社会不適合者エスティのブログ

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三低女子の婚活事情 1ページ「結婚に興味を持たない女」

2019年02月24日 | 三低女子の婚活事情
ここは、世界一平和な国、メルヘンランド王国。

リコラは、メルヘンランドの仲間たちと共に、平和な日々を過ごしていたのである。

しかし、隣国であるジパング帝国は少子高齢化を止めるべく、婚活法を導入した。

メルヘンランド王国はジパング帝国と平和条約を結んでおり、婚活法が平和条約に盛り込まれたため、

リコラを含むメルヘンランド王国民たちも、婚活をしなければならなくなったのである。

しかしリコラは今では珍しい低身長、低学歴、低収入を併せ持った三低女子であり、

積極性も壊滅的という最も結婚に向いていない女だったのである。

三低女子リコラの、無謀な冒険が、今、始まる。

当時のジパング帝国にとって、メルヘンランドは弱小国家でしかなかった。

婚活法の施行をテレビで知ったリコラたちは、困惑の表情を隠せなかった。

リコラ「お兄ちゃん、滅茶苦茶怒ってたなー。トラブルを起こさないと良いけど。」

マドレーヌ「でも婚活ってどうすれば良いの?あたし婚活した事ないんだけど。」

モンブラン「私に任せとけって。良いアイデアがある。」

メルヘンランド女王「一体どうするのだ?」

モンブラン「誰でも良いから結婚して40歳直前になったら養子を貰えば良いんだよ。」

リコラ「それ、もうみんなやってると思うよ。」

マドレーヌ「そうそう。それに好きな人が相手じゃないとやる気にならないなー。」

モンブラン「じゃあ婚活パーティに行くの?」

リコラ「そうするしかないよ。幸いカップリングしなくても処罰はないみたいだし。テキトーに行ってやり過ごすしかないと思うよ。私はもう世界共通婚活組合に登録を済ませたけど、みんなはどうなの?」

マドレーヌ「あたしも済ませたよ。」

モンブラン「登録作業だけで骨が折れたよ。項目が多すぎてね。」

リコラ「みんな自分でやってて偉いね。お兄ちゃんは登録する気ないとか言ってたから、全部女王陛下がお兄ちゃんのプロフィールを登録するハメになっちゃってね。いつの間にか私も手伝わされてたし。」

2人「(女王陛下の扱い・・・・。)」

マドレーヌ「リコはお兄ちゃん想いだね。」

リコラ「あんなお兄ちゃんでも、いてくれないと店が持たないから仕方なかったの。」

メルヘンランド女王「妾の知る限りだと、婚活イベントは最近になってメルヘンランドに入ってきた風習のようだ。昔はお見合いや職場結婚が当たり前だったからのう。」

マドレーヌ「最近はジパングの影響で婚活だけじゃなくて、合コンなるものも入ってきたそうです。」

モンブラン「私は何度か合コン行ったんだけど、あれは男女が集まって世間話するだけだから全然進展ないんだよねー。相手のスペックを探ろうとしてもかわされちゃうし。」

リコラ「スペックってそんなに重要なの?」

モンブラン「そりゃそうだよー。私は結婚するならやっぱ三高男子は外せないね。」

マドレーヌ「三高って何?」

リコラ「高身長、高学歴、高収入の略称だよ。元々はジパング発祥の基準だけど、私はやっぱりフィーリングの合う人が良いかな。いくらスペックが良くても性格が合わないと駄目かな。そもそも結婚願望もないし。」

モンブラン「うわ、言っちゃったよ。リコは恋愛に興味ないの?」

リコラ「そう言われても、この人ならと思える人に出会った事がないから好きという感情がどんなものか分からないんだよね。お兄ちゃんも自分から誰かに話しかけようとしないし。他に夢中になれるものがあるから、恋愛の必要性自体感じてないのかも。」

マドレーヌ「それ分かる。あたしもファッションデザイナーだからいつも服の事ばっかり考えてるせいで、男と出会う機会なんて全然ないからいざ男に会っても実感がないからさー。」

モンブラン「私もパターンメーカーだからさー。普段は全然男と会わないし、会ってもどう対応して良いか分かんない。」

リコラ「誰か恋愛の専門家でもいれば頼りたいところだけど、うちは貧乏だから結婚相談所にも頼れないや。」

メルヘンランド女王「リコよ、恋愛の専門家が欲しいのか?」

リコラ「はい。でも無償でやってくれる人はいませんからね。」

マドレーヌ「仮に無償でやってくれる人がいたとしても、とっくに依頼が殺到してると思うし。」

モンブラン「えーとなになに・・・・婚活イベントの基本は回転寿司タイプと立食パーティ型またはこの2つの複合型のパーティがほとんどなんだって。婚活イベントの予約が全部締め切りになった場合は、自動でランダムマッチ合コンに参加する事になり、最後に第一希望から第五希望までの人を選択し、相手も自分を選んでいればカップリング成立ってわけだね。」

リコラ「回転寿司タイプって1分から3分しかないんだ。」

モンブラン「たった3分で何が分かるんだか?」

マドレーヌ「誰が誰だか分からなくなりそう。」

偉そうな女性「そんなんじゃ一生結婚できないよ。」

リコラ「あなたは・・・・どちらさんですか?」

偉そうな女性「あたしはジュリー・ファヴァレット。ジュリーって呼んでね。あたし、実は婚活コンサルタントをしているの。」

マドレーヌ「あっ、知ってる。ほら、この前雑誌でも見たでしょ?確か両家からの反対を押し切って結婚した人って特集でも乗ってた。しかもその後は最も成功した婚活コンサルタントに選ばれて多くの婚活難民を結婚に導いたっていう。」

ジュリー「そうそう。さっきあなたたちの話し声が聞こえちゃったからついね。だからあたしで良かったら気軽に何でも話してほしいの。」

リコラ「ジュリーは何で両家の反対を押し切って結婚したの?」

ジュリー「もちろん、夫の事を愛してるから。」

モンブラン「確かパートナーが伯爵家の御曹司でロミー・モンターニャって人だよ。ジュリーは確か子爵家でこの両家は凄く仲が悪かったの。最初は無理矢理引き離されたんだけど、最後は両家とも折れて結婚したんだよね?」

ジュリー「うん、そうなの。その時に両家の和解の仲裁をして下さったのが女王陛下なの。」

モンブラン「ええっ、女王陛下が?」

メルヘンランド女王「そういえばそんな事もあったな。妾の家は侯爵家でな、両方の家と交流があった事もあって妾が仲裁に入ったのだ。今思えばそなたは必死だったのう。」

ジュリー「あれからずっと女王陛下をお探ししていて、一言お礼を言おうと思って目撃情報を聞いて回っていたら、ギルドカフェに住んでると聞いてやってきたのです。女王陛下、あの時は本当にありがとうございました。この恩は一生忘れない所存でございます。」

メルヘンランド女王「あれくらいの事、容易い事である。ジュリーよ、お礼にと言っては何だが、そなたに1つ頼みたい事があるのだ。」

ジュリー「はい。何でしょう?」

メルヘンランド女王「リコたちの婚活の世話をしてほしいのだ。妾がリコたちのためにできる事と言えば、これくらいしか思いつかぬのでな。無理にとは言わぬが頼めるか?」

ジュリー「もちろんです。彼女たちさえ良ければ喜んでお引き受けします。他の誰でもない女王陛下の頼みですから。今なら1ヵ月あたり特別価格、100メルヘンで教えるけど、良かったらどう?」

リコラ「それくらいなら、私は別に構わないよ。私はリコラ・オーガスト・ロートリンゲン。私の事はリコで良いよ。」

マドレーヌ「あたしはマドレーヌ・シェル・プルースト。あたしも婚活の事、いっぱい教えてほしい。」

モンブラン「私はモンブラン・ユリウス。私もずっと合コンとかで苦戦を強いられてるから、是非教わりたいな。」

ジュリー「決まりだね。じゃあ今から講義でもしようかな。」

3人「ええーーーーー。」

ジュリー「ええーーーーーじゃない。今この瞬間にも年を取ってるという自覚を持ちなさい。みんな今日が1番若いんだから、行動するなら断然早い方が良いよ。後になって後悔するのは自分なんだからね。」

リコラ「確かに筋は通ってるね。」

ジュリー「でしょ?じゃあまずあなたたちのプロフィールカードを見せてちょうだい。」

マドレーヌ「プロフィールによって指導が変わるの?」

ジュリー「うん。男子は交際したい女子を品定めする時、容姿と性格と年齢を見るからその条件によって絞るべきターゲットも見えてくるの。だからプロフィールの把握が必要なの。ふーん、リコは23歳でマドレーヌは29歳でモンブランは35歳ね。」

モンブラン「大体何歳くらいがモテるの?」

ジュリー「年齢だけで言うなら基本的に10代から20代なんだよねー。メルヘンランドは10歳から結婚できる上に、婚活イベントは15歳から参加できるから、それもあって15歳から参加する人もいるくらいなの。だから若者が多い婚活イベントは避けた方が良いと思う。」

モンブラン「私やばいじゃん。」

ジュリー「あなたどころか全員婚活問題児だよ。」

3人「婚活問題児?」

ジュリー「まずリコ、あなたはルックスもスタイルも若さも申し分ない。だけどさっきの発言からして、全然他人に対して興味を持とうとしないところとか、三低女子で職人気質なところが大きな課題ね。」

リコラ「三低じゃ駄目なの?」

ジュリー「そうだよ。今じゃ女子も三高の方がモテる時代だし、男女平等後進国のジパングでも働く女子が段々増えてきてるから、なおさらこの傾向は加速すると思う。所属はメルヘンランド王国ギルドカフェでベルガさんと共同で自営業をしてるのね。中学校中退なのは何でなの?」

リコラ「お兄ちゃんが中学でいじめっ子と殴り合いになった後、集団リンチを受けた腹いせに箒で教室中の窓ガラスを全部たたっ切って追放処分になったせいで、その日から同級生にキチガイの妹と呼ばれるようになって、それが嫌でその日の内に中学を中退したの。それからは元々得意だったチョコ作りを極めようと思ってショコラティエになったの。」

ジュリー「それがショコラティエになったきっかけなの?」

リコラ「いや、きっかけは小学生の時、お兄ちゃんがクラスでただ1人バレンタインチョコを貰えなかったのが可哀想だと思ってチョコを作ったら滅茶苦茶喜んでくれたから、それで度々チョコを作るようになったのがきっかけ。」

ジュリー「かなり強烈なお兄ちゃんなのね。ベルガさんはその後どうなったの?」

リコラ「家をカフェに改造して勝手にバリスタを始めちゃって、最初はどうなるかと思ったけど、いつの間にか世界大会でも活躍するバリスタになったの。だけど知名度はあんまりなくて、皮肉にもお兄ちゃんが嫌っている婚活法の影響で、婚活のクエストが増えたおかげで何とか依頼の報酬で潰れずに済んでるけど、店の行く末が心配だよ。」

モンブラン「いくらベーシックインカムがあるとは言っても、貰えるのは生活費だけだから店をやるなら利益を出さないといけないもんね。」

ジュリー「最初はカフェだったんだ。」

リコラ「うん、元々は普通のカフェだったけど、あるクエストをお兄ちゃんが解決した事をきっかけに、次々と依頼人がクエストを持って来るようになって、ここはいつしかギルドカフェと呼ばれるようになったの。」

ジュリー「なるほどねー。もう知ってるとは思うけど、親族に変な人がいるってだけでカップリングを断る人もいるから、ここもかなりのマイナスポイントになってしまうかも。」

リコラ「良いの。お兄ちゃんは本当は良い人だから、それが分からない人とはうまくいかないと思う。」

ジュリー「信頼してるのね。」

リコラ「別に・・・・。」

ジュリー「でも総合的に見ればかなり条件の良い方だから、その消極的な性格さえ何とかすれば苦労はしないと思う。それからマドレーヌはファッションデザイナーをやってるんだっけ?」

マドレーヌ「うん、普段はモンブランと組んで一緒に仕事をしてるの。あたしがファッションを考えて書いたデザイン画を元に、モンブランが型紙を作るの。そしてここはあたしたちの行きつけの店で、初めて来た時にリコと出会ってたの。カフェなのに何故かチョコが売っていて、そこのザッハトルテを食べた時にめっちゃ気に入って以来ずっと通い続けてるんだ。」

ジュリー「それから度々来てるんだね。あたしもここに通っちゃお。」

1ページ目終わり

三低男子の婚活事情 50ページ「婚活の終焉と新たな戦いの始まり」

2019年02月17日 | 三低男子の婚活事情
ベルガは無事に魔弾砲を阻止する事に成功して平和条約の破棄に導く。

これによりメルヘンランド王国内では婚活法が廃止される事になった。

ベルガ「そうだね。やってみるか。」

ヘクセンハウス元帥「バリスタの腕は衰えていないみたいだな。」

ベルガ「まあね。」

キルシュトルテ大佐「やっぱシグネチャードリンクっていったらベルガコーヒーだね。」

芙弓「美味しい。私これ気に入った。またバリスタに復帰しようかな。」

ベルガ「芙弓ならできるよ。」

メルヘンランド女王「ところでリゾートにはいつ行くのだ?」

ベルガ「明日にでも行こうかな。というわけだから、女王陛下は事実婚の手続きを頼むよ。」

メルヘンランド女王「分かったぞ。気をつけて行くのだぞ。」

女子たち「(女王陛下の扱い。)」

キルシュトルテ大佐「リゾート行くのは分かったけど、やっぱりヘレンだけずるいよ。」

ザッハトルテ中佐「そうだよー。僕だってベルと一緒に遊びたいー。」

紫苑「私も、ベルガさんとリゾートに行きたいです。」

ベルガ「ヘレン、どうする?」

ヘレントルテ准尉「私は2人っきりになれる時間を確保できるなら構わないわ。」

メルヘンランド女王「ならばそなたら全員で行ってくるのだ。ギルドカフェは妾とリコとヘクセンハウスとシュトゥルーデルに任せておくのだ。心配するでない。」

ベルガ「分かった。」

シュトゥルーデル元帥「何故俺まで?」

メルヘンランド女王「そなたのバーが始まる時間に営業時間が終わるのだから心配無用である。」

ヘレントルテ准尉「決まりね。さすがにこれだけパートナーがいるのだから、私だけベルを好きにするのは罪だわ。」

ベルガ「1人で遊びたかった。」

明歩「学生の時もそう言ってたよね?」

桃子「それは良いけど、リゾートの費用っていくらなの?」

ベルガ「ワンダー島全体がテーマパークになっていて、そこに帰属するリゾートホテルが2泊3日で1人1万メルヘンだよ。」

桃子「高っ、あたしそんなに持ってないわよ。ベル、奢ってくれない?」

ベルガ「無茶言うなよ。僕は自分の分しか貯金してないんだよ。1万メルヘン貯めるだけでどれだけ苦労したか。」

桃子「それじゃあなたたちも一緒に行くのは難しくない?」

キルシュトルテ大佐「大丈夫。それくらいなら余裕で払えるよ。」

バウムクーヘン准将「私もベルガさんと同じプランを予約しておきますね。」

ヘレントルテ准尉「1万メルヘンしかかからないなんて、随分安いのね。」

ベルガ「君らはもう少し金銭感覚を身につけた方が良いぞ。」

明歩「彼女たちの金銭感覚どうなってんの?」

ベルガ「3人共、親が桁違いの大金持ちなんだ。ヘレンの親父は莫大な鉱物資源を保有する最大手の鉱山王にして不動産王とホテル王、キルシュの親父は最大手銀行頭取、バウムの親父は最大手IT企業のオーナー社長で、メルヘンランド島もメルヘンランド諸島も全部ヘレンの親父が企業に貸し出ししてる土地だ。明日行くワンダー島もね。」

シュゼット「この国全部ウィトゲンシュタイン家の私有地だったんだ。」

エトワール「つまりヘレンたちにとって1万メルヘンを払うのは、私たちが1メルヘン払うのと同じ感覚って事ね。」

ベルガ「そういう事だ。」

リコラ「お兄ちゃん、全員を連れて行くとなると、とんでもない費用がかかるけど、どうするの?」

ベルガ「来れる人が自分で勝手に来るだろう。元々は僕1人で行くはずだったし、別に良いじゃん。」

桜子「うわ、ジパングだったら絶対モテないタイプですよ。」

京子「それは言わない約束よ。」

ベアトリーチェ「でもこれじゃあ、あたしたちは行けないね。もっとベルの事、もふもふしたかったのにー。」

シャコティス「私は行けるけどな。」

タルトレット「私もベルとデートしたかったなー。」

ヘレントルテ准尉「安心しなさい。自力で来れないパートナーたちの分の費用は私が出しておくわ。それなら問題ないでしょ?」

タルトレット「やったー。」

ベルガ「昔より丸くなったね。」

ヘレントルテ准尉「あら、私は元から寛大なのよ。知らなかったの?」

ベルガ「うん。」

ヘレントルテ准尉「即答されると悲しいわね。」

ベルガ「でもヘレンの意外な一面を見れて嬉しいよ。僕はヘレンの大盤振る舞いするところも好きだよ。」

ヘレントルテ准尉「ベル・・・・私も時々とんちんかんで何言ってるか分からないベルの事も好きよ。」

ベルガ「酷い。」

ヘレントルテ准尉「さっきのお返し。」

キルシュトルテ大佐「そういえばさ、リコはベルと一緒にこの店始めたんだよね?何で一緒に始めたの?」

リコラ「私が中等部1年の時に、お兄ちゃんが黒杉政吾と殴り合いになった後、担任から一方的に怒鳴られたのが気に入らなかったのか、体育の時間中に教室中の窓ガラスを全部たたっ切って、それで追放処分を受けた時に、私は同級生からキチガイの妹って呼ばれるようになって、私も学校に行けなくなったの。」

バウムクーヘン准将「その時私もリコと一緒だったんで分かります。私はそんな呼び方は良くないって思ったんですけど、全然止めてくれなかったんですよ。」

紫苑「リコさんと同級生だったんですか?」

バウムクーヘン准将「はい。飛び級でリコさんのクラスに配属になったんですけど、国境私立なだけあってジパング人が多かったのはよく覚えてますね。その時にジパング語も覚えたんですよ。」

京子「きょ、教室中の窓ガラスを叩き割ったって・・・・あのベルが?」

ヘクセンハウス元帥「普段のあいつは大人しいが、学生の頃までは一度抑えが効かなくなると機嫌が戻るまで暴れまくってたそうだ。」

桜子「やばっ。確かそれで学校から追放されたんですよね?」

ドボシュトルタ「ああ。ベルは学校を追放された後、元々住んでいた家を勝手に今のカフェに改造して、そこでカフェのマスターとしてデビューしたんだ。あいつは元々バリスタ志望だったから放っておいたが、あれから僅か10年で数々のバリスタの世界大会を総なめにした。今思うと、あいつを学校へ行かせたのは間違いだった。」

タルトレット「ドボシュがベルを学校に行かせてたの?」

ドボシュトルタ「いや、私は反対だった。あいつは幼少期から他人に無関心で物に対する執着が強くて研究熱心だった。ウィトゲンシュタイン家がベルとリコを引き取った時も、私はホームスクーリングの方が彼らに合うだろうと思って家を与えたんだ。だがそんなベルを父は許さなかった。父はコーヒーの研究ばかりしていた彼を家からつまみ出して、無理矢理ジパング寄りの名門学校へ入学させたがそれがまずかった。」

ヘレントルテ准尉「お父様は名門大学出身で学歴至上主義だったから、それもあるのかも。」

ドボシュトルタ「ベルの親が遺言をメールで父に送っていたんだ。他人を思いやれる大人にしてやってほしいとな。それを真に受けた父は他人に興味を持とうとしないベルを良かれと思って学校に入れたんだ。」

明歩「あたしはベルと3年間同じクラスだったから知ってるけどベルは学校でもベルしてたよ。事ある毎にいじめっ子や担任を箒でたたっ切って出席停止処分を受けてたから。」

エトワール「あたしも教室に戻った時は驚いたわよ。3年の時なんかガラス全部割れてたからさ。」

ベアトリーチェ「そりゃ暴れるのも無理ないよ。だってベルは1人で自己完結した立派な子だもの。他人が介入する余地がないのに邪魔をするからそんな事になっちゃうの。内向型の人間をもっと尊重する環境だったらそうはならなかったと思うけどなー。」

ベルガ「ベア・・・・ベアは僕の事、お見通しなんだね。」

ベアトリーチェ「当たり前じゃない。あたしも挨拶苦手だから、声の代わりに音を届ける今の仕事を始めたの。」

アナスタシア「そういえば、メルヘンランドには挨拶にあたる言葉が存在しませんよね?」

リコラ「メルヘンランドは王国民の大半が職人気質で内向的な人間ばかりなので、挨拶禁止が暗黙のルールなんです。会議とかも全然なくて、メールで用件だけ言って終わりみたいな事がしょっちゅうですから。こっちじゃ煩わしい会話をする必要がないんです。みんな挨拶や建前といったクッション的な言葉を必要としないから本音で話せるんですよ。最悪ベーシックインカムで生きていける国ですから、会話のスキルを磨く必要すらないんですよね。」

京子「ナニワとは真反対の文化ね。あっちじゃ挨拶が何より大事だし、建前や前置きばかりで腹の探り合いになっちゃうのよ。」

ザッハトルテ中佐「口があるんだからとっとと用件を言えばいいのに。」

桜子「ナニワにはナニワの文化があるんですよ。ナニワがコミュニケーション能力重視の国なら、メルヘンランドはインスピレーション能力重視の国といったところでしょうか。」

ベルガ「メルヘンランドは肝心な事だけを話す文化で、ナニワは言わなくても分かる文化だからね。」

シュゼット「ベル、あーしと一緒に音合わせしてほしい。」

ベアトリーチェ「あたしとも音合わせしよ。ちょうど楽器もあるし。」

ベルガ「うん、そうだね。」

キルシュトルテ大佐「このままだと他のパートナーに先を越されちゃうよ。」

ステラ「そうですね。でもどうすれば・・・・。」

キルシュトルテ大佐「一緒にスイーツを作ったらどう?」

ステラ「その手がありましたね。キルシュはワールドパティスリーカップにまた出たんですよね?」

キルシュトルテ大佐「うん、国内予選は3連覇して本選も優勝したよ。」

ステラ「キルシュ、ワールドパティスリーカップで優勝したなら、私と頂上決戦しましょうよ。」

キルシュトルテ大佐「望むところだよ。」

カーリナ「ベル、今度私の両親に挨拶に来てくれないか?」

ベルガ「そうしたいけど、当分はここを離れられそうにない。」

カーリナ「分かった。じゃあ親父とお袋に頼んで来てもらうよ。私が本気で愛した初めての人だから驚くだろうなー。そうだ、両親が挨拶に来る前に子作りしよう。なっ、良いだろ?」

ベルガ「子作りって、何考えてんの?まだ出会ったばかりなのに。そんなの恥ずかしいよ。」

フォレノワール巡査部長「ちょっと、カーリナさん。淫らな行為は許しませんよ。」

ベルガたちは翌日にワンダー島へ行く事になり、

みんなでテーマパークを楽しんでいたのである。

ベルガ「みんなはしゃいでるなー。」

ヘレントルテ准尉「そりゃそうよ。みんなずっと慣れない婚活ばかりで疲れ切ってたはずだもの。」

ベルガ「そうだね。ん?ちょっと待ってて。」

ヘレントルテ准尉「ええ、戻ってきたら2人だけで楽しみましょ。」

ロムル「ん?もしかして君が・・・・ベルガ・オーガスト・ロートリンゲンか?」

ベルガ「ああ、そうだよ。ロムル・オーガスト・ブルートゥルスだろ?」

ロムル「その通り。何故分かった?」

ベルガ「古代メルヘンランド語の訛りに加え、長時間そこにいるのに日焼けしていない。あんたは不老不死の魔法に成功した数少ないケースで、使い切れない余生を楽しんでいる。そうだろ?」

ロムル「ふーん、さすがは僕の直系子孫だな。それくらいは分かって当然か。」

キルシュトルテ大佐「うわっ、ベルにそっくり。一体誰なの?」

ベルガ「彼はロムル・オーガスト・ブルートゥルス。メルヘンランド王国初代国王だ。」

女子たち「ええーーーーー。」

ロムル「そんなに驚かなくても良いだろ。それに僕はもう国王じゃない。1万年以上も前に引退したからね。」

ベルガ「ところで、何故ここにいる?」

ロムル「僕は引退してからはずっと暇潰しの旅に出ていて、久しぶりに故郷に帰ってきてたんだ。君は?」

ベルガ「僕は・・・・婚活法を終わらせた記念にここへ来た。」

彼の名前は、ベルガ・オーガスト・ロートリンゲン。

後に、戦争の時代を終わらせ、メルヘンランド王国の第一人者となった男である。

しかしそんな彼も、若い頃は悩み苦しみながら、

婚活をさせられていた、社会不適合者にして三低男子だったのである。

自分がどんな道を歩んでいくのかを、この男はまだ知らない。

彼の戦いは、まだ、始まったばかりなのだから。

50ページ目終わり

三低男子の婚活事情 49ページ「味方を救うにはまず敵から」

2019年02月10日 | 三低男子の婚活事情
ベルガはシュトゥルーデルと共に魔弾砲を阻止する事に成功し、

ボルゴたちは駆けつけた警察に逮捕される事になったのである。

フォレノワール巡査部長「あなたたち3人を、器物損壊の現行犯で逮捕します。」

ボルゴ「ふっ、希望は潰えたか。」

グラント「おのれ、お前たちはジパングを滅ぼさなかった事を後悔する事になるぞ。」

アルバート「そ、そうだ。後悔するぞ。」

ベルガ「心配するな。あんたらの仇は必ず取る。黒杉内閣は僕が倒す。だからそれまで待っていてくれ。」

ボルゴ「そうするよ。今1番力を持っているのは君だからね。」

フォレノワール巡査部長「さあ、行きますよ。」

ドボシュトルタ「ベル、何故この事を私にもヘレンにも黙っていたんだ?」

ベルガ「執政官同士が論争になったら魔弾砲を撃つ日を早められる可能性があった。だから発射時刻ギリギリまで伝えないようにしていたんだ。敵を欺くにはまず味方からって言うだろ?」

ドボシュトルタ「やれやれ、そういうところは昔から変わってないな。」

シュトゥルーデル元帥「それよりも、これでまたジパングから攻撃を受ける口実を作ってしまったな。俺はいつでも出撃できるぜ。」

ドボシュトルタ「また他の将官たちに怒られるぞ。」

シュトゥルーデル元帥「そうだな。昔はよくボルゴの奴から、将官なのに出撃する奴があるかと怒られたもんだ。」

ベルガ「ボルゴは防衛戦争で多くの仲間を失っていたから、これ以上犠牲者を出したくなかったんだ。それに最も戦果を挙げている君が戦死でもしたらジパングの士気が上がってしまう。だから君を将官にして最前線から下げさせようとしたんだ。」

ドボシュトルタ「そしたら今度は誰がやったかも分からない戦果が次々と上がってきて、君だと分かった時は笑いが止まらなかったよ。」

ベルガ「うちで飲んでくか?」

ドボシュトルタ「ああ、そうするよ。積もる話もあるからな。」

シュトゥルーデル元帥「俺も久しぶりにコーヒーでも飲みに行くか。」

ベルガたちはギルドカフェへ戻って魔弾砲不発を祝っていた。

ヘレンは納得がいかなかったのかベルガを問いただしていた。

ベルガ「やっと帰ってこれた。えっ、何でみんないるの?」

リコラ「そりゃ、お兄ちゃんが心配だからだよ。魔弾砲を阻止したんだよね。ビッグニュースになってたよ。」

ヘクセンハウス元帥「まあ、ベルならやってくれると思ったけどな。」

メルヘンランド女王「ベルよ、此度の仕事。大義である。」

キルシュトルテ大佐「ダーリンなら、無事に帰ってくるって信じてたよ。」

バウムクーヘン准将「ベルガさん、あんまり無茶しないでくださいね。ただでさえ胎教に良くないんですから。」

プファンクーヘン元帥「全く、何をやっていたかと思えば、やっぱりお前が1枚噛んでたか。」

ザッハトルテ中佐「妊娠してなかったら、僕も参加してたのに。」

ベルガ「君らは妊娠してても全くぶれないね。その様子から察するにアウグストは無事だったようだね。」

ヘクセンハウス元帥「ああ、ベルが言った通りにアウグストに対空配備を施したら、そこに帝国自衛隊の爆撃機部隊が攻めてきたから全部撃ち落としてやったぜ。」

ドボシュトルタ「まさかダイヤモンドハーバーの混乱に乗じて軍備が甘くなったアウグストを直接狙ってくるとは。ベルがジパングの動きを読んでヘクセンハウスを向かわせていなかったら、アウグストは今頃大打撃を受けていただろう。」

ヘレントルテ准尉「ベル、ジパングの首都攻撃とボルゴたちの計画を阻止した事は褒めてあげるわ。でも私たちに全く魔弾砲の事を教えてくれなかったのは解せないわ。説明してもらえるかしら。」

ドボシュトルタ「ヘレン、そう言うな。ベルは魔弾砲を阻止するために細心の注意を払っていたんだ。」

シュトゥルーデル元帥「俺に魔弾砲の情報を教えたのは、俺がグラントとつき合いがあったからだ。昔は直属の上司だったからな。」

ヘレントルテ准尉「そう。なら良いわ。ベル、私と会ってない間に随分とたくさんフィアンセを作ったみたいね。他のフィアンセとはデートしていると聞いているのに、私とはしてくれないのかしら?」

ベルガ「そう言われても、ここんとこずっと魔導書を集めたり、魔弾砲を阻止したりでそれどころじゃなかったんだよ。」

ヘレントルテ准尉「でも私とは全然デートしてくれなかったのだから、責任は取りなさい。」

ベルガ「あっはい。」

ヘクセンハウス元帥「ヘレン、ベルとデートしたいなら自分から言わなきゃ駄目だぞ。こいつは受け身だからな。」

キルシュトルテ大佐「そうだよ。自分からぶつかっていかないと何も得られないよ。」

ヘレントルテ准尉「・・・・分かったわ。ベル、今度私とデートしてくれるかしら?」

ベルガ「うん、良いよ。ヘレンにはずっと世話になってるから、今度休みの日に1日中デートにつき合ってあげるよ。」

バウムクーヘン准将「1日中?私とは2時間しかデートしてくれなかったのに。」

キルシュトルテ大佐「そうだよー。ヘレンだけ贔屓するなんてずるいよ。私だってベルとデートしたいのにー。」

ベルガ「君らはデートよりもまず無事に出産する事を考えるべきだ。産み終わったらデートするからさ。」

ヘレントルテ准尉「ふふっ、それなら良いわ。それともう1つ報告があるの。」

ベルガ「どうしたの?」

ヘレントルテ准尉「メルヘンランドは今日限りで平和条約から脱退する事になったわ。」

ベルガ「じゃあ婚活法も?」

ドボシュトルタ「ああ、もう今日からは婚活はしなくて良いぞ。」

ベルガ「わーい。やったー。」

リコラ「そんなに嬉しいんだ。」

ベルガ「そりゃそうだよ。これでもう面倒な人間関係とはおさらばだ。婚活法さえなけりゃ、誰があんな面倒なイベントになんか行くかってんだ。クエストが増えたおかげでだいぶ儲かったし、当分はリゾートにでも行こうかな。」

ヘクセンハウス元帥「社会不適合者だな。」

リコラ「社会不適合者だね。」

メルヘンランド女王「社会不適合者である。」

ベルガ「ちくしょう。」

ヘレントルテ准尉「ねえ、肝心な事忘れてない?」

ベルガ「えっ?肝心な事・・・・あっ。」

リコラ「お兄ちゃん、婚活法が終わったらフィアンセたちと事実婚するって約束してたよね?」

ベルガ「しまったぁー。」

ヘクセンハウス元帥「しまったぁーじゃねえ。妊娠させてる相手もいるんだから責任は取れよな。」

ベルガ「それは良いんだけど、この家は狭いから一緒に住むのは無理だよ。」

ヘレントルテ准尉「それならすぐ近くの場所に屋敷を作らせるわ。来年にはできると思うから一緒に住みましょ。」

ベルガ「僕の平和な日常がぁー。」

ドボシュトルタ「ベル、妹の事よろしく頼むぞ。」

京子「ベル、久しぶり。元気してた?」

桜子「ベルガさん、私当分お店を休みますねー。」

ベルガ「もしかして2人共妊娠したの?」

京子「ええ、できてたわよ。」

桜子「だから産休貰おうと思って言いに来たんですよー。」

ベルガ「それならメールで良いのに。」

ヘクセンハウス元帥「そういえばお前、ジパング人ともできてたな。」

京子「あたし、しばらくはこっちに住むから。婚活法が終わったら事実婚するって約束したわよね?気が向いたらいつでもあたしの別荘に来ても良いからね。」

桜子「私は今度実家の両親を呼んできますから是非話してくださいね。」

ベルガが婚活女子たちを助け魔弾砲を阻止した事はあっという間に世界中に広まり、

数日後には店が繁盛するようになってベルガはフィアンセたちを集めて事実婚した。

ベルガ「僕が事実婚を約束した人、こんなにいたんだね。」

紫苑「ベルガさんと一緒になれるなんて・・・・光栄です。」

タルトレット「お姉ちゃんと同じ人を好きになるなんて思ってもみなかったな。」

キルシュトルテ大佐「私も最初はベルには全然興味なかったけど、変人で面白くて飽きさせないところに惹かれていったんだよね。」

バウムクーヘン准将「ですね。でもこれだけ人数が多いと、家の中とかめっちゃ狭くなりそう。」

ヘレントルテ准尉「特大の家を作らせるから大丈夫よ。既に建築関係者たちに手配してるわ。」

明歩「紫苑、そろそろ言っといた方が良いよ。」

紫苑「はい。そうですね。」

ベルガ「まさかとは思うけど、2人共妊娠したの?」

明歩「はあ・・・・ベルって本当に空気読めないよね。そうだよ。責任取ってよね。」

紫苑「私はこういうところが好きなんですけどね。私たちの赤ちゃん、生まれたら大切に育てますね。」

ヘレントルテ准尉「本当にベルったら、いつの間にこんな女たらしになったのかしら?」

ベルガ「全部相手からの要求なんだけどね。」

ヘレントルテ准尉「じゃあ、私からの要求にも応えてくれるかしら?」

ベルガ「うん。この食事会が終わってから、婚活法が終わった記念にメルヘンランド諸島のリゾート地に行くけど一緒にどう?」

ヘレントルテ准尉「ええ、一緒に行きましょ。」

ベルガ「リゾートに行くとは言っても、これからの事も考えないとね。」

カーリナ「ベル、私もリゾートに連れて行ってくれ。私だってベルとデートしたいんだからな。」

ポッフェルチェ「そうよ。私もベルとデートしたい。私はもう後がないから。」

シャコティス「ポッフェは確か無性愛者じゃなかったか?」

ポッフェルチェ「ええ、確かにあたしは男子にも女子にも興味はないけど、ベルだけは別だよ。男子だからじゃなくて、ベルだから好きになったの。たとえ女子だったとしても好きになってたよ。」

紫苑「それ分かります。私も全性愛者ですから、性別に囚われない恋愛って素敵だと思うんです。」

芙弓「ベルのパートナーって変わり者ばかりね。」

ベルガ「芙弓もその1人だという事を忘れてるよ。」

芙弓「ふふっ、そうね。」

フォレノワール巡査部長「ベルガさん、パートナーになったからといって皆さんとあんまり淫らな行為をしたら駄目ですからね。」

ベアトリーチェ「ノワールって硬派なんだね。こんなにエッチな体してるのに。」

フォレノワール巡査部長「ひゃあん。ちょっと、駄目っ。」

桃子「何やってんだか。」

エトワール「アナ、そういえばあんたスパイよね?まさかベルから情報を得るためにつき合ってるわけじゃないわよね?」

アナスタシア「正確には元スパイです。今はパティシエに転職しましたからご安心を。」

アンナトルテ「ふーん、なんか元スパイってカッコ良いね。」

ザッハトルテ中佐「あっ、ワルキューレのシュゼだ。ステラもいるじゃん。どうしてここに?」

ベアトリーチェ「シュゼ、一体どうしたの?」

シュゼット「あーしもベアみたいに自分の気持ちに正直になろうって思って、ようやく決心がついたんだ。最初にベルのピアノ動画を見た時から、ずっとベルが好きだ。あーしともパートナーになってほしい。」

ステラ「私もキルシュさんが連れてきてくれた時からずっと好きです。ずっとキルシュのためにと思って一歩引いていましたけど、ベルガさんの活躍を聞く度に、段々自分を抑えきれなくなったんです。私はやっぱりベルガさんが好きなんだって。だから、どうか私ともつき合ってください。お願いします。」

ベルガ「うん、良いよ。何だか嬉しいな。」

ザッハトルテ中佐「この光景に慣れてしまっている僕らって一体。」

プファンクーヘン元帥「ベルの事だから心配は要らないだろう。」

桃子「ジパングだったら余裕でスキャンダルだよ。」

エトワール「こっちは恋愛の自由が幅広く認められてるからね。そこが自慢だよ。」

京子「これだけベルのパートナーが多いと、当分は一緒に寝られないわね。」

桜子「そうですね。私は毎日ベルガさんと一緒に寝たいですけど。」

エトワール「駄目に決まってるでしょ。ベルはみんなの共有財産なんだから、誰か1人だけ独占は禁止だよ。」

桜子「はーい。」

ヘレントルテ准尉「ねえ、ちょうどエスプレッソマシンもあるから、バリスタの腕を見せてくれない?他のみんなにも宣伝になるでしょ?」

ベルガ「そうだね。やってみるか。」

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メルヘンランド王国Wikipedia9ページ

2019年02月03日 | メルヘンランド王国Wikipedia
メルヘンランド王国
メルヘンランド王国はメルヘンランド島とその周辺にある諸島からなる島国国家である。
海を挟んだ隣国にはジパング帝国やナニワ共和国やツンドラ公国などが存在する。

国名
初代国王であるロムル・オーガスト・ブルートゥルスが1万年以上前に建国した際に国名を問われると、
童話のような楽しく豊かな土地の王国にしたいという想いからメルヘンランド王国と名づけられた。

国旗
縦と横に2:3の割合というスタンダードタイプの国旗であり、縦3つのストライプである。
両側が桃色であり中央は白である。さらに中央には桃色のハートマークが描かれている。
桃色は王国のシンボルカラーであり、ハートマークは王国のシンボルマークである。
中央の白い空白はメルヘンランド王国以外の国家に対する寛容と敬意を表している。
王国自体のシンボルは歴代の国王であり、現在のシンボルはアリス36世である。

公用語
現在はメルヘンランド語だが、昔は古代メルヘンランド語が使われており文献として今も残っている。
基本的に3ヵ国語以上話せる人が多く、メルヘンランド語の他にブリティア語やジパング語も話せる。

首都
国内最大の都市であるアウグストである。名前の由来はロムルの家名から来ており、
最大の港であるオーギュスト港と最大の空港であるオーガスタス空港も由来は同じである。

通貨
メルヘンランドの通貨は古代からメルヘンであり、1メルヘンは100円前後で安定している。
補助通貨はグリムであり、100グリムで1メルヘンである。紙幣や硬貨はなく全て電子マネーである。

民族衣装
メルヘンランドの民族衣装は文字通り童話に出てくるような可愛らしい衣装が中心であり、
男女両用であるため男装や女装の概念はなく、家庭によってそのデザインは様々である。

歴史
メルヘンランド王国の歴史は1万年以上にも及びアナザーアース史上最も歴史が長い国である。
大きく分けて王制時代と共和制時代と現在の元首制時代が存在するがいずれも初代は王族の家系である。

王制時代
1万年以上前に魔法使いの一族によって建国され、以後メルヘンランド王国と命名された。
初代国王のロムル・オーガスト・ブルートゥルスは軍事征服を行って徐々に領土を広げていき、
建国18年頃にはメルヘンランド島の全土を征服した。強さの源は魔法兵器であり、
現代ほどの強さはなかったが当時としては破格の強さであった。5代目国王の時代には、
メルヘンランド島の周辺にあったメルヘンランド諸島を制圧して現在の領土になった。
その後は数百年もかけてアナザーアース全土を征服し、メルヘンランドによる平和が長く続いた。
最盛期にはアナザーアース全土で現物支給型ベーシックインカムが導入された事により、
王国民であれば小麦粉を必要な分だけ受給する事ができたため、この時代は餓死者が1人も出なかった。
今でもこの時代を羨ましがる者は多く、パクス・メルヘニカ時代と呼ばれ、全世界を欲しいままにした。
しかし聡明でない無能な国王が立て続けに即位する時代を迎えると属州に対する重税が激しくなり、
反感を持った属州が抵抗を示すようになった事をきっかけに世界各地で反乱が起きてしまい、
徐々に独立国が誕生したために国土が縮小していく事になる。魔法兵器による内乱が収まらず、
世界人口が大幅に減少してしまい、事態を重く見た国王は史上初めて無力化の魔法を使い、
本国以外の魔法兵器を全て無力化して事を収めた。しかしそれが後の革命の原因になってしまった。
建国2000年頃には多くの領土を失い、現在のメルヘンランド領とジパングとナニワの、
領土しか残っておらず、最後の国王であるアリス36世の時代を迎えると本国以外の、
全ての属州を失い王国民の信頼も失った。これにより国王の議会であった元老院が影響力を強め、
王族の粛清が始まって王国民も元老院を支持した。これがメルヘンランド革命である。
アリス36世はロムルが家宝として残していた不老不死の魔法が書かれている魔導書を見つけ、
不老不死の体となり退位して国外へ逃亡。そのため建国以来続いていた王制はここに終結した。

共和制時代
王制が終わるとこれまでは国王の補佐としての役割を果たしていた元老院が政権を握り、
再び王制になる事を防ぐために国家元首を2人置く事になった。それが今も続く執政官である。
しかしながら高等な教育を受けて育った実力者はいずれも王族の出身であり、初代執政官となった2人も、
王族の血を引いていたがこの時代にはDNA鑑定がなかったため、この事実は伏せられていたのである。
ロムル以来続いてきた王族の生き残りは当分の間は世を忍んで生きる事になり王族だとばれれば、
迫害を受ける恐れがあったために、家名を変える事を余儀なくされておりベルガはその末裔である。
この頃に国外領土を全て失っていたメルヘンランドは外国からの侵略に悩まされる事になる。
魔法兵器の密輸も悩みの種であり、密輸が発覚する度に無力化の魔法を発動しなければならず、
王制時代にも複数回無力化の魔法を発動していた。ロムルは魔法兵器の国外流出を警戒したため、
世界征服には反対していたが征服賛成派が多かった事もあり嫌気がさして出て行った過去がある。
それから数千年もの間は内政に努めひっそりと鳴りを潜めて平和な共和制を維持し続けており、
これは執政官が血筋ではなく部下の中で最も優秀な者を後継の執政官とし続けたためである。
伝染病が世界的に大流行する時代を迎える度に常に清潔を心掛けるという独自の政策をし続けたため、
メルヘンランドからは犠牲者が1人も出なかったという実績もある。王制時代の反省で世界征服は、
行わなくなり貧困対策のため現金支給型ベーシックインカムを始め、内政に優れた政治家が、
世に多く出たため国内の産業が大きく成長した。資源の輸出により外貨を得た事もあり財政は潤った。
外国からの侵略がほとんどなかった時代には軍人が戦争のやり方を忘れてしまうほどであった。
しかし共和制末期になるとジパング帝国から度々侵略を受けるようになり、防衛戦争が断続的に、
続く事になったがこの時期に黒杉内閣の意向で婚活法が全世界に普及し、メルヘンランドでも、
婚活を余儀なくされたがこれにベルガが反発し、ジパングとの戦争に勝利して共和制は終結した。

元首制時代
共和制が終焉を迎えた原因はジパングが全世界に普及させた婚活法である。元老院は以前から、
黒杉内閣率いる帝国自衛隊の侵攻やジパングによる婚活法の強制導入に悩まされていた。
メルヘンランドは婚活法に反対する者が多く、婚活法に真っ向から反発するベルガは、
王国民から支持される事になった。元老院は強国に従うだけの弱腰議会になり下がっており、
権威を大きく損ねていた。そうなると今度は相対的に軍が力を持つようになったため、
軍人出身の執政官が政治を行うようになり、ボルゴによって軍事費が大幅に増大された。
魔弾砲が発明されるとジパングと力関係が逆転し、ボルゴがジパングに魔弾砲を撃ち込むが、
その直後に無力化の魔法が発動され、密輸された魔法兵器ごと魔弾砲が台無しになってしまう。
ベルガがボルゴのジパング滅亡作戦を暴露したため、ボルゴは失脚してしまい引退を余儀なくされた。
それからはベルガが独裁官に就任し、ジパングと直接対決をするようになり防衛戦争を制していった。
ベルガ率いる王国軍がネオトーキョーシティを占領するとジパングが降伏して防衛戦争は終結した。
黒杉内閣の指導者たちは裁判にかけられ、その多くが平和を乱した戦犯として処刑された。
ベルガは防衛戦争を勝利に導いた指導者として元老院や王国民から大いに歓迎され迎えられた。
元老院はベルガによる独裁を恐れていたが、ベルガが独裁官などの非常大権を全て返還したため、
元老院は歓喜した。そこでベルガは元老院から戦利品という名目で第一人者という称号を、
何度も辞退した上で受け取った。第一人者には全部で3つの権限が付与されており、
執政官命令権と最高司令官命令権と護民官職権を兼ねた権限が集中した称号であった。
元老院や王国軍には好きに命令できる上に、他の議員の議案は白紙に戻す事ができるため、
この年をもって共和制は誰も気づかぬまま終結し、元首制の時代を迎える事になった。
ベルガ以降は有能な後継者たちが、第一人者の称号を受け継ぐ事になったのである。

政治
元々は国王率いる王室が政治を行い、元老院が王室の補佐だったが革命により王室が消滅。
王室一家の家は今も残っているが、政治の実権は元老院が握っており政党は存在しない。
国家元首は任期1年の執政官が毎年2名が選ばれる。執政官が途中で死亡した場合は、
元老院議員の中から優先順位の高い者を繰り上がりでその年の執政官に就任する事になる。
第一人者が登場して元首制になってからは、執政官は相対的に影響力を弱める事になった。

軍事
メルヘンランドでは王国軍と呼ばれ、陸軍と空軍と海軍が存在する。魔法兵器を搭載しており、
かつては魔法兵器で世界征服を成し遂げた経歴もある。現在は防衛のためだけに配備されている。

地理
メルヘンランド島の大半が平原であるため、ジパングよりも領土が狭いが可住地面積は、
ジパングよりも広く島の所々に山や森が存在する。周辺の島は全てリゾート地になっている。

気候
ジパングと同様に四季があり、それぞれの季節を楽しむ文化が根づいているが気温差は緩い。
自然災害はあまりないが1日当たりの降水量は多く、在宅勤務が多い原因となっている。

経済
国内総生産はジパングより低いが、1人当たりの生産性はジパングよりはるかに高い。
現金支給型ベーシックインカムを導入しているため、貧困者は存在せず経済格差も比較的少ない。
そのため餓死者が出ると大ニュースになるほど飢餓は少なく、貧困対策先進国である。
食べるための労働をしなくても良いため、自営業の職人やアーティストなどが非常に多い。
完全キャッシュレス社会であり、インターネットを導入してから間もなく現金が廃止されたため、
決済は全て指紋決済である。指だけで決済ができるため王国民は財布すら持ち歩かない。
税金は100%の消費税以外はなしという単純な仕組みであり、決済の時点で足跡が残るため、
確定申告は不要である。使い道もはっきりしているため、不満に思う王国民はいない。
ウィトゲンシュタイン家の不動産やフェルトベルク家の銀行などが金融支配を実現しており、
プリューゲルクラプフェン家のIT企業と合わせて、三大財閥と呼ばれ国の経済を支えている。

鉱業
鉄鋼やアルミや宝石などが採れるため、他国から侵略を受けやすい原因となっている。
産業革命時代にウィトゲンシュタイン家が土地を買い、資源を掘り下げて莫大な利益を得た。

農業
牛乳や卵や小麦などが大量に採れる。アナザーアースにおいては洋食洋菓子の発祥地である。
魔法による疑似熱帯農業により、コーヒーベルト圏外で唯一コーヒーが採れる国であり最高級品種。

科学技術
魔法と科学が融合した魔法技術により、補給せずとも武器庫から瞬間装填できる魔法兵器がある。
古代では武器庫から弓矢を瞬間装填できる弓が使われていた。生活必需品にも応用されている。
ただし魔法が施された武器は国外への持ち出しは禁止されており、魔法科学企業最大手である、
プリューゲルクラプフェンが特許を持っている。魔法商品持ち出しの場合は自動で魔法が解除されるが、
魔法兵器の場合は国外遠征などの理由で解除方法が限られており、無力化の魔法でしか解除できない。
ただし例外もあり、ベルガたちが持っている銃は国外へ持ち出した場合は、瞬間装填ができなくなり、
国内に戻ると瞬間装填ができるようになっているなど、魔法技術は日々進歩を続けている。
魔法技術による医療もあり、他の国では治せない病気や怪我を治すために難病患者が、
メルヘンランドを訪問する事もあり、兵器より生活のために使われるものになりつつある。
実年齢よりも若く見える人が多いが、これは予防注射で使われる魔法ワクチンの影響である。

交通
左側通行であり全ての自動車が電力式全自動車であるため、免許がなくても乗る事ができる。
手動運転は無免許でもできるが、事故を起こした場合は運転手が全責任を負う事になる。
軍用車両の場合は免許が必要である。ジパングなどの外国へは飛行機や船で行く事ができる。
電車は景観を壊すという理由で禁止されている。そのため全自動タクシーが所々にあるため、
安心して遠出をする事ができる。自転車専用道路もあり、信号機のないラウンドアバウトである。

国民
メルヘンランドの人口は大体5000万人前後である。人口分布はメルヘンランド人が、
人口の95%を占め、その他が5%でブリティア人やジパング人などもおり多民族国家である。

人名
お菓子の名前がそのまま個人名で使われている珍しい国であり、ミドルネームを持つ者も多い。
男性系や女性系の名前を性別に関係なく使う事も可能であり、エウロパ系の名前も多い。

性的少数者
王国民の5割が性的少数者で、最も多いのは全性愛者で次いで多いのが両性愛者であり、
世界一のジェンダーフリー大国である。ストレートであっても中性的な人がほとんどであり、
どっちがどっちか分かりにくいため、建国された時点で同性婚が既に認められていた。
メルヘンランド人が見た目も中身も中性的で性別に囚われない事は、非常に有名な話であり、
初代第一人者であるベルガも男だがよく女と間違われているジェンダーレス男子である。

宗教
王国民のほとんどが無宗教であり、現実主義者ばかりで宗教に入っている人は大変珍しい。
そのため冠婚葬祭はあまり根づいておらず、会場で食事会だけして終わりという粗末な内容である。

婚姻
事実婚も重婚も同性婚も選択的夫婦別性も可能だが、大半の人は事実婚を選択する。
冠婚葬祭を行うのは一部の大金持ちくらいであるため、結婚式も結婚指輪も新婚旅行もない。
婚姻は10歳から可能である。ただし15歳になるまでは保護者1人以上の許可が必要である。
初代国王であるロムルは全性愛者であり、10人の彼女と4人の彼氏がいた記録が残っている。
社会保障が充実しているためか、離婚率は低く再婚率は高めであり少子化になった事がない。

教育
義務教育が存在しない唯一の国家であり、代わりにオルタナティブ教育が普及している。
学校や塾やクラブチームやボランティアや職人教育や自由研究などから好きなものを選択でき、
一人一人に合った教育を受ける事ができ、子供が嫌がる教育内容を押しつける事は禁止されている。
にも拘らず識字率は100%であり、子供の幸福度が非常に高いという結果を出している。
かつてはジパングとの国境沿いの島はジパングの教育の色が強く、そういった学校に限って、
幸福度が低いという結果が報告されていたが、ベルガが第一人者になってからは教育改革により、
メルヘンランド諸島の学校も元老院が管理するようになり、ジパングの教育が全て撤廃された。
元々はメルヘンランドも義務教育だったが、全員に同じ教育を施せばそれで良かった時代が終わると、
教育の在り方を考え直し、個性を重んじるなら子供の教育に大人の出る幕なしと判断したため、
今のオルタナティブ教育へと変化していった。飛び級も留年もあり教育費は全て無料である。

食文化
メルヘンランドは数多くの洋食や洋菓子の発祥地であり、伝統的な食べ物は地域毎に異なる。
主食はパスタやピザなどが主流であり、お菓子はケーキやチョコレートなどが人気である。
料理の見た目に対する拘りも強く、童話のような盛りつけ飾りつけがどの家庭にもある。
ベーシックインカムのおかげでコックやパティシエといった職人が非常に多いのも特徴である。
子供の内からプロに弟子入りできるなど、職人教育が充実しているため世界大会でも強豪国である。

文学
童話のような国作りであるためか童話作家が非常に多く、小説家や詩人も数多く輩出しているが、
ベーシックインカムが始まる前まではウィトゲンシュタイン家出身の文学者が多数を占めた。
食べるための労働をする必要がなくなると平民出身の文学者が数多く出るようになったのである。
近代以降はジパングの影響を受け、異世界を舞台にした物語も世に出るようになっていった。
以前はドラマ化が多かったがジパングの影響によりアニメ化やマンガ化も取り入れる事になった。

音楽
古代では大金持ちの王族や貴族の一家限定の嗜みであり、作曲家を雇って作曲させていた。
しかし共和制になると王室によって雇われていた作曲家たちの多くが失業したため、
自営で作曲や演奏を始める者が多くなり、一般大衆にも根づいていったのである。
メルヘンランド発祥の楽器が出始めたのもこの頃であり、最も有名なのはグランドピアノである。
近代からはシンガーソングライターが出始めており、国歌披露は一流歌手の登竜門である。

世界遺産
1万年以上前から現存する王室が世界遺産の代表格であり、ロイヤルファミリーレストランは、
王制がなくなった現在も歴代管理者が経営しており、不老不死となったアリス36世の居住地である。

祝祭日
メルヘンランドにはオンオフを分ける文化が存在しないため、平日や休日という言葉が存在しない。
祝日は自分で決めるものであり、それぞれの誕生日や結婚記念日の他、建国記念日を祝う風習はある。

スポーツ
メルヘンランドにおけるスポーツは健康のためのものであるためあまり力を入れていない。
ほとんどの有名人が文化人であり、野球やサッカーなどのスポーツの選手がいるくらいである。