リコラたちはパンチャタントラを次の合コン会場にしてもらい、
シュトレンたちの手助けをリンツにお願いする事になった。
ジュリー「だからクエストが事件に関連するものばかりなのね。納得したわ。」
フォレノワール「おかげで昔よりも治安が良くなったんですよ。これもベルガさんの助力あっての事です。思った事をそのまま言ったり、社会性が壊滅的なのが玉に瑕ですが。」
ジュリー「信頼してるのね。」
フォレノワール「そうですね。」
アーサー「今度の合コンだけど、今までに会った人を集めるとか言ってたけど、どうやって集めるつもりなんだ?」
ジュリー「一応予約だけど、リコもアーサーも会った事がある人たちを優先的に呼んでるって事よ。元々この合コンはリコに人馴れしてもらうためのものだし、パンチャタントラの売り上げにも貢献できるでしょ?」
アーサー「つまりは身内の合コンって事だな。」
ジュリー「そういう事。」
ルーシー「そんな私的な事に自分の経費使って良いの?」
ジュリー「みんなが会った事がある人を呼ぶとは言っても、他の登録者とかも一緒に来るから、知り合いが比較的多い合コンになるってわけ。」
モンブラン「あれっ、今日は明歩も桜子もいるんだ。久しぶりだね。」
明歩「久しぶり。」
桜子「お久しぶりでーす。もしかしてまたカップリングできなかったんですか?」
モンブラン「うん。今度はいけそうって思ったのに、結局私よりも若い人とカップリングしちゃってさー。それでさっきマドレーヌを誘ったんだけど、彼氏とデートだから行けないって言われてさー。なんか私だけ取り残された感が出てきちゃった。」
ジュリー「じゃあモンブランも今度の身内合コンに来る?知り合いとかが比較的多いから飲みに来るつもりで来てくれると嬉しいんだけど。」
モンブラン「合コンだとカップリングできないと思うけど。」
ジュリー「たまには息抜きも大事よ。もしかしたらひょっと良い人が現れたりするかもよ。」
モンブラン「分かった。じゃあ行こうかな。」
そして数日後にはパンチャタントラで合コンをする事になり、
当日リコたちが店に向かうと宣伝効果もあって人が集まっていた。
シュトレン「まさかこんなに人が集まるなんて。」
パンドーロ「夢みたいですね。」
リコラ「ここでの合コンはジュリーにお願いして、パンチャタントラの宣伝はリンツさんにお願いしたの。」
シュトレン「リンツって・・・・あの問題児をよく説得できたわね。」
リコラ「お兄ちゃんの休日と引き換えに交渉に応じてもらったの。」
シュトレン「休日?」
リコラ「あっ、今までに知り合った人もいる。」
アーサー「まさか俺の同級生まで来るとはな。」
チャラい男「よお、アーサー。大学卒業以来だな。何その可愛い子?お前の彼女か?」
アーサー「彼女じゃねえよ。元同級生だ。」
チャラい男「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はマクシム・クバーセク。マクシムと呼んでくれ。普段は全自動タクシー会社の社長やってるんだ。普段みんなが使ってるタクシーはうちのものだよ。」
リコラ「そうだったんですね。いつもお世話になってますよ。」
恥ずかしがりやな女「私はエステルハージトルタ・ハプスブルクです。エステルと呼んでください。普段はウィトゲンシュタイン家でメイドをしています。」
パンドーロ「メルヘンランド大学にいたのにメイドなんですか?」
エステルハージトルタ「はい。ウィトゲンシュタイン家のメイドは高学歴で教養のある人しかなれないんですよ。ウィトゲンシュタイン家は世界各国から首脳や王族を招いたりするので、世界各地の言語や文化を勉強しないといけないんですよ。」
マクシム「エステルは次期メイド長筆頭と言われている上に、海軍の中将もやってるんだぜ。」
エステルハージトルタ「王国軍の下で長く勤めていただけで、戦争はした事ないんですけどね。」
シャイな男「俺はアルホ・パルニラ。アルホで良いよ。俺は普段俳優やってるんだ。俺たちみんな年齢は違うけど、みんなアーサーが大学の時の同級生なんだ。」
シュトレン「アルホって今有名な俳優じゃない。ずっとテレビで見てたよ。」
アルホ「それは嬉しいね。」
リコラ「私はリコラ・オーガスト・ロートリンゲンです。リコと呼んでください。アーサーとは中等部時代の同級生です。ずっと前の婚活イベントで再会して、度々情報交換とかしてるんですよ。だから・・・・友人という事で良いのかな?」
アーサー「ああ、そうだな。」
マクシム「リコちゃん、俺と一緒に話さない?」
エステルハージトルタ「マクシムだけずるいですよ。私もリコさんと話したいです。」
アルホ「じゃあ俺はアーサーと話すわ。」
シュトレン「ねえ、エステルは女子が好きなの?」
エステルハージトルタ「はい。私は体は女子なんですけど、心は男子なんです。」
アルホ「そういう事。ちなみに俺は男子にしか興味がないんだ。だからアーサーと話したいなー。」
アーサー「あのな、俺たちはあくまで友人だって事を忘れるなよ。」
アルホ「分かってるよー。釣れないなー。」
パンチャタントラでの合コンは司会のジュリーの下で順調に進んでおり、
リコラは色んな人たちと交流を深めたがアーサーの事が気になっていた。
リコラ「(さっきアーサーを友達って呼んだ時から、何故か胸のもやもやが取れない。何だか嘘を吐いている時のような罪悪感がする。原因が全然分からないのに、何故か人に聞くのが凄く恥ずかしく思える。)」
アーサー「リコ、どうしたんだ?」
リコラ「いや、何でもないよ。」
ルーシー「ねえ知ってる?リコが何でもないって言う時は、大抵何かある時なんだよ。」
シュトレン「詳しいわね。それ知ってるの私だけだと思ってた。」
ルーシー「もしかしてシュトレンもリコを狙ってるの?言っとくけど、そう簡単にリコは渡さないから。」
シュトレン「上等じゃない。私だってあんたにリコを渡す気はないから。」
アーサー「お前ら何やってんだよ。」
プファンクーヘン「お前らも来てたんだな。」
リコラ「プファン、来てくれたんだね。」
プファンクーヘン「ああ、私も久しぶりにヘクセンハウスが作りたくなってな。ネットでヘクセンハウス専門店の広告があったからそれで来ようと思ったんだ。」
リコラ「ここのヘクセンハウスの材料は大手チェーン店にはない独特の材料もあるんだよ。(リンツさん、ちゃんと宣伝してくれたんだ。まあ、お兄ちゃんとのデートがかかってるから当然だよね。)」
パンドーロ「私の仕事・・・・取られちゃった。」
モードレッド「やあ、やっと会えたね。リコちゃん。」
リコラ「何か用ですか?」
モードレッド「ご挨拶だなー。せっかく会いに来たのに。大事な話があるんだ。ちょっと良いかな?」
リコラ「交際の件ならお断りしたはずですが。」
モードレッド「そうじゃない。それよりもっと大事な話だ。」
アーサー「リコ、こいつの話には乗るな。嫌な予感がする。」
モードレッド「外野は黙っててくれないかなー。確か君の会社は今赤字なんだってね。その気になれば止めを刺す事だってできるんだぞ。」
アーサー「それは脅しか?」
モードレッド「とんでもない。忠告しただけだよ。だからリコちゃんさー、この男の会社が大事ならついてきてくれないかなー?」
リコラ「・・・・分かりました。アーサーの会社には手を出さないでください。」
アーサー「何言ってんだ。俺の会社の事は気にするな。」
リコラ「大丈夫。アーサーはここで待ってて。」
アルホ「なんかあの人ガツガツしすぎというか、男の俺から見ても無理だわー。」
マクシム「あいつリコちゃんに気があるのかな?」
アーサー「最初の婚活イベントの時から、ずっとリコを追いかけてるんだ。リコに会うためにリコの友人まで利用していたんだ。」
エステルハージトルタ「リコさんはモテますからね。」
モードレッドは人気のない所にリコラを呼び出し、
尋問をするように彼女から情報を聞き出していた。
リコラ「あの、一体私に何の用なんですか?」
モードレッド「そう慌てるなよ。せっかくこうして2人きりになれたんだからさ。」
リコラ「ちょっと、触らないでください。」
モードレッド「これ、何だか分かるか?」
リコラ「ファンタスティックの株ですか?」
モードレッド「そうだ。今これを一気に売り払ったらどうなるかな?」
リコラ「どうなるんですか?」
モードレッド「察しが悪いなー、ファンタスティックが潰れるって事だよ。利益も筆頭株主もいない会社は倒産するしかないからな。」
リコラ「だから何だというんですか?」
モードレッド「俺とつき合ってくれないなら、俺がファンタスティックの社長にマドレーヌとモンブランをクビにすれば、株の売却は勘弁してやるって伝えたらどうなるかな?」
リコラ「やっぱり脅しじゃないですか。」
モードレッド「リコちゃんに選択肢を与えてるんだから脅しじゃないよ。好きな方を選べば良い。まあ、今回俺とこうして話してくれたからアーサーの会社には手を出さないでおいてやる。だがファンタスティックは別だ。で?どうする?」
リコラ「・・・・カップリングせずにつき合うという事で良いですか?」
モードレッド「良いよ。カップリングしてもしなくても、事実婚でも法律婚でもつき合ってたら一緒だからね。あ、そうそう。この事は一切他言無用だぞ。」
そして合コンは終わったがリコラのどこか悲しげな表情に、
アーサーが気づいたが彼女はモードレッドと一緒にいた。
モードレッド「リコちゃんは俺とつき合う事になったから、よろしくね。」
ルーシー「は?あんた何言ってんの?」
アーサー「嘘だろ?リコ、お前どういうつもりだよ?」
リコラ「・・・・本当だよ。私、モートレッドとつき合う事になったから。」
アーサー「口ではそう言ってても、顔が違うって言ってるぞ。モードレッド、お前リコに何を吹き込んだ?」
モードレッド「つき合ってほしいって言っただけだよ。」
アーサー「嘘だ。リコはお前みたいな奴とつき合おうと思う奴じゃない。」
ルーシー「そうよ。あなたリコに何かしたんでしょ?」
モードレッド「証拠はどこにあるんだ?」
ルーシー「しょ、証拠って。」
アーサー「証拠はない。だがお前がリコに何かを吹き込んで、思い通りに操っている事だけは分かる。」
モードレッド「証拠もないのにそんな事を言うなんて、名誉棄損もいいとこだ。あんまり楯突くと、お前の会社を潰すぞ。」
リコラ「アーサー、もういいの。これ以上は駄目だよ。」
アーサー「・・・・やってみろよ。」
モードレッド「あ?何だって?」
アーサー「潰せるもんならやってみろよって言ったんだ。お前みたいな奴と一緒になっても、お前は彼女を幸せにはできない。」
モードレッド「じゃあなにか?お前ら2人は恋人なのか?」
リコラ「・・・・。」
アーサー「いや、恋人じゃない。」
モードレッド「だったら邪魔する理由がないだろ。そこまで啖呵切ったんだ。覚悟はできてるよな?」
アーサー「ああ、望むところだ。たとえお前と刺し違える事になっても、彼女は俺が守る。」
リコラ「アーサー。」
モードレッド「減らず口を叩いていられるのも今の内だ。さっ、行こっかリコちゃん。」
リコラ「は、はい。(アーサー、ごめん。今は言えないけど、いつか必ず話すから。)」
シュトレン「アーサー、どうしたの?」
アーサー「リコがモードレッドとつき合う事になった。」
シュトレン「ええっ、嘘でしょ。」
アーサー「本当だ。だが口ではつき合うって言っていても、顔は違うって言ってた。リコは嘘を吐くのが下手だからな。恐らくモードレッドに何か言われたんだ。」
パンドーロ「リコさん、可哀想。ねえ、シュトレン。何とかしてあげてよ。リコさんは私たちの店の危機を救ってくれたんだから、今度は私たちがリコさんを助ける番だよ。」
シュトレン「ええ、私もそのつもりよ。」
アーサー「俺はこの事をベルに伝える。」
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シュトレンたちの手助けをリンツにお願いする事になった。
ジュリー「だからクエストが事件に関連するものばかりなのね。納得したわ。」
フォレノワール「おかげで昔よりも治安が良くなったんですよ。これもベルガさんの助力あっての事です。思った事をそのまま言ったり、社会性が壊滅的なのが玉に瑕ですが。」
ジュリー「信頼してるのね。」
フォレノワール「そうですね。」
アーサー「今度の合コンだけど、今までに会った人を集めるとか言ってたけど、どうやって集めるつもりなんだ?」
ジュリー「一応予約だけど、リコもアーサーも会った事がある人たちを優先的に呼んでるって事よ。元々この合コンはリコに人馴れしてもらうためのものだし、パンチャタントラの売り上げにも貢献できるでしょ?」
アーサー「つまりは身内の合コンって事だな。」
ジュリー「そういう事。」
ルーシー「そんな私的な事に自分の経費使って良いの?」
ジュリー「みんなが会った事がある人を呼ぶとは言っても、他の登録者とかも一緒に来るから、知り合いが比較的多い合コンになるってわけ。」
モンブラン「あれっ、今日は明歩も桜子もいるんだ。久しぶりだね。」
明歩「久しぶり。」
桜子「お久しぶりでーす。もしかしてまたカップリングできなかったんですか?」
モンブラン「うん。今度はいけそうって思ったのに、結局私よりも若い人とカップリングしちゃってさー。それでさっきマドレーヌを誘ったんだけど、彼氏とデートだから行けないって言われてさー。なんか私だけ取り残された感が出てきちゃった。」
ジュリー「じゃあモンブランも今度の身内合コンに来る?知り合いとかが比較的多いから飲みに来るつもりで来てくれると嬉しいんだけど。」
モンブラン「合コンだとカップリングできないと思うけど。」
ジュリー「たまには息抜きも大事よ。もしかしたらひょっと良い人が現れたりするかもよ。」
モンブラン「分かった。じゃあ行こうかな。」
そして数日後にはパンチャタントラで合コンをする事になり、
当日リコたちが店に向かうと宣伝効果もあって人が集まっていた。
シュトレン「まさかこんなに人が集まるなんて。」
パンドーロ「夢みたいですね。」
リコラ「ここでの合コンはジュリーにお願いして、パンチャタントラの宣伝はリンツさんにお願いしたの。」
シュトレン「リンツって・・・・あの問題児をよく説得できたわね。」
リコラ「お兄ちゃんの休日と引き換えに交渉に応じてもらったの。」
シュトレン「休日?」
リコラ「あっ、今までに知り合った人もいる。」
アーサー「まさか俺の同級生まで来るとはな。」
チャラい男「よお、アーサー。大学卒業以来だな。何その可愛い子?お前の彼女か?」
アーサー「彼女じゃねえよ。元同級生だ。」
チャラい男「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はマクシム・クバーセク。マクシムと呼んでくれ。普段は全自動タクシー会社の社長やってるんだ。普段みんなが使ってるタクシーはうちのものだよ。」
リコラ「そうだったんですね。いつもお世話になってますよ。」
恥ずかしがりやな女「私はエステルハージトルタ・ハプスブルクです。エステルと呼んでください。普段はウィトゲンシュタイン家でメイドをしています。」
パンドーロ「メルヘンランド大学にいたのにメイドなんですか?」
エステルハージトルタ「はい。ウィトゲンシュタイン家のメイドは高学歴で教養のある人しかなれないんですよ。ウィトゲンシュタイン家は世界各国から首脳や王族を招いたりするので、世界各地の言語や文化を勉強しないといけないんですよ。」
マクシム「エステルは次期メイド長筆頭と言われている上に、海軍の中将もやってるんだぜ。」
エステルハージトルタ「王国軍の下で長く勤めていただけで、戦争はした事ないんですけどね。」
シャイな男「俺はアルホ・パルニラ。アルホで良いよ。俺は普段俳優やってるんだ。俺たちみんな年齢は違うけど、みんなアーサーが大学の時の同級生なんだ。」
シュトレン「アルホって今有名な俳優じゃない。ずっとテレビで見てたよ。」
アルホ「それは嬉しいね。」
リコラ「私はリコラ・オーガスト・ロートリンゲンです。リコと呼んでください。アーサーとは中等部時代の同級生です。ずっと前の婚活イベントで再会して、度々情報交換とかしてるんですよ。だから・・・・友人という事で良いのかな?」
アーサー「ああ、そうだな。」
マクシム「リコちゃん、俺と一緒に話さない?」
エステルハージトルタ「マクシムだけずるいですよ。私もリコさんと話したいです。」
アルホ「じゃあ俺はアーサーと話すわ。」
シュトレン「ねえ、エステルは女子が好きなの?」
エステルハージトルタ「はい。私は体は女子なんですけど、心は男子なんです。」
アルホ「そういう事。ちなみに俺は男子にしか興味がないんだ。だからアーサーと話したいなー。」
アーサー「あのな、俺たちはあくまで友人だって事を忘れるなよ。」
アルホ「分かってるよー。釣れないなー。」
パンチャタントラでの合コンは司会のジュリーの下で順調に進んでおり、
リコラは色んな人たちと交流を深めたがアーサーの事が気になっていた。
リコラ「(さっきアーサーを友達って呼んだ時から、何故か胸のもやもやが取れない。何だか嘘を吐いている時のような罪悪感がする。原因が全然分からないのに、何故か人に聞くのが凄く恥ずかしく思える。)」
アーサー「リコ、どうしたんだ?」
リコラ「いや、何でもないよ。」
ルーシー「ねえ知ってる?リコが何でもないって言う時は、大抵何かある時なんだよ。」
シュトレン「詳しいわね。それ知ってるの私だけだと思ってた。」
ルーシー「もしかしてシュトレンもリコを狙ってるの?言っとくけど、そう簡単にリコは渡さないから。」
シュトレン「上等じゃない。私だってあんたにリコを渡す気はないから。」
アーサー「お前ら何やってんだよ。」
プファンクーヘン「お前らも来てたんだな。」
リコラ「プファン、来てくれたんだね。」
プファンクーヘン「ああ、私も久しぶりにヘクセンハウスが作りたくなってな。ネットでヘクセンハウス専門店の広告があったからそれで来ようと思ったんだ。」
リコラ「ここのヘクセンハウスの材料は大手チェーン店にはない独特の材料もあるんだよ。(リンツさん、ちゃんと宣伝してくれたんだ。まあ、お兄ちゃんとのデートがかかってるから当然だよね。)」
パンドーロ「私の仕事・・・・取られちゃった。」
モードレッド「やあ、やっと会えたね。リコちゃん。」
リコラ「何か用ですか?」
モードレッド「ご挨拶だなー。せっかく会いに来たのに。大事な話があるんだ。ちょっと良いかな?」
リコラ「交際の件ならお断りしたはずですが。」
モードレッド「そうじゃない。それよりもっと大事な話だ。」
アーサー「リコ、こいつの話には乗るな。嫌な予感がする。」
モードレッド「外野は黙っててくれないかなー。確か君の会社は今赤字なんだってね。その気になれば止めを刺す事だってできるんだぞ。」
アーサー「それは脅しか?」
モードレッド「とんでもない。忠告しただけだよ。だからリコちゃんさー、この男の会社が大事ならついてきてくれないかなー?」
リコラ「・・・・分かりました。アーサーの会社には手を出さないでください。」
アーサー「何言ってんだ。俺の会社の事は気にするな。」
リコラ「大丈夫。アーサーはここで待ってて。」
アルホ「なんかあの人ガツガツしすぎというか、男の俺から見ても無理だわー。」
マクシム「あいつリコちゃんに気があるのかな?」
アーサー「最初の婚活イベントの時から、ずっとリコを追いかけてるんだ。リコに会うためにリコの友人まで利用していたんだ。」
エステルハージトルタ「リコさんはモテますからね。」
モードレッドは人気のない所にリコラを呼び出し、
尋問をするように彼女から情報を聞き出していた。
リコラ「あの、一体私に何の用なんですか?」
モードレッド「そう慌てるなよ。せっかくこうして2人きりになれたんだからさ。」
リコラ「ちょっと、触らないでください。」
モードレッド「これ、何だか分かるか?」
リコラ「ファンタスティックの株ですか?」
モードレッド「そうだ。今これを一気に売り払ったらどうなるかな?」
リコラ「どうなるんですか?」
モードレッド「察しが悪いなー、ファンタスティックが潰れるって事だよ。利益も筆頭株主もいない会社は倒産するしかないからな。」
リコラ「だから何だというんですか?」
モードレッド「俺とつき合ってくれないなら、俺がファンタスティックの社長にマドレーヌとモンブランをクビにすれば、株の売却は勘弁してやるって伝えたらどうなるかな?」
リコラ「やっぱり脅しじゃないですか。」
モードレッド「リコちゃんに選択肢を与えてるんだから脅しじゃないよ。好きな方を選べば良い。まあ、今回俺とこうして話してくれたからアーサーの会社には手を出さないでおいてやる。だがファンタスティックは別だ。で?どうする?」
リコラ「・・・・カップリングせずにつき合うという事で良いですか?」
モードレッド「良いよ。カップリングしてもしなくても、事実婚でも法律婚でもつき合ってたら一緒だからね。あ、そうそう。この事は一切他言無用だぞ。」
そして合コンは終わったがリコラのどこか悲しげな表情に、
アーサーが気づいたが彼女はモードレッドと一緒にいた。
モードレッド「リコちゃんは俺とつき合う事になったから、よろしくね。」
ルーシー「は?あんた何言ってんの?」
アーサー「嘘だろ?リコ、お前どういうつもりだよ?」
リコラ「・・・・本当だよ。私、モートレッドとつき合う事になったから。」
アーサー「口ではそう言ってても、顔が違うって言ってるぞ。モードレッド、お前リコに何を吹き込んだ?」
モードレッド「つき合ってほしいって言っただけだよ。」
アーサー「嘘だ。リコはお前みたいな奴とつき合おうと思う奴じゃない。」
ルーシー「そうよ。あなたリコに何かしたんでしょ?」
モードレッド「証拠はどこにあるんだ?」
ルーシー「しょ、証拠って。」
アーサー「証拠はない。だがお前がリコに何かを吹き込んで、思い通りに操っている事だけは分かる。」
モードレッド「証拠もないのにそんな事を言うなんて、名誉棄損もいいとこだ。あんまり楯突くと、お前の会社を潰すぞ。」
リコラ「アーサー、もういいの。これ以上は駄目だよ。」
アーサー「・・・・やってみろよ。」
モードレッド「あ?何だって?」
アーサー「潰せるもんならやってみろよって言ったんだ。お前みたいな奴と一緒になっても、お前は彼女を幸せにはできない。」
モードレッド「じゃあなにか?お前ら2人は恋人なのか?」
リコラ「・・・・。」
アーサー「いや、恋人じゃない。」
モードレッド「だったら邪魔する理由がないだろ。そこまで啖呵切ったんだ。覚悟はできてるよな?」
アーサー「ああ、望むところだ。たとえお前と刺し違える事になっても、彼女は俺が守る。」
リコラ「アーサー。」
モードレッド「減らず口を叩いていられるのも今の内だ。さっ、行こっかリコちゃん。」
リコラ「は、はい。(アーサー、ごめん。今は言えないけど、いつか必ず話すから。)」
シュトレン「アーサー、どうしたの?」
アーサー「リコがモードレッドとつき合う事になった。」
シュトレン「ええっ、嘘でしょ。」
アーサー「本当だ。だが口ではつき合うって言っていても、顔は違うって言ってた。リコは嘘を吐くのが下手だからな。恐らくモードレッドに何か言われたんだ。」
パンドーロ「リコさん、可哀想。ねえ、シュトレン。何とかしてあげてよ。リコさんは私たちの店の危機を救ってくれたんだから、今度は私たちがリコさんを助ける番だよ。」
シュトレン「ええ、私もそのつもりよ。」
アーサー「俺はこの事をベルに伝える。」
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