氷よ氷お前が眠れば地球になる 夏石番矢 句集『氷の禁域』(2018)より*アマゾン通販中!
夏石番矢さんの【氷よ氷お前が眠れば地球になる】の読みがいっこうに進まない。私たちがいま足を踏みしめている《場所》が地球とは限らないとすれば、もうどうやって日々刻々と流れてゆく氷結後の《時間》と面と向かっていればよいのかわからず途方に暮れてしまう。何もかもが確かなものでなくなってゆく渦中で、氷なるものに眠ってくれと呼びかける途方のなさそれ自体が一句のテーマになっているとすれば、これはもうどうしようもないことになってしまう。そこでふと思いついたのは、作者とのある時代の共有感覚である。私も作者も1970年代というある時期を体験していたことである。40年後のいまから振り返ると、この時代は《世界》が凍り付いてしまう予兆に満ち溢れていた。何か《ことば》を発しても、そのまま発声の器官ごと凍りついてしまう感覚に襲われてしまう。いっそのこと何も語らずに《沈黙》の渦の中に背を丸めていた方が何か聞こえてくるかもしれない。そんな想いを指して【氷よ氷】と冒頭から呟いたのかもしれない。果たして《氷》というこの世界の全体性は、その後どう変容していったのだろうか。いまも覚醒し続けているのか、作者の言うように眠ってしまったのか。そのことを見極める方法はあり得たのだろうか。・・・《続く》
今年の私の句作は不調だった。同人参加の結社誌はなくなり、2誌に会員投句をした。また、総合誌にはランダムに応募したが、特選はなかった。秀逸やそれに準ずるものがいくつかあったが、いずれもパッとしなかった。そんな中で、同人誌に寄稿(自選)したうちで自分にとって画期的なものが【ラップ俳句】だった。これは来年1月発行の号に掲載されるので、正確には今年度には含まれないが、やむなくここからも選んでみたい。・・・《続く》
『冬のモスキート(ラップ集会)』 参加同人誌2019・1月号より
ちっとも知らなかった俺が自由ってこと 平成が終る
投稿俳句界(秀逸)
桜散るスピードわたしは神になる
結社会員投句
バックネット越しのあはれ朧月(同人・会員句講評)
風船を持たず濁世を生きて来た(月次ベスト10)