「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

メルク大幅人員削減

2005年11月30日 | 製薬業界トレンド
久しぶりに業界人ぽい事を書いてみようかと…
業界人ってなんだ?(笑)

メルクが大幅人員削減の発表です。
例えばニュースをご覧ください
他にも探せば色々なところに書いてあるはず。

全従業員の11%に相当する7000人を2008年までに解雇し、
5工場を閉鎖する計画を発表した。
(以上、ニュースより)

7000人って日本の中堅規模の製薬会社が2-3社入ってしまう
数なんですけど…物凄いリストラです。
個人的に気になるのは日本支社である「万有製薬」において
リストラが行われるのか?もっと言うと筑波研究所の人員削減とか
ありえるのか?が気になります。
友人に日本はどうなってるのかをこっそり聞く予定。
外資にしては珍しく新卒研究職を大量に取る会社だけに
がんばってほしい物です。

しかしVIOXX(COX-2 inhibitor)の影響は否めず
これからの訴訟ラッシュ等にも対応しなければ
ならないところから、前途は多難ですね。
個人的にはMerck嫌いじゃないんですけど…

アス社合併内部事情

2005年11月28日 | 製薬研究職を目指す人向け
アス社合併内部事情

合併してA社になった会社に勤めている、友人と久しぶりに話しました。
いくつか内部事情を聞いたので、ここでこっそり暴露
って、思いっきりworld wide web上なので
まったくこっそりでないという話もある(笑)

Yama社とFuji社の合併してできたA社ですが
出身会社による給料格差は、まだ是正されていないそうです(2005年11月現在)
そのため友人は(Y社出身)「オレより若いやつが、同じくらい給料貰っている」
と影で言われているそうです、かわいそうに。
まあたくさん給料貰っているからいいじゃない(笑)

あと住居についても聞いときました。
寮は筑波センターやや南の巨大公園のそばで
男子寮が2つあって、女子寮は1つ。
二つとも近くにあるのに(目の前っていったかな?)
異性は入れないため、社内カップルは苦労しているそうな。
どうやって逢引(古い表現だ)しているかも聞きましたが、
これは内緒。この寮に入ることになった方はメールで聞いてください(笑)

ちなみに男子寮はいわゆる寮!だそうで
風呂・トイレ共同。そりゃ女の子を連れ込めませんね(笑)
対して女子寮は普通のワンルームマンションだそうです。
バス・トイレ各部屋完備。
男性諸君、差別されているな、がんばれ(笑)

ちなみに元F社の寮については情報なし。
タレコミ求む(笑)

関係ないけど、SIUの知っている製薬他社の寮は
異性が入れないどころか、混合寮(男女同じ建物)でかつ
同じフロアーに異性がいるそうです。
「そんな状態では乱れているのでは?」と
女性週刊誌的な妄想を抱きますが
社内カップルが少ないせいか、健全なんだそうです。
そんなもんですかね、つまらん(なにが?)

他に聞いたのはドクター(博士号*)取得についてですね。
修士で入った人がドクターを取ることになったら
その研究費も会社が出してくれるって言ってました。
他の会社はよく知らないけれど、この制度は
結構、素敵なのではないでしょうか?
普通は自分の業務で出てきたデータをまとめて
論文にすると思うんですよ。
自分の業務内容(テーマ)に関係なく、博士論文の研究が
できるって事だもんな。よい制度だ。
ちなみに友人は論博*は今後厳しいので、過程に形式上登録する
って言ってました。

あ、あとなんか筑波にもう一つ建物を建てるって言ってたな
今までの敷地内なのか、新しい場所なのかは聞いてませんが。
ちなみに筑波には元Y社研究所も元F社研究所も存在してます。

ちなみにすべて伝え聞いたことですので(2005年11月現在)
情報が正確かはまったく保証しませんのであしからず。


<補足>
博士号
「ドクター」って言ったりする。
「博士号」を意味するドクターは
「Dr」ではなく「PhD」と表記する。
ちなみに「お医者さん」を意味する
ドクターは「MD」と表記する
([発音:エムディー]メディカルドクターの意)
つまり「お医者さん」が「博士号」を持っていると
「MD」かつ「PhD」なんですね。
今度、お医者さんに行ったときに
「先生はPhDをお持ちですか?」と
聞いてみよう、嫌がられることうけあいです(笑)

博士号についてよく言われる
たとえ話は
「博士号は足の裏に付いたお米粒である」
そのココロは?
「取らないと気になるし、取っても食べられない」

取るか取らないかはあなたしだいでです。

論博
「論博」=「ろんぱく」と読む
「論文博士」の略
大学院の博士課程に所属せず
自分の業績(つまり論文)を
大学に審査してもらうことにより
博士号を取得する、日本独特の制度。
論文だけで博士号を取ることから
「論文博士」とよばれる。
ちなみに博士課程に所属して博士号を
取得することを「課程博士」という。
昔、家庭教師センターのCMで
「フクロウ博士」というのがあったが
これが「課程博士」か「論文博士」かは
SIUは存じないが、どちらでもないと考えられる。
(このネタが通じない方はスルーしてください)
これまでは、修士(もしくは学士)で製薬会社に
入った人の多くは「論文」のみで「博士号」を
取得したが、これからこの制度はなくす方向性に
なっている。その理由としては
1.日本独特の制度であること
2.大学の独立行政法人化によって課程博士を増やした方が
収入が増えること
等が大きな理由である。

筑波山と温泉

2005年11月27日 | 製薬会社な休日
友人数人と筑波山に行って温泉に入ろう!という企画が
立ち上がり、車で筑波山に行って来ました。

山頂を目指すため、まずはケーブルカー。
中腹にある筑波山神社までは行ったことはあったんですが
ケーブルカーに乗るのは初めて。1000円(位)なり。
ちなみに筑波山神社付近は今まで見たことないくらい
混み混みでさすがのTX(ツクバエクスプレス)効果を実感。

ケーブルカーの待ち時間(20分ごと運行)お腹が減ったのと
寒かったので、焼き団子を食べて準備万端。
最新のスイス製(だっけな?)のケーブルカーに乗り
頂上へ。ケーブルカーからの景色はさぞ良かろうと
思いましたが、なぜか窓ガラスがスモーク貼っていて
見にくい…
ちなみに私たち以外、全員カップルだったため浮いていたことは
気づかなかったフリです(涙)

ケーブルカー終点から歩くこと、かなりの時間…
企画自体を呪うこと101回目でやっと山頂へ。
この時点でかなり暗くなってしまったため
帰りは半遭難状態。足場は悪いし、周りは暗いし。
女子諸君、彼氏に筑波山に誘われたらヒールでなく
スニーカーを選ばないと死にますぜ(涙)
幸い、この時期はケーブルカーの時間延長中だったので
帰りのケーブルカーに乗れました。
取り残されたら「冬山遭難」って事件だったな。

死ぬほど寒くなってしまったので、みんなで温泉へ。
混浴にしようという意見が盛り上がりましたが
力づよく断らせていただきました
え?イヤそんなことないって、自信がないわけじゃないって
実はナイスバディですよ、ホントに、ホントだってさ
そうゆう事にしてくれよ…(涙)

お風呂に入ると子供がお風呂の中にボディソープを
入れたらしく、冗談みたいにお風呂から泡があふれていました。
ちょっとメルヘン(笑)
そんな、休日。

誠意の見せ方

2005年11月23日 | 製薬会社な休日
いま欠陥マンションが話題が
ニュース等でやっています。
このような不祥事はどんな企業でも起こりうることだと
思います。製薬で言えば薬害ってやつですね。

法律の改正によって、自社の製造施設じゃなくても
医薬品の製造が行えるようになったので、いくら
自分の会社がしっかりしていても、今回のような
ケースに陥る可能性は充分ありますよね。
たとえば
「製造を委託していた会社が、ずさんな製造工程の管理を行っており
毒性を持つ薬物が混入し、数百人単位での被害者を出して、そのラベルには
自社の名前が大きく刷られているため被害者団体に詰め寄られる」とか。

こんな時どんなに間違っても
「製造過程は委託なので当社の責任ではない
当社も被害者だ」なんていってはダメです。
(今回の建設会社はこのケース)
いくら理屈の上で成り立とうが、被害にあった人にとっては
「そんなことはどうでもいい、おたくの薬を飲んだら具合が
悪くなったんだ、おたくが責任取るのが当然だろう」と言うでしょう。
まったくの正論です。

ここでは会社は誠心誠意謝った上で
「患者様は今回の事故においてまったく過失がない、
当社の責任において健康被害の補償はすべて行う」って
早い段階で宣言しないと、最初の回避しようとした責任より
もっと大きな世論によって潰されてしまいますよ。
その上で「製造会社とは裁判にて戦っていく」と宣言しないと。

さて今回の欠陥マンションについて
今日、建築会社・社長の会見を見ていて思ったこと。
会社側に対して
・住民の安全も考えているが自社の保全も考えている
・対応を決めるのに時間をかけすぎた結果
住民の不安を受け止められていない部分がある

報道に対して
・メディアによって会見が切り貼りされていて
本来の意図と異なった伝わり方になっている
・メディアの「善悪の構図」を作りたい意図が見える

たしかに理屈の上では
「信用して任せたら嘘の計算がしてあってウチの会社は
大損だ、ウチだって被害者だ」って考えは成り立つんですよ。
だけど、住民にとったら「でも売ったのはお前だろ」ってなもんです。
だから早い段階で
「住民の方はまったく責任がない、当社の責任において
マンション代全額返金・当面のホテル費用を拠出する」って
最初の段階で言ってしまえば、このような「作った会社が悪だ」と
いう、世論は形成されなかったと思うんですよね。
その上で「検査機関などは裁判にて戦っていく」というのと
「自社でまかなえない資金は公的な貸付を望む」ということに
すると、まだいい方向に向かったのではないかと。

ピンチはチャンスと考えて
「悪徳な検査会社に騙されたのに、会社の全資産をなげうって
保証しようとした会社」というプラスイメージが全国区に
広がる可能性だってあった訳ですから。
ちなみにテレビで見た会見では
「全部建て直しはするが、買取はできない」と
言っており、全部建て替えするのだって、会社が充分傾くぐらいの
額でしょうから、まあこれが資金面で現実なんだろうけど
現時点でこのような発言を見ると
「この非常時にまだ駆け引きしようとしているな」って
思っちゃうんですよね。

それでいくつかのニュースを見ていて思ったのが
「建て替えはします」というコメントを流していない局が
結構あったこと、その代わり「買取はできません」という
所はクローズアップして流しているんです。
ワタシも何局か見ていなかったら気づかず
「ひどい社長だなー」って思ってましたよ。
少なくとも「建て替えはします」ってのは、評価してあげないと
叩くだけじゃ何も出てこないでしょう。
ちなみに全部買い取りに応じる、って言った社長は
まったく攻められる雰囲気を出してませんでしたよ。
この人は「善」って扱いなんでしょう。

監督責任が生じるとしたら、ここも同じくらいの
非難を浴びる必要性はないのでしょうか?
ありきたりな批判でいやなんですが
規制メディアが「こっちは善、こっちは悪」
というわかりやすい構図に落とし込むために
素材(映像の順番や音楽なども含む)をいじっている感じが
するんですよ。まあ、ライブドアなどの買収劇にも
感じたことですが。

そこでこうゆう不祥事が出たときにどうするか?
って考えたんですけど。
まず、ありきたりだけど誠心誠意謝る
損失分は完全に補償することを約束する。
できれば事件発覚直後に「未確認だが、もし事実なら…」と
言う枕詞をつけて、経営トップがこれを行う。
そしてここからが大事ですが、TVなどに流される時に
勝手な編集が加えられることは充分に考えられるので
自社でもその会見を一部始終流す。
昔は放送が一部メディアに握られていたので不可能でしたが
今はHPに「記者会見の映像」という項目を作って
ストリーミングすればいいだけですから、困難ではないはずです。
これで自分でネットにつなげる人間には誤解を生みづらくなると思います。

具体的に今回の件のようなものであれば、対象が非常に限られているので
これに加えて、各マンションにTV会議システムを臨時で設置して
社長の言葉を直接、住民の方に聞いてもらえばいいと思うんですよ。
そうすればリアルタイムで質問してもらえるし、メディアのせいで
曲解する可能性も減るし。変な風に食って掛かる人も出てくる
かもしれませんが、そういう住人を見て他の住人は逆に
たしなめたりもすると思うんですよ。

ようは、情報の伝達がうまくいっていないのだから
うまく流れるようにすれば、被害者・加害者(と思われる人)
双方に多少はましな結論が導き出せると思うのですけど。

涙のわけ

2005年11月22日 | 非製薬ネタ
昨晩、わりと夜遅くにファミレスで一人ご飯を
食べていたんですけど(寂しいとか言うな!)
端の席に女の子が座ったんですよ。
待ち合わせかな?と思ってしばらく本を読んでいたら
その子は携帯で話していてポロポロと泣き出したんですね。
えー、と思ったんですけど全然知らない人だし…

SIUは調べ物があったので、その後ファミレスに
2時間くらいいたんですけどその間、一人で泣いたり
泣き止んだりの繰り返し…
もう深夜って言っていい時間なのに、ずーとファミレスに
一人でいるんですよ。

なんか
「大変なこともあるけど、がんばれ!」とか
「ここにいてもやな事考えちゃうだろうから
一回帰って寝たらどうかな?」とか
「そんなに辛いなら話だけなら聞くよ」とか
心の中で応援を繰り返したのですが
なぜか不思議なことにまったく通じず(涙)
サトラレとしての能力がない事がはっきりしました。

結局どうすることもできず、ファミレスを後にしたわけですが
何とか力になれることは無かったかなあ、と
思うしだいです。まあ無いんだけどね。

買収ファンド

2005年11月21日 | 製薬会社な休日
最近、ファンド等による買収の案件が多いですよね。
村上ファンドの阪神電鉄しかり、楽天のTBSしかり
ライブドアしかり。

しかしながら、マスメディアの報道の仕方が
「どっちが正しくて、どっちが間違ってる」とか
「実はあの人は人情味がある」とか
「でもあの人のファッションがイマイチ」とか
そんなんだと、この問題の本質が見えてこないよ!
と、思ったわけです。
だいたい経済音痴だしな、社会人の癖に(日経読むのは面白いですが)

製薬業界の、藤沢+山之内や第一+三共などの
合併の根底には
「日本の製薬メーカーの株価は、企業価値に比べて安すぎる*
このままでは外資に買収されてしまう」
という考えも
後押しする要因の一つであったことは間違えなく
一製薬人としても考えておきたい問題なわけです。
というわけで、最近読んだお勧めの本

「買収ファンド-ハゲタカか、経営革命か」(光文社新書)
良著です、ちなみに680円。

著者は日経新聞・テレ東の記者を経てフリーになった
ジャーナリストなんだそうで。
良くハゲタカファンドの話をする時にリップルウッド*の
日本長期信用銀行(現・新生銀行)買収について語られますが
その前後のファンドの上陸から興味を持って追ってきた
著者の説明がわかりやすいです。

まず著者が「買収ファンドってなんだ?」と思いながら
取材してきた過程があるので、SIUのような門外漢にもわかりやすく
値段もそんなに張らないので、このようの話の取っ掛かりとしてはお勧めです。

結論としては、良くマスメディアが言うような
企業を食い物にする「ハゲタカ」的なファンドは
少なく、多くの会社は会社の価値を上げることを第一目的に
しているのだな、ということが良くわかりました。

具体的には、大多数の株式を所有していることを背景とし
その会社に必要なことをやって、改革していくということ。
それは採算が取れていない部門の譲渡であったり
プロのマネージャーを送り込むことだったりすることなわけです。
今までの経営陣を減らして、より現場に近い人間の意見を
取り入れることによって(場合によっては若い人間に部門を任して)
今までの経営陣ではしがらみのせいでできなかった、改革を行う
事を目的としています。
結局、重要なのはそのような改革によって現場がやる気を取り戻し
企業価値をあげることによって、最終的には上場、もしくは
株式の売却によって20-30%程度のゲインを得ることを目的に
すること買収ファンドの業務内容だそうです。

敵対的買収という案件が、うまく行きにくい理由もそこにあり
ようはいくら株の大多数を握ろうと社員のやる気を失ってしまったら
その会社の企業価値をあげるのは困難ですよね。
だから逆に大きな企業が選択と集中のタメに一部門を
本社から切り離すような時に、経営陣がファンドのお金を使って
独立するような時がモチベーションもあって成功しやすいそうです。

製薬会社でいえば創業者一族が残っている会社が多いので
そのことが会社にプラスの影響を与えていないのであれば
それを排除できれば、より躍進できる糧になるかもしれませんよね。
ただ同族経営のよさというのもあるのでなんともいえませんが。

この本を読んだことによってSIUが
ベンチャーキャピタルの役割も誤解していたことが
わかりました。ベンチャーキャピタルは「お金を投資すること」が
仕事だと思っていたのですが(もちろんこれも仕事の一部)
それだけではなく、投資した企業の価値を最大限に上げるために
さまざまな援護をするわけです。財務を見れる人が社内にいなければ
見つけてきて送りこみ、会社の価値を上げるためのアライアンスがあれば
見つけてきて提携の手助けをするわけです。

なるほどね、そう考えるとベンチャーキャピタルや
投資ファンドの人は「究極のジェネラリスト」ということなんですね。
そんな人たちに対抗できるような「究極のスペシャリスト」になりたいですな。

<補足>
日本の製薬メーカーの株価は、企業価値に比べて安すぎる
SIUもこの意見に同意(2005年11月現在)
ただしすべての企業ではない。具体的には
武田とアステラスの株価は3-5年後には確実に
評価が上がっていると思う。
え、下がっている会社?そんなことは言えません
怖くて(笑)

リップルウッド
米国の投資会社の名前。
日本長期信用銀行を「瑕疵担保条項」つきで
買収した。このことが「日本の税金を使って外資を儲けさせた」と
いわれる由縁になっている。

ある一つの生き残り方

2005年11月16日 | 製薬業界トレンド
お昼に良く行く中華料理屋のおじさんが、お気に入りの人には
食前に何かくれます。SIUの場合はしばらくバナナでした。
ところが本日、ヨーグルトに変わりました、SIUやっと
お猿さんから人間に格上げです、めでたいめでたい(笑)
そんな小話はさておき…

最近やわらかい話題ばっかりだった気もしますし。
たまには真面目に業界分析なんかしてみましょうか、と思います。
分析と呼べるか文章になるかわからないところが不安ですが…


以前、先発薬メーカーがジェネリックに手を出すんじゃないかと
書いたんですが、その時にもらったコメントに
「先発品メーカーで研究開発をしたいんだから困る」という
ものがありました(と思う)。

結局、いわゆる大手はジェネリックに手を出していませんので
今のところSIUの予想は見事に外れているのですが…
数日前に日経系の新聞(日経産業新聞だっけな?)を読んでいると
以下のような内容の記事が

「道修町に本社を置く製薬企業数社が、厚生労働省に今後の医薬品
政策について説明を受け、厳しい現状を認識した。
その際『後発品に手を出す気はありませんか?』と尋ねられた」


との事である。
現在一般的な認識として
「政府の医療費抑制政策の一環でジェネリックの取り扱いが
増えることが予想される」というものがある。実際レセプトに
「ジェネリック可・不可」を記入する欄の新設が検討されており
もし導入された場合(どうゆう風に導入されるかも問題ですが)
さらにジェネリックが使われる可能性が増してくるでしょう。

そのような考えを元に、最近ジェネリックメーカーの株価が
あがっているわけですね(沢井製薬とか大洋薬品とか)。
ただジェネリックに使用量が上がったからといって、これら
後発品大手が急激に成長するかと言うと、その可能性は非常に強いが
そのシナリオ通りに進まない可能性もあるわけです。

例えば…
巨大な資本力を持つ外資製薬メーカー(後発専門かもしれません)が
国内の中規模製薬メーカーを買収し、MR数を急激に増やして販売攻勢をかけ
既存のジェネリックメーカーを駆逐してしまう…かもしれません。
(あくまで可能性の一つですよ、ジェネリックメーカーの人、石投げないで_涙)
採算が取れるかどうか?医薬品において日本は米に次ぐ市場規模です。
ましてや今後、ジェネリックが欧米並みに使用率が高まるのであれば
参入するだけの、ビジネスチャンスがある…かもしれません(笑)

また、研究開発型メーカーが参入したら後発品メーカーと比べ
販売力(MRさんの数)の差は、0が一つ違うくらいなので
これも厳しいもの戦いになるでしょう。
ただ、研究開発型メーカーが(いわゆる国内の大手メーカーですね)
後発品事業に参入することは多くの点でメリットがないと
いわれています。その理由はイロイロあると思いますが
大きな点は「コスト競争ができない」ということでしょう。

後発品はドコが作っても同じという考えを元にすれば
(実際どうなのか?とか、同じであっても気分的に…とか、ここでは省きます)
あとは値段勝負になっていくのですが、研究開発型メーカーは
製剤面でもお金をかけていますし
(らしいですが、専門ではないのでよくは知りません)
何よりも給与体系が高いらしいです。
結局、1円を削っていくコスト競争には勝てないとの事です。
ちなみに、このことは数日前の日経でアステラスの社長さん(竹中さん)が
おっしゃっていたので、SIUの思い込みではないと思います。

では国内の大手メーカーが後発品事業に参入し成功する
ビジネスモデルはないのか?
SIUに一つシナリオがあるのですが…
いろんな意味で敵を作ってしまいそうな気がします。

そしてなによりも…
そうな、なによりも…
オクスリツクル製薬で行われた場合、SIUがご飯を
食べれなくなってしまうような提案です(涙)


いいですか、SIUがこうなったらいいなんて思ってるわけでは無いですよ。
そこんとこ、ヨロシク


さて、どんな内容か?
研究部門の多くを解雇します(本気でやめてくれ_涙)
それで販売に力を注力するわけです。
ほら高コスト体質が改善された。

しかしながらそれだと先発品メーカーであったメリットを
充分に享受できませんね、ただ単に社員数が減っただけの
MRさんが多い会社になってしまいますから。
ではどうするか?
まず臨床開発を行う部門に予算と人間を手厚くする。
このことによって、他の後発品メーカーと差がつけられます。
つまり「研究開発メーカー」ではなく
「開発メーカー」になるのです、どちらかというと
後発品は今後導入品が育つまでのつなぎみたいなイメージで
行くのはいかがでしょうか?
(MRさんの現場のことは知らないから、まったくばかげた話をしてるかも
まあその場合は笑い話ということで)

ベンチャーだけでなく、国内のそれなりの規模のメーカーでも
高血圧・糖尿病・肥満・高脂血症・動脈硬化などの生活習慣病の
臨床試験を1社でやるのは物凄いリスクを伴います。
それこそPhIIIで失敗した時は会社が傾きかけないほどのダメージです。
それを一緒に行う代わりに販売権も持つ。
もちろん海外からの導入も行います。
日本支社が充分な販売力を持たない会社なんていいじゃないですかね?

しかしながら研究部門はすべて潰すわけでなく
薬理的な特徴づけ試験などは行えるようにしておけば
他の会社と差がつけられます。そして現場の人間は…
それを使って論文が書ける、めでたしめでたし(笑)
[あくまでクビを切られなければね…涙]

研究所の中でも製剤部門は手厚く保護して
後発品であろうと導入品であろうと
ウチに持ってきたら、一段階価値が上がるって事は
できないかな?動態面が問題で薬にならなかった
化合物って多いと思うんだけど、T1/2が短い物とか…
そんなものを製剤的工夫でどうにかするような研究所。
それが理想です(って、それをSIUが力説する意味がわからないが)

現実味が無いように思えますが、アメリカのFOREST社*は
ほぼこれと同じビジネスプランだと思うんだよな。

さて、こんな提案まったくもって現実味がないでしょうか?
識者のご意見お待ちしております。
(ちなみに入社当初、若気の至りでお偉いさんに言ってみたが
『無理』っていわれました_笑。[もちろん研究部門を切る話は無しで])

補足
<FOREST社>
米国の製薬メーカー名。シード探索には手を出さず
開発に特化するという戦略をとっている。
身近な例で言えば、米国に十分な販売網を持たない
三共の代わりにオルメテック(一般名オルメサルタン:ARB)を
販売し、順調にシェアを伸ばしている。

手作り器具

2005年11月15日 | 製薬会社な実験生活
アスピレーション*(吸引)用のバキュームポンプと
サンプルの間にあるビーカーが、全然液体をトラップして
くれなかったので間にトラップ用の試験管をセットする必要がありました。
そうでないとポンプの内部に水が入ってしまいますので。

買うと時間がかかるのと、わざわざお金をかけるほどでもないので
空いてる試薬瓶とゴムのフタで作ろうとしたんですが
ちょうど良い穴が開いてるフタが無かったんで
ゴム栓に自分で穴を開けて作りました。
ちょうど穴あけ用の道具が会社にあったんで…
会社って何でもありますね*(笑)

補足
<アスピレーション>
「吸引」の意味で使っています。
細胞の培地を返る時なんかに使ったり
しますね。その道具を「アスピレーター」と
呼んだりする。
他の使い方、例えば病名を見てみると
「誤燕性肺炎」*なんかは英語でいうと
「Aspiration Pneumonia」ですね。
「燕性」=「飲み込む」ってところが
「Aspiration」なわけです。
ちなみに「Pneumonia」は肺炎。

<会社って何でもある>
変なものが潤沢にある割には
必要なものが全然無かったりもするのが
研究所。とりあえずドライバーは一式用意しませんか?
買っても数千円だから、あなたが使ってる抗体つきの
96穴プレート一枚分だってば(涙)
ちなみに大掃除に制限酵素*の整理をしたら
BamHIが11本出てきたことがある(涙)
欲しいからといって確かめないで買うのも困りものです。

<誤燕性肺炎>
「ごえんせいはいえん」と読む。
ちなみに英語名は「Aspiration Pneumonia」
老人になって諸原因によって(飲み込む力が弱くなるなど)
本来、食道へ行くはずの食べ物が、気管に入ってしまい
そのまま肺まで到達し、その後腐敗。肺炎を引き起こした
状況を指す。…しまった、解説が真面目すぎる。

<制限酵素>
ある特定の配列を切ることのできる、酵素。
簡単に言うとDNAをいじりたい時に切るタメの道具
(物凄く誤解を招く表現だが、まあよかろう)
有名どころでは(いやホントにあるんです、有名・無名が)
EcoRIとかBamHIとかかな?切り方によって
コヒーシブとかブラントエンドとかあるんですが
真面目に解説するための補足ではないので
どういう意味かは教えてあげない(笑)
ちなみに1mlの1/100とかで「ン万円」する。
たぶん重さで値段を比較したら、金なんかより
ずっと高い液体。そのくせ熱に弱くて室温に
置いておくとすぐにダメになってしまう
軟弱者。