今は2018(平成30)年12月4日である。私は当然昭和の戦後生まれだが、1980年代の終りに突然、平成の世になった。それまでの何年かは、30年もの月日が流れ去ったいまとなっては不鮮明だが、その断片は記憶の片隅に染み付いている。70年代いっぱいで大学を中退したが、80年代初めに通信制大学に編入し、84年秋(通信制の入学期は4月と10月の2回)に卒業したのだ。もはや30歳代に入っていたが、今更新卒就職というわけにもいかず、そのままフリーター状態を続けていた。その頃、一番印象に残ったのは【デザイナーズ(DC)・ブランド】というファッションの流行であった。70年代いっぱい引き摺った【70年安保】の余韻を、当時勃興始めていた全く新しい【消費文化】の中心としてのファッションが一掃してくれた。それまでの私のファッションは、60年代末のヒッピー文化の象徴であった【長髪・Gパン】から一歩も出るものではなく、それに合わせて知識や生き方も旧時代の牢獄に自ら閉じ込められていた。この1985年前後のDCブランドの服たちは、粋とかオシャレ、ビート・・などの前時代の既成概念をアッサリと抜け出していた。しかも、その担い手たちは山本耀司・川久保玲・高田賢三・山本寛斎・コシノジュンコ・・・といった60年代のラジカリストたちで占められていた。そのことに何の不足もあろうはずもなく、一回り下の20歳前後の若者たち【元祖新人類】に混じって、丸井やパルコのバーゲンの列に加わっていた。私はもう一度時代の最先端部に身を置くチャンスを与えられたのだ。・・・《続く》
クラフトワーク 『THE ROBOT』 1978
hthttps://youtu.be/SGex55Sxi6Atps://youtu.be/SGex55Sxi6A