「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

匂いと記憶

2008年03月10日 | 製薬会社な日常
本日会社にて…

SIUがいつも使っていない部屋(分子生物学実験の部屋)の
流しに使用済みの氷を捨てていた時に、有機溶剤というか
なんか試薬の匂いが…
「あー、誰かなんかこぼしちゃったのかな?」と
思いつつ、その匂いが思い出せそうで、思い出せない…
あー、気になる。考えることしばし
フェノクロの匂いだ!!!」と気付きました。

フェノクロっていうのはDNAの抽出の時に用いる試薬です。
まあ、プラスミド使ったりするような人は必ず使ってるんじゃないでしょうか
それぐらいメジャーな試薬(?)。
正式にはフェノール/クロロフォルム(phenol/chloroform)という名前で
SIUが大学にいた頃は、固形のフェノールを溶かし
(たしか55-60℃位で溶かしてたんじゃないかな?)
をクロロフォルムで飽和させると、下に黄色い層、上に透明層ができるんです。
その上清を捨てる、自前で作ってましたよ。それを茶褐色の瓶で4℃ストック。
タンパク質を変性させ、かつ有機層と水層にトラップするときSIUは使ってました。
なので手にこぼし、手のひらを変性させることも数度(笑)
いちお、手袋はしてたんですけどね。

そうプラスミドプレップというか、プラスミドの抽出時に良く使ってましたよ。
細かい操作や時間は忘れたけど、アンピシリンやカナマイシンを入れた
培地でE.coliを培養して、その後lysis buffer(ライシスバッファー)で破壊。
それを用いてタンパク変性、Sup(上の方の水層)を取ってエタ沈とか
イソ沈とかやってました。
あー、そうだmouseのgenotype決めるために tailからのDNA抽出に
死ぬほど使ったこともあったなぁ、他のラボはカラムで簡単に抽出していたのに
ウチのラボは頑固一徹で、昔ながらの抽出法。。。時間がかかるし
これは辛かったなあ。
まったく話の方向性が見えなくなってしまってますが。。。

んで、何を思ったかというとプラスミドプレップなんて実験は
もう何年もやっていないんですが試薬の匂いは覚えているんですね
実験内容とともに。ここに書いたような内容が「ばぁっ」と
思い出されたわけです、走馬灯のように。
いや走馬灯だともうすぐ死んでしまいそうだから、例えが悪いですけどね(苦笑)

記憶と匂いというのは密接に絡みついているそうです。
・・・がサイエンティフィックなバックグラウンドについて
詳しいわけではないので、特に詳しく述べれるわけではないのですが
なんとなく実感したしだい。

ちなみに大学時代で強く記憶に残っている匂いはBACTO AGAR
大腸菌の培養に使う試薬です。これ吸い込むと咳き込むんですよ。。。