「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

ADHDについて

2006年06月30日 | 製薬会社な日常
友人のふみかさんから、こんな質問コメントがありました。

「ちょとお尋ねしたいのですが、
最近、ADHDの薬の治験広告をみたんだよね。
リタリン以外の薬で、いいのがあるらしい
って情報を耳にしたりもするんだけど、
そゆう情報ってどんなとこいったら
包括的に手に入るかなぁー」

返答コメント書いたら、すごい量になったから
メインの記事にしてしまいます(笑)

ちなみにADHDとは注意欠陥・多動性障害のこと
(Attention-deficit hyperactivity disorderの略)
もっと詳しく言うと
「注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは、注意力が乏しいか持続せず、衝動的で、年齢相応ではない状態をいいます。一部の子供には多動もみられます。」
メルクマニュアルより(http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec23/ch269/ch269i.html)

ちなみにリタリンという薬とADHDの関係はこんなことは言われているようです。
(http://square.umin.ac.jp/~jin/text/ADHD.html)

以下、SIUのコメント

「中枢は専門じゃないから確実じゃないけど
SSRI(もしくはSNRI)かな?
パキシルとか。
この間、学会でADHDに良く効くって学会で発表してた
人がいたし。
出来れば、名前教えて。

ただSSRIは児童において自殺衝動を高めるっていう
副作用をメーカーが最近認めたばかりだからなぁ。
個人的には成人でも上げる気がしているので
あまり、ADHDに適用拡大はしないほうがいいと思うのだけど。

薬の情報を包括的に調べるのは結構困難です。
今度調べておきますね。」

そして書き足りなかったので、追記。

「治験はこれかな?↓
http://www.adhd.co.jp/index.htm
イーライ・リリーが募集。

使っている薬はSNRIだね。
SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン・リアップテイク・インヒビター
何も見ずに英語を書くと、間違える自信たっぷりなので
あえてカタカナ(笑)

リリーのSNRIはジプレキサ(オランザピン)かな。
SNRIが自殺衝動をあげるかしらないけど
メカニズム的には無いとはいえない、というところでしょうか。

ちなみにSIUが学会で見たのは人のデータではなくて
Ratです。

・SHR-SPというモデルがの行動が多動的であり
ADHDのモデルとなりうる。
・リタリンやSSRIによってSHR-SPの多動を少なくする事ができる

というようなことを発表をしていました。
ただ「SHR-SPってのは脳卒中モデル動物として
有名なものだし、脳へのダメージも考えられるのでは?」という質問と
「児童におけるADHDの治療ニーズがあると思われるが、
自殺衝動を上げる可能性があるSSRIはふさわしくないのではないのか」って質問をしたんですが
あんまり有効な回答はしていただけませんでした(涙)
まあ、これは直接関係ない話ですが。」

と、ここまで書いて質問内容が
『情報の得方』を聞いていることに気づきました。
レ・ミゼラブル。
あぁ、無常。


注*上記の記述は間違えでした*
治験を行っているお薬はSNRIではなく
NRIのAtomoxetine HCl(Strattera - ストラテラ)のようです。
R!さまにご指摘いただきました、ありがとうございました(2006.7.3)

Atomoxetine HCl(Strattera)ストラテラ
【別名】(旧tomoxetine), LY139603 【開発元】Lilly  [DBR_ID]20927
【化学名】(-)-N-Methyl-3-phenyl-3-(o-tolyloxy)-propylamine hydrochloride.
【承認】FDA申請=11-Oct-2001、FDA承認=26-Nov-2002、発売=2003.1.22 ;
【製剤】Capsule contains atomoxetine HCl equivalent to 10, 18, 25, 40, or 60 mg of atomoxetine 
【適応】indicated for the treatment of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(ADHD). 
【用法用量】1)体重70Kg以下の小児:初回1日量0.5mg/Kg。 
最低3日経過後に1日最大1.2mg/Kg迄増量可能で、朝1回または朝夕2回投与。
2)体重70Kg超の小児および成人:初回1日量40mg。 
最低3日経過後に1日最大80mg迄増量可能で、朝1回または朝夕2回投与。
更に2-3週経過後、1日量100mg迄増量可能。
【作用】選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI) 
【特徴】世界初の非中枢刺激性AD/HD治療薬 
【製品情報】http://www.strattera.com/ 
【添付文書】http://pi.lilly.com/us/strattera-pi.pdf 
【EU】(英)Strattera(Lilly)承認2004.6.3,発売2004.7(欧州初)。他に米国、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチンなどで販売。 
【日本】LY139603[日本イーライリリー]第Ⅱ相(2004.9現在) 

以上、http://www.medmk.com/mm/add/mp_adhd.htmより抜粋
ストラテラについては日本の治験が情報は少し古いですが
ここのサイトはものすごく有用で、便利です。
2004年にPhaseIIでいままた募集していたということは
PhaseIII実施中なのかな?

意外なところからのお尋ね

2006年06月26日 | 製薬会社な日常
先週末、大学時代の友人から電話が

SIU「久しぶりどうしたの?」
友人「SIUちゃん、製薬業界について詳しいよね?」
SIU「・・・仕事だからね(苦笑)」

彼は経済が専門でPh.Dをとった後、大学に残って研究をやってます。
もちろん頭の回転が速く、そのくせキャンプとか山登りもこなす
アウトドア派でかつ、わりとダンディーなのです。
…が、もてません(笑)

個人的にはいい物件だと思うんですが
恋愛に対する、ハードルを自分であげている節もあります。
あ、本筋にまったく関係ない話だった(爆)

まあ、かいつまむと彼に引き抜きがかかって
それが製薬業界にに関連する分野なんだそうです。
そこで業界に精通していると思われる、人物を探したと。

SIU「研究だけじゃなくて、製薬業界に詳しいって何で思ったの?」
友人「いやブログ見ると他社のことまですげー詳しいのがわかるよ」

読んでいたのか、Yよ!
SIUはこのブログをリアルな友人にはほとんど教えていなかったため
教えたことすら忘れてました。

なんていうんでしょう、つまり今日言いたかったことは
「ネットって会ったことない人に評価してもらったり出来ますが
知り合いに対しても、再評価してもらえるツールなんだな」ということ。
mixiが流行る理由の一つはここにあるきがします。

ブログを読んでいる方でSIUを評価してくださっている方
引き抜くなら今ですよ(笑)
なんなら、ライターでも講演でもしますから。
(イヤ頼む人いませんから_笑)

楽しい残業

2006年06月23日 | 製薬会社な日常
本日は上司と面談がありました(ボーナス時期なので)
ちなみにボーナスは去年と同程度らしい。

面談後、上司がすぐ帰り、部屋の人たちの減りも
早かったのでi-podで音楽を聴きながら
(「嫌われ松子の一生」サントラ_笑)
ゆったりと残業してました。
人がいないとなぜか落ち着いて仕事が出来ますよね。

週明けに投与する検体を決めるためin vitroとin vivoの薬効やら
溶解度やらADME的プロファイルやらデータベースから引っ張り出して
候補を決めて、合成部門にメールしておきました。
週明けには返答が返ってくるはず。

後は今日行ったスクリーニングの解析をやって(終わってないけど)
んで、飼育室の予約と器具の搬入を依頼して
来週使う化合物の搬出も依頼してと
まあなかなか充実した、残業で久しぶりに楽しかったです。

仕事ってのは時間が長いから辛いわけではなくて
自分のやっている仕事が意味があるなぁ
とか、自分がやりたいなぁ、ってことは
いくら長くやっても楽しいんですよね。
自分がやりたくないことや、意味が無いなあと
思ってることは短い時間でも嫌なんですよね。

毎日楽しく仕事がしたいものです。

目測を誤る

2006年06月22日 | 製薬会社な日常
早めに仕事終わらせて、映画に行こうともくろんでいたんですが
仕事が思った時間に終わらず、間に合わず。
まあ、今日は無理だなと思って家に帰りましたが
映画行こうという気持ちがあったから
なんとなく家にいてもソワソワ、時間の使い方がうまく無いわぁ。
あ、関係ないけど今日、会社の帰りがけにカブトムシの匂いがしました
森の中にあるからか?まあカブトムシというか、夏の森の香りって
行ったほうがいいのかな。

どうせみんなサッカー見て眠い顔で会社来るんでしょうねえ、明日。
実験失敗しないでくださいね!

MRさんとの語らい

2006年06月21日 | 製薬会社な日常
昨日の夜、研究会が終わりまして飲み会とあいなりました。
んで、会社で公式にやっている飲み会ではなく
それが終わって同期のMRさんたちと飲みに行きました。

同期とはいっても入社時の研修以来なくらいで
ほとんど知らなかったんですが、たまたまその後も
連絡とっていた人がいたもので、彼から
「研究の人と飲んでみたいってみんな言ってるよー」って
誘われたので、行って来ました。

まあ、あれですな。研究の人間(つまりSIU)はMRさんの仕事のことを
知らないし、MRさんは研究所(職)のことを知らないって事が
よくわかりました。

MR氏1「最近、うちで売り出した○×って薬あるでしょ?」
SIU「あー、よく知らない」
MR氏2「え、マジで?」
SIU「導入品でしょ?研究所にいる人って『導入品』って気持ちが入らないんだよ」
MR氏2「そうなんだ…」

SIU「今うちの会社、パイプラインにOK-551(仮称)がガン適応であるよね
あれのバックアップが研究所ではいい感じらしいよ」
MR氏1「へぇ、そんなのあるんだ」
SIU「あんまり、興味ないの?」
MR氏2「そんなこと無いけど…」
MR氏1「それより生活習慣病の薬作ってよ、糖尿とか△▲はどうなったの?」
SIU「あ、そのプロジェクトは止まった」
MR氏1「え、中止?」
SIU「うん、一年前に」
MR氏1「かなり期待してたのに…」
部門が違うと全然相手の事がわからないです。

MRさんにめったに会わないので気になる接待についても聞いてみました。
やっぱり接待で飲みとかゴルフとかあるそうです(当たり前か)
んで、一人頭とかチーム頭で一ヶ月の金額が決まってるらしいですよ
例えば一人一ヶ月8万円とか(リアルな数字_笑)
やっぱり国立大の病院の先生には接待は出来ないそうです
これはかなり厳密らしいっす。
あと、あまりにルールに抵触するようなことをすると
製薬会社同士で作っている倫理団体(?)みたいな所に
チクられて、会社の方に報告されて指導が入るらしい…
んで、小野薬はその団体に入って無いからイケイケで出来るらしい
(という話を、聞きました)
まあ、その地域によってどの会社がキツイとか
違ってくるらしいですが。

しかし一人十万円近くの予算ってすごいですね
でも冷静に考えるとSIU一人で研究のタメに一ヶ月
100万円以上使ったりもするからな…
でもその予算で、ご飯食べたり飲んだりは出来ない(笑)

まあそんなこんなで宴はすすみ、最終的には
MR氏1「SIUさん、オレたちはホントにいい薬を自信持って売りたいんだよ
黙ってても、売れるものとは言わないけど、せめて2番手、3番手の薬を
作ってくれ、そしたら営業力で勝つからさ」と熱く語られたので
SIU「わかった、十年後にまた会った時には『SIUさん、いい薬だよ』って
言わせて見せる。絶対SIUがかかわったプロジェクトから薬出すよ
薬作りに絶対は無いけどあえて言うよ、絶対に出す!
だから十年後に、もしなかったら『どうなってんだよ』って言ってくれよ」
と語ってしまいました、熱いなオイ。

モチベーションの上がった夜でした。

縁は奇なもの

2006年06月20日 | 製薬会社な日常
大阪に移動する新幹線の中で偶然
最近、オクスリツクル製薬を辞めた方にあいました。
この方は社内でも切れ者として知られていて
将来、研究所長になると目されていた人でした。

会社を辞めたのはベンチャーを立ち上げるため。
そうして彼が立ち上げた(参加した)ベンチャーは
SIUの目から見て非常に有望に見えました。具体的には
SIUが投資したいくらい。

彼が会社を辞めてからも、彼の動向はメール等で
知っていましたが、会って話してみると
やはり非常にアクティブに楽しく働いているようでした。

ベンチャーで働くというのは非常にリスキーであり
SIUは今のところその選択をする気はありません。
(その実力もありません_涙)
ただあえてそのリスクを取りに行くことによって
ヘッジされることもあるのではないかな?と
思いました。

ちなみに余談ですが、日本における多くのバイオベンチャーに
対してSIUは懐疑的です。なぜなら大学の教授が自分の
技術は(もしくはデータは)優れている!ということを
前提に「とりあえず作ってみました」というものを
見てきたからです。
ベンチャーというのは優れた技術がベースにあるのは当然として
営利企業としてさまざまな要求がなされます。
その戦略性が見えてこないところが大半に思えたからです。

ただ新幹線で会った彼の会社は戦略性・技術力ともに
創薬の現場にいるワタシを納得させるだけのものがありました。
まあ、後輩であるワタシがこんなことを言うのもおこがましいですが(笑)

彼の飛躍を願うとともに、自分も誰かに声をかけてもらえる
そんな人間になりたいと思います。

新幹線にて移動

2006年06月19日 | 製薬会社な日常
今日は実験の後に東京駅に向かい大阪へ。
なぜかというと明日開かれる、オクスリ・ツクル製薬が後援する
お医者さんの研究会(という名の青田買い)を聴講するためです。

そこそこ大きな製薬企業では講演会や研究会というものを
行っています(具体的にはスポンサーになっている)

臨床医さん対して、プロモーション活動の一環として
有名な教授に「この薬はとってもいい」ということを
アカデミックベースで言ってもらったり、有名先生に研究会を
企画してもらい(お金はもちろん全部、製薬企業持ち)
大御所の先生とパイプを太くする、と同時に
その研究会に若手のイキのいい研究者(もちろんお医者さん)を
いれて、早めに関係を構築しておくのです。

また会場に送り迎えするため、その地域のMRさんが同伴する。
(ちなみに北海道のキロロリゾートでやったりするんだな、これが…)
そうすると、いつも時間を取ってもらえない先生の時間を
がっつりゲットし、関係性を構築できる訳です。

ちなみに研究会の後は豪華なホテルの立食パーティーが
常ですが、MRさんは手をつけることは基本的にありません
(先生に進められると別らしい)
研究所から来てる人間は結構平気で食べたりします(笑)

以上のような目的を持った研究会or講演会ですが
SIUが今回参加するのは、若手の先生にオクスリツクル製薬が
グラントを出していて、その成果を発表するというもの。
別に採点するわけでも、評価するわけでも無いので気楽に聞いてきます。

新聞にブログが載る

2006年06月15日 | 製薬会社な日常
新聞から問い合わせがあって
「お宅のブログが興味深いので取り上げさせて欲しい」
とのこと
「おいおい、最近『研究生活』の話題書いてないよ、新たに更新しなければ」と
思い…

目が覚めました、夢でした…

新聞に出なくても、更新し続けます(笑)

インサイド・マン

2006年06月14日 | 非製薬ネタ
仕事を早めに終わらせて映画「インサイド・マン」を
見てきました。良かった、最近の中では2番目です。

銀行強盗の話なんですが、通常の強盗のイメージとは違い
とってもスマートな犯行。
それに対する、デンゼルワシントン率いる警察チーム。
嫌味じゃないと程度に今のアメリカにおける、マイノリティ蔑視の
視点があったり(イスラム系の人など)、さすがスパイクリー。
最初から最後まで「ああそう来たか…」と思わせてくれました。

ネタバレしないように観想書くのは難しいなぁ。

とにかく、なるほどだから「インサイドマン」ね
と最後に納得できましたし。

しかし、最近映画評論サイトみたいになってきてるな。