「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

実験のお手伝い(被験者)

2005年07月31日 | 製薬会社な休日
友人の実験の手伝いをしてきました。
というか、どちらかといえば
実験材料になったというか…
心理学実験の被験者になってきました。

モニターに出てくる図形の形が変化したか否かを
すばやく反応する、という実験でした。
「物質の形の変化を認識すること」に対しての
実験らしい…

だんだん自分の神経が研ぎすまされてくる気がして
楽しかったです。

終わったあとに実験の意味を教えてもらえたし
まったく違うジャンルの実験に付き合うのも
面白いなぁ、と思った一日でした。

Nature祝賀会

2005年07月30日 | 製薬会社な休日
本日、大学時代の友人を何人か巻き込んで
「Natureアクセプトおめでとう会」をしてきました。
研究を生業としていない友人に「Nature」のすごさを説明するのも
結構、大変でした。

さんざん説明した後、友人のコメント
「でも本屋で売ってる『ニュートン』よりはすごくないんでしょ?」
…100倍以上すごいです(涙)

というわけで、ささやかながらの祝賀会
彼には好きな物を飲んで・食べて貰いました。
っていうか、SIUのほうが好きなものを食べていた気がする(笑)

裏話というか、研究の進み具合はどうだったとか、競合状況を聞いたら
(レベルの高い研究であればあるほど、世界中に競合相手がいるものです)
やはり競争が激しい分野らしく、実は2つのグループに先行されていたけれど
その2グループが狙った分子では起こらなかった現象を
友人のグループでは捉えることが出来たことが勝因らしいです。

彼はあんまり自分のことがすごいとは思っていなくて
その分子を狙う指示をくれた教授や、実験手技を指導してくれた
人のおかげだと、言ってました。
謙虚だなぁ、SIUなら天狗になりますけどね。

ただSIUは彼がものすごいハードワーカーなのを知っているので
人事を尽くしたからこそ、天命を得ることが出来たと思います。

「努力した者が報われるとは限らないが、
努力をしない者が何かを得ることはない」

という言葉のとおりだと思います。

え、上の言葉の作者が誰かですか?
いまSIUが考えましたが何か?(笑)

こんなに優秀な彼も
学振*は取れなかったらしいので
彼には500から600万円くらいの借金が…(奨学金の返還)

学術振興会のお偉い先生がたに聞きたい
彼に学振をあげないで誰にあげたんですか?
というか、あなた達のうちに何人が
Natureクラスの論文にfirst authorで
執筆してるんですか?

日本の科学の発展に確実に役に立ってるんだから
せめて奨学金の返還義務くらいはなくしてあげて下さいよ。
(無理だろうが…)


え、彼とSIUとの関係ですか?
ヒミツです、ご自由にご想像くださいませ(笑)


<補足>
学振
「学術振興会奨励研究員」の略
これに選ばれてグラントとともに
給料(正しくは返還義務のない奨学金)を
もらえることを「学振を取る」といったりする。
大学院生なら20万円/月程度、Ph.D(博士号)を
持っている人間なら30万円/月程度が支給される。
しかもこれに選ばれると「それくらい優秀な研究者なのだね」と
思われ、ポストやグラントを得るにも有利になったりする。
(実際、履歴書の職歴にも書きこめる)
優秀な若手研究者を育成するために存在する
…はずなのだが。元は税金なので有意義に使ってくださいね。

Natureに論文がアクセプトされました!

2005年07月29日 | 製薬会社な日常
科学雑誌「Nature」に論文がアクセプトされました!














…友人が。

あ、過去の記事もきっちり読んでくれている
そこのアナタ、また同じネタだと思いましたね。

違うんです、コレはコレで本当に凄いことなんです。
んー、何て言えば研究をメインのお仕事にしていない人に
伝わるかな・・・

コンビニで何気なくジャンプを読んでいたら
新連載をしていたのが友人だった…

というくらい衝撃です(うー、この表現じゃ伝わらないか涙)

なんていうか
Natureクラスの雑誌にfirst author(筆頭著者)で
論文を載せるっていうのは、世界的に一流の科学者なんですよ。
(分かっている人には、何をいまさらと言われそうだ)

Nature(ネイチャー)ってのは世界で一番権威があるといってもいい
科学雑誌なんです(もちろん英語だし<笑>)
そこら辺の教授だって、普通は載せたこと無いくらいの雑誌です。
一昔前には、その雑誌に論文が載ったら一生くいっぱぐれないって
いわれてたくらいです。

それを20代で載せるんだから驚愕ですよ、しかもワタシの1つ下(笑)
グラント(研究費)は取り放題ですね、ホントすごいよ。

「Nature Neuroscienceに、二十代で論文を載せた人」
という記事をこの間、書いたばかりなのに
雲の上の人のことだと思っていたのにまさか友人がねえ・・・
しかも大学時代一番仲の良かった友人ですよ
(向こうが「1番じゃない」って否定したらつらいな…涙)


もう一つたとえてみると…
子供の頃、仲良かった友だちがある日、突然アイドルになったのを
TVで発見したような気持ちだわ(笑)



あまりの感激で、論文をPubmedで見つけてすぐ
会社から友人に電話しちゃいましたよ。
え、仕事?いいんです
来週、論文当番で昨日・今日と実験なかったし
(いいのかそんなんで、いや良くない[反語] 笑)

明日、一緒にご飯食べてきます。
イロイロと裏話が聞けると面白いな。
とりあえず明日は祝杯だぁ!


SIU的製薬会社講評26(ノバルティス)

2005年07月28日 | 製薬業界トレンド
<ノバルティス ファーマ>>ノバルティス ファーマHP(日本) Novartis HP

スイスに拠点をおくメガファーマ。
"NOVARTIS"の社名の由来は
「新しい」という意味の"NOVA"
「芸術、技術」を意味す"ARTIS"を組み合わせたものです。
ロゴマークは「赤と黄色の器に、ブルーの楔が中央にある」というデザインですが
外側の乳鉢は生命の花と乳鉢をあらわしていて、ブルーの楔(矢)は
精密さをあらわしているそうです。

以下、ノバルティス日本の概要
会社名 : ノバルティス ファーマ株式会社
設立日 : 1997年4月1日
資本金 : 60億円
社員数 : 3,208名(2004年12月31日現在)

けっこう人数いますね…

会社の歴史
1952年 : チバ製品(株)創立
1960年 : サンド薬品(株)創立
1963年 : ガイギー社の日本支店設立
1971年 : スイスのチバとガイギーの合併に伴い、日本チバガイギー発足
1993年 : 筑波総合研究所開設(サンド薬品)
1996年12月 : スイスのチバとサンドが合併し、ノバルティス誕生
1998年9月 : 高コレステロール血症治療剤「ローコール」発売
2000年11月 : AT1受容体ブロッカー「ディオバン」発売
2001年12月 : 抗悪性腫瘍剤(チロシンキナーゼインヒビター)
「グリベック」発売
2004年8月 : 経皮鎮痛消炎剤「ボルタレンテープ」発売

日本の研究所は筑波。他にはスイス、アメリカなど世界に
10の研究拠点があるそうです。日本研究所の役割は以下のとうり

「基礎研究および新規化合物の分析・安定性と製剤研究、
安全性や薬物動態などの前臨床研究を行っています。
(中略)
生殖毒性と安全性薬理研究分野を担当し、グローバルレベルの
研究開発のスピードとクオリティの向上に貢献しています」

だそうです(HPより)

2004年の研究開発費は、ノバルティス全体で42億ドル(約4,544億円)だそうです。
売り上げの大きな部分を、高コレステロール血症治療剤「ローコール」と
ちなみにAT1受容体ブロッカー「ディオバン」で稼いでいる(…と思います)
鎮痛剤のボルタレン、最近話題の抗がん剤グリベックなどもココの商品です。

SIU的製薬会社講評25(万有製薬)

2005年07月27日 | 製薬業界トレンド
昨日、メルクだったので今日は子会社の万有製薬

万有製薬(万有製薬HP)

こんなに日本らしい名前ながら、しっかり外資。
数年前までは、株の大半を握られているものの
いちおう独立している会社で、メルク社との関係は
「業務提携だ」と言っていましたが、
最近、米国メルク社(Merck & Co.,Inc. Whitehous Station)の
100%子会社になりました。
米メルクの意思をすばやく反映し、改革を可能にすることを狙った
100%子会社化のようです。

従業員は約3,800名(平成16年12月31日現在)
(日本)本社は東京・日本橋。メガファーマの子会社なのに
エライ小くてびっくり。
従業員が日本だけで4000人近くいる会社の本社とは思えないですね(笑)

会社のイメージはMRさんにしても
研究職にしても、おとなしいという感じ。
いい人が多そう(笑)
ロシュ・ダイアグノスティックスから
(ロシュの診断薬部門)
引き抜かれた社長さん(平手さん)が
頑張って体質を変えようとしているが
なかなか変わらないとの噂。
社内では「変わるのは十年後だ」と
言われているとか、いないとか。

研究所は、つくば研究所(つくば) ・合成技術研究所(岡崎)
技術開発研究所(妻沼)など。

ちなみに、つくば研究所は疾患領域研究部、化学研究部
薬物動態研究部に分かれているようです。

売れ筋商品は
リポバス(シンバスタチン):抗高脂血症薬
ニューロタン(ロサルタン):血圧降下剤
この二品目でかなり稼いでいると思います。
Vioxx(ロフェコキシブ)も加わるはずだったのにねぇ…
(2004.12.27記入)(2005.7.28改変)

SIU的製薬講評24(Merck)

2005年07月26日 | 製薬業界トレンド
Merck(Merck HP)

GSK,Pfizerと並び評される世界的製薬メーカー
ポリシーは
「すべては患者様のために」(…というようなイメージ)
大手メーカーが合併を繰り返すなか
合併を行わず、自社の力で開発するという
時代の流れに竿を差す、骨のある会社。
しかしながらCOX-2 inhibiterの件で一時
株価が暴落し、今後、患者団体からの訴訟も抱えているため
会社としては厳しい状態。
また「薬剤の服用によって心血管系のリスクが高くなることを
知りつつ売っていてのではないか?」という疑問を
患者さんたちに持たれてしまうと、医薬品を取り扱う企業としては
非常にマイナスではある。

ただしARBを初めとするブロックバスターを
他にも有しているので、日本の製薬企業とは安定度が違う。
さすがにGSKやPfizerと合併とかは避けて欲しい気がする
が、そんなことが本当に起こりかねないのが
昨今の状況です。
いろいろな疾患を解説した医学辞典
「メルクマニュアル」を読んだことがある人は
多いかもしれない。ネット上でも見れるので便利ですね。
日本法人名は「万有製薬」
(2004.12.27記入)(2005.7.28改変)

SIU的製薬会社講評23(アストラゼネカ)

2005年07月24日 | 製薬業界トレンド
アストラゼネカ (アストラゼネカ(日本)HP) (AstraZeneca INTERNATIONAL HP)


やっぱりでかいグローバルメガ
1999年に「Astra」「Zeneca Group」が合併し、
新会社「AstraZeneca」誕生
導入品のスタチンにクレームついたり(塩野義がオリジン)
イレッサに延命効果が見られなかったりと
最近ついてないですね。
SIUは個人的に名前がかっこいいと思います。
ヒーローっぽくないですか?(笑)

日本本社は大阪(東京支社は後楽園)
グループ全体の本社は英国ロンドン、
営業拠点は世界100ヵ国以上。ちなみにAstraZeneca全体として
医療用医薬品販売高は214億ドル・従業員6万人以上(2004年)
約1万人が新薬開発に従事して、2004年の研究開発費は
年間38億ドル以上らしいです。

ホント、グローバルメガってすごいですね。

研究開発の本部はスウェーデンのストックホルム近郊の
セーデルテリエ市。研究所は日本にありません(涙)
9つの主要研究所を持っていて場所はスウェーデン(Lund, Moelndal)
英国(Alderley Park、Charnwood)、米国(Boston, Wilmington)
カナダ(Wilmington)、インド(Bangalore)です。

アストラゼネカジャパンの出資率は
AstraZeneca PLC 80%
住友化学工業株式会社 20%

でアストラ本社の100%子会社じゃないんですね。
日本における従業員は約2,700名
売上高 1,528億円(共に2004年度)だそうです。


アストラゼネカ株式会社の主な医薬品
(すべてが日本で売られているわけではないかも)

循環器(CV)
商標(一般名) 主な適用
Atacand (*1武田薬品よりライセンス)
(candesartan cilexetil)
対象疾患:高血圧 アンジオテンシンII拮抗剤

Zestril (Merc & CO., Inc. よりライセンス)
(lisinopril)
対象疾患:高血圧、心不全、糖尿病性腎症 ACE阻害剤

Plendil(felodipine)
対象疾患:高血圧 カルシウム拮抗剤

Seloken/Toprol-XL(metoprolol)
対象疾患:高血圧、狭心症、心不全 βブロッカー

Exanta(ximelagatran)
対象疾患:外科手術に伴う静脈血栓予防
経口のトロンビン直接阻害剤

Crestor (*2シオノギ製薬よりライセンス)
(rosuvastatin)
対象疾患:脂質異常 HMG-CoA 還元酵素阻害薬

消化器(GI)
Losec/Prilosec(omeprazole)
対象疾患:胃酸関連消化器疾患
プロトンポンプ阻害剤。

Nexium(esomeprazole)
対象疾患:胃酸関連消化器疾患
omeprazoleの次のプロトンポンプ阻害剤のようです

感染症
Merrem/Meronem(住友製薬株よりライセンス)
(meropenem)
対象疾患:重篤な感染症  抗生物質

神経科学
Diprivan(propofol)
静脈麻酔剤。全身麻酔の導入・維持、集中治療中の鎮静

Naropin(ropivacaine)
局所麻酔剤。手術麻酔、急性疼痛管理

Seroquel(quetiapine)
非定型抗精神病薬他の精神障害

Xylocaine(lidocaine)
局所麻酔。外科、歯科領域

Zomig(zolmitriptan)
対象疾患:偏頭痛


がん
Arimidex(anastrozole)
対象疾患:乳がん アロマターゼ阻害剤

Casodex(bicalutamide)
対象疾患:前立腺がん 抗アンドロゲン剤

Faslodex(fulvestrant)
対象疾患:乳がん エストロゲン受容体拮抗薬

Iressa(gefitinib)
対象疾患:非小細胞肺がん シグナル伝達阻害剤

Nolvadex(tamoxifen)
対象疾患:乳がん  抗エストロゲン剤

Zoladex(goserelin)
対象疾患:前立腺がん、閉経前乳がん、良性婦人科疾患、人工授精補助
LHRH アナログ


呼吸器・炎症
Accolate(zafirlukast)
対象疾患:ぜん息の長期管理薬 経口ロイコトリエン受容体拮抗剤

Oxis(formoterol)
対象疾患:ぜん息の症状緩和
即効性の長時間作用性吸入気管支拡張剤

Pulmicort(budesonide)
対象疾患:ぜん息の長期治療薬 吸入ステロイド剤

Rhinocort(budesonide)
対象疾患:鼻炎の長期管理 点鼻用ステロイド薬

Symbicort(budesonide/formoterol)
1つの吸入器に抗炎症薬と即効性の長時間作用性気管支拡張剤を配合した吸入剤


あー、商品構成書くだけで疲れました(笑)
結構、日本の会社が導出してますね
今夜はこの辺で。


口内炎はじめました

2005年07月21日 | 製薬会社な日常
口内炎が出来て食事をするのが
嫌なほどいたいです。
ダメだって、能力の高くない人間に
キャパシティ以上の仕事させちゃ

オーバーワークのせいで口内炎できちゃうんだから(涙)
精神性の口内炎ってことだと診断しました
え、誰が診断したかって?SIUが勝手に(笑)
強い子だからがんばります

やはり忙しい

2005年07月20日 | 製薬会社な日常
通常の勤務時間だけで終わらないために
論文合宿までやってがんばったんですが
それでも忙しさは緩和できず
相変わらず仕事は山積みで、ブログの更新ができない日々…

今までで一番の低頻度更新となっていますが
それなりにやっていきますので…
…生暖かい目で見てください(笑)

論文合宿

2005年07月18日 | 製薬会社な休日
3連休のうちに、ぜんぜん更新できませんでした…
合宿に行ってたんです
(怪しい自己啓発セミナーに引っかかったわけでなく笑)

論文合宿

「論文合宿」ってなにかって?
いや、論文を書くためにおこもりすることです。
売れっ子作家さんのように。
(SIUは今回、論文書いてないですけど。書くほどデータないし涙)
友人の研究室の人が論文を書くのに乗じて
みんなで連休中泊まりこみで勉強しに行ってました。
受験生のような生活、いや山籠りか?(笑)

別に教えあったりするわけではないのですが(わからなきゃ聞くけど)
人が仕事や勉強していると、、自分もサボれなくてはかどります。
みんなでご飯作ったり、多少出かけたりで遊びの要素もありますしね!
楽しくタメになりました。

ちなみにSIUは山ほどの仕事と多少の総説をもっての
山籠りでした。え、もちろん日本語メインで
英語は苦手とです(笑)