獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

池田大作の功罪 (その1)

2023-12-05 01:06:08 | 創価学会・公明党

d-マガジンで、池田氏死去にともなう特集記事を読みました。
引用します。


サンデー毎日 2023年12月10日号

倉重篤郎のニュース最前線:
池田大作
創価学会名誉会長
戦後最大の宗教指道者の功罪

池田大作創価学会名誉会長が、11月15日に死去した。様々な評価があり得ようが、戦後最大スケールの宗教指導者であったことは疑い得ない。創価学会を巨大化させて世界宗教に育て上げ、公明党を創立して権力を構成するまでに至った。池田氏が戦後日本に刻んだものは何か? 破格のカリスマの功罪を、3人の論者が忖度なしで語る。


創価学会の池田大作名誉会長が死去した。
思うところ大である。戦後最強の宗教カリスマであった。新興宗教の一つに過ぎなかった創価学会を2022年時点で公称827万世帯の会員を持つ巨大教団に膨れ上がらせた。公明党を創設し、政教分離ギリギリのところで日本政治を差配してきた。世界にも痕跡を残した。SGI(創価学会インタナショナル)の海外拠点を作った他、日中関係改善に寄与、ゴルバチョフ元ソ連大統領らとも親交を重ねた。一方で、「言論・出版妨害事件」で批判され、
数々のスキャンダルにまみれた人でもあった。戦後の日本を代表する人物の死として蓋棺(がいかん)の論を集め、日本政治に与えるインパクトを考察してみたい。
池田氏には面談したことが1回だけある。1990年7月、池田氏が訪ソ、ゴルバチョフ氏と会談後の記者会見の場でだ。ソ連崩壊の直前で、北方領土問題の進展が期待され、ゴ氏がいつ訪日するかが焦点になっていた。ゴ氏は直前の桜内義雄衆院議長の訪ソ団には口を重く閉ざしたのに、池田氏に対しては心安く「来年(91年)の桜の咲く頃の訪問予定」を打ち明けた(実際に91年4月来日)。桜内氏に同行してモスクワ入りしていた我々記者団からすれば、日本の三権の長を代表した桜内氏にも明かさなかった外交日程を、一宗教団体の長にポロリともらしたことが驚きであった。
ただ、池田氏による直の会見を聞いて、なぜそうだったのかがよくわかった。その人心掌握の巧みさだ。副会長クラス数人をずらりと横に並べ、彼らを陽気に叱り飛ばしながら、当意即妙、言いたい放題の独演会であった。初対面である我々の関心もそらさない。相手につけ込む人間力……。その人たらしぶり、なかなかであった。ゴ氏が口を滑らせたのも理解できた。
その池田氏の死がなぜ重要か。二つある。この希代の宗教カリスマの功罪を振り返ることで、戦後史のある側面を描くことができる。もう一つは、現実政治への影響である。それは小 さいものではない。四半世紀続いてきた権力維持の政局ビジネスモデル「自公連立」を揺るがす可能性を秘めているからだ。
「ポスト冷戦政局の本質は、竹下登と小沢一郎による公明党・創価学会の取り合いだった」とかつての政界フィクサー・福本邦雄氏が語ったことは、当欄でも紹介したことがある。
氏によると、最初に公明党創価学会の戦略価値に気づいたのが小沢氏であった。その議席、集票力は、冷戦崩壊後1党で過半数を取り続ける力のなくなった自民党の減退を補填する勢 力としては格好の存在だった。小沢氏は、最初は国会での連携・共闘を進め(自公民路線)、連立政権の中軸として兄弟政党化(新生党・公明党枢軸)し、さらには政党として一体化(新進党結党)までして、その政局パワーを活用した。だが、小沢氏と公明党・学会の蜜月は長くは続かなかった。そこに目をつけたのが竹下氏だった。もともと竹下氏の公明党人脈は手厚いものがあり、それをフル動員、公明・学会を自民に引き寄せ、くっつけたのが1999年始動の自公連立であった。愛弟子・小渕恵三政権安定化のため、師・竹下氏が一肌抜いだ形だ。つまりこの勝負、小沢氏が先行したが、竹下氏が引っ繰り返した、というのが福本政局史観であった。


偉ぶらず、人の話を聞くのがうまい
 
それから24年。途中3年余の民主党政権時代を除き、この連立が自民党を安定的に権力の座につかせてきたのは間違いない。この間衆院選、参院選が各8回あったが、公明・学会議席 票の底上げ効果により危なげなく両院での安定多数を確保し続けてきた。つまり、経過や動機は別にして、自公連立が自民党中心の政権を存続させる仕組みとして構造化、常態化されてきた。政策、選挙、人事とあらゆる政権運営はこのシステムを前提に行われてきた。
池田氏がその健康問題から2010年5月以降、学会幹部会に出席しなくなったのは公然の秘密であった。その頃からポスト池田はすでに織り込み済みであり、「池田Xデー」がいつ来ても集団指導体制の下、何ら動揺はない、とされてきた。だが、私見は異なる。池田氏の物理的死が、自公連立という権力構造の基本を変える可能性がある、というのがこの原稿の合意である。同じ見通しに立つ3人のウオッチャーに聞く。
田原総一朗氏は、池田氏に直接取材したことのある数少ないジャーナリストの一人である。『創価学会』(毎日新聞出版、2018年9月)という著作もある。評論家の佐高信氏は自公連立で政権入りしてから公明党への批判を強めている。著書に『自民党と創価学会』(集英社新書、16年5月)、テリー伊藤氏との共著『お笑い創価学会 信じる者は救われない』(光文社、00年)などがある。ノンフィクション作家の溝口敦氏は今から半世紀前に『池田大作権力者の構造」(三一書房、1972年3月。現在は講談社+α文庫)で、言論出版妨害事件直後の 池田氏を活写、「堕ちる庶民の神」と描いた。組織暴力団取材の第一人者でもある。
まずは田原氏からだ。

(つづく)

 


解説

倉重篤郎氏は、宗教問題に造詣の深い、優れたジャーナリストです。

彼が中心となって、田原総一朗、佐高信、溝口敦といった評論家による池田大作評を、まとめていくこととなります。

獅子風蓮