。
ちなみに台湾に行った時にかなり期待して買ってきた凍頂烏龍茶よりも
LUPICIAのが美味しかったのは秘密です(笑)

でも春と冬のある時期にしか売ってないんですよ!なので
ある程度買い置きしてます。
でも今SIU宅には切れているのですが…早く買わねば。
少し高いし贅沢なのかなとも思いますが、かなり高いお茶を買っても
2煎も飲んだら500mLのお茶ペットボトルよりは安いから良いかなと考えている次第。

次は紅茶。
紅茶はかなりいいお茶を飲んでもよくわかりません(笑)
ので、ピュアな紅茶は何でも良くて(リプトンのティーバックでも良い)
そのかわりといってはなんですがフレーバーティは
NINA'Sの「The des Anges」と「カトルフリュイルージュ(綴り分かりません_笑)」
は本当に香りが良くて、いやホント幸せ。オススメです、でも匂いに好き嫌いあるかも。
たぶんフランスのメーカー。

この子との出会いは六本木のグランドハイアット。泊まった時に置いてあったのですよ。
何気なく飲んでびっくり、美味しい!やっぱ高いホテルは置いてあるお茶が違うわ(笑)
思わず余りをもって帰ってくる小市民なワタシ(涙)
グランドハイアットに泊まるのはなかなかにお財布と心が痛むのですが
(幸いその時は自分でお金を払わず泊まれた、ラッキーな時でした)
お茶は給料の範囲で買えるので、家にいてもホテル気分!な感じで常備してます。

他にも好きな紅茶お店として「アリスの茶屋」とか「花水木」とかあるのですが
筑波ローカルなのでここでは割愛。

ちなみにNINASのお茶の名前である『The des Anges(デ デ アンジュ)』をSIUは勝手に英語に変換して
「The Angle:ザ天使(笑)」だと理解してました、がフランス語で「The=Tea」だそうで
正しくは「天使のお茶」という意味だそうです。
ということは「des=of』だな?フランス語は習ってないので嘘を言ってたらすみませぬ。

ええと気を取り直して、ほうじ茶は加賀棒茶(丸八製茶場)が好きです。
これは今日紹介した中では高くなかったはず。香ばしい匂いが何ともたまりません。

緑茶はわりと何でも美味しいです、新茶ならなお良し。

これらのお茶をですね、近所のスーパーで汲んできた浄水(MilliQではありません_笑)を
T-falのアプレシア 0.8L
で500mL程度わかした後
緑茶以外は熱々で抽出!(時間は実験とは違ってタイマーを使わず慣れとカンで決める)
ちなみに「あっと言う間にすぐに沸く」というCMのコピー通り、すぐに沸きます。
これを買ってから、電気で保温するポットは用無しになってしまいました。
(あと毎回わかした方が酸素を含んで、お茶を作るにはいいそうです)

急須は茶茶急須丸 450ml(HARIO) に入れるとちょうど良いです。
中が透明だから抽出具合がよく見えて金属部が目が細かくかつ取り外し可能。
入り口が大きいので洗いやすい!あと1000円とお値段もお安い、オススメです。

500mLというのは一人で飲む時は多すぎるのですが、お茶は大量のお湯で入れた方が
美味しいので一気に入れてしまって、保温ポッドに入れてあります。
*余談ですが「mL」のエルが大文字なのが癖になっているところが職業病だと感じます。。。

こんなことで幸せと感じられる我が人生はなかなか捨てたものではない!と思う今日この頃。
楽しい時もつらい時も美味しいものを味わって、心をほっこりしてきたいです。



就職活動(製薬研究職)

2009年01月20日 | 製薬会社な日常
そういえばさ来年度入社の研究職の就職活動(募集)は
行われているはずだけど、今どんな感じなんだろう、、、

今日、同じ居室の人が出身大学へ説明会をしに人事の要望で
行くって言うのを聞いてふと思いました。

でも今の時期では研究者よりもMRさんメインの説明なんだろうな。

ダシを取る

2009年01月19日 | 非製薬ネタ
久しぶりに早く帰れたので
ダシをしっかり取ってお料理しました。
ヤッパリ美味しいわ。
(全然関係ないですがお料理マンガは
よしながふみさんが一番です)

料理は得意ではないのだけれど、段取りは実験に似ていて
のってる時は楽しいなぁと…
でもやる気が無い時は全くやりません。
そんなダメ社会人(笑)

新米?古米?

2009年01月18日 | 製薬会社な休日
先日、友人と久しぶりに会って話したときのこと
(友人は看護士をやっていて、SIUのブログを読んでくれてます)

友人「未だに『新米研究者』っておこがましくない?
ブログ始めてもう5年目でしょ」
SIU「うーん、薄々感じてはいたんだけど
今更タイトルを変えるのも…、第一いいアイディアがないのよ」
友人「確かにタイトル変えても今更感はあるよね」
SIU「日々これせっせとお薬作り -製薬会社『窓際』研究員SIUの日常-ってどう?」
友人「…『窓際』研究員の日記って見てみたい?」
SIU「…いやあまり。。。」
友人「大体『新米』に呼応してないでしょ『窓際』って」
SIU「まあそうよね。でもじゃあ何さ『新米』に呼応する言葉って?」
友人「うーん『古米』?
SIU「『古米』研究員SIUの日常って…、産総研(産業総合研究所)の
農業部門に勤めてそうだよね」
友人「だねぇ」


すいません、しばらくこのままのタイトルでいきそうです(涙)



製薬会社における合併の真の価値とはなんぞや

2009年01月15日 | 製薬業界トレンド
Pfizer(ファイザー)のリストラですが、昨日の記事に対して
Thor様がコメントされた
「atorvastatinの成果のためにPfizerに買われて、Pfizerの事情で解雇された」
というご指摘はまさに的を射ている
見事な表現だと思います。

メガファーマはじゃぶじゃぶとあふれている手元資金で
買い物を沢山しました。そのことはイニシャルコストだけでなく
ランニングコストが増大することを
MBAを有する秀才たちが気づかないとは思えません。
「赤信号みんなで渡れば…」という気持ちだったのでしょうか?

成功報酬目がけて最大限にレバレッジをかけたことによって
サブプライムの破綻を引き起こした投資銀行の経営陣と構図が類似しているように思えます。
(一見正しいように見える成功報酬の隠れた問題点に関しては、サブプライムの破綻前から
山崎元さんが指摘されていて以下の文章に詳しいです⇒成功報酬について考える

M&AにつぐM&Aは時価総額を大きくしていくための自転車操業
だったのかもしれません。
ストックオプションや高額の給与・ボーナスを持ち逃げしてしまった
経営陣はともかく、会社都合で首を切られる研究員は…
日本にも合併して大きくなった会社は沢山あります。
それらはpipelineの拡充だけでなく真の意味で会計が改善方向に向かったのでしょうか?
もしそうでなければアメリカで起こっていることは、対岸の火事ではありません。

あとから政策・方針を批判していくことは、すこしずるいのでこれで打ち止めにしますが
自分自身を顧みて一研究者としてどのようなスキルを磨き、どのように荒波を乗り越えて
いくべきでしょうか?答えは無いです。「研究成果を出す」に加えてなにをするか
「オラ研究者だから経済のことわかんね」とも言ってられない気がします。