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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

服従するは我にあり

2016-11-16 23:08:08 | 大学


トランプがどんなにおかしなことを言うやつでも大統領になったら服従しようとする連中があとを絶たないわけだが、そういえば、吾々の周囲でもだいたいそんな感じである。歴史が反復すると、前回のときの真の犯人や責任者が明らかになってそれはそれで研究にとってはよいが、それだけである。普段理に従うとか宣言している人ほど危ない。吾々はもともとそんなに理に従って生きているわけでもないにもかかわらず、そういう自明の現実を無視しているから、窮地に立つと、オーソライズとか仕事だからとか正式な要請だからとか、ただの屈服であることを隠蔽する「理」を発明してやり過ごすのである。しかし、そういう人は案外、へたれ転向者の汚名を晴らすため、立場がヒラに戻れば頑張って反抗的な人物に立ち返る。戦後の左翼と同じである。

安全保障のために――、科学技術とかの知的流出を防ぐため海外渡航とかに気をつけろみたいな話が、会議ででていた。アホらしい話である。戦争やテロが「理系」の話だと思っているところが……。本当か知らないが、あちらの自爆テロはうちらの大和魂的自爆攻撃とかの影響があるそうであって……。安全保障を言うなら、大至急、日本中の大学でコーランの講読を始めるしかないのは自明ではないか。

未来の戦争

2016-11-15 23:13:18 | 文学


デストピアを描く小説は結構あるが、大概過去を詳細に描いた小説に負ける気がする。前者は「なぜこんなことが?」という出来事を描くのに向いていないので、案外リアリティに欠ける。リアリティとは大概非現実的なのであって、本当の戦争は「あしたは戦争」というかたちでやってこないだろう。むしろ、過去にもあった戦争として始まり、突然未来の戦争に飛躍するのである。

今日も、授業中、何回か声が出なくなって困った。

かつては陸の孤島

2016-11-14 18:27:01 | 大学
http://digital.asahi.com/articles/ASJCB6714JCBUTIL03H.html?rm=308

「筑波大生の「つくバック」、市が着目 かつては陸の孤島」

筑×大は、大学院だけなんであんまりあれなのであるが、大学時代が懐かしくて社会人になってから里帰りじゃなく大学帰りするとは、なんとなく×波大のあれな感じがあれであるという感じである。

わたくしが入学前に筑×大の噂として聞いていた事柄

1、都×文以上に同棲率が高くなんと日本一らしい。やることがないから(←勉強したらいかがです?
2、T大へのコンプレックスがすごい(いや、まあ、その……
3、OB会の怖さは、ある意味フリーメイソンをしのぐ(怖ーい
4、つくばへの移転闘争がまだくすぶっており、「教育大」という単語は御法度らしい
5、サティアンもどきに一年生が強制入居させられ、そこで皆何かが狂うらしい(←気ではなく、味覚が、であった)
6、三人以上集まる時は集会届けが必要
7、沼の中におっ立てたので、どんどん沈んでいる
8、寂しさのあまり、……
9、男子は全員オタク。学会では「筑波顔」はすぐ分かるほどらしい。
10、文科省の実験場らしい
11、池の鯉を食ったら退学
12、とにかく論文で行き詰まったら筑波を脱出すべし。それとも人間やめますか。

わたくしは、大学院時代の大半を「花畑」の「フラワーハイツ」というアパートで過ごした。野原を前にしてカラカラした筑波おろしが原付を吹き付ける様を眺めながら、わたくしの頭の中は、あまりにもお花畑だった気がする。図書館とそのアパートと研究室を行ったり来たりしただけなので、つくばにはあまりにも思い出がない。

と、そんな訳はない。勉強する生活にそんな良い思いばかりあるものか。

追記)忙しくしてても風景が見える人はいるのであるが、わたくしにとってつくばの風景がない感じが興味深かった。突然思い出したのは、映画「レッド・ブル」で、確か舞台はシカゴかどこかだったと思う。そこには労働者の街的な風景があって――だから、シュワルツネッガーが演じるモスクワ市警の人とシカゴ市警の人が協力して悪人をとっちめる話だったが、いかにも「インターナショナル」という感じであった。アメリカの寂れた街がどうなっているのか全くしらないが、風景が変容したり、なくなったりすることに吾々は予想以上に傷つけられている気がする。それがよく分かっていないのは、「美しい国」とか言う連中だけだ。

薬を飲んで雑誌読む

2016-11-12 23:27:19 | 思想


障害者殺傷事件の特集。この雑誌とほぼ関係ないが――、弱った人間を助けそうな人間かどうかが、大統領選挙でもなんでも重要だったのかもしれない、と思った。これは思ったよりも見解が分かれるからな……

熱出して猫ンでいたらトランプ圧勝3

2016-11-11 23:23:26 | ニュース


授業を始めてみたら、カセットの早回しみたいな声しか出なかったのだが、限界まで続けることにして、漱石の映画「それから」やドラマ「漱石の妻」で引き伸ばしつつなんとか終える。

トランプ勝利について、昨日は一年生に向けて「心の不思議さを忘れちゃいけないよ」みたいな話をした。今日は二年生で国語の学生が中心だったから、もう少し長くお話しする。やはりアメリカの建国以来行ってきた犯罪の数々が自らを食い始めていると。アメリカの公民権運動もPCも、長く欺瞞を続けている国家のなかでは、やはり罪は罰となって回帰している現れであって、そういう形而上的なものが彼らの運動を駆動している。所謂「白人中年男性」や「トランプ」みたいな表象も含めてその自己批判運動の一環に過ぎない。トランプ現象自体は確かにテレビショーであり、アメリカにはナチス顔負けの差別主義者が沢山いるのであろうが、もう彼らは十分犯罪者としての歴史的現世的役割は終えている。つまりアメリカ自体が既に地獄に堕ちている。この前、イギリスも堕ちたので、つられてその子どもであるところのアメリカも堕ちたのだ。

日本も戦後に十分堕ちなかったために、再度堕ちようとしている。ワイドショーではなんと(予想通り)、トランプファミリーの華麗なる何とかとか、ビジネスマンだからとか、地頭がよいとか言っておもしろがっている。Go to hell

 忽ち赤い郵便筒が眼に付いた。するとその赤い色が忽ち代助の頭の中に飛び込んで、くるくると回転し始めた。傘屋の看板に、赤い蝙蝠傘を四つ重ねて高く釣るしてあった。傘の色が、又代助の頭に飛び込んで、くるくると渦を捲いた。四つ角に、大きい真赤な風船玉を売ってるものがあった。電車が急に角を曲るとき、風船玉は追懸て来て、代助の頭に飛び付いた。小包郵便を載せた赤い車がはっと電車と摺れ違うとき、又代助の頭の中に吸い込まれた。烟草屋の暖簾が赤かった。売出しの旗も赤かった。電柱が赤かった。赤ペンキの看板がそれから、それへと続いた。仕舞には世の中が真赤になった。そうして、代助の頭を中心としてくるりくるりと燄の息を吹いて回転した。代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した。(「それから」)

この人なんか、決心できるだけ話が穏やかなようにもみえるが、まだ頭に風景を吸い込もうという勢いが我々とは異なる。我々はどちらかと言えば、「にごりえ」のお力みたいなのに近いのではあるまいか。

熱出して猫ンでいたらトランプ圧勝2

2016-11-10 23:28:43 | ニュース


まだ半病人のまま大学に行って、なんとか共通科目90分しゃべりきる。今日は、ドストエフスキー「罪と罰」の影響圏と漱石の「個人主義」のお話。授業後には、今学期最初のレポートが提出されてくる。椎名麟三の「ある不幸な報告書」のなかの「罪と罰」について、が課題。一年生が結構やれたはずと期待しつつ、研究室に戻るとふらふらしてきたので、会議を終えたら帰ることにする。

会議の最初に外国人の先生とトランプについてお話をする。わたくしは、なんだか日本人とはトランプの話をしたくない気分であった。

人文学者としては、PC的な人たちも穏健保守も共倒れして頂いて、こりゃ面白い時代になってきたぞと怯えながら思う一方、やはりトランプはだめだと思う。個人的には、彼のヒラリーに言った Such a nasty woman という言い方が非常に嫌だった。なんだか自分が言ったような気がしたからである。ネオコンヒラリーは確かにだめなのであろうが、だからと言って核ボタンを持つ奴が、Such a nasty woman はいけないと思う。勝利宣言の演説は、なかなか穏健になっていたとか言っていた人もいたが、全くそんなことはない。あれは、事実上の孤立主義だか排外主義宣言――「国民以外は知ったことか、文句言うやつは黙れ、我が国の「分断」は許さない」宣言ともいうべきであった。日本でもそうだったように、どんな首相や大統領でもその言葉や行動を模倣する人間は大量に出てくるので、これから大変である。それは所謂低学歴層が模倣するのではなくて、案外、金を持った高学歴層が模倣しているかもしれないのはまわりを見渡しても感じられることではある。トランプによって労働者の革命が起きるなんてのは幻想であろう。むしろ、労働者を使う者の態度がトランプ風になり、労働者もトランプ風に首にされたからあんまり強く出られないといったような現象が起こる。まあ、そんな感じでぼろぼろになりながら、仲間を大切にする自由の精神が復活してくることはありうる。そのかわり被害者も多く出る。

トランプは大統領になってもっとひどいことを言い出しかねないとわたくしは思っている。彼は商売人である。いろんな意味での自分の儲けのために、なんでも言ってくるぞ……。言うまでもなく、人間性やら人権などそうやって簡単に無視できてしまうのが、ある種の商売人である。どこまで我が国は耐えられるかね。もうアメリカ関係なくTPPやってしまうつもりらしいので、その風見鶏的自主独立の精神に期待したい。全く期待できないが……。その前に、トランプが、「アメリカはもう徹底的な孤立主義でいきますよ、つまり平和主義ですよ、日本の九条いただきっ」とか言ってくるとか……さっき、妄想した。

熱出して猫んでいたらトランプ圧勝

2016-11-09 18:31:24 | ニュース


久しぶりに本格的に体調を崩し寝込んでいたら、トランプが勝つわ、という天使の呟きを感じ、テレビをつけたら、ちょうどヒラリーをトランプが逆転したところだった。

1、生まれてみたら喘息とアトピー性皮膚炎
2、全く食欲がなく全然大きくならない
3、勉強はまあまあ(←まあまあが苦悩のポイント)
4、1オクターブ以上は届かない手だった
5、よく鼻血が出る
6、「中学校が田子作の集まりすぎて精神的孤立」というよくある思春期の妄想
7、大学入試に失敗
8、大学院に受かる(←ある意味不幸の始まり
9、国文学者もどきになる(グローバル人材ではなかった)
10、教育学部に奉職して、教育界とは腐れ縁
11、よく鼻血がでる
12、アクティブラーニングという単語にいちいち不機嫌
13、トランプ大統領←今ここ

日本の現状を見るに、リベラル(というか、リベラルって何?善人面したマルクス主義者のことかな、まさかね)が当初予想するよりも事態はひどいという現象がずっと続いていた。ある学生は思ったよりもファシストになっており、ある学生の知性は思ったよりもろく、思ったよりも知の権威は失墜しており、大学でも思ったよりも声がでかい下品な犬みたいな輩だけが威張り腐っており、思ったよりも知識人は勇気がなく、首相の虚×癖は思ったよりも深刻で、思ったよりも日本のインフラ整備はあれで、思ったよりも自分の頭も悪く……

朝食の時に、NHKで、思ったよりも性悪なアクティブラーニングのニュースが流れていて病状が悪化した。我が国(のマスコミ)は、NHKを筆頭にもう思考が完全に止まっている。

まあさすがに民主主義の国アメリカは何とかするだろうと思っていたそこのあなた!アメリカ映画を観てみろよ、差別と爆撃ばかりのひどい国ではないか……下品を洗練させたのがアメリカのすごいところだよ。

トランプが女性にひどいことをしたというニュースでさすがに彼はないだろうと思った人もかなりいただろうが、たぶん、あれでトランプが人間的に見えた人々は結構いたはずなのである。黒人の次は女かよ、とか思っている田子作が大量にいると思われるアメリカでなくても、結構いたはずだ。わたくしが、モラルの底なんかが存しない文芸の世界にいる人間だから、そう思うのであろうか?わたくしはそれは少し前まで大人の常識だったはずだと思う。リベラルは「人間」にそろそろ帰る必要がある。だいたい、わたくしに限らず、リベラルっぽい人たちは、トランプや橋下や安倍について語っているうちに、彼らがなぜ支持されているのか自らを省みてだんだんと分かってくるというのが普通であって、それを分からぬふりをしているうちに、人を馬鹿にした下品な言葉を使ってしまっているのである。内省の時間に恵まれている知識人に必要なのは、そういった心理経過に対するのんびりとした観察である。

ビックデータでヒラリー優位とか言ってた、ビックデータオタクだけはのんびりしないでさっさと研究のやり直しをしてください。役に立ってねえじゃねえか。

勿論、トランプの天下になって、これから、世界の主たるリーダーたちが軒並みあれな人物に切り替わるであろう。(既に、日本も含めてほぼ切り替わっている。)而して、我慢してきた「本音おじさん」や「本音おばさん」のファッショっぷりと、グローバル人材の狼狽ぶりが見物できる。歴史によれば、こうなるとかなり痛みは伴うが、急速に事態は進展するかもしれない。労働者たちはまたもや救われまい、しかし悪人とその他の人々が次々に生きながら地獄に落ちていく様は壮観であろう。今こそ、精密な人間の研究にいそしむべき時で、いままで以上にいったん民衆からは自らを「分離」しなければならない。中途半端に大衆面しているからおかしなことになるのである。

14、世界大革命(わたくしだけが幸福に)

瀬戸内芸術祭最終日に行ってきました(国境を越えて編)

2016-11-06 22:25:39 | 旅行や帰省
さあ、来ました、リン・シュンロン「国境を越えて・潮」







子ども目線だ、参ったか!


波高し




悲しくなってきました


波高し波高し


波高し


肉体は滅ぶとも我が魂は……花です


波高し


波高し


波高しきゃああっ(濡れたわたくし)


倒れてもいい元気に育って欲しい




倒れてもいい元気に育


あーっ


ぎゃあああ


この島はどこまでもアートであった


空き家問題もアートなのであった。

瀬戸内芸術祭最終日に行ってきました(三都半島編)

2016-11-06 22:08:23 | 旅行や帰省



花寿波島の秘密(康夏奈(吉田夏奈))

みるのは二回目だが…


黄昏れて参りました


オリーブうどん(おせったい)


神浦に参りました。すごい名前のところにきました…






stories-House-(赤坂有芽)。

この人の作品好きです。


今日、一番衝撃の作品。「征露紀念碑」。このようなものがどれだけ日本にあるのだろう…




朝顔