Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

アメリカナイズ

2005年12月21日 22時28分30秒 | 日記、雑感
二晩続けて娘を寝かしつけながら一緒に寝てしまいました。わずかに
PCに向かえた時間もコメントを返すのに費やして、3日ぶりの更新と
なってしまいました。
外はまた雪が積もり始めています。



夏目さんとコメントをやり取りしていて、「住居侵入」に関連して少し思う
ところがあったので、今日はそのことを書きたいと思います。

以前「イギリスの家」で紹介した井形慶子さんが、本の中で、イギリス人
はパブリック意識が大変強いということを書いていました。家を建てたり
買ったりする時、自分の家のことだけでなく、ストリート全体の景観とか
コミュニティを見て判断する、とか、ガーデニングも周囲との調和を考え
つつ、みんなに見て楽しんでもらうために造る、などなど。とりわけ興味
深かったのは、イギリス人にとって玄関先までがパブリックスペースだと
いう指摘でした。
ロンドンのような大都市は別として、古い家並みが残る地方では、
インターホンも無く、ドアに鍵をかけていない家も多く、誰でも気軽に
ドアの前まで行って、ノックして、家の人に声をかけることができると
いうのです。ではイギリス人にプライバシーは無いかというと、そんな
ことはありません。バックヤードは、他人が覗いたり立ち入ったりしては
いけない場所です。
でも基本的に、イギリス人はオープンで、誰でもウェルカムだ、と書いて
いました。それを象徴するのが玄関のドアで、家の内側に開くように
なっているそうです。
その本にも書いてありましたが、日本の家もかつてはそうでした。最近
話題になった映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で描かれている時代まで
は、垣根越しに声を掛け合ったり、縁側に腰を下ろしたり、テレビのある
家に皆が集まったり、といった具合に。高度成長と共に、そうした風潮も、
それを支えていた「近所づきあい」もどんどん消えていってしまいました。

自分の家に対する思い入れや、それを守ろうという意識は、万人共通の
ものでしょう。しかし日本人はとりわけ、自分の家のことだけを考えて
家の外のことには目を向けない「マイホーム主義」「生活保守主義」の
傾向が強いように思います。そしてよく似た国がもう一つあることに思い
至りました。アメリカ合衆国です。
米国は白人移民によって「開拓」され「建国」された国家です。その成り
立ちから、自分の命・家族・財産は自分で守るという伝統が今も強く
残っています。銃の保有が多いのもそうした事情によります。米国で
他人の家に勝手に足を踏み入れたら、銃で撃たれても仕方ありません。
以前、日本人留学生が殺されたように。
余談ですが、米国人が親愛の情を表す動作はオーバーアクションで
日本人から見ると滑稽(自分でやるのは恥ずかしい)ですが、あれも
相手に「私はあなたに敵意を持ってませんよ。何の危害も加えませんよ」
と伝えることで自分の身を守るためのものだそうです。
日本人の保守性とマッチする部分があったのかも知れませんが、そう
した米国の思想・文化が日本に入ってきて人々の意識を変えたのでは
ないかと、ちょっと考えてみました。でないと、日本の伝統的風習の衰退
の激しさは、時代の流れだけでは説明できないように思います。
米国は日本に民主的憲法を「押し付けた」国ですから、その国に感化
されることは、一面では国民の権利意識を育ててもいるかも知れません。
しかしどちらかというと、虎の子の不動産を商業主義の波で洗われる
上に、「周りはみんな敵」みたいな意識を植え付けられて競争社会へと
駆り立てられている側面のほうが強い気がします。

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4 コメント

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なるほど、なるほど (しゅじ)
2005-12-22 08:17:49
 いつも興味深く読ませていただいています。井形慶子氏の「イギリスの家」も日本に帰ったら見つけて読んでみたいと思います。

 イギリスの家ですが、確かに玄関のドアは内側に開きます。玄関だけではなく、各部屋のドアも内側に開きます。ウェルカムのメッセージというのは関心しましたが、使い勝手は「?」です。

 ただ、「インターホンも無く、ドアに鍵をかけていない家も多く」というのは古き良きイギリスのことかもしれません。(スコットランドやウェールズの田舎はそうなのかもしれませんが)イギリスの家は基本的にオートロックです。ですから、鍵を持たずにゴミを捨てに行っただけで家に入れなくなってしまったりします。イギリスに住む人は必ず家に入れなくなる失敗をします。そして、イギリスの家はどの部屋にも鍵が付いていて、我が家も10個以上の鍵を渡されましたが、いまだに、どれがどの鍵かわかりません。インターホンは、日本のようにカメラがついて音声で応答するようなものは見たことはありませんね。ただのベルです。

 なんか、とりとめも無く、意味の無いコメントで申し訳ありません。日本は大雪のようですが風邪をひいたりしないで、素敵なクリスマスをお迎えください。
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やっちゃった (みな)
2005-12-22 23:01:05
しゅじさん、ご指摘ありがとうございます。

やっぱり自分で見たわけではないことを書くと、ボロが出ますね。

ベルは付いてるって書いてあったような気がしてきました。でもドア越しに応対することは無い、だったかな?最近は一度読んだだけでは内容を覚えられなくなってきて、困ってます。

各自のプライバシーを尊重して各部屋に鍵が付いていても、日本のように「子ども部屋」に入ったきり出てこないなんてことはイギリスではない、というのも書いてありました。顔と顔を合わせてのコミュニケーションを大事にする文化なのでしょうね。

しゅじさんが道を尋ねられるのも、実はしゅじさんと話がしたいからだったりして。(それはないか)



ニュースで、ロンドンは今、世界一防犯カメラが多い街だと言ってました。やっぱり変わっちゃうんですかね。寂しいなぁ。
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イギリスの家 (時生)
2005-12-30 01:49:11
ついに買いましたぞ。

ケントにセミデタッチの家を!!

井形さんの言うとうり、この国の人は家命です。

改装、庭、ああ、途方もなく熱いのです。

鍵は防犯もかねていますから、各部屋に日本もつけるべきと考えます。

イギリスの家は、買い応えあります、ほんとに。
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Unknown (みな)
2005-12-30 02:50:26
時生さん、ようこそ。コメントありがとうございます。

時生さんは、イギリス在住なのでしょうか。まさか別荘? イギリスの地理はよく分かりませんが、カンタベリー大聖堂とかがあるケント州のことでしょうか。



各部屋の鍵に関しては私は否定的です。少なくとも日本においては。一般庶民の標準的住居では、個室を持っているのは子どもだけというケースが多く、昨今の家庭内の人間関係を考えると、鍵は百害あって一理も無いように思われます。

防犯効果ですか。確かに、強盗に家中を荒らされたり、命まで奪われるケースは多少減るかも知れませんが、逆に荒っぽい手口の犯行が増えるかも。それよりも地域共同体の再生が大事だと私は思います。日本が日本らしくあるためには、日本家屋でも安心して住める社会を取り戻さなくてはいけません。いくら外国のいいところを真似しても、アイデンティティの無い家には魅力を感じません。



関係ない話ですが、我が家も、日本の借家ですが、セミデタッチ風です。
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