「日々これせっせとお薬作り」 -製薬会社新米研究員SIUの日常-

新薬の研究に営む毎日・・・のはず。製薬会社研究職の日常をつたない文章でつづります。

「Scrapper」の奇妙な冒険(第一部)

2008年03月05日 | スペシャル
本日、取り上げたい話題のキーワードは「JOJOとCell」です。
なんか長くなりそうなんで、何日かに分けてアップします。
そして何より本コンテンツは友人のW氏に捧げます。

医学・生物学系の研究をされていて、かつ幼少期にジャンプを読んでたような方は
荒木飛呂彦先生(「ジョジョの奇妙な冒険」の著者)の絵が2007年の
Cellのカバーイラストを飾った、というニュースは結構「グッ」と来たのでは
無いでしょうか?(右上にあるのがその表紙、クリックで大きくなります
表紙の著作権等問題があれば、ご指摘ください。即刻削除します。)

荒木先生ののマンガを読んだことがない方も、カバーイラストを
見ていただければわかりますが、良い意味で「独創的なタッチ」です。
もっと言うとジャンプっぽくない(笑)
(現在、SIUはジャンプを読んでないので、最近はわかりませんが)

それでですね、SIUが話題にしたい事というのは…
この表紙に載っているスタンド様
(「さま」ではなく「よう」と読んでください)なモノが、
「オラオラオラ!」と言ってそうだとか、「いやそんなパワー型のスタンドでは
無いはず、だってラバーズよりちっちゃいんですよ」とか
(なんせシナプスの調整やってますから、一分子の大きさですよ)
そういう事ではないのです。

そんなことは、SIUよりもっともっとジョジョに愛情をもたれている方が
ネットのあちこちで、討論・検討されていると思います。

今回、時期を逸したのにもかかわらず(2007年の論文ですし)
この論文を話題にしようと思ったのは、SIUの友人がたまたま
表紙が出来るまでの内輪話をラストオーサーの方が語っていたのを聞いてきて
それをSIUに熱く伝えてくれたので(口コミの力はすごいですね_笑)
それを元に「第一部(笑)」を書いていこうかと思った所存であります。
*注:ちなみに「第一部」ですが、波紋もツェペリさんも出てくる
予定はありません。

話題にするのはこの論文(Cell press)↓
http://www.cell.com/content/article/abstract?uid=PIIS0092867407009026

さてさてSIUの友人が聞いて来た話によると
この企画は1st authorが考えた訳では無く、
3rd の Hiroshi Ageta, lastのMitsutoshi Setou(瀬藤氏)がJOJO(ジョジョ)の
ファンであり、企画したものだそうです。1st authorの思いは…(笑)
そして荒木先生と直接コンタクトを取れる方(そう「ジョジョ立ち」で有名な方)
にネットを通じ連絡、相談したそうです。

googleで調べたらこの辺のくだりは荒木先生と引き合わせた張本人
「文芸ジャンキー」さんのページ↓で詳しく書かれております。
http://kajipon.sakura.ne.jp/art/jojo-cell.html
このサイトはジョジョ以外もすばらしいですね。。。

ちなみにこの論文の1stのIkuko Yaoさんは女性なんですよ。
このジョジョ騒動について、どうお考えなのか知りたいです。
池田理代子先生(「ベルバラ」の著者)に書いて欲しいとか無かったのかな?(笑)

ちなみに…
この論文が載った号のCell↓
http://www.cell.com/content/issue?volume=130&issue=5#cover_caption
カバーについての解説も下のほうに載ってます。
「Cover Caption」を読んでください。
瀬藤氏がおっしゃっていた、JOJO好きな3rdのAgeta氏の名前が出てきております。

話によると論文を出した時点で表紙を狙っていて「もし依頼が来たら荒木先生へ」
ということまでイメージしていたそうです。「SCRAPPER」というスタンドっぽい
名前はこの表紙をイメージしてか否かは、わかりませんが…
狙ってたんかな?

ちなみにもう一度、カバー絵を確認してもらいたいのですが
人型の「SCRAPPER(スクラッパー)」はRIMという赤い円盤状の
分子を殴ってますが、壊れないで青いハートがくっついただけです。
この青いものがubiquitin(ユビキチン)という付加タンパクを表しています。
ここでは赤い円盤(RIM)が壊れているわけでないことが大事ですね。
「SCRAPPER(スクラッパー)」って名前なのに叩き壊していないという。

これは絵を書いた荒木先生にユビキチン・プロテアソーム系
(Ubiquitin-proteasome System)
のこと十分に解説したんだろうと思います。
上の記述が何のことかわからない方は、明日以降になるたけわかりやすく解説を
書こうと思いますので、少しお持ちください。

さて軽い話題に戻りまして…
友人が話を聞いた際にはラフデッサンというか、荒木先生の走り書きも
示されて説明されていたそうです。
初期ののラフデッサンでは、RIMはベンゼン環と言うかDNAっぽいというか
円柱状のパーツが重なって6角形を作りそれが連なっている構造で
描かれていましたが、瀬藤氏の「これでは誤解を招きやすい絵になる」
というような指示でデザイン変更になったそうです。
世界のアラーキーに変更を迫るとはやりますね、瀬藤先生(笑)
ちなみにラフデッサンだけでも数枚、出てきたらしいのでJOJOファンの人は
見たいんだろうなぁ、新しいスタンドが生まれる状況を…
SIUも見たい(笑)

バックの赤は講談社のデザイナーの方が決めたらしく
当初はスピード線が入っていた状態での手渡しになっていたそうです。
ちなみに後ろの絵は、時系列的に少し前を示しているのでエアブラシを使って
輪郭をボカシて動きを出しているそうです。これも講談社のデザイナーさんが
やったらしいです。ノリノリですね(笑)
この状態では「Cell」誌のロゴタイトルは入ってません。
この状態でCell編集部に渡したところ、Cell編集部のデザイナーさんが
『Cell』のタイトルに前後にRIMを持ってくるという皆さんノリノリの
作業だったそうです(笑)

というような、カバーにまつわるお話で「第一部」完。
「第二部」では少しだけ論文内容に触れて行きたいと思います。