獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

池田大作の死~佐藤優氏の寄稿(その1)

2023-12-13 01:03:08 | 佐藤優

d-マガジンで、池田氏死去にともなう特集記事を読みました。
引用します。


AERA 12月4日号

池田大作の死と創価学会の今後
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)特別寄稿

創価学会名誉会長の池田大作氏の訃報が伝えられた。その影響について、著書に『池田大作研究』がある作家・元外務省主任分析官の佐藤優さんが本誌に特別寄稿した。

創価学会名誉会長の池田大作氏(創価学会第3代会長、SGI[創価学会インタナショナル] 会長)が11月15日に逝去したことを18日に創価学会が明らかにした。
〈創価学会の池田大作名誉会長は、2023年11月15日夜、新宿区の居宅で老衰のため、逝去いたしました。享年95歳。近親者のみで家族葬を行いました。お別れの会を別途、日時を改めて開催する予定です〉(11月18日、創価学会公式サイト)
逝去から3日後にその事実が発表された理由については、池田大作氏の長男で創価学会主任副会長の池田博正氏の談話で
〈尚、本日まで、このことの公表を控えておりましたが、創立記念日の諸行事、なかんずく学園の行事を予定通り行ってもらいたいとの、家族の意向からです。父も、きっと、その通りだと言ってくれていると思います〉(同上)と述べた。
創価学会創立記念日は、11月18日だ。記念日の諸行事に影響を与えないようにするための配慮という博正氏の説明は十分な説得力がある。ここで筆者が注目したのは、池田博正氏が「なかんずく学園の行事」と述べたことだ。学園とは、池田大作氏が創立した、就学前教育機関(幼稚園)・初等教育機関(小学校)・中等教育機関(中学校・高等学校)を有する学校法人を指す。池田大作氏が創価学会の価値観に基づく教育を極めて重視していたという事実を伝えていると筆者は受け止めた。


世界宗教に発展

報道やブログに書かれた有識者のコメントを読むと、池田氏の指導で創価学会が巨大教団に成長したことと学会を支持母体とする公明党が自民党と連立政権を組み、政治的に重要なプレーヤーになっていることに焦点があてられている。
池田氏の最大の功績は、日蓮仏法に起源を持つ創価学会を世界宗教に発展させたことだ。これは日本の歴史において池田氏以外のどの宗教指導者にもできなかったことだ。
創価学会が世界宗教に発展する上で、重要な出来事が三つあった。その意義はキリスト教の歴史との類比でより鮮明になると思う。

第1は、当初、自らが所属していた教団と訣別したことだ。イエス・キリストは自らをユダヤ教徒と考えていた。この宗教をユダヤ教から分離したキリスト教に再編したのは生前のイエスと一度も会ったことがないパウロだ。ユダヤ教のしがらみから抜けられないキリスト教徒が割礼(男性器の先端の皮膚を除去すること)を義務的と考えたのに対し、パウロは割礼に固執しなかった。パウロ派以外の教会は消滅してしまった。現在存在するキリスト教会はすべてパウロ派の末裔だ。
創価学会も、当初は日蓮正宗の在家信徒集団(講)だった。1991年に日蓮正宗宗門が創価学会を破門したのを契機に創価学会は独立の教団となった。

第2は世界宣教(世界広宣流布)だ。パウロは、キリスト教ユダヤ教共同体の枠を超えて、異教徒に対しても宣教し、教勢を拡大した。パウロ自身が、ギリシアやローマに赴いた。


政府に包摂されず

創価学会も池田氏のイニシアティブでSGIを結成した。そして池田氏が自ら外国を訪ね、 世界広宣流布に積極的に取り組んだ。創価学会公式サイトでは、〈世界192カ国・地域に会員を有し、海外には280万人の会員がいます。(2021年11月現在)〉と紹介している。創価学会はもはや日本に限定されない世界宗教になっている。

第3は、「与党化」だ。キリスト教も当初は反体制宗教だった。コンスタンティヌス帝が313年にミラノ勅令を公布し、キリスト教を公認したことによってキリスト教は「与党化」した。しかし、それは国家権力の一部にキリスト教が組み込まれたことを意味しない。自らの価値観に照らして国家が誤った政策をとっていると考えた場合、教会はそれに抵抗し、まず国家の政策を内側から改めることを試みる。それが不可能と考える場合、国家権力と本気で対峙する。ナチス・ドイツ第三帝国に対して抵抗したプロテスタントの「告白教会」がその例だ。ソ連時代はプロテスタントの「福音主義キリスト教徒・バプテスト会議」という教会が、地下に潜って非合法抵抗運動を続けた。創価学会も基本的価値観を共有する公明党が自民党と連立政権をつくることにより「与党化」した。しかし、創価学会がそれによって政府に包囲されてしまったわけではない。例えばロシア・ウクライナ戦争に関して、創価学会はいずれの国家の立場も支持せず、即時停戦を訴えている。この立場は、本年1月11日の池田氏によるウクライナ危機と核問題に関する緊急提言「平和の回復へ歴史創造力の結集を」で明確にされている。また、日本政府はウクライナに対して殺傷能力を持つ装備品を一切提供していない。これも創価学会の価値観を踏まえたところによる公明党の働きによるものだ。


(つづく)


解説
逝去から3日後にその事実が発表された理由については、池田大作氏の長男で創価学会主任副会長の池田博正氏の談話で
〈尚、本日まで、このことの公表を控えておりましたが、創立記念日の諸行事、なかんずく学園の行事を予定通り行ってもらいたいとの、家族の意向からです。父も、きっと、その通りだと言ってくれていると思います〉(同上)と述べた。
創価学会創立記念日は、11月18日だ。記念日の諸行事に影響を与えないようにするための配慮という博正氏の説明は十分な説得力がある。

「十分な説得力がある」――果たしてそうであろうか。
私などは、最初にこの談話を聴いたとき、違和感を感じました。
創価学会における精神的柱であり、創価学園の創立者である池田先生が亡くなったのなら、なにを差し置いても、その事実を会員および創価学園関係者に速やかにしらせるのが本当のあり方ではないでしょうか。
池田先生を師匠と思うなら、その師匠が亡くなったその日くらいはそのことを厳粛に受け止め喪に服するくらいの気持ちになるのが普通ではないでしょうか。
創立記念日の諸行事、なかんずく学園の行事が大事だというなら、霊山に旅立つ師匠に届けとばかり、立派に行事をやり遂げればいいじゃないですか。
それを、なんですか。
池田氏の死亡を隠すものだから、聖教新聞には、池田先生の作られたという和歌が載るわ、幹部の「お元気な先生」というマヌケな挨拶は載るわ。
池田氏の公式的な死亡を知らされたのは、ごく少数の最高幹部と家族だけということなのでしょうか。何を怖れて、そこまで秘密主義を貫いたのでしょうか。

ここからは推測になるのですが、おそらく池田氏は脳梗塞などで呼吸管理の必要なくらい状態のわるい時期を長くすごしたのではないでしょうか。
創価学会執行部の判断で、15日に生命維持装置を外すことが決定され、17日に家族葬ということにして早々と荼毘に付されたのかもしれません。

池田氏の長男の池田主任副会長の談話、
「創立記念日の諸行事、なかんずく学園の行事を予定通り行ってもらいたいとの、家族の意向から」公表を控えていたというのは、いかにも言い訳じみています。

その不自然な印象を和らげるために、佐藤氏が一肌脱いで、わざわざ解説してみたということでしょう。


創価学会も基本的価値観を共有する公明党が自民党と連立政権をつくることにより「与党化」した。しかし、創価学会がそれによって政府に包囲されてしまったわけではない。

これも、どうなんでしょうか。
公明党は、池田氏と創価学会を守るため、「平和の党」という党是をかなぐり捨てて、自民党の軍拡路線に追従していったというのが本当のところではないでしょうか。


例えばロシア・ウクライナ戦争に関して、創価学会はいずれの国家の立場も支持せず、即時停戦を訴えている。この立場は、本年1月11日の池田氏によるウクライナ危機と核問題に関する緊急提言「平和の回復へ歴史創造力の結集を」で明確にされている。

これは事実と異なると思います。
佐藤氏は、かねてよりロシア寄りの発言をしており、ロシア・ウクライナ戦争に関してもプーチンの肩を持つような論文も発表されています。
そんな佐藤氏が、自分の立場に創価学会・公明党を引き寄せようとする思惑が見える書き方です。

実際の経過を振り返ると、最初にロシアによるウクライナへの軍事侵攻を報じた昨年2月25日付の「聖教新聞」と「公明新聞」ですが、聖教新聞では事実のみを報道。
公明党は、山口那津男代表が侵攻のあった24日午後、「言語道断、許される暴挙」との見解を発表、25日付「公明新聞」にこれを掲載したとのことです。
池田氏はモスクワ大学から名誉博士号を授与されていたこともあり、当初、創価学会はロシアを非難することはなく、山口代表の見解と大きな食い違いを見せていたようです。
しかし、侵攻からしばらくして、ようやく青年部が「戦争反対」との立場を表明したように記憶しております。


佐藤氏がなぜ、ここまで創価学会や池田氏を賛美する執筆活動をするのか。
経済的な理由もあるでしょう。
あれだけの量の原稿をかけば、相当の稼ぎになっているはずですから。
しかし、かつて自分のことを「外務省のラスプーチン」と言っていたように、自分の影響力が創価学会・公明党におよび、さらには政権の方向性に影響力を及ぼすことを目指しているような気がします。

一人の作家の政治的な主張が、創価学会や公明党に影を落とすというのは、ロシアの帝政ならいざ知らず、現代の日本では、非常に危険を孕むことではないでしょうか。

佐藤氏の言動には、注意を払うべきでしょう。


ちなみに、本年1月11日の池田氏によるウクライナ危機と核問題に関する緊急提言「平和の回復へ歴史創造力の結集を」なんてものは、私は読んでいません。
どうせ池田氏が自分で書いたものではないだろうし。
むしろ、今年の1月26日には、それまで毎年掲載されていた「『SGIの日』祈念提言」の発表がなかったことが記憶にあります。


1月11日の池田氏によるウクライナ危機と核問題に関する緊急提言を探して読んでみました。

確かにこの提言では、ロシアを非難する論調はなく、「国連の仲介でロシアとウクライナをはじめとする関係国の会合を開催し、停戦合意を実現させるよう」というような中立的な提言をしています。

この提言の作成にあたって、佐藤氏の意見が影響したということもあるのでしょうか。

 

獅子風蓮