「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

キリン、協和発酵を買収を決定

2007年10月22日 | 製薬業界トレンド
読売オンラインより
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キリン、協和発酵を買収(2007年10月22日 読売新聞)

31日からTOB開始

 キリンホールディングス(HD)は22日午前、医薬品大手の協和発酵工業を買収すると正式発表した。キリンHDは今月31日~12月6日に行う株式公開買い付け(TOB)などで協和発酵を子会社化したうえで、2008年10月1日付で医薬品子会社のキリンファーマと合併させる。協和発酵の買収により、国内で初めて売上高2兆円を超える総合食品メーカーが誕生する。
 買収にあたり、キリンHDはまず、TOBで協和発酵の発行済み株式の27・95%の取得を目指す。さらに、キリンファーマと協和発酵の株式交換によって協和発酵を子会社化したうえ、キリンファーマと合併させる。合併で誕生する新会社へのキリンHDの出資比率は50・10%にする。協和発酵の株式の上場は、新会社が引き継いで維持する方針だ。
 キリンHDは主力のビール事業が頭打ちとなる中、医薬品や食品など事業の多角化を進める姿勢を一段と鮮明にする。新会社の医薬品事業は売上高2000億円規模となる。
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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20071022mh06.htm

↓これは正式にキリンと協和発酵が出した文書
詳しく見たい人はリンク先へどうぞ
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協和発酵グループとキリングループの戦略的提携について
~医薬事業を中心とした提携により両グループの強みをいかし、
シナジーの最大化を目指す~
http://www.kirinholdings.co.jp/news/2007/1022_01.html
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早いですね正式発表。噂というかそういう記事が出てから
正式発表がこんなに早かったのはSIUの記憶には無いです。
日本における、代表的な抗体医薬メーカー合併ということで
注目度が高いですね。抗体とsiRNAが次世代の医療品だという
人がいるくらいですから。

ただわからないのは同じ抗体を得意とするもの同士が結びついて
どのくらいのメリットになるんでしょうか?
低分子コンパウンド(普通のお薬ですね)を得意とするけど
抗体は苦手な会社、例えば武田が買収した方がシナジー効果でやすそうですが
いかがですかね?
SIUが理解していないメリットがあるのかな…

抗体医薬を進めるに当たって、相手方のパテントや技術があると
飛躍的に事業の成功確率が高まるモンがあるのかもしれませんね。
完全に技術屋さんからでしかない目線ですが(笑)
経営的なメリットとかわからんしね(涙)



オサレ・カフェ

2007年10月21日 | 製薬会社な休日
久しぶりにお気に入りのカフェに来てます。
…一人で(笑)

こじんまりしてて妖しくて(笑)
少しいかないと模様替ええされている
そんなお店。
飲み物もご飯も美味しいです。
もし筑波に来ることがありましたら
行ってみるコトをお勧めします。





…あ、店の名前書くの忘れてた(汗)
H2Oと言うカフェでゴザイマス。
たくさんで行くより2・3人位で
行くことをお勧めします。
まあ一人でもいいけどさぁ(笑)

キリンが協和発酵を買収?

2007年10月20日 | 製薬業界トレンド
久しぶりの(?)合併話題。

時事ドットコム
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2007/10/19-08:36
キリン、協和発酵買収で交渉=グループ連結売上高2兆円超に-医薬品事業を強化
 ビール大手のキリンホールディングス(HD)が、発酵化学大手の協和発酵工業を友好的に買収する方向で交渉を進めていることが19日、明らかになった。少子高齢化に伴う市場縮小で主力の国内酒類事業が伸び悩む中、利益率の高い医薬部門を強化し、グループ全体の収益力向上を目指す。買収額は3000億円を上回るとみられ、実現すればグループ全体の連結売上高が酒類・飲料企業としては初めて2兆円を超える巨大食品・医薬グループが誕生する。(後略)
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http://www.jiji.com/jc/c?g=ind&k=2007101900139

日経の朝刊でこの記事が出たらしいけど、どうなんですかね
シナジー効果でるのかな?
協和に少し知り合いがいるので気になります。
あ、キリンもいるか。何年も連絡とって無いけど(笑)

進路相談(製薬向けの大学院選び?)

2007年10月19日 | 製薬研究職を目指す人向け
コメント欄で、こんな相談がありました。
回答を書いていたら、えりゃー長くなってしまったので
本記事にさせていただきたいと思います。
(多少省略させていただいてます)

悩み (4年生様)
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いきなりで恐縮なのですが悩みがありまして
今私は旧帝国大学の理学部生物学科の4年生なんですが
同じ大学の医科学修士に進学するか悩んでいます。
将来的には製薬会社に研究職として就職したいんですが、
大学院を4年の時の研究室から変わるとあまり印象がよくないんじゃないかと
よく言われるのが気になります。研究自体は医科学修士のほうが興味があるのですが・・・。
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SIU回答
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<大学院選び>
4年生様、こんにちは。
いきなり結論から言うと研究室を変えても問題ないとおもいますよ。
自分のやりたいことをするのが一番です。
なぜ不利にならないかというと…
時間があるときにまた書きます(笑)
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SIU追記:ひどい回答だ(笑)


4年生様、再度質問
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ご返事ありがとうございます。
ものすごく気になります。
最近の流れ的に、もうそろそろ決断しなければならないので
早く時間があるときが来るよう望んでいます(笑

具体的に言うと今の研究室に残れば細胞を扱うことになり、
医科学修士に行くと癌遺伝子をノックアウトしたマウスを解析したり、
造血系をノックアウトしたマウスの解析をしたりします。
高校生の頃から製薬で働くのが夢だったので(大げさですが)
就職に有利になる方に行きたいと思っています。

大学院を変わるとESを出す時点で半年強しか研究をしていないので
不利かなーと言う思いと、マウスを扱った方が有利なのかなー
という思いが交差して非常に苦悩しています。
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SIU、再度回答(この記事にて初掲載)
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4年生さん、こんにちは。
そしてお返事が遅すぎて、申し訳ないっす。
「もう返事なんか役に立たないよ」という時期かも
しれませんが、お返事を書きます。

先に述べたように研究室を変えるそのこと自体は有利でも
不利でもないと思います。

理由はいくつかありますが
現在いる研究室のアクティビティが
低いのであれば、高い研究室に鞍替えした方が
色々なものを獲得できますよね。
その場合は変えたほうが良いと思われます。

会社がもし研究室を変えた人間をマイナスに見るとしたら
「目的も無くあっちこっちにいって、足場の定まらないやつだなぁ」と
思われたときではないでしょうか?

逆に言えば自分の中で研究室を変える理由をきっちり持っていれば
何の心配も無いとと思います(たぶん)。
逆に新しい物というのは、えてして境界領域に生まれますから
研究室を変えることが将来、自分の「売り」に繋がるかもしれませんね。

>大学院を変わるとESを出す時点で半年強しか研究をしていないので
>不利かなーと言う思いと、マウスを扱った方が有利なのかなー
>という思いが交差して非常に苦悩しています。

極端な言い方をすると会社は修士に入ってから
半年しか立っていない人間に
研究成果を求めることは少ないと思いますよ。
(無いとはいいませんが…)
SIUは入社ん年目ですが会社に入っての実績は(涙)
まあそれは置いておいて(笑)

就活はむしろ「今ある材料でどんなことを考えているか?」という
テストに近いと思います。
だから手持ちデータが少なかったら、バックグラウンドデータを
しっかり提示して、手持ちデータが未来にどう繋がっていくか
今後の研究をいかに見据えているかをアピールすべきだと思います。
(抽象的な説明ですみません)

もちろん薬に近い分野にいた方が有利な部分もあるかとは
思います、ただSIUの知り合いに大学時代は植物の研究をやっていて
入社して、初めてmouse/Ratに触った子もいますが
今じゃいっぱしの薬理屋さんです。
そういう人もいるので、なにをやってたから有利というのは
一概に言いきれない部分が多いんです。
むしろ意外な知識を持っているので重宝されたり…
だからSIU個人の意見としては
「好きなことをする」ということをお勧めしているわけですね。
というのは、まず「楽しい」⇒そして「身に付く」
思うから、ただそれだけです。

だから四年生さんが単純に、ガン遺伝子のKO miceの解析が
面白そうだったらお勧めです。
でも細胞を使った実験でも薬屋になるには役立つ技術が満載ですよ。

具体的に細胞名やターゲット名(評価するものも含めて)を
出すのは、SIU個人の業務内容が透けて見えてしまうので
難しいのですが、製薬会社にて細胞を扱っていても
解けない問題、解決したいことって山積みなんです。

例えば、細胞にGPCRを発現させて薬物を作用させcAMPもしくは
Ca2+の増加(もしくは産生抑制)を追うことにより薬物の評価をすることは、
どこの製薬会社もやっていることです。
ちょっと調べるとHTSのための論文もたくさんでてると思います。
(とはいうものの、これらの評価系構築に関してはSIUは詳しくなかったりする_笑)

しかしCHOやHEK293にレセプターを発現させる
(場合によってはGsとかも共発現させる)
という系は、本当の意味でHITの化合物を拾っているのか?
という問題があったりします。
そのために実験目的に最も適したモデル細胞を
いかに選ぶか?がお仕事になったりするわけですね。

でも簡単に使える細胞はみんな使えてしまうので、自前でしか出来ないような
モデルを作りたい。
例を出すと、どうしても株化したモデル細胞では測定因子が安定しないから
なるたけプライマリーな状態の細胞を個体から採取かつ、維持して
それで薬物の評価をおこない、そのデータが安定して再現するとしたら
これほど薬屋さんとして欲しい技術は無いですよ。

もちっとヒントを出すとすれば、
複数の細胞を同時にカルチャーすることによって
パラクライン的な相互作用を起こすことを可能にして
測定項目の分泌物を安定させるとか。
(例えばですよ、出来なくても責任取れません_笑)

すみません、かなり寝不足なんで文章の推敲が足りないですが…
ようは「視野が広いと興味も広がる、だからどっちに行っても良し!」って
まとめで一つどうでしょうかね。
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以上