「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

万有つくば研究所閉鎖(09年12月までに)

2008年10月23日 | 製薬業界トレンド
とうとう万有も研究所閉鎖です。。。
COX-2 inhibitorの賠償地獄から立ち直り
もう少しすれば日本でもジャヌビア
[一般名:sitagliptin(シタグリプチン)DPPIV inhibitor(糖尿病薬)]が
発売されて楽になったはずなのに・・・
(最近調べてないけどまだ日本で出てないよね?)
それでも状況は変わらなかったのかな。

万有製薬のホームページより
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2008年10月23日 報道関係各位
万有製薬株式会社 Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.

基礎研究に関するグローバル戦略について
新たな運営モデル導入で拠点再編
2008年10月22日 - Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.は本日、基礎研究における
グローバル運営戦略を発表しました。新戦略では、長期間を見据えた戦略的アプローチを採用することで、
基礎研究活動の効率を改善しながら高い効果を生み出し、将来にわたって持続可能なパイプラインを創出する
組織作りを目指します。
(中略)
さらに、新戦略の下では基礎研究拠点は統合され、2009年12月までには米国シアトル、ローマ、つくばの3拠点が
閉鎖される予定です。これに伴い、万有製薬のつくば研究所で行われていた基礎研究活動は他の研究拠点に
移管されることになります。つくばに現在勤務している約450名の社員等に影響が出ることとなり、
対応について検討しております。

以 上
http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/corporate_1023.html
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心配なんで万有の友人にメールしたら
「心配してくれてありがとう、実は僕たちも聞いたのは昨日
(SIU注:20081022プレスリリースの前日)なんだ
正直、大丈夫じゃないけど、寝込んでるってわけでもないよ。
ちなみにSIUが最初に連絡してくれました。まだ親には言ってない(笑)」


いや、かなり心配です。SIUが力になれるとは思わないけど・・・
彼は優秀なんだけど押しが弱いので心配、ってあたしゃ彼のオカンか!(笑)

プレスリリース内の「2009年12月までには」ってのが唯一の救いかな。

もう一つ別のニュースソースをどうぞ
日経ネットより
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米メルク、7200人削減 つくば研究所も閉鎖
 【シカゴ=毛利靖子】米製薬大手メルクは22日、2011年末までに全世界の従業員の
12%に当たる7200人を削減すると発表した。研究開発体制の見直しに伴い、
日本では傘下の万有製薬に所属するつくば研究所(茨城県つくば市)を09年末までに閉鎖する。
主力製品の販売がふるわないため、経費削減を拡大する。
 05年から合理化を始めたが、今回、さらに経費削減を上積みする。販売部門などを整理統合し、
全社的に管理職を25%削減。日米、イタリアで計3カ所の研究所を閉鎖する。
日本のつくば研究所には従業員が約450人いる。 (13:05)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081023AT2M2301923102008.html
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前回のリストラ↓でまだ削減が足りなかったのか
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/3bfdfbb18bd8863d7fa7b44490086c05
前回のリストラの一環がまだ続いているのか・・・

もう少しがんばれば、CETP阻害剤・anacetrapib
[(アナセトラピブ、MK-0859)高脂血症治療薬]
だってあるのに、開発段階で言えばトップ(20081023現在)なのに・・・

外資で働くことの難しさを感じます。


最近の外資製薬企業の日本研究所閉鎖/撤退のコンテンツをまとめておきます。
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GSK(グラクソ・スミスクライン)社 筑波研究所閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/07315b4fa60c2015468cfeb287ed8612
ファイザー社 愛知研究所閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/fccdd890799b97acd37e5339ecaed4c3
万有製薬(メルク)工場閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/61be48abcc46903e88d7ba0bb26620ff
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/6c586d38b3e6bd458428c6e511238d88
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<補足>
JANUVIA
製品名:ジャヌビア
一般名はsitagliptin(シタグリプチン)
メルクが作った(メルクは日本だと万有)
ファーストインクラスのDPPIV inhibitor(糖尿病薬)
アメリカでは承認済み(2007.4.5現在)
ヨーロッパは忘れました(笑)

DPPIV inhibitor
いまんところ最新の抗糖尿病薬
日本未承認(2007.4.5現在)。
薬効・薬理を説明しだすと、長くなるので
省略(笑)
さわりだけ解説すると、酵素であるDPPIV(ディーピーピー・フォー)を
阻害して、GLP-1分解を妨げるところが作用点。
DPPIVがアクティブな状態だとGLP-1はあっという間に分解されてしまいます。
余談ですが注射剤のGLP-1 アナログはここが分解しにくくなっているんですね。

2010年入社就職活動

2008年10月08日 | 製薬会社な日常
製薬会社の就職活動時期が変更する件に関して情報をひとつ・・・

SIUはたまたま今年、リクルーターに選ばれまして
(母校に行って、業務の説明とかしつつリクルーティングをする人、でいいのかな?)
会社から説明を聞いたんですよね、その内容ってのは
「武田、第一三共、アステラス、中外、エーザイは人事部同士の
申し合わせにより、年内の採用活動は控える」とのことでした。
これはいくつかの大学が連名で早い採用活動を批判する声明を
出したことに対応するものだそうです。

この協定は年内はエントリーのみ、選考は年明けという話のようです。
SIUの会社では一月からのような言い方でした。はっきりしたところは
わかりません。あとで書きますが本当にルールに則ってやるとすると
4月から開始しなきゃいけないはずなんですけどね・・・

先の5社と言えば国内製薬会社の実質上位五社と言っていいので
基本的に就職活動自体が遅くなること自体は間違いないようです。

実際に就職活動を行っている後輩(M1)にも確認してみたところ
プレエントリー(でいいのかな?)はすでに始まっており
その辺の日程はあまり変わっていないようです。

確証を得るために先の五社以外の大手である他社の友人にも聞いてみました。
友人が「就職活動の時期が変わるって聞いたんですけど?」と人事部に聞いてくれて
返ってきた返事を要約すると次の通り

「日本経団連が定めた倫理検憲章の中に
『採用活動は最終学年の4月1日以降に選考活動を行う』という文言があります。
採用活動が早期に行われることが、学業への支障を生じさせる懸念によるものです。
MRの採用活動ではこの憲章に則った募集でしたが
研究開発職に関しては守られていないのが実情でした。
2010年入社(今年の募集)については製薬会社が多くが選考活動を
遅らせることとしています。
*ただ本当に今年から4月以降に実施するかどうかは他社の動向しだいです」
とのことです。

この内容だと武田、第一三共、アステラス、中外、エーザイ以外の会社も
就職活動時期を遅らせるということがたぶん間違いないようですね。
*ちなみに友人の会社がどこかというのは、彼のために伏せさせてくださいませ。

就活中の皆様にこの情報が参考になれば幸いです。