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「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

ファイザーがワイスを買収

2009年01月29日 | 製薬業界トレンド
話題にするのが数日遅くなりましたが
ファイザーがワイスを買収することが本決まりです。
(具体的なことは下記リンクへ)
米医薬品大手のファイザー、ワイスを買収へ(ロイター)
ファイザー、ワイス買収しても2011年問題の解決ならず(日経NET)
米製薬大手ファイザー、同業大手ワイスを6兆円買収(asahi.com)
米ファイザーを格下げ、ワイス買収計画受け=フィッチ(ロイター)


数年前にビックファーマを読んだときには大げさに書かれているなぁと思っていたのですが
書かれていたことは現実であったのかなと、考えを改めなくてはならないと思っています。
具体的には「薬を作り出す」会社ではなくて「薬(もしくはパイプライン)を持っている会社」を買い取り
現金化する会社
、一種の投資会社のように見える。
愚直な考え方から批判するのであれば、製造業は他に先んじる魅力ある製品を作れないと
収益を上げ続けるのは難しい(かつてのウォークマンや現代のi-phoneなど)
結局、営業力も宣伝力も本当に力のある製品を覆すことはむつしい。
(…なので、オクスリツクル製薬のMRさんにはSIUは足を向けて眠れない)
だから先日のように研究開発部門を切り離すのが最適化は疑問である。
もちろん研究部門は聖域化されやすいので、きちんとコスト管理はしなきゃいけないのだが…
(自分が研究所にいるのでバイアスのかかった意見です)

違う一面から見るとワイスは現在余り魅力的な物件に見えない(上市品は特許切れ間近だし、パイプラインも貧弱)。
その辺は日経NETにも書いてあるし誰でも思いつく。
そう考えると単に巨額のお金を投資する投資会社としてファイザーを見ても
いいオペレーションをしたとは思えない。
研究現場の感覚だと、世界のTop20位に入る製薬会社なら技術力にそう大差はないだろう(SIUの感覚以外の根拠無し_笑い)。
siRNA、抗体、再生医療(ES細胞やiPS細胞を含む)は多少は差があるが特許のことを除けば
ワイスほどの大きい企業じゃなくて、もっとお買い得なベンチャーは沢山ある。
それを買い取って社内に大量にいるPhD(なんせリストラするほどいる)を使って数年で追いつくのは
そんなに困難ではないと考えられる。

穿った見方をすると、買収の連続により金利負担は増えるが損金を表に出さないまま
退職を迎えることが出来るストックオプションを持つ経営陣ではないかと
しがないヒラ研究員のSIUは思ってしまうのです。



製薬会社における合併の真の価値とはなんぞや

2009年01月15日 | 製薬業界トレンド
Pfizer(ファイザー)のリストラですが、昨日の記事に対して
Thor様がコメントされた
「atorvastatinの成果のためにPfizerに買われて、Pfizerの事情で解雇された」
というご指摘はまさに的を射ている
見事な表現だと思います。

メガファーマはじゃぶじゃぶとあふれている手元資金で
買い物を沢山しました。そのことはイニシャルコストだけでなく
ランニングコストが増大することを
MBAを有する秀才たちが気づかないとは思えません。
「赤信号みんなで渡れば…」という気持ちだったのでしょうか?

成功報酬目がけて最大限にレバレッジをかけたことによって
サブプライムの破綻を引き起こした投資銀行の経営陣と構図が類似しているように思えます。
(一見正しいように見える成功報酬の隠れた問題点に関しては、サブプライムの破綻前から
山崎元さんが指摘されていて以下の文章に詳しいです⇒成功報酬について考える

M&AにつぐM&Aは時価総額を大きくしていくための自転車操業
だったのかもしれません。
ストックオプションや高額の給与・ボーナスを持ち逃げしてしまった
経営陣はともかく、会社都合で首を切られる研究員は…
日本にも合併して大きくなった会社は沢山あります。
それらはpipelineの拡充だけでなく真の意味で会計が改善方向に向かったのでしょうか?
もしそうでなければアメリカで起こっていることは、対岸の火事ではありません。

あとから政策・方針を批判していくことは、すこしずるいのでこれで打ち止めにしますが
自分自身を顧みて一研究者としてどのようなスキルを磨き、どのように荒波を乗り越えて
いくべきでしょうか?答えは無いです。「研究成果を出す」に加えてなにをするか
「オラ研究者だから経済のことわかんね」とも言ってられない気がします。

ファイザーが研究者800人を解雇

2009年01月14日 | 製薬業界トレンド
アメリカにてリストラの嵐が吹き荒れていますが
製薬業界も例外ではなく、巨人Pfizerが更なるリストラです。


米ファイザー、研究者800人を解雇へ-研究開発部門再編の一環

(1月13日 ブルームバーグの記事より抜粋)
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世界最大の製薬会社、米ファイザーは13 日、がんや脳疾患、糖尿病の治療薬開発に集中するため、
研究開発部門の8% に相当する800人の研究者を解雇することを明らかにした。
(中略)
昨年はミシガン州アナーバーの研究所で1200人の研究者を解雇した。

同社は高脂血症治療薬「リピトール」など主力製品の特許切れを控え、
これに代わる大型新薬の開発に苦戦している。ジェフリー・キンドラー最高経 営責任者(CEO)は
2006年の就任以降、1万4000人余りの人員削減を実 施しており、研究部門の再編を推進している。
(後略)
---------------------------------------------------------------------

米国の金融状態の悪化だけでなく、高脂血症治療薬リピトール(Lipitor)の特許切れに
トルセトラピブ(torcetrapib:CETP inhibitor)が間に合わなかったこと
というか、開発がストップしてしまったことが大きかったのでしょうね。。。
なんせ単剤のPhaseIIIと平行して合剤(リピトール+トルセトラピブ)まで
臨床に載せていましたから…

必ずしも米国式のメガファーマが一番ではないということかもしれません。
ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実(リンク先はAmazonです)
はSIUが以前読んだ本なのですが、今後の米系製薬企業一つの示唆になると思います。
NEJMの元編集者が書いたというのも興味が持てるところ。

まあ内資製薬会社の研究者にもリストラの嵐は人ごとではないんですけどね…(涙)

万有つくば研究所閉鎖(09年12月までに)

2008年10月23日 | 製薬業界トレンド
とうとう万有も研究所閉鎖です。。。
COX-2 inhibitorの賠償地獄から立ち直り
もう少しすれば日本でもジャヌビア
[一般名:sitagliptin(シタグリプチン)DPPIV inhibitor(糖尿病薬)]が
発売されて楽になったはずなのに・・・
(最近調べてないけどまだ日本で出てないよね?)
それでも状況は変わらなかったのかな。

万有製薬のホームページより
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2008年10月23日 報道関係各位
万有製薬株式会社 Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.

基礎研究に関するグローバル戦略について
新たな運営モデル導入で拠点再編
2008年10月22日 - Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.は本日、基礎研究における
グローバル運営戦略を発表しました。新戦略では、長期間を見据えた戦略的アプローチを採用することで、
基礎研究活動の効率を改善しながら高い効果を生み出し、将来にわたって持続可能なパイプラインを創出する
組織作りを目指します。
(中略)
さらに、新戦略の下では基礎研究拠点は統合され、2009年12月までには米国シアトル、ローマ、つくばの3拠点が
閉鎖される予定です。これに伴い、万有製薬のつくば研究所で行われていた基礎研究活動は他の研究拠点に
移管されることになります。つくばに現在勤務している約450名の社員等に影響が出ることとなり、
対応について検討しております。

以 上
http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/corporate_1023.html
-----------------------------------------------------------

心配なんで万有の友人にメールしたら
「心配してくれてありがとう、実は僕たちも聞いたのは昨日
(SIU注:20081022プレスリリースの前日)なんだ
正直、大丈夫じゃないけど、寝込んでるってわけでもないよ。
ちなみにSIUが最初に連絡してくれました。まだ親には言ってない(笑)」


いや、かなり心配です。SIUが力になれるとは思わないけど・・・
彼は優秀なんだけど押しが弱いので心配、ってあたしゃ彼のオカンか!(笑)

プレスリリース内の「2009年12月までには」ってのが唯一の救いかな。

もう一つ別のニュースソースをどうぞ
日経ネットより
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米メルク、7200人削減 つくば研究所も閉鎖
 【シカゴ=毛利靖子】米製薬大手メルクは22日、2011年末までに全世界の従業員の
12%に当たる7200人を削減すると発表した。研究開発体制の見直しに伴い、
日本では傘下の万有製薬に所属するつくば研究所(茨城県つくば市)を09年末までに閉鎖する。
主力製品の販売がふるわないため、経費削減を拡大する。
 05年から合理化を始めたが、今回、さらに経費削減を上積みする。販売部門などを整理統合し、
全社的に管理職を25%削減。日米、イタリアで計3カ所の研究所を閉鎖する。
日本のつくば研究所には従業員が約450人いる。 (13:05)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081023AT2M2301923102008.html
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前回のリストラ↓でまだ削減が足りなかったのか
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/3bfdfbb18bd8863d7fa7b44490086c05
前回のリストラの一環がまだ続いているのか・・・

もう少しがんばれば、CETP阻害剤・anacetrapib
[(アナセトラピブ、MK-0859)高脂血症治療薬]
だってあるのに、開発段階で言えばトップ(20081023現在)なのに・・・

外資で働くことの難しさを感じます。


最近の外資製薬企業の日本研究所閉鎖/撤退のコンテンツをまとめておきます。
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GSK(グラクソ・スミスクライン)社 筑波研究所閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/07315b4fa60c2015468cfeb287ed8612
ファイザー社 愛知研究所閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/fccdd890799b97acd37e5339ecaed4c3
万有製薬(メルク)工場閉鎖
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/61be48abcc46903e88d7ba0bb26620ff
http://blog.goo.ne.jp/siu3siu3/e/6c586d38b3e6bd458428c6e511238d88
**************************************************************************


<補足>
JANUVIA
製品名:ジャヌビア
一般名はsitagliptin(シタグリプチン)
メルクが作った(メルクは日本だと万有)
ファーストインクラスのDPPIV inhibitor(糖尿病薬)
アメリカでは承認済み(2007.4.5現在)
ヨーロッパは忘れました(笑)

DPPIV inhibitor
いまんところ最新の抗糖尿病薬
日本未承認(2007.4.5現在)。
薬効・薬理を説明しだすと、長くなるので
省略(笑)
さわりだけ解説すると、酵素であるDPPIV(ディーピーピー・フォー)を
阻害して、GLP-1分解を妨げるところが作用点。
DPPIVがアクティブな状態だとGLP-1はあっという間に分解されてしまいます。
余談ですが注射剤のGLP-1 アナログはここが分解しにくくなっているんですね。

ベーリンガーがベンチャー(アクティミス)を買収

2008年06月18日 | 製薬業界トレンド
また買収案件です。。。
Boehringer Ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム)です。

NIKKEI NETより
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独ベーリンガーインゲルハイム、バイオテクノロジーの非上場ベンチャー企業の買収計画を発表
ベーリンガーインゲルハイム、アクティミス・ファーマスーティカルス社の買収計画を発表

2008年6月17日  ドイツ/インゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムはこのほど、同社がアクティミス・ファーマスーティカルス社を買収する旨、両社間で合意に至ったことを発表しました。アクティミス・ファーマスーティカルス社はサンディエゴ(米国カリフォルニア州)を拠点とするバイオテクノロジーの非上場ベンチャー企業です。買収は段階的に進められ、アクティミス・ファーマスーティカルス社が喘息を適応症に開発するAP768の開発マイルストンの達成に応じて、持株比率を高めていく計画です。現在フェーズIにあるAP768が成功裡にフェーズIIIに至った段階で、ベーリンガーインゲルハイムはアクティミス・ファーマスーティカルス社を完全買収することになります。買収総額は5億1,500万米ドル相当となる見通しです。

 AP768は、喘息やアレルギー性鼻炎治療の新たな標的であるCRTH2(マウスTH2細胞に発現する化学誘引物質共役型受容体)に作用する化合物です。現在実施中のフェーズIに先立つ前臨床試験では、複数の動物モデルにおいて、現在市販されているロイコトリエン受容体拮抗薬と比べて、より有効性の高い作用機序であることが示唆されました。

 「アクティミス・ファーマスーティカルス社の化合物は、呼吸器系領域でベーリンガーインゲルハイムが持つ充実した開発ポートフォリオを更に補完するものです。COPD治療の進歩に大きく寄与したスピリーバ(R)など、ベーリンガーインゲルハイムは過去何十年にもわたり、呼吸器系領域での研究開発に強みを発揮してきました」と、ベーリンガーインゲルハイム取締役会副会長、医薬研究開発担当取締役のアンドレアス・バーナー博士は述べました。
(中略)
ベーリンガーインゲルハイムについての詳細情報は:
 www.boehringer-ingelheim.com (ベーリンガーインゲルハイムグループ)
 www.boehringer-ingelheim.co.jp (日本ベーリンガーインゲルハイム)
からご覧いただけます。
---------------------------------------------------------
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=191968&lindID=4

買収総額は5億1500万ドル(約556億円)らしいです、referenceは薬事日報。
http://www.yakuji.co.jp/entry7125.html

ちなみにベーリンガーインゲルハイムとは、1885年に設立、ドイツのインゲルハイムに本拠を置く
世界約50ヵ国に143の関連会社を持つ世界でトップ20の製薬企業の一つ。
2007年度の売上高はおよそ110億ユーロ(約1兆7700億円)だそうです。
1兆7700億円っていくらですか?(笑)SIUには金額が大きすぎてワカランです…

さらにアクティミス・ファーマスーティカルスは、独バイエル・ヘルスケアからスピンアウトした
バイオベンチャーで、三井物産ベンチャーパートナーズなどが出資しているらしいですよ。
日本にも旧バイエルの研究所があったじゃないですか、それがいまアクティミスに所属していると
何かで読んだ気がしますがreferenceをすぐに示せないので、話半分で(笑)
まあ、ファイザーからスピンアウトした愛知の研究所が外資に買われたみたいなイメージですな。

第一三共がRanbaxy Laboratoriesに買収提案

2008年06月12日 | 製薬業界トレンド
来ましたね第一三共、大型買収です。相手はワールドワイドな後発品薬メーカー
Ranbaxy Laboratories Limited(ランバクシー・ラボラトリーズ)。

簡単な概況
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第一三共、後発薬事業5000億円に 12年メド(NIKKEI NET)
 第一三共の庄田隆社長は12日に都内で記者会見し、2012年に後発医薬品(ジェネリック医薬品)
事業が5000億円強になるとの見通しを示した。後発薬が主体のインド製薬最大手、
ランバクシー・ラボラトリーズを最大5000億円で買収することが寄与する。(後略)
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hotnews.aspx?site=MARKET&genre=c1&id=AS1D120AG%2012062008
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もちっと詳しい記事はこちら↓
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Voice of India
2008/06/12 THURSDAY 19:17:49 JST
〈東京〉 インド最大の製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズを買収した第一三共の庄田隆社長と、
ランバクシーのマルビンドラ・シンCEOが12日、都内で共同記者会見を行った。
第一三共は、ランバクシー・ラボラトリーズおよびその創業家(シン一族)と、
ランバクシーの株式の50.1%以上を買収することを目的とする契約を結んだことを11日に発表していた。
ランバクシー・ラボラトリーズは第一三共の連結子会社となる。(後略)
http://www.voiceofindia.co.jp/content/view/1312/74/
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激しい動きになってきましたね、M&A.
さて、では最近の動きをおさらいしてみましょう。

最近の内資による買収のおさらい
<武田>
Millennium Pharmaceuticals, Inc.(ミレニアム・ファーマシューティカル社)を
なんと約88億ドル(約8900億円)で買収。(すごいキャッシュフローのパワーだ!)
あとはAmgen(アムジェン)日本法人を買収してますね。これは日本法人に加えて現在臨床を進めている
アムジェン化合物の日本における開発権付き、買収金額は非公開。
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/071127/14523.html

<アステラス>
癌領域の抗体医薬を専門とするベンチャー・Agensys, Inc.(アジェンシス)を買収。
価格は3億8千7百万ドル(約400億円くらい?)。
http://www.japancorp.net/Japan/article.asp?Art_ID=40982&cid=28595

<エーザイ>
癌領域の重点テーマ化を進めるためにMGI PHARMA, INC(MGIファーマ)を買収。
買収金額は約39億ドル(約4300億円)
http://www.yakuji.co.jp/entry5222.html

最近の買収案件についてまとまっているページ↓
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200806120013a.nwc
*買収金額等はネットの報道から引っ張っておりますので信憑性等に関する判断は
自己責任でお願いします。

と最近、内資製薬企業の海外ベンチャー~中堅メーカーの
買収案件が多かったですが、これも大きい規模ですね。
買収金額5000億円というと、特許が切れていないARBの売り上げが500億くらいだから
その十倍ですよ、そうぞうつかないな。海外の企業の買収の場合のれん代ってどうなるんですかね?
あと株式上場してない時ののれん代って発生しないのかな?

第一三共⇒Ranbaxy Laboratoriesに関しては割と好意的な報道が多いようですね
SIUの感想としてはインドに橋頭堡を築く戦略としてとしてはgood!って感じでしょうか。

少し考えてメリットをあげると
1. 第一三共が持たない販売網を各国に築いている
2.第一三共と被らない特徴のある会社である、相互補完性を持つ(後発品に特化)
3.これから有望なマーケットであるインドの会社である

っていうメリットがあげられるのですが
ミレニアムの半額って考えると安いとも言える気もするなぁ。
ミレニアムがいいコンパウンドを持っているかはわからないので
そうゆう意味ではランバクシー購入の方がバクチ度は低いのかな。

他の会社は化合物(もしくは抗体)付きの会社を買った感じ
今回の件は純粋に事業形態としての『会社』を買ったという感じでしょうか。

アステラス・武田に比べ海外戦略にノウハウ・人材が乏しいように感じられる
第一三共ですが、果たして巨大外資メーカー(しかも後発品に特化している)を
マネージメントしきれるか?お手並み拝見ですね。

研究者にせよバックオフィスにせよ、日本と他国のカルチャーの違い
第一三共とランバクシーのカルチャーの違いが埋められるでしょうか?
うまくマネージメントできれば化けるかもしれませんが…
こりゃ、各国の(海外の)ランバクシーの現地支社に赴きコントロールすることになる
現場の人は想像を絶する苦労をするのではないかと…。SIUに出来ないだけか(涙)

と、まあ偉そうな事を言ってもランバクシーの企業文化なんてSIUは知る由もありません(笑)
大成功してインドの研究所で日本人引っ張りだことかになるといいのになぁ(←馬鹿げた妄想)

「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その3.5

2008年02月22日 | 製薬業界トレンド
『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その3.5』というか
まあ記事を書いてみての感想みたいな物です。

書き終えてから感じたのは「SIUさんは富士フィルムの経営陣に
恨みがあるのですか?」と
「それともイーストマン・コダックからお金貰ってるんですか?(笑)」という
くらい感情的に攻め立てているなぁと思った訳です、我ながら(汗)
これは反省点ですね。

その時々の経営判断というのはありますから、現在の状況
(昔のディシジョンに対する回答)を
知っている状態で、上から物を言うのはアンフェアだなと思いました。

富士フィルム嫌いじゃないのになぁ、小学生の頃には近所にある
富士フィルムのグランドに勝手に入り込んで走り回ってたし
むしろ感謝なのですが(笑)

大学時代にはBAS2000というイメージアナライザーを、RIを用いた
サザンブロッティング・ノーザンブロッティングの解析に使っていたし
(それにしても高い機械であった、のちにアマシャムのマシンに乗り換え)
富士フィルムの現事業体系が分子生物学的・医学的な事業に近いという
ことも理解しているつもりなんですよ、SIU的には。

ただあまりに既存のマスメディアが、発表を垂れ流しというか
吟味してない感じがしたので、フラストレーションが溜まったというか。。。

ただ現段階でもsynta社への投資が選択枝に無いようなら
自分たちの過去の判断とは向き合いたくないのかなと感じたんですよねぇ。

そして何もよりも現Synta社の古屋圭三氏ような状態に
研究者が追いやられたらすごい切ないなぁと。
異業種からの参入で、ものすごい苦労をして新規事業を立ち上げ
やっと先が見えてきたところで「経営判断だから」(社内力学を含む)
ということで、突然ストップをかけられた者の
悔しさといったら・・・、「現場を舐めるな!」ってなもんですよ、たぶん。

ちなみにデザイナーをやってるSIUの友人は、理不尽な上司に向かって
「クリエイティブを舐めるな!」と啖呵を吐いたそうです。
SIUにはできん(笑)
ちなみに彼はいま独立してます。サアヤちゃんのためにも頑張っておくれやす。

まあ結局、感情的な物言いになった原因は古屋氏がしたであろう
悔しい思いを追体験したからだったのかな。
大人になりましょうね、SIUさん。ハイ。と自分を諭して本日は終わりたいと思います。

「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その3

2008年02月20日 | 製薬業界トレンド
『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その1』(2008.2.13)
『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その2』(2008.2.14)の
続きです。

どこまで書いたっけ?(笑)
そうそう、今回の富山化学買収の話が出る前から
医薬品事業に乗り出す気は伺えた、、、
だけでなく、1990年代からすでに乗り出していた。
それの証拠として、抗がん剤の論文を
『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その2』で
示しました。

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*ちなみにこの記事はbiotoday様の存在無しに、作成することは不可能でした
運営者の清宮様に感謝の意をささげます。
と同時に、皆さんにも定期的なチェックをお勧めいたします。
ちなみにSIUは最初無料部分しか呼んでませんでしたが、後に会社にゴリ押しして
会社のお金でライセンスを購入させていただいてます。
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さて本題へ…
富士フィルムが当時、医薬品事業に参入するメリットについての説明。
元富士フィルムにお勤めで、現在、後述するSynta社 上級副社長 古屋圭三氏の
コメントをお借りすると

「カラーフィルムの化学は、ファインケミストリーの究極の世界であり、分子設計、
分子反応、分子配列制御等、医薬に通じるサイエンスがあるばかりでなく、
医薬メーカーも驚くほどの多彩な分子から成る数十万個とも言われる
化合物ライブラリーをも生み出していました。」

とのことです。たしかに化合物ライブラリーという意味で捉えると
製薬会社が持っているライブラリーが似通ってしまうことに比べ
ファイルムメーカーはまったく方向性が違う合成を行っているため
良きにつけ、悪いにつけまったく違うライブラリーになることは
想像に難くありません。

イーストマンコダックがスターリングドラッグを買収して、医薬品事業に参入したのも、同様の理由だそうです。

日本で行われている大学化合物ライブラリープロジェクト(正式名称は忘れた_涙)も
コスト的には企業で手をださないような変わった化合物が、大学の研究室には
眠っている、だからそれを民間も使えるようにしようというもので
「変わった(変な)ライブラリーの価値」という意味では同じですね。

さて皆さん、先ほど出てきたSynta社(シンタ社:Synta Pharmaceuticals)という会社をご存知でしょうか?
アメリカの医薬品ベンチャー企業です。
http://www.syntapharma.com/

ちなみにSIUは不勉強のため、biotodayで古屋圭三氏のインタビューを
2006年に読むまで知りませんでした。

どんな会社かというのは上記アドレスに飛んでいただき
会社概要を読んでいただければと思いますが

最新のSynta社の状況をbiotodayから抜き出すと
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Synta社 メラノーマ治療薬候補がFDAから希少薬指定された
2008年1月28日、Synta Pharmaceuticals社と
GlaxoSmithKline(グラクソスミスクライン)社は、
転移性メラノーマ(黒色腫)の治療薬として elesclomol
(STA-4783)がアメリカFDAから希少薬指定されたと発表しました。
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=24699
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自社で抗がん薬を生み出し、かつGSKに導出しているという
かなり実力のあるベンチャーであることがわかります。

なんでSynta社の話を突然しだしたか?

それはこの会社、現在、臨床試験も終わらしたような化合物を有して
かつメガファーマ(この場合GSK)に導出までしている企業が実は
元は富士フィルム社製のベンチャーなんですね。
つまり富山化学を購入するまでも無く、ベンチャー創成に成功していた
いや、成功の尻尾はつかんでいたんです。。。
下はSynta Pharmaceuticals社の成り立ちです。
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Synta Pharmaceuticals
(America Massachusetts州Lexingtonにあるバイオテック企業)

1992年に富士フィルムがHarvardのDr. LB Chen, MITの利根川進氏とともに作った
Fuji Immuno-Pharmaceuticalsがその源。
1997年に医薬から撤退をした富士フィルムから
塩野義製薬が51%のオーナーシップを持つ米国子会社として買取り
Shionogi BioResearchとして再スタート。
2002年に塩野義がSBRをクローズし
100%アメリカ資本としてSynta社となった。
---------------------------------------------------------------
*Haru様のブログ「バイオベンチャー創業記」にSynta Pharmaceuticals社の
成り立ちがとても簡潔にまとめられていたので【2006/09/17の記事】から
抜粋・改変させていただきました。謹んでお礼申し上げます。
(参照先)http://tng.blog37.fc2.com/blog-entry-128.html

実は富士フィルムは1990年前後に医薬開発に乗り出していたんですね。

当時の富士フィルムが医薬品事業に参入した経緯。
富士フィルム社内で医薬研究への挑戦を訴える方は複数いたようですが
なかなか実現せず、それでもなんとか期限付きで「化合物ライブラリー」を
薬のリードとしてポテンシャル評価をするプロジェクトが発足したそうです。

先に述べた、Synta社 古屋圭三氏はこの時点では富士フィルムの社員であり
このプロジェクトに参画しています。

そしてこのプロジェクトが発展し短期間のうちに(←あくまで医薬品開発という文脈で)
開発初期段階(PhaseI)でSandoz社(現在のNovartis社)に導出することが出来ました。
その化合物が「MKT-077」。前記事において紹介した論文の化合物です。

これにより富士フィルムはライブラリーの価値および医薬ビジネスの
可能性を認識しMKT-077の原末供給のためのGMP製造工場を建設。
そしてL.B. Chen教授(Harvard)と利根川教授(MIT)と共にレキシントンに
「FIP (Fuji Immuno-Pharmaceutical)社」を創設します。

残念なことにこの化合物はドロップしてしまったようですが
化合物ライブラリーのポテンシャル、そしてなにより異業種から参画したのにかかわらず
短期間で候補品を生み出した組織のポテンシャルは充分に評価できたはずです。

しかしながら…
古屋圭三氏が富士フィルムを離れ現在のポジション(Synta社)にことからも分かるとおり
富士フィルムは2000年になる前に医薬品事業から撤退しました。
それではなぜ撤退したのか?当事者でもないSIUにはそのディシジョンは
うかがい知る事は出来ません、したがって古屋氏のお言葉を抜粋させていただきます。

古屋氏のbiotdayのインタビューより
「研究開始から認可まで10年以上もかかる医薬への投資は、
短期サイクルの新商品リリースを駆使した詳細なマーケティング戦略をしてきた
企業文化では、理解し難かったし、受け入れがたかったと思います。」


医薬品事業撤退の意思決定の結果、古屋氏は古巣を離れ
子供とも言える化合物たちを医薬品にするための『旅』に出ます。
そして大変な紆余曲折を経ながら現在に至るわけです。

そして2008年の「富士フィルム、富山化学を買収」となります…

長くなりましたが、この『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察』

SIUが言いたかったこと
「たしかに富士フィルムが医薬品事業の参入する、といえば聞こえはいい。
だけど富士フィルムの医薬品事業への係わりの整合性はどうだろうか?
平たく言えば自社の歴史に学んでいるか?もっといえば
Fuji Immuno-Pharmaceutical社(後のSynta社)を
売却したのはミスディシジョンではなかったか?
もし売却していなければ2008年の時点ですでに医薬品事業は花が咲いているのではないか?
これまでのベンチャーや富山化学に対する投資効率はこれを上回るのか?
あの時点での撤退は間違いではなかったというのであれば
せめて再度、かって知ったる人材がいるSynta社への投資という選択肢は無かったのか?」
ということです。


あー、漠然と思ったことを文書にするのって大変ですね(汗)
大筋思ったことをかけたと思います。いかがでしょうか?
コメントなどお待ちしております。同時に間違いなどご指摘あれば、修正いたします(笑)



*重要
下記がこの記事を書くに当たっておおいに参照させていただいた
(というより要約させていただいた、だけ?_涙)
biotdayの記事です。

とてもお勧めのインタビューです。
ただ普通に過去ログを拾って来れなかったので
一生懸命ネットの海にもぐって見つけてきました。
もしネット上にはあるものの広く公開するものではないという可能性も無くはないので
清宮氏にご指摘を受けた場合には即、リンク(アドレス)の削除を行う予定です。

Biotodayブログより
Synta社 上級副社長 古屋圭三氏インタビュー 
【第1回目】
http://biotodayreport.jcity.com/2006/03/1.html
【第2回目】
http://biotodayreport.jcity.com/2006/03/2_1.html
【第3回目】
http://biotodayreport.jcity.com/2006/03/3_1.html
【4回目】
http://biotodayreport.jcity.com/2006/04/4.html
【5回目】
http://biotodayreport.jcity.com/2006/05/

脂質異常症治療薬の先端(2008.2.15現在)

2008年02月15日 | 製薬業界トレンド
「脂質異常症治療薬の先端」という大層なタイトルをつけましたが
元々この記事を書こうとしていた訳でなく
富士フィルムの医薬品事業参入について、コメントする中で
⇒ 「他業種が自社の強みを生かせる分野に参入するという意味でJTと同じである」と記載
⇒ JT(日本たばこ産業)の現況についてコメントの必要性
⇒ CETP阻害薬について概況を話す必要性
という流れで「富士フィルムの医薬品事業参入」の記事に入れるには
大きくなりすぎたのでスピンオフいたしました。

なので脂質異常症治療薬について大きなビジョンを示すわけでなく
CETP阻害薬というのは、最も近い未来の『脂質異常症治療薬』
でありますよという事を書いた記事となります。(2008.2.15現在の話)

いろんな薬剤候補について書けないこともないのですが、Phase(臨床の段階)が
あまり進んでないものは(成功確率はさておいて)わりと数がありますし
前臨床にいたっては各社情報のコントロールがあるので正確には
誰も認識できないのです、コメントは控えます。

さてココからは未来の『脂質異常症治療薬;CETP阻害薬』の
解説とその現況(開発状況)
です。

CETP阻害薬とは簡単にいうと血中のHDLを上げる薬であり、これは
LDL低下で絶大な効果をあげたstatin(スタチン)の対を成す薬効といえます。
このことから脂質異常症治療分野ではstatinの次の薬剤として期待されており
CETP阻害薬の開発がうまくいった場合にはブロックバスターになりえると
考えられているんですね。
LDLが下がって、HDLが上がればそりゃもう良いに決まってるでしょ
ってなモンですね。

しかしながら先行していた、Pfizer(ファイザー)のトルセトラピブ(torcetrapib)は
血圧上昇などの懸念をうけて開発中止*1となり
(この影響によりPfizeはr1万人のリストラを決定、それにより日本研究所閉鎖_涙)
この薬剤(ターゲット)自体の有効性が危ぶまれましたが
さまざまな要因により(この辺はちょっと書けません、すみません)
Merck(メルク)社は自社化合物にGoサインを出しPhaseIIIの実施を決定
2008年2月14日現在では、Merck(メルク)のCETP阻害剤・anacetrapib(アナセトラピブ、MK-0859)がトップを走っています。

2番手がJT(日本タバコ産業)とロシュ(F.Hoffmann‐La Roche Ltd.)の
JTT-705/R1658となっています。

とココまで書いた時点でシェリング・プラウとバイエルが販売中のコレステロール吸収阻害剤 ezetimibe
(エゼチマイブ:商品名ゼチーア:NPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)阻害薬)に
ついても書いた方がいいかなぁ、という気分になってきたのですが
ezetimibeのことまで触れだすとキリがなくなりますので、ココでは触れません。

なぜなら部屋の外が明るくなってきて朝日が目にしみてきたからです(笑)

ezetimibeについて簡単に知りたい方はこの辺の↓解説記事なんぞどうぞ
日経メディカルより
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200705/503122.html

でも「混合型高脂血症患者に対するフェノフィブラートとエゼチミブ(ezetimibe)の併用は安全かつ有効な治療か?」っていうのも面白いんですが…
Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicineより
http://www.natureasiapacific.com/japan/ncp/ncpcardio/pp/0611/1.php

ezetimibeについてもどこかで記事にするかもしれません。


以下はアペンディックス
*1 Torcerapibの開発中止については、吉川徹氏の吉川医薬経済レポート
「07年1月号フォーカス:torcetrapibの開発中止(06.12.18.)」
www.medmk.com/mm/topic/0701e3_focus.doc
に詳しいです。吉川徹氏は毎回すばらしい情報をレポート提供してくださる偉人です。

*2 JTT-705やCETP inhibitorについて詳しく知りたい場合は
日本たばこ産業の人が書いた、下記の総説を参照にすると良いと思われます。
http://www.sugitani.u-toyama.ac.jp/sangaku/forum/souyaku17/forum17okamoto.pdf

*3 少し古いですが(2004年)「高脂血症治療剤」の研究について
詳しく知りたい方は下記PDFがボリュームもあっていいと思います。
www.cmcbooks.co.jp/books/image/p0207sample.pdf

「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その2

2008年02月14日 | 製薬業界トレンド
『「富士フイルムが富山化学の買収を発表」について考察その1』(2008.2.13)の
続きです。

富山化学の買収の一連の動きの根本的な理由としては
富士フィルムが本業であったフィルム販売という
ビジネスモデルがデジカメの台頭によって壊されていることから
別の事業、特に今自社の持っている技術を応用できるような事業を
求めているところから出てきたものだと思います。まあ、フィルム業界の
事を知らないから類推を含みますが(笑)

これはタバコ産業が先細りであるために、食品・医薬品を第2・第3の柱に
しようとしているJT(日本たばこ産業)と同じですね。

ただし富士フィルムはこの分野に手をつけ始めたばかり
(正確には違いますが、それは後述)に対しJTはすでに
医薬品事業で成果を出しているので、ステージはかなり異なります。

今回の話題の本筋とはズレますが、JTは脂質異常症治療薬(CETP阻害薬:JTT-705/R1658)
をロシュ(F.Hoffmann‐La Roche Ltd.)に導出しており
これがうまく行くかどうかが、今後のJTの医薬品事業が大成功となるかそうでないかを
握っていると思います。

富士フイルムの医薬品事業の参入について話を戻します。

実は今回よりも早く富士フィルムの医薬品事業参入の意図は
示されていたんですね。例えば書き記事参照
(薬事日報より)
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2007年04月13日
【富士フイルム】医薬品参入の第1弾はDDS抗癌剤

 富士フイルムは米国で抗癌剤の開発に乗り出した。3月中旬から米国のバイオベンチャーであるキャンジェン・バイオテクノロジーズと共同で頭頸部癌治療剤の製剤開発に着手、今後非臨床試験、臨床試験を計画しており、医薬品参入の第1弾になりそうだ。

 開発するのはDDS抗癌剤で、写真フィルムで培ったナノ粒子形成技術、薄膜形成加工技術を用いて、頭頸部癌の適応を持つ抗癌剤をゼラチンで包みナノ粒子化することで徐放性を持たせたもの。「抗癌剤包埋ゼラチン」と名付けられており、ジェル剤やクリ-ム剤、フイルムシ-トに含ませての使用が考えられている。
(後略)
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http://www.yakuji.co.jp/entry2817.html


もう一つ、富士フィルムの医薬品ベンチャーへの投資
(富士フィルムニュースリリースより)
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富士フイルム 創薬ベンチャーのペルセウスプロテオミクスに出資
抗体医薬品事業に本格参入

平成18年2月20日
富士写真フイルム株式会社

 富士写真フイルム株式会社(社長:古森 重隆、以下「富士フイルム」)は、創薬系バイオベンチャーの株式会社ペルセウスプロテオミクス(社長:松田和之、以下「ペルセウス」)による9億9,800万円の第三者割当増資を引受け、同社発行済株式の22.0%を有する筆頭株主となりました。富士フイルムは、今後、ペルセウスの持つガンや生活習慣病などの測定マーカーを用いた診断薬/システムの開発をはじめとして、抗体医薬品事業を本格的に展開してまいります。
(後略)
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http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1472.html

というわけで、今回の富山化学買収の話が出る前から
医薬品事業に乗り出す気は伺えたわけです。

(ココから本当に書きたかったことに入って行きます。)

既存の大手マスメディアの「富士フイルムの富山化学の買収」報道では
見つけることは出来ませんでしたが、実は富士フィルムはもっと以前から
(具体的には1990年前後から)
医薬品事業への参入を試みていました。

その証拠(具体例)として下記のような論文が出ています。

MKT-077, a Novel Rhodacyanine Dye in Clinical Trials, Exhibits Anticarcinoma Activity in Preclinical Studies Based on Selective Mitochondrial Accumulation
[Cancer Research 56, 538-543, February 1, 1996]

http://cancerres.aacrjournals.org/cgi/content/abstract/56/3/538

この論文のオーサーの所属組織を見ると
「Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts 02115 , and Ashigara Research Laboratories, Fuji Photo Film Co., Ltd., Minamiashigara, Kanagawa, 250-01, Japan」とあり
富士フィルムが1996年の時点で医薬品事業に参入しており、かつ
前臨床候補品としてMKT-077を作り出せていた事がわかります。
(論文かされているということは、創成自体はそれよりかなり前だと類推可能)

ではその流れは、うまく行ったのか?
最近の医薬品事業への参画と連携が取れているのだろうか?

次回ではその辺について書いていきたいと思います。