畑倉山の忘備録

日々気ままに

政治家はどんなに汚いカネでも貰う

2018年11月25日 | 鬼塚英昭
加藤昭の『鈴木宗男研究』(2002年)から引用する。文中、金炯旭(キムヒョンオク)とあるのは、1961年の朴正煕らの軍事クーデターに参加した男である。後に彼は中央情報部(KCIA)の部長になる。しかし、朴大統領と対立し、1973年米国に亡命した。

「青嵐会への献金疑惑が露顕する契機となったのは、海の向こうのアメリカで、『ワシントン・ポスト』紙が、

<朴正熙(パクチョンヒ)大統領の指揮下にある朴東宣(パクドンソン)ら韓国の工作員グループが、年間50万から100万米ドルを、贈り物ないしは選挙資金という形で米議員や当局者に配っていた>

とスッパ抜いたことに端を発する。1976年10月24日のことだ。

この疑惑事件はたちまち日本にも飛び火し、国会を揺るがす大騒動に発展した。翌77年7月12日、KCIA (韓国中央情報部)の元部長で米国に亡命中の金炯旭(キムヒョンオク)が、日韓政治資金の流れについて、次のように驚くべき発言を米下院公聴会の証言台に立ち、行ったのだ。

<韓国政府の中枢部から日本の自民党、とりわけ党内右派グループの青嵐会に巨額の対日工作資金が流れた。資金は、選挙支援などを名目に定期的に献金され、秘密工作の最高責任者は朴大統領の密命を受けた李秉禧(イビョンヒ)国務大臣だった>」

私が注目するその「実に生々しい証言」である。三つの資金ルートが存在したという。

(1)金成坤(キムソンコン)・元韓国民主共和党財政委員長→三井物産、三菱商事、日商岩井、伊藤忠商事、丸紅などの大手商社ルート。
(2)李厚洛(イフク)KCIA部長ルート。
(3)李秉禧→青嵐会ルート。

私は加藤昭の本を読みつつ、政治家というのは、どんなに汚いカネでも貰うものだと思った。だが、中川一郎、中尾栄一、三塚博、浜田幸一、中山正暉、石原慎太郎らの青嵐会のメンバーは全員否定している。大手商社のルートで中川一郎を中心に政治資金が流れたが、そのルートづくりをしたのが瀬島龍三に間違いがないのである。

(鬼塚英昭『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』成甲書房、2012年)