社会不適合者エスティのブログ

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三低男子の婚活事情 41ページ「古代メルヘンランド王国の秘密」

2018年12月02日 | 三低男子の婚活事情
ベルガは結婚できない婚活女子のカップリングに成功し、

落ち着いた様子の朱音と婚活話をしていたのである。

ベルガ「初歩的な事だよ。」

朱音「ねえねえ、この店で1番高いコーヒーっていくらなの?」

ベルガ「それならこのブラック・アイボリーだ。一杯1万円だよ。」

朱音「1万円っ。ぼったくりじゃないの?」

ベルガ「何言ってんの。世界一のバリスタが世界一高級なコーヒーを提供している店ってここしかないんだよ。それにただでさえ希少価値の高いコーヒーなんだからしょうがないよ。」

朱音「ふーん、でも注文するのは止めとくわ。じゃあ、あたしはもう帰るね。」

リコラ「お兄ちゃん、珍しくカップリングに成功させられたね。」

ベルガ「そうだな。いつもだったら事件に巻き込まれてるはずだけど、今までの婚活指導がようやく実を結んだな。」

ヘクセンハウス元帥「お前、婚活指導なんてした事あんのか?」

ベルガ「婚活法が始まってから度々婚活イベントでカップリングしたいっていう依頼が来るようになったんだよ。その時の君はバトラーやってた時だから気づかないのも無理はない。それにお見合いとか結婚を迫ってくる悪い奴から依頼者を守るのも立派な婚活指導だよ。」

リコラ「物は言いようだね。」

ベルガ「ちくしょう。」

メルヘンランド女王「ベルよ、魔法官から無力化の魔法が書かれた魔導書を探すようクエストが来ておる。期限は問わないそうだが、魔導書の探索はどうするのだ?」

ベルガ「あっ、すっかり忘れてた。」

ヘクセンハウス元帥「お前なー。」

メルヘンランド女王「心当たりはないのか?例えば図書館とか本屋とか。」

ベルガ「心当たりって言われても・・・・ん?本屋だったら心当たりあるかも。」

ヘクセンハウス元帥「どこだ?」

ベルガ「確か青葉は古本屋をやっていると言っていた。古本屋の住所なら彼女とメアド交換した時にもらってるからここに行ってみよう。」

ヘクセンハウス元帥「店はどうすんだよ?」

ベルガ「今日は明歩も桜子も出勤日だから心配は要らないよ。」

リコラ「完全にクエストの方が本業になっちゃってるね。」

ベルガ「これも仕事の内だ。手遅れになる前に帝国自衛隊の魔法兵器を無力化させないと、ジパングにここを攻め込まれたら元も子もない。少しでも奴らの戦力を弱体化させないとね。」

ヘクセンハウス元帥「キルシュによると、ジパングには大した魔法使いはいないそうだ。元から組み込まれていたリロードの魔法を別の兵器にリンクさせる事ができるだけで、無力化の魔法を使えば一気に解決できるそうだ。」

ベルガ「不幸中の幸いだな。」

メルヘンランド女王「今魔法官が部下に命じてアナザーアースに散らばっている魔導書を探させておる。だが今のところ、無力化の魔法が書かれた魔導書は見つかっておらぬのだ。」

ベルガ「魔法官としては、ずっと無力化の魔法を使えないままだと、元老院に対して面目丸潰れだからね。」

ヘクセンハウス元帥「じゃあ行ってくるぜ。」

ベルガたちはネオトーキョーシティにある古本屋へと行き、

彼女の古文書を巡って青葉と交渉する事になったのである。

青葉「あっ、ベルガさん。お久しぶりです。」

ベルガ「青葉、久しぶり。早速で悪いんだけど、お願いがあるんだ。」

青葉「お願いですか?」

ベルガ「実はわけあって魔導書が必要なんだ。ここに置いてないか?」

青葉「魔導書ですか?うーん、探せばあるかもしれませんけど、古代文字で書かれている書物は全然読めないので、言語分けをせずにまとめて倉庫にしまってるんですよ。」

ベルガ「じゃあそこを探させてほしい。」

青葉「それは構いませんけど、たくさんありすぎて整理してないんですよ。」

ベルガ「じゃあそれらの本を全部貸してくれ。」

青葉「ええっ、駄目ですよ。私は古文書の収集家でもあるので、できれば模写したものにしていただきたいんですが。」

ベルガ「僕は今、無力化の魔法が書かれた魔導書を探しているんだ。一刻も早く見つけないと、メルヘンランドは滅ぼされてしまうだろう。魔導書じゃないと分かったものについては後で返すからさ。」

青葉「分かりました。確か無力化の魔法って、大昔の魔法官が魔法兵器の流出を防ぐために開発した魔法だったと聞いています。今それが必要になったという事は、また魔法兵器が流出したんですか?」

ベルガ「そうだ。魔法兵器を悪用すれば世界を滅ぼす事だってできる。メルヘンランド王国の初代国王であるロムルは魔法兵器の恐ろしさを誰よりも理解していた。ロムルは魔法兵器を領土拡張に使う事に反対し、国防の場合のみに使うべきと主張した事で退位させられ、王国を追い出されて行方をくらました。それからのメルヘンランドは数百年もかけて魔法兵器による世界征服を実現したが、聡明でない国王が続くようになってからは世界各地で反乱が発生し、魔法兵器同士の戦争が相次いだ。」

青葉「それならメルヘンランド史で読んだ事ありますよ。かつて征服した地域が全部独立して、本国でも国王が混乱の責任を問われた事で革命が起きて、革命中に無力化の魔法が使われて、本国以外の魔法兵器は全て無力化されて共和制に変わったんですよ。」

ベルガ「そうだ。その時の最後の国王が、今も王国のシンボルとして生きてる女王陛下だ。女王陛下は逃亡する際、ロムルが作った魔導書を発見して魔法の実験を試みた。そして気がついたら不老不死になっていた。」

ヘクセンハウス元帥「女王陛下は自分の一族がしてきた過去を清算するために、不老不死になる事を選んだと噂で聞いたぜ。」

ベルガ「今でも魔法で不老不死になった人はちらほらいるが、確かなのはいずれも王制時代の王族だという事だ。」

青葉「無力化の魔法が書かれた魔導書は何故保存しなかったんでしょうか?」

ヘクセンハウス元帥「恥ずかしい話なんだが、歴代魔法官の中に古代メルヘンランド語を読めなかったために、他の書籍と一緒に売り払ってしまった奴がいるんだ。」

青葉「それはとんだ失態でしたね。」

ベルガ「ヘクセンハウス、スマートフォンで古代メルヘンランド文字を検索してくれ。その中から古代メルヘンランド文字と一致する本だけを集めて一か所に積み上げてくれ。」

ヘクセンハウス元帥「分かったぜ。だが文字はともかく古代メルヘンランド語なんて古すぎて翻訳サイトでも解析はできないぞ。」

ベルガ「1人だけいるだろ?古代メルヘンランド語が分かる人が。」

ヘクセンハウス元帥「そうかっ、女王陛下の元へ持っていけば分かるわけか。」

ベルガ「そういう事だ。魔法官は魔導書の探索で忙しいだろうし、こっちはこっちで動くだけだ。」

ベルガたちは本に書かれてある文字と古代メルヘンランド文字を、

照らし合わせる作業をしていくが数えるほどしか見つからなかった。

ヘクセンハウス元帥「古代メルヘンランド語と一致する本がなかなか見つからないな。これだけさがしても5冊しかなかったぜ。」

ベルガ「そうか。青葉、この5冊をくれないか?」

青葉「うーん、どれも文字が全然わからないんで持っていって良いですよ。全部で5000円です。」

ヘクセンハウス元帥「高いな。」

ベルガ「僕の財布には大ダメージだが、魔法官が認めれば国の経費にしてもらえる可能性はある。本物の魔導書だったら後で報酬に経費を入れてもらう交渉でもするか。」

ジパング警察官A「警察だっ、ここにベルガ・オーガスト・ロートリンゲンがいると通報があった。今すぐ引き渡してもらうぞ。」

ヘクセンハウス元帥「隠れろ。こっちだ。」

ベルガ「う、うん。(まさかジパング警察が嗅ぎつけてくるとは。)」

ジパング警察官B「ここに奴がいるはずだ。どこにいる?」

青葉「そう言われましても、私には何の事だか。」

ジパング警察官A「とぼけるな。ベルガ・オーガスト・ロートリンゲンがここに入っていったという証言もあるんだ。」

ジパング警察官B「ここを捜査させてもらう。」

青葉「あの、それは構いませんけど、古い本ばかりなので丁寧に取り扱ってくださいね。」

ヘクセンハウス元帥「行ったか。ベル、買った本はどこだ?」

ベルガ「それならここにある。」

ジパング警察官A「こんなに本があるんじゃ見つけにくいな。どこに隠した?」

青葉「そんな人知りませんよ。」

ジパング警察官B「もういい、お前を公務執行妨害で逮捕する。さっさと来い。」

青葉「ちょっと、止めてください。誰かっ、助けてください。」

ベルガ「まずい事になったな。」

ヘクセンハウス元帥「ああ。だがこれでうまく逃げられそうだぜ。」

ベルガ「ヘクセンハウスは裏口から逃げろ。これらの本を女王陛下に届けてくれ。僕は青葉を助ける。」

ヘクセンハウス元帥「お前自分がどういう立場か分かってんのか?」

ベルガ「青葉は僕らを引き渡そうと思えばできたはずだ。だが彼女は自分の身柄を犠牲にしてまで僕らの安全を優先してくれた。僕はこの温情に応える義務がある。」

ヘクセンハウス元帥「お前も底抜けの善人だな。分かった。でも無茶はするなよ。」

ベルガ「任せとけって。」

ベルガは1人で青葉を助けに行ったが、

青葉は近くの強制収容所へ送られていた。

青葉「離してください。私何もしてないのに、いくら何でも酷すぎですよ。」

ジパング警察官A「黙れ。じゃあ、ベルガ・オーガスト・ロートリンゲンがどこにいるかを吐け。お前の店に入っていった者が2人いたのは確かなんだからな。」

青葉「あの人たちはただのお客さんですよ。」

ジパング警察官A「あくまでもしらを切るか。3日以内に吐け。もし3日を過ぎればガス室行きだ。」

ジパング警察官B「彰造、ベルガを捕まえたぞ。」

ベルガ「よっ、待たせたな。」

青葉「ベルガさん、どうして逃げなかったんですか?」

ベルガ「僕が捕まらないと青葉が危険だと思ったからだよ。だからこいつの誘いに乗せられてやった。」

彰造「へえ、お手柄だな。どうやら先に出世するのは大吾のようだ。」

大吾「まあな。じゃあそいつと一緒に強制収容所で最期を迎えるんだな。」

ベルガ「僕が捕まれば青葉は助けると言ったはずだぞ。」

大吾「俺たちがそんな約束守るわけないだろ。こいつは最初からお前を釣るための餌だったんだよ。」

ベルガ「やはり黒杉財閥の手下だったか。」

彰造「そうだ。どうせお前らは死ぬんだから教えておいてやるよ。俺たちはお前を捕まえるためだけに結成された特殊部隊だ。お前の特徴はもちろんの事、困ってる人を放っておけないほどのお人よしだって事も計算済みなんだよ。総理大臣命令なら仕方ないよなー。ほら、さっさと入れ。」

ベルガ「痛っ、僕はメルヘンランドの元老院議員だぞ。こんな事をしてただで済むと思うなよ。」

彰造「だったら元老院にばれないよう、秘密裏に処分するまでだ。南口青葉、お前も我々の情報を知りすぎた。だからお前もこいつと一緒に強制収容所で処分させてもらうぞ。実家から通報が来ても行方不明扱いにしておけば誰も真相には辿り着けない。」

青葉「そんなっ、不可抗力じゃないですか。それにそんなの横暴すぎますよ。」

ベルガ「それがこいつらのやり方だ。僕の情報はお人好しな王国民から聞いたんだろ?」

大吾「ああ、そうだ。それと、ここは電波の届かない場所だから光学迷彩型追跡カメラも使えないぞ。追いかけるのはともかく、映像で写すにはネットに繋ぐための電波が必要だからな。それにカメラを操作するスマートフォンも取り上げてあるから問題ない。」

ベルガ「なるほど、生放送対策も万全ってわけか。」

彰造「その通り。ベルガ・オーガスト・ロートリンゲンを捕まえれば、特殊部隊解散と同時に捕まえた警察官の特進が約束されてるんだ。」

大吾「俺は早速政次さんに朗報を伝えるとするかー。じゃあな。」

彰造「今までジパングを苦しめ続けたようだが、ここまでみたいだな。」

青葉「ちょっと、待ってくださいよー。行っちゃった。」

ベルガ「青葉、僕らを庇ってくれた事には感謝してるよ。だから恩返しとして、君をここから助け出す。」

青葉「ええっ、そんな事できるんですか?」

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