社会不適合者エスティのブログ

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三低女子の婚活事情 50ページ「運命を変えた者たちの行方」

2020年03月29日 | 三低女子の婚活事情
リコラはアーサーに誘われて完備された冬のプールにまで遊びに来ていた。

そこでトラブルに巻き込まれるがリコラはアーサーへの想いが募っていった。

リコラ「私も今日は今までできなかった分遊び尽くすんだから。」

アーサー「その意気だ。」

リコラ「うん、じゃあいくよ。それそれっ。(こんなに遊んだのって何年ぶりかな。小さい時はずっとお兄ちゃんとこうやって遊んでた気がする。アーサーと一緒にいると、私が小さかった時の事を思い出させてくれる。)」

アーサー「おらおらっ。あっはは。顔にかかったな。」

リコラ「あーもう、髪乱れちゃった。」

アーサー「俺が直してやるよ。」

リコラ「できるの?」

アーサー「昔はよくルーシーの髪を乾かしたり、色んな髪型にして遊んだりしてたんだ。」

リコラ「女子の髪をいじるなんて。昔のアーサーって残酷。」

アーサー「子供は残酷なんだよ。世の理を知らないからこそ、たくさんやらかしながら学んでいくんだ。」

リコラ「また理屈ばっかり。」

アーサー「じゃああれ乗るか。」

リコラ「浮き輪に乗って滑るんだね。何人も乗れる大きさだね。」

アーサー「浮き輪借りてくるか。」

リコラとアーサーは夕方になるまで色んなプールで遊び尽くした。

帰宅ラッシュになり疲労困憊になったのか人気のない所で休んでいた。

リコラ「ふう、疲れた。でも凄く楽しかった。」

アーサー「俺もこんなに遊んだの、何年ぶりだろうな。」

リコラ「あれっ、ほとんど人がいないね。」

アーサー「もう夕方だからな。」

リコラ「私たちも帰ろうか。」

アーサー「いや、俺はもっとリコの水着姿を見ていたい。」

リコラ「いつからそんなに変態になったの?」

アーサー「俺は身内には一切遠慮しないんだ。もう人もいないから今の内に済ませよう。」

リコラ「えっ?あん、ああっ、ちょっと、何するの?」

アーサー「水着越しでもしっかり伝わってくるなー。このたまらない感触。」

リコラ「まさかとは思うけど、ここでするの?」

アーサー「どうせシャワーで全部流れるんだから問題ないだろ。」

リコラ「それはそうだけど、んっ、ちゅっ。あんっ、あんっ。」

アーサー「しー、そんなに大きな声出したらばれるぞ。」

リコラ「アーサーの意地悪。」

アーサー「んんっ、ちゅっ。」

リコラ「んっ、ああっ、気持ち良い。」

アーサー「まさかたったの1年で、リコの体を自由に触れる日が来るなんて思ってなかったよ。」

リコラ「あんっ、せめて場所を選んでほしかったけど、アーサーなら・・・・良いよ。」

アーサー「リコ・・・・愛してる。ちゅっ。」

リコラ「私も、愛してる。ちゅっ。」

アーサーは後ろからずっとリコラの豊満な胸を揉みしだいていたが、

いつの間にか水着を脱ぐとばれるかどうかのスリルを楽しんでいた。

アーサー「うっ、はあ、はあ。」

リコラ「はあ・・・・はあ・・・・もう、全部中に出しちゃってるし。」

アーサー「最初にやった時と同じだな。体位は違うけど。夕食食べに行くか。」

リコラ「もう私のお腹いっぱいなんだけど。」

アーサー「じゃあシャワー行ってこいよ。外で待ち合わせな。」

リコラ「うん・・・・はあ、まさかここでするとは思わなかった。(アーサーって結構大胆なところあるんだね。でも誰かにばれてたら本当にやばかったかも。それとも普段の私が真面目過ぎるのかな。)」

マドレーヌ「あっ、リコ、久しぶり。こんな所で会うなんて偶然だねー。」

リコラ「マドレーヌにモンブラン。何でここに?」

モンブラン「私たちも遊びに来ていたの。店の方は全然客が来なかったからねー。」

リコラ「という事は今日はオフだったの?」

モンブラン「うん、すっごく楽しかったよー。」

マドレーヌ「リコも来てたんなら一緒に遊びたかったなー。」

モンブラン「もしかしてアーサーと一緒に来てたの?」

リコラ「うん、ずっと一緒に遊んでたの。けどもう体力の限界。」

マドレーヌ「こんなに羽を伸ばすの久しぶりだからねー。じゃああたしたちもう帰るから、じゃあねー。」

リコラ「うん、じゃあね。私も早く出ないと。」

アーサー「おっ、リコ。先に出てたんだな。」

リコラ「うん、今着替えたとこ。」

アーサー「さっきオフで遊びに来ていたアルホたちにばったり会ってな。つい話し込んじまった。」

リコラ「私もさっきマドレーヌたちに会ったの。」

アーサー「えっ、マドレーヌたちって店番だったはずじゃないのか?」

リコラ「店に全然人が来ないから暇潰しに来たんだって。」

アーサー「俺たちみんな友人に会ったのか。世間は狭いな。」

リコラ「多分これのせいじゃないかな?」

アーサー「あー、なるほどなー。そういえばここ、今は冬だからっていう事もあって今日から半額セールになってたんだよ。俺もそれでリコを誘ったんだ。」

リコラ「最初からここでやるつもりだったくせに。」

アーサー「そう言うなよ。リコだって気持ち良さそうにしてただろ。」

リコラ「一生の不覚だよ。」

アーサー「分かった。じゃあ今日は俺が奢るよ。」

リコラ「それならこの前のドライブデートの時に見つけた店に行こうよ。フルコースでも注文しようかな。」

アーサー「容赦ないな。」

リコラ「あんな恥ずかしい思いさせたんだから、これくらいは当然でしょ。」

アーサー「分かったよ。」

リコラとアーサーは夕食を済ませるとギルドカフェへと帰っていった。

ベルガたちも旅行を終えて帰ってきたがそこには意外なゲストもいた。

リコラ「お兄ちゃん、帰ってたんだね。」

ベルガ「うん、プールに行って夕食を済ませてきたみたいだから夕食を作る手間が省けたよ。」

リコラ「そうだね。今日はアーサーも泊まるから。」

ヘレントルテ「私も今日はここで泊まるの。」

ベルガ「ずっと他の女子の相手をしてたから、なかなか一緒に寝られなかったんだよね。」

ヘレントルテ「そういう事よ。」

リコラ「で?このお兄ちゃんにそっくりな人は誰なの?」

ベルガ「ロムル・オーガスト・ブルートゥルス。」

リコラ「えっ、メルヘンランド王国初代国王の?」

アーサー「嘘だろ。まさか本当に。」

ロムル「君たちには初めましてだね。」

リコラ「リコラ・オーガスト・ロートリンゲンです。リコと呼んでください。」

アーサー「アーサー・モンターニャ・ファヴァレット。リコとつき合ってるんだ。」

リコラ「不老不死になって世界中を冒険しているって噂になってましたけど、本当だったんですね。」

ロムル「ああ、元々は対外進出を企んでいた息子の計画を阻止するために、息子よりも長生きする目的で不老不死の魔法を開発して使ったんだが、強大な軍事力を前に諦めざるを得なかった。いくら不老不死でも体力が尽きればしばらくは魔法が使えなくなるからね。」

ベルガ「魔法兵器はその気になれば世界を滅ぼす事もできる。それを危惧していたんだろう?」

ロムル「そうだ。だが息子は魔法兵器が持つ力に溺れ、世界を魔法兵器で支配できると思うようになった。だが息子は気づいていなかった。国は力で支配できても、人の心は力では支配できないんだ。たとえ世界征服を実現したとしても、後に続く王に統治者としての才がなければ、いずれ分裂して元に戻ると警告したが、息子は聞く耳を持たなかった。」

リコラ「それが理由だったんですね。」

ロムル「僕は息子の愚かな計画の末路を見届けるために生き続けた。結局は僕が思った通りになってしまったがな。」

アーサー「一応補足しておくと、2代目国王のレムスが求めていたのは、かつてあんたが望んでいた平和な世の中だ。レムスはあんたがメルヘンランド島を統一するまでの過程を見ていたから、力でしか平和を実現できないって思うようになったんだ。」

ロムル「随分と詳しいね。かなりランクの高い大学を出ているようだね。確かに君の言う通りだ。僕は息子たちに悪いロールモデルを見せてしまったようだ。」

アーサー「でも悪い事ばかりじゃない。最盛期には餓死者が1人も出なかったくらいどこもかしこも栄えてた。正真正銘の世界平和が実現された世の中だった。今でも全世界の言語には古代メルヘンランドの名残が残ってる。レムスはあんたが実現した国内の平和を外の人にも教えたかったんじゃないかな。」

ロムル「僕や子孫たちのした事が正しかったかは分からない。だが僕はどうしても平和な世の中を作りたかった。本国以外の国が全て独立して、王国が共和制に変わったのを知ってからは、偽名を使いながら世界中を回って事件という事件を解決に導いてきた。かつて子孫たちがしてきた事への罪滅ぼしになると思ってね。」

ヘレントルテ「もう統治者にはならないのですか?」

ロムル「僕の力ではせいぜい一国の面倒を見るのが限界だ。かつての子孫たちがそうだったように。それにもう統治者は飽きた。今は世界中で起きている事件の解決が僕の仕事だと思ってる。」

メルヘンランド女王「ロムルよ、久しぶりだな。」

ロムル「いつもと変わらないようだな、エイリス。」

リコラ「エイリス?」

アーサー「女王陛下の本名はアリス36世だ。一度退位したけど後に許されて元老院から象徴国王の称号を授けられたんだ。大学の歴史学の授業でやってたんだ。」

リコラ「そうだったんだ。でも何でエイリスなの?」

ロムル「アリスは現代語だ。古代メルヘンランド語ではエイリスと読むんだ。」

メルヘンランド女王「妾も皆の者から本名で呼んでほしいのだが、なかなか呼んでくれないのだ。」

リコラ「仮にも女王陛下ですから、仕方ありませんよ。」

ベルガ「それじゃあ、ロムルの謎が全て解けたところで、有終の美を飾るために乾杯しよう。」

リコラ「そうだね。早速飲み物を入れるね。」

ロムル「この国も随分と賑やかになったものだ。そうは思わないか?」

メルヘンランド女王「そうだな。かつてのように平和な国になってほしいものだ。」

ベルガ「人数は昼よりも減っちゃったけど、婚活法の終焉にかんぱーい。」

みんな「かんぱーい。」

それから3年の時が過ぎるが、リコラとアーサーは順調に交際を続け、

ついに新居を構えてベルガから独立し、2人で一緒に暮らす事になった。

アーサー「婚活法から解放されてもう3年か。」

リコラ「色んな事があったけど、こうしてアーサーと会えたのは収穫だったかな。」

アーサー「俺は婚活法がなくったって、リコとはどっかで会ってたと思うけどな。そういえば、ベルはどうしたんだ?」

リコラ「お兄ちゃんは独裁官として防衛戦争に参加してるよ。当分は戻って来れないって言ってた。」

アーサー「あいつもついに独裁官か。いつかなるとは思ってたけど、忙しくなるだろうな。」

リコラ「あのまま権力を独占しちゃったりしてね。」

アーサー「マドレーヌたちはどうしたんだ?」

リコラ「マドレーヌとモンブランは民族衣装の事業がうまくいって、今じゃウィトゲンシュタイン家が宣伝してくれた事もあって、注文が殺到してるんだって。」

アーサー「2人共結婚したんだよな。」

リコラ「うん、シュトレンたちもうまくいってるんだって。」

アーサー「リコはチョコレート専門店とショコラティエ教室を始めて、ここから全国大会の優勝者が出てから一気に有名店になったもんな。」

リコラ「アーサーだって、今じゃ余った食材で作った食品が多くのスーパーやコンビニで売れるようになったでしょ。」

アーサー「お互い出世したもんだな。」

リコラ「そうだね。実はね、嬉しい報告があるの。」

アーサー「どうしたんだ?」

リコラ「お腹に赤ちゃんがいるの。」

アーサー「リコ・・・・そうか。きっと良い子になるよ。」

彼女の名前はリコラ・オーガスト・ロートリンゲン。

後に、著名な洋菓子職人たちを育て上げ、メルヘンランド王国の料理評論家となった女である。

しかしそんな彼女も、若い頃は悩み苦しみながら、

婚活をさせられていた、引っ込み思案な三低女子だったのである。

自分がどんな道を歩んでいくのかを、この女はまだ知らない。

彼女の戦いは、まだ、始まったばかりなのだから。

50ページ目終わり

メルヘンランド王国Wikipedia20ページ

2020年03月29日 | メルヘンランド王国Wikipedia
メルヘンランド王国軍のユニット一覧

陸軍

歩兵
陸軍で最も基本的なユニット。
接近戦や占領には絶対に必要である。

砲弾兵
対戦車用ランチャーを持つユニット。
車両を上陸させられない場合に用いる。

対空兵
対空攻撃に特化したユニット。
主に爆撃機の迎撃に威力を発揮した。

擲弾兵
グレネードによる後方支援に特化したユニット。
遠距離戦で真価を発揮する。

戦車
元々は軽戦車や重戦車などがあって使い分けられていたが、
やがて火力と機動力を両立できる主力戦車に統合され標準化された。

対空戦車
対空攻撃に特化した戦車。
海岸沿いに並べれば相手の空軍を無力化できる。

自走砲
遠距離攻撃ができる戦車。
接近戦に持ち込まれると弱いためガードが必要である。

輸送車
歩兵や戦車や補給物資を輸送するためサイズは大きめ。
的にされやすく輸送特化のため戦闘能力は皆無に等しい。

海軍

駆逐艦
海軍で最も基本的なユニット。
今は技術の進歩で火力不足や対空性能を補えるようになった。

戦艦
対艦攻撃に用いられるが今は駆逐艦に総合火力で並ばれたためか、
防御を活かせる要塞として使われている。

巡洋艦
かつては軽巡洋艦や重巡洋艦がいたが、
やがて統合されて空母の護衛艦となった。

空母
空軍と共に遠征をする際に使われるユニット。
かつては正規空母や軽空母があったが統合された。

潜水艦
主に敵の補給を断つための通商破壊に使われるユニット。
対艦性能が高いが魚雷には弱い。

輸送船
陸軍のユニットや補給物資を運ぶための船。
かつては上陸作戦にも使われていた。

空軍

戦闘機
空軍で最も基本的なユニット。
対空攻撃に特化しているが標高が高い場所への攻撃も可能。

爆撃機
相手の陸軍や海軍を爆撃するためのユニット。
対空攻撃には弱いため対空兵器を排除してからこれで攻めるのがセオリー。

攻撃機
対艦攻撃用魚雷を備えたユニット。
潜水艦への攻撃も可能である。

戦闘爆撃機
対地性能と対空性能を備え魚雷も撃てる万能ユニット。
しかし速度は遅いためパイロットの熟練度が問われる。

戦闘ヘリ
対地ミサイルを備えたヘリコプター。
耐久は低めで対空攻撃に弱いため主に民間への攻撃に使われる。

輸送ヘリ
陸軍のユニットや補給物資を運ぶためのヘリコプター。
撃墜されないために護衛の戦闘機が必要である。

三低女子の婚活事情 49ページ「周囲の変わっていく者たち」

2020年03月22日 | 三低女子の婚活事情
リコラたちはオーブの結婚相手を見つけるためにジュリーに頼るが、

彼女の指摘でようやくお互いの目的の違いに気づき始めたのである。

リコラ「こうも噛み合わないとはね。」

ジュリー「ええ、ルーシーは結婚相手を見つけさせるため。オーブはルーシーに自分をあたしに紹介してると思ってたのね。」

オーブストトルテ「僕は帰らせてもらうよ。」

ジュリー「待って、ルーシーが唯一無二なんて考えてるうちは結婚なんてできないよ。」

オーブストトルテ「どういう事だい?」

ジュリー「ていうかあたしの事を覚えてないの。昨日ギルドカフェで会ったでしょ。」

オーブストトルテ「ギルドカフェ・・・・あっ、まさかあの時ルーシーの近くの席にいた。」

ジュリー「やっと思い出してくれたね。あなたの言動はずっと見てたけど、あんな強引な性格じゃルーシーとはまず合わないと思うし、ルーシーが嫌がってる以上は、本気でルーシーの幸せを願ってるなら諦めてくれない?」

オーブストトルテ「そ、そんな。」

ジュリー「その代わり、ルーシーに匹敵する婚活女子たちを紹介するから。ねっ。もしかしたらルーシーよりも相性の良い相手に出会えるかもしれないでしょ。」

オーブストトルテ「本当にルーシーに匹敵する相手を紹介してくれるのかい?」

ジュリー「もちろんよ。あなたなら色んな婚活女子の中から選び放題だし。」

オーブストトルテ「・・・・分かったよ。」

リコラ「大丈夫ですよ。ジュリーは今までに多くの婚活している人たちをカップリングに導いたんですから。」

オーブストトルテ「(凄く可愛い。ファッションセンスも悪くない。そして何より、でかい。)ジュリー、彼女とお見合いさせてくれないか?」

ジュリー「駄目よ。彼女はもう相手がいるから。」

オーブストトルテ「なんという事だ。僕が良いと思った相手に限って既に相手がいる展開ばかりじゃないか。」

ジュリー「そりゃそうよ。あなたが最初から婚活していれば、リコやルーシーみたいな人とカップリングできたはずなのに、あなたはずっと婚活法の間はお茶会でごまかしてたんでしょ。その間に良い人はみんなカップリングしていったの。」

オーブストトルテ「そうだったのか。ジュリー、僕に婚活の極意を教えてくれないか?」

ジュリー「ええ、もちろんよ。」

オーブはジュリーの指導を受ける事になり、リコラはギルドカフェに帰った。

リコラは店番をしながらチョコ作りをし、アーサーと仲睦まじく話していた。

アーサー「テンパリングはじっくりやってたのに、ミルクチョコレートはかなり迅速にやるんだな。」

リコラ「ミルクとチョコは混ざりにくい上に、早くかき混ぜないと分離した状態で固まっちゃうから、混ぜるのは少しずつだけど混ぜる時は迅速にやるの。」

アーサー「分かってはいたけど相応の工夫が必要なんだな。これをショコラティエ教室でやってるのか?」

リコラ「うん。何かを極めた人がずっとプレイヤーで居続けるのも良いけど、私は何かの頂点に立ったら今度は後に続くプレイヤーに教える立場になるべきだって思ったの。」

アーサー「いつかリコの指導を受けた人の中からワールドチャンピオンが出てくるかもな。」

リコラ「だと良いね。」

アーサー「そういえば、オーブはもう迫ってこなくなったのか?」

ルーシー「ええ、彼が次の相手を見つけるためにお母さんに紹介するって言ったら、あたしと結婚するものだと思ってお母さんに紹介してるって勘違いされたけど、今頃はお母さんの婚活コンサルティングに夢中になってるはずよ。」

アーサー「とことん勘違いが多いんだな。」

ルーシー「彼、悪い人じゃないんだけど、彼の芸術の素晴らしさが全然分からなかったし、性格や価値観にも一般の人との乖離があったから、あたしとは人生観合わない気がしたの。」

リンツァートルテ「ルーシーさん、うちの兄が世話になったね。」

ルーシー「リンツ、どうしたの?」

リンツァートルテ「ベルガさんがワンダー島までお出かけしちゃったから僕も行きたかったんだけど、ヘレンに反対されて行けなかったからこっちに来たんだ。」

リコラ「お兄ちゃんなら明日には帰ってくると思いますよ。」

リンツァートルテ「そうか。思えばずっとリコラさんは苦労の連続だったね。慣れない婚活法に振り回され、婚活市場での色んな人との出会いがあった。でもそれがあったからここまで成長できたんだと思うよ。」

リコラ「確かに婚活法がなかったら、お兄ちゃんみたいにずっとプレイヤーの立場だったかもしれませんね。」

アーサー「あいつは婚活法の状態になっても教える立場にはならなかったけどな。」

リンツァートルテ「ベルガさんはぶれないからね。」

ルーシー「あたし決めた。リコの魅力を超える人に出会ったら、その人とつき合おうと思う。相手が男子でも女子でもその他でも関係なく、ずっと愛しぬくわ。」

リコラ「ルーシーも次の目標が決まったんだね。」

ルーシー「リコはアーサーに取られちゃったからねー。まっ、リコの魅力を超える人なんてそうそう現れないと思うから、その日が来るまではずっと仕事一筋でやっていこうと思うの。」

リコラ「当分はアーサーの会社を伸ばしていかないと心配だもんね。」

アーサー「あのなー、俺がルーシーを雇ったのは専属モデルになってもらうだけじゃないぞ。うちの会社が伸びていけば、どっかのモデル事務所がルーシーに注目するかもしれないだろ。このやり方で誘いを受けたなら、それはもう本人の力で勝ち取ったものと言えるだろ。」

リコラ「ルーシーの扱いに慣れてるんだね。」

アーサー「俺がまだ小さい時に、誰かに叶えてもらったものを夢とは言わないって、お袋が言っていたのを思い出したんだ。もしかしたらルーシーもそう思ってるんじゃないかと思ってな。」

ルーシー「アーサー。」

手の平返し女「ねえ、あなたアーサー君でしょ?あたしの事覚えてる?ずっと前婚活イベントで会ったでしょ。」

アーサー「そういえば会った事あるな。あんたの事はよく覚えてるよ。確か俺の会社が倒産した後、婚活法対策課所属になったって事を知った途端に俺から離れていったよな?」

手の平返し女「あー、あの時はそうだったけど、今はまた起業して事業もうまくいってるって聞いたの。あたしそれでアーサー君の事見直したの。ねえ、良かったらあたしとつき合わない?」

アーサー「断る。」

手の平返し女「えー、どうして?」

アーサー「もうすでにカップリングしている女がいるんだ。それに、たとえ俺が誰ともカップリングしていなかったとしても、失敗した時に見限る女なんかとつき合いたくないんだよ。」

手の平返し女「ひ、酷い。うわあああああん。」

リコラ「帰っちゃったね。」

アーサー「あれで良いんだよ。」

ルーシー「リコはアーサーがどんなにピンチでも決して見捨てなかったもんね。あっ、あたしもう帰るね。明日はうちの会社のプロモーションで出かけないといけないから。じゃあね。」

リコラ「ルーシーも仕事頑張ってるんだね。」

アーサー「あれはルーシーなりに気を遣ってくれたんだよ。さっきの客がいなくなって3人だけになったから、こうして俺たちを2人きりにするために帰ったんだ。明日のプロモーションだって午後からだし、もっとゆっくりしようと思えばできたはずだ。」

リコラ「アーサーってたまにお兄ちゃんみたいな事言うよね。」

アーサー「これは推理じゃないぞ。ずっと一緒に暮らしてると、何故か自然に分かるようになるんだ。」

リコラ「そうだったんだ。」

アーサー「確か明日は休みだったよな。良かったら久しぶりにデートに行かないか?」

リコラ「うん、良いよ。でも仕事は良いの?」

アーサー「良いんだよ。俺も経営者だからな。休もうと思えば休めるんだよ。」

リコラ「私もお兄ちゃんと共同経営者だから休みの日は選べるけど、普段はお兄ちゃんがヘクセンハウスと一緒に出かけちゃうから全然休めなかったなー。私も婚活法が終わった記念にデートしちゃおっかな。」

アーサー「じゃあプールでも行くか。明日の正午にアウグストのプールに集合な。」

リコラ「うん、分かった。あっ、でも水着持ってない。」

アーサー「水着なら貸し出ししてるから問題ないぞ。」

リコラとアーサーは翌日になると昼食を済ませて水着に着替え、

プールサイドで会うがアーサーの顔は真っ赤になっていた。

リコラ「どうしたの?顔赤いよ。」

アーサー「やっぱ胸大きいな。くびれもあるし。」

リコラ「もう、触らないでよ。ただでさえ恥ずかしいんだから。」

アーサー「じゃあもっと恥ずかしくしてやろうか。周りを見てみろよ。」

リコラ「周り?ええっ、何で私見られてるの?」

エロい男「すげえ、あの子スタイル良いじゃん。」

よこしまな男「顔も可愛いし、何より、でかい。」

魔性の女「理想的な顔と体ね。触ってみたい。」

アーサー「これで分かっただろ。リコは顔も体もかなり恵まれてるんだよ。」

リコラ「私が小さい時はクラスメイトから地味な子扱いされてたから気にならなかったのに。」

アーサー「ウォータースライダーでも行くか。」

リコラ「あれって、カップルは2人で滑れるって書いてるよ。」

アーサー「もうカップルなんだから問題ないだろ。俺後ろに座るから。」

リコラ「あんまり並んでないね。」

アーサー「今は冬だからな。でも室内は恒温の魔法で温度も水温も一定に保たれてる。俺はそれを知ってるから誘ったんだ。メルヘンランド大学の魔法学の授業でやってたんだ。」

リコラ「ここにきて教養の差が出たね。」

アーサー「ほら、俺の上に座れよ。」

リコラ「う、うん。ひいっ、あああああぁぁぁぁぁ。」

アーサー「おおおおおぉぉぉぉぉ。」

リコラ「ふふっ、結構楽しいねこれ。」

アーサー「じゃあ今度はあっちのウォータースライダー行ってみるか。」

リコラ「うん。」

不良の男「なあ、そこの彼女。そんな男なんかより俺と一緒に遊ぼうぜ。」

リコラ「遠慮しときます。」

不良の男「そんな事言わずにさ。なっ?良いだろ?」

リコラ「止めてください。離してください。」

アーサー「その汚い手を離せ。お前ら外国人観光客だな。だったらこの国のルールくらい守れよな。」

不良の男「ああん?この国のルールなら守ってるだろうが。」

アーサー「ここはコミュ障が多数派の国だ。ナンパなら他の国でやってくれ。」

不良の男「何だとてめえ。俺とやろうってのか?」

アーサー「あいにくだが、人を殴って訴えられるのはもうんざりなんでね。ちょっと警備員呼んでくるわ。女子を誘拐しようとしてるから職質してくれってな。」

不良の男「てめえ、ぶん殴られてえのか。」

アーサー「今俺を殴ったら間違いなく強制送還だぞ。それでも良いならやってみろよ。」

不良の男「・・・・ちっ、何だよ偉そうに。たくっ、やってらんねーぜ。」

アーサー「ふう、逃げてくれたか。」

リコラ「また助けられちゃったね。でも前にもこんな事あった気がする。」

アーサー「最初に婚活パーティで会った時の事を思い出すな。もうあんな事には関わりたくなかったんだけど、リコが魅力的すぎるからみんな放っておかないんだよ。」

リコラ「モテるって良い事ばかりじゃないんだね。」

アーサー「良い奴だけじゃなくて悪い奴も引き寄せてしまうからな。モテるのもモテないのも一長一短だ。」

リコラ「ていうか強制送還って本当なの?」

アーサー「あんなの嘘に決まってるだろ。せいぜい厳重注意がいいとこだ。」

リコラ「アーサー・・・・ありがとう。」

アーサー「ちゅっ、ちゅっ。」

リコラ「んっ、ちゅっ。」

アーサー「リコが無事で良かった。」

リコラ「もう、恥ずかしいよ。また胸触ってるし。」

アーサー「じゃあ次行くか。」

リコラ「あっ、誤魔化した。」

アーサー「それっ。」

リコラ「もう、いきなりそばにある水鉄砲使うんだからー。じゃあ私もお返し。」

アーサー「うわっ。やっぱり遊び足りないんだな。ならとことんつき合ってやるよ。」

リコラ「私も今日は今までできなかった分遊び尽くすんだから。」

49ページ目終わり

メルヘンランド王国Wikipedia19ページ

2020年03月22日 | メルヘンランド王国Wikipedia
メルヘンランドの行事や祝祭日一覧

アナザーアースの1年も地球と同様に365日である。
4年に1度閏年になるところも同じである。

1月
メルヘンランドにおける年度の始まりであり、
王国内にある全ての個人事業主及び法人は、
1月が年度の始まりであると法律で決まっている。

1日
建国記念日
ロムルが建国1年の1月1日に建国した事から。
ロムル自身がきりのいい数字の日でなければやる気が出なかった。

16日
プリンケプスデー
第一人者の日とも言われる。
ベルガが戦争の時代を終わらせ、
王国の第一人者になった事を記念する日。

2月

14日
バレンタインデー
エウロパで広まっていた風習がそのまま入ってきた。
チョコレートを渡す風習はジパングから輸入された。
基本的にはプレゼントを贈り合うがしない人もいる。

3月

15日
女王誕生日
アリス36世の誕生日は本人が覚えていないため不明だが、
即位が3月15日であった事からこの日を誕生日としている。

4月

1日
シーズン開幕の日
メルヘンランドにおけるプロ野球シーズン開幕戦の日。
王国内にある32球団が毎日試合をするようになる。
ハートリーグ(DH制あり)とクラブリーグ(DH制なし)に、
16チームずつ分かれて年間160試合とポストシーズンを行う。

23日
革命の日
メルヘンランド革命によって共和制が成立した日。
元老院主催の祭りが行われる。

5月

10日
国防の日
歴史上初めてメルヘンランド王国が外国から侵略を受けた日。
それまでは国内が平和すぎて軍人ですら戦争のやり方を忘れていたために、
今後の平和ぼけを防ぐために侵略の翌年から制定された。

6月

8日
収穫の日
王国中から採れる作物の恵みに感謝し、
各家庭で盛大にパーティが開かれる。

7月

1日
折り返しの日
1年の前半が過ぎた事を振り返り、
残り後半の励みにする日。

17日
バンクデー
銀行の電子マネー化を祝う日。
これによってお金の動きがハッキリ分かるようになり、
現金を誤魔化す事ができなくなった。

8月

15日
ITデー
メルヘンランドにおける魔法と科学の融合に成功した日。
これによって王国内のテクノロジーが大幅に進歩した。
プリューゲルクラプフェン家主催のパーティが行われる。

9月

2日
産業革命の日
ウィトゲンシュタイン家が産業革命を成功させ、
王国に莫大な利益をもたらした日。
ウィトゲンシュタイン家主催のパーティが開かれる。

10月

20日
島の日
メルヘンランド諸島の全ての島を称える日。
メルヘンランドが侵略を受けている時は、
島の所有権を主張する日だった。

11月

17日
ジェンダーデー
王国民の5割が性的少数者であり、
ストレートの人も中性的な顔立ちの人が多いため、
人の数だけ性別がある事をアピールする日。

12月
メルヘンランドにおける年度の終わりである。
学生はここで進級に必要な単位が足りない場合に留年となる。
決算などは全てこの月の最後に自動で行われる。

25日
魔法の日
魔法によるテクノロジーの向上を願う日。
魔法使いの国ならではの日である。

31日
感謝の日
1年を生き延びる事ができた事を感謝する日。
基本的に休みであるためパーティが開かれる。

三低女子の婚活事情 48ページ「勘違い男に混乱させられる者たち」

2020年03月15日 | 三低女子の婚活事情
リコラたちは婚活法が終焉を迎えるとやりたい事を思う存分楽しむ生活をしていた。

ベルガたちは婚活法が終わった記念にリゾート地へと遊びに行っていたのである。

ジュリー「リコ、最近ショコラティエ教室を開いてるって聞いたけど本当なの?」

リコラ「うん、チョコの作り方は極めたから、今度はチョコの作らせ方を極めようと思って始めたの。ショコラティエの知り合いに教える場所を設けたいって話してたら喜んで貸してくれたの。」

アーサー「俺も今度行って良いか?」

リコラ「うん、良いよ。」

ルーシー「じゃああたしも行く。」

ジュリー「随分と気前の良い知り合いがいたのね。」

リコラ「知り合いがキルシュと知り合いだった事もあって、キルシュが教室用の建物を貸してくれる事になったの。」

アーサー「キルシュって妊娠した状態でワールドパティスリーカップの国内予選と本選に出場して優勝した子だろ。今回はたまたま自国での開催だったから良かったけど、外国での開催だったら反対されてただろうな。」

リコラ「重労働にあたる仕事はサポーターに任せてたから大丈夫だったの。今は無事にお兄ちゃんの子供を出産してるよ。」

アーサー「やっぱりベルの子供だったか。」

リコラ「元気な男の子だって、それから数日後にはバウムも男の子を出産したの。」

アーサー「叔母になったんだな。」

リコラ「お兄ちゃんと同じ事言わないでよ。アーサーだって義理の叔父でしょ。」

アーサー「まだ結婚してないだろ。」

ジュリー「まだって事はこれからするの?」

アーサー「するとしても事実婚だ。」

リコラ「私もそれが良い。」

ジュリー「うーん、やっぱり今の若い子に結婚は重すぎるのかなー。」

ロミー「法律婚でも事実婚でも同等の扱いだけど、余程の決意がなければしちゃいけないって思ってるんだろうな。統合してないだけで内容は一緒なんだけどな。」

リコラ「そうだったんだ。」

ジュリー「そうなの。基本的に一生を共にする決意をしている相手とは法律婚、気軽に会いたい時だけ会う場合は事実婚を選ぶという意味合いが強いんだけど、法律上はどっちも同じ扱いなの。」

ルーシー「ねえ、リコ。またオーブから結婚の催促をされてるんだけど、どうしよう。」

リコラ「えっ、まだ諦めてなかったの?」

ルーシー「うん。明日ウィトゲンシュタイン家のパーティに招待されちゃって、友達を1人まで同伴できるんだけど、一緒に来てくれない?」

リコラ「直談判しろって事?」

ルーシー「あたしの言う事には耳を貸さないから、ウィトゲンシュタイン家に縁のあるリコなら何とかできるんじゃないかなって思ったの。」

リコラ「となると公爵を説得する事になるね。」

ロミー「ルーシー、こんなに良い縁談はもうないと思うが、本当に良いんだな?」

ルーシー「当たり前でしょ。あたしは本気で愛し合える人じゃないと嫌なの。相手が男子でも女子でもその他でもそれは同じよ。」

リコラ「分かった。じゃあ明日一緒に行くよ。友人の頼みだからね。」

ルーシー「ありがとう。」

ジュリー「ルーシー、もし相手がしつこいようなら通報するのよ。」

ルーシー「分かってるよ。」

翌日にリコラとルーシーはウィトゲンシュタイン家のパーティ会場へ行き、

公爵を説得する事になるがオーブに先手を打たれてしまったのである。

オーブストトルテ「待ってたよ、僕の愛しのルーシー。友人も連れてきたんだね。」

ルーシー「あたしは公爵に直談判しに来たの。公爵に会わせて。」

オーブストトルテ「おいおい、そう照れなくても良いのに。」

高貴な男「リコちゃん久しぶりだね。」

リコラ「お久しぶりです。」

オーブストトルテ「知り合いなの?」

高貴な男「ああ、ベルとリコちゃんは私が仲良くしていた民族衣装専門店をやっていた友人の子供だ。君と会うのは初めてだね。私はプリンツレゲンテントルテ・フォン・ウィトゲンシュタイン。みんなからは公爵と呼ばれているよ。」

ルーシー「あたしはルーシー・モンターニャ・ファヴァレット。今日は公爵に言いたい事があって来たの。」

オーブストトルテ「ルーシー、父さんに対して無礼じゃないかい?」

プリンツレゲンテントルテ「まあまあ、良いじゃないか。彼女にも何か思う事があるのだろう。」

ルーシー「ずっと交際を断ってるのに息子さんがしつこいから、直談判しに来たの。」

プリンツレゲンテントルテ「えっ、そうなのか?確かロミーから息子の彼女を探しているなら、うちの娘を紹介すると聞いたのだが。」

リコラ「ロミーはルーシーに何も知らせないまま縁談を勧めていたんです。」

プリンツレゲンテントルテ「そうだったのか。しかし昨日オーブがルーシーのためにと言って婚約指輪を買っていたぞ。」

ルーシー「はあ?オーブ、一体どういう事なの?」

オーブストトルテ「よくぞ聞いてくれた。この婚約指輪はエウロパから取り寄せた特注品だ。」

ルーシー「そういう事を聞いてるんじゃないの。断ってるのに何でこんな事するのって聞いてるの。」

オーブストトルテ「そりゃー愛する君のファンだからさ。サプライズだよ。」

プリンツレゲンテントルテ「オーブ、確か彼女とつき合ってるって言ってなかったか?」

オーブストトルテ「だからこうして来てくれたんだよ。つき合う気がないなら最初から来ないでしょ。」

ルーシー「(あちゃー、こいつに交際の口実を与えてしまったわね。)」

オーブストトルテ「今日は婚約記念に一杯どう?」

ルーシー「遠慮しておくわ。あたしはお見合いを正式に断る意思を伝えるために来たの。勘違いしないでくれる?」

オーブストトルテ「ええっ、でも君は初めて会った時も僕に笑顔を振りまいてくれたじゃないか。」

リコラ「あのー、基本的にモデルは誰に対しても笑顔を振りまくものですよ。」

ルーシー「どうやら恋愛未経験のようね。」

プリンツレゲンテントルテ「オーブ、彼女にその気はないようだ。彼女の事は諦めなさい。」

オーブストトルテ「そんなー。」

ルーシー「今度からはちゃーんと相手の意思を確認する事ね。」

リコラ「オーブさんは婚活イベントの経験はあるんですか?」

プリンツレゲンテントルテ「それが婚活法があった時は、ずっと家でホームパーティをしていたんだ。外の婚活イベントへ行かせれば婚活女子たちによる奪い合いになると思ってね。それに配慮して行かせなかったんだ。」

ルーシー「スペックだけは申し分ないんだけどねー。」

リコラ「だから女子の気持ちに鈍感な上に勘違いまでしたんですね。」

ルーシー「ホームパーティって事はそこまで真面目な婚活イベントじゃないって事だから、身近な人たちだけでカップリングもせずに過ごしてきたから勘違い男になっちゃうのよ。」

オーブストトルテ「ひ、酷い。」

エステルハージトルタ「まあまあ、誰にでも失敗はあるのですからもうこの辺にしておきましょう。」

プリンツレゲンテントルテ「そうだリコちゃん。もし良ければオーブに婚活のコツを教えてやってくれないか?」

リコラ「それなら私よりも適任がいますから紹介しておきますね。」

プリンツレゲンテントルテ「それは助かる。」

ルーシー「なにぽかーんとしてんの?いつか君を超える女とカップリングしてみせるよ、くらい言ったらどうなの?」

オーブストトルテ「婚活はもううんざりだ。」

エステルハージトルタ「あっ、ちょっと。お待ちください。」

プリンツレゲンテントルテ「放っておけ。あいつは元々こういう事には向いてないのだから。」

エステルハージトルタ「はい、公爵様。」

リコラ「エステルさん、やっと元気出してくれたんですね。」

エステルハージトルタ「は、はい。私の事を心配してくださったのですか?」

リコラ「はい。婚活戦線を共に戦った戦友ですからね。」

エステルハージトルタ「ありがとうございます。あれは結局独裁官の采配ミスという事で、私の責任はかなり寛大なものになったんですよ。私は誰ともカップリングはできませんでした。お嬢様が無事にベルガさんと結ばれたので私は満足です。お嬢様の幸せが私の幸せですから。」

リコラ「もしかしてヘレンと結ばれたかったんですか?」

エステルハージトルタ「違うと言えば嘘になりますが、私にはお嬢様のパートナーという大役は恐れ多くもあります。」

リコラ「ヘレンとは昔からの仲なんですか?」

エステルハージトルタ「はい。元々私の家は貴族だったのですが、祖父の代で没落してからは貧しい生活を強いられるようになって、それで不遇の毎日を送ってきた私をお嬢様が救ってくださったのです。私は優雅で知的で慈悲深いお嬢様に心を奪われてしまったのです。」

リコラ「助けてくれた人を好きになるってよくある話ですけど、やっぱり惹かれちゃいますよね?」

エステルハージトルタ「はい。今後もお嬢様にご奉仕する所存です。それが私にできるお嬢様への貢献ですから。」

リコラ「確かメイド長になったんだよね?」

エステルハージトルタ「はい。以前メイド長をしていた者が防衛戦争に駆り出されたので、それで私が繰り上がりでメイド長になりました。お嬢様が推薦してくださったのです。」

リコラ「エステルさんも海軍中将ですよね?」

エステルハージトルタ「はい。必要があれば私も臨時で参戦するかもしれません。しかし私は采配の方はさっぱりなので、比較的平和な東海岸の防衛を担当しています。そこでメイド長の仕事が休みの時は、そこで実戦訓練を積み重ねるようにしています。」

リコラ「ヘクセンハウスが言ってたんですけど、あのダイヤモンドハーバーの大敗で王国軍のどこの部署も実戦訓練が必修化したんですよね。」

エステルハージトルタ「そうなんです。でも次は同じ手は食わない覚悟で挑みます。」

ルーシー「オーブ、一度あたしのお母さんに会わせたいんだけど良いかな?」

オーブストトルテ「ん?そうか、やっとその気になってくれたか。良いぞ、じゃあ今から行こうか?」

ルーシー「(やっぱこの人単純ね。)」

リコラ「(また誤解されそう。)」

リコラたちはパーティを抜け出して結婚相談所ノヴァーリスへと向かった。

そこでジュリーによって婚活男子としての資質を見極められる事となった。

ジュリー「リコにルーシーじゃない。ルーシー、もしかして婚活したくなったの。」

ルーシー「あたしじゃなくてこの人よ。」

ジュリー「あら、もしかして彼と仲良くなったの?」

オーブストトルテ「久しぶりだね。オーブストトルテだ。ルーシーが一度親に僕の事を・・・・むぐぐ。」

ルーシー「お母さん、この人にピッタリの人いない?」

ジュリー「そうね、まずはプロフィールカードを見せてもらおうかしら。あたしはジュリー・ファヴァレット。ここで婚活コンサルタントをやってるの。ルーシーはあたしの娘なの。よろしくね。」

オーブストトルテ「よ、よろしく。どうぞ。」

ジュリー「ふーん、さすがにウィトゲンシュタイン本家の人は違うわね。音楽プロデューサーで年収1000万メルヘンなのね。凄いじゃない。」

オーブストトルテ「音楽プロデューサー以外にも父さんの家業であるホテルの社長も任されてて、世界中にある自社の株を持ってるから実際はもっと多いよ。1億メルヘンくらいあるんじゃないかな。」

ジュリー「これだけ仕事があるとデートする暇もないんじゃない?」

オーブストトルテ「そこは問題ないよ。休暇が欲しい時は役員に代行を頼めるからね。」

ジュリー「じゃあ後は相手を決めるだけね。」

オーブストトルテ「何を言ってるんだい?ジュリーさんはルーシーに相応しいかを判断してたんじゃないのかい?」

ジュリー「えっ、婚活しに来たんじゃないの?」

ルーシー「えーと、ここは結婚相談所で、あんたの相手を見つける手助けをしようと思ったの。」

オーブストトルテ「そんな。僕はてっきりルーシーが親に僕を紹介してくれると思ったのに。」

ルーシー「だから今紹介したのよ。新しい恋を見つければ気も変わるでしょ。」

ジュリー「これは2人共とんでもない勘違いをしているようね。」

リコラ「こうも噛み合わないとはね。」

48ページ目終わり

メルヘンランド王国Wikipedia18ページ

2020年03月15日 | メルヘンランド王国Wikipedia
メルヘンランドの属州一覧
メルヘンランドには全部で8つの属州が存在し、それぞれの地域に住んでいた部族の方言がある。属州線は山や川に沿っており、これら全てを合わせるとハート形の大きな島が形成される。メルヘンランド諸島にある島は全て最も近い属州の管轄区である。元々は海外領土を意味する言葉だったが、王制末期に全ての属州を失うと、共和制中期あたりから他国の州や都道府県と同じ意味で使われるようになった。

属州としての特徴
メルヘンランドの属州は国家と主権を共有しながらも独立した主体である。それぞれの属州に固有の法律があり共和制国家としての体裁を持つ。魔法使いの国であるため、公共の場所での攻撃を目的とした魔法の禁止など、全ての属州で共有している法律もある。魔法使いは時代を追う毎に人口当たりの数を減らしたものの、依然として王国民の5割が魔法使いであり、これは世界の魔法使い人口の9割にあたる。

ハロウハーツ属州
メルヘンランド島の中央北部にある属州であり、ハロウハーツはメルヘンランド語でハートの窪みという意味である。名前通りハートの窪みにあたる部分である。ここに首都であるアウグストがあり王国の中枢である。最も人口の多い大都市である。

カーナード属州
メルヘンランド島の中央南部に位置する属州であり、カーナードはメルヘンランド語で角という意味である。ハートの角のように尖った位置にあるためこの名前がついた。ハロウハーツに次いで第二の大都市であり、東京に対する大阪のような存在である。

グリューンフェルデ属州
メルヘンランド島の北西に位置する属州であり、多くのパティシエの出身地である。商店街にある多くの店がスイーツショップであり、売り上げを伸ばすためにアウグストへ移住する者も多い。森の面積が広く野菜や果物といった作物が多く取れる。

サワイキ属州
メルヘンランド島の西に位置する属州であり、ジパングに近い事からジパング系の移民が多い。そのためか和食や和菓子などもあり、名物であるアウストビーチがある。西からの外国人観光客を迎える設計であるため、町全体がリゾート地の場所もある。

ザークセル属州
メルヘンランド島の南西に位置する属州であり、防衛戦争の舞台となったロムス島やライラ島がある属州でもある。民族衣装発祥の地であり、この属州からさまざまな民族衣装が広まりアレンジされてきた。自然豊かな場所でベルガの出身地である。

オリュンポリティア属州
メルヘンランド島の北東に位置する属州であり、エウロパに近い事からエウロパの影響を最も受けており、メルヘンランド最大のテーマパークであるエウロパークがある場所である。デートスポットとして有名であり、様々な恋愛のジンクスがある。

テルマエ属州
メルヘンランド島の東に位置する属州であり、属州のほぼ全域から温泉が湧き出るのが特徴である。温泉施設が集中的に建設されている場所であるため、世界中から観光客が集まる温泉リゾートとして人気である。旅する場所と言うよりは旅の疲れを癒す場所である。

ブルクベルク属州
メルヘンランド島の南東に位置する属州であり、ウィトゲンシュタイン家が最初の買い取った土地であり、鉄鋼やアルミなどが大量に取れるウィトゲンシュタイン鉱山がある。最も多く天然資源が取れる属州であるため、王国の生命線とも呼ばれている。

三低女子の婚活事情 47ページ「終わった婚活法と始まった恋路」

2020年03月08日 | 三低女子の婚活事情
リコラとアーサーはカップリングを報告してベルガたちから祝福を受けるが、

アーサー以外の家族が失業の危機になっている事を知り解決を模索する事になる。

ルーシー「そんなのあたしの知った事じゃない。」

オーブストトルテ「たしか君は事務所が倒産して、今はフリーのモデルになってるんだってね。」

ルーシー「何でそんな事知ってるのよ。きもっ。」

オーブストトルテ「酷いなー、傷ついたよ。まあいい、ウィトゲンシュタイン家御用達の大手モデル事務所のメンバーにちょうど空きが出たところなんだけど、良かったら来ないか?」

ルーシー「どうせそれと引き替えにつき合えって言うんでしょ?」

オーブストトルテ「ただの大手モデル事務所じゃないぞ。メルジーネだ。」

ルーシー「メルジーネ。」

アーサー「知ってるのか?」

ルーシー「知ってるも何も、あたしはメルジーネのトップモデルに憧れてこの仕事を始めたの。生え抜き新人の場合はメルジーネが全国に所有するモデル養成所を首席で卒業した人しか入れない。しかも中途採用の場合でも他の事務所でアウコレに出るくらいの成績を収めないと入れないモデルの登竜門って言われてる最大手のモデル事務所よ。」

アーサー「アウコレ?」

ロミー「アウグストコレクションの略で、世界中からトップモデルが集まるイベントだ。」

ルーシー「でもあたしは特にこれといった実績も残してないから入れないと思うけど。」

オーブストトルテ「元々はウィトゲンシュタイン家がメルヘンランドの民族衣装を世界中に広めるために始めた事務所だ。ヘレンが民族衣装を必死で探していたのはこのためだ。」

エルトベアトルテ「私たちが養子に入る前の父がそこの社長で、母はそこの元モデルだ。」

オーブストトルテ「うちの母が君の事を気に入ってね。それで特待生としてうちの養成所で直々に育てたいって言い出したんだ。君さえ良ければ是非迎え入れたい。」

ルーシー「あたしが・・・・メルジーネの特待生。」

ジュリー「ルーシー、さっきアーサーの会社の専属モデルになる話してなかったっけ?」

アーサー「良いんだよ。これはルーシーが決める事だ。」

エルトベアトルテ「悪い話ではないと思うぞ。特待生は養成所の生徒でありながらモデルの仕事にも参加できるし、実績を残せば首席扱いで卒業できる待遇だ。」

オーブストトルテ「僕とつき合うとは言っても、友達から出構わないからさ。ねっ。」

ルーシー「・・・・馬鹿にしないでよ。」

オーブストトルテ「えっ?」

ルーシー「あんたはあたしがそれくらいお膳立てしないとトップモデルになれないと思ってるの?」

オーブストトルテ「いやいや、そういうわけじゃないよ。事務所が倒産したって聞いたから、モデルの仕事を提供しようと考えたんだ。」

ルーシー「そんな事しなくったってあたしは自分の力でトップモデルになってみせる。それにあたしの事が好きだって言うなら、もっとあたしの事を信頼してほしかった。何で先回りして石を取り除くようなマネをするの?そんなやり方でトップに立っても、あたしはちっとも嬉しくない。」

アーサー「ルーシーの逆鱗に触れちまったな。」

オーブストトルテ「どういう事だ?」

アーサー「ルーシーは昔から負けず嫌いでな。どうしようもない時以外で助けようとすると反発するんだ。自力で成し遂げたものでなければ目標とは言えない。それがあいつの座右の銘だ。」

ベルガ「彼女のプロフィールカードにも書いてあるだろ。ちゃんと確認しなかったのが災いしたな。」

オーブストトルテ「・・・・気に入った。」

ルーシー「えっ?」

オーブストトルテ「僕はますます君が気に入った。僕はね、目標を達成するためなら手段を選ばないんだ。どうしても断るなら、君を連れ去ってでも僕のものにしてみせる。」

ルーシー「ちょっと、離してよ。」

リコラ「止めてください。嫌がってるのが分からないんですか?」

オーブストトルテ「何だね君は?」

リコラ「リコラ・オーガスト・ロートリンゲンです。ルーシーの友人です。」

オーブストトルテ「ふーん、君もなかなか良い女子のようだ。君もモデルを目指さないか?」

リコラ「結構です。私には私の仕事があるので。」

オーブストトルテ「ロミー、これはどういう事かな?」

ロミー「申し訳ない。でも娘が決めた事だから、この縁談はなかった事にしてくれ。」

オーブストトルテ「この僕に恥をかかせた事を後で後悔する事になるよ。」

ジュリー「はいそこまで、オーブ、無理強いは良くないよ。」

エルトベアトルテ「今日のところはこれくらいにしておけ。」

オーブストトルテ「(僕は諦めないぞ。ルーシー・モンターニャ・ファヴァレット。)」

エルトとオーブはすぐに帰宅したが、リコラの脳裏には嫌な予感が浮かんだ。

ルーシーの縁談の話は一旦保留となり、安心した彼女は一息ついたのである。

ルーシー「まさかここまで来るなんて思ってなかったわ。」

ロミー「すまんな、公爵と話した時に2人共酔っぱらってたんだ。公爵がそれを覚えててこうなった。」

アーサー「オーブに対してめっちゃお粗末な扱いしてたな。」

ベルガ「僕はああいうキザでカッコつけで気取ってる奴が好きじゃないんだ。」

リコラ「ルーシーだけじゃなくてお兄ちゃんの逆鱗にも触れてたんだね。」

アーサー「たまにいるんだよなー、意図せず相手を怒らせる奴っていうのが。」

ジュリー「一旦保留になったけど、あの様子じゃまた迫ってくるよ。」

ルーシー「何度来たって答えは同じよ。」

アーサー「親父、あのエルトとオーブは何者なんだ?」

ロミー「エルトは元々ウィトゲンシュタイン第五侯爵家の長男でオーブはそこの次男。第一公爵家が本家なのは知ってるな?」

アーサー「ああ、リンツから聞いた。」

ロミー「公爵の子供であるドボシュトルタは結婚する気がないと分かって、公爵は分家の中でも特に実績のあった第五侯爵家から養子を2人迎える事になった。それであの2人が公爵家に養子入りしたわけだ。」

アーサー「エルトはもう結婚していて、子供が2人いるんだよな。」

ロミー「そうだ。エルトは元老院議員として将来の執政官候補と言われている実力者だ。オーブは音楽プロデューサーで王国グラミー賞を取った事もある。だがさっき見ての通り、対人関係に難ありでなかなか結婚できないんだ。」

ベルガ「オーブは悪い奴じゃないけど強引なところがあるから、そこを控えめにするだけでもかなり違うと思うけどね。」

ロミー「全くだ。俺は立場上そんな事は言えないんだけどな。そして三男は軍人で将来の提督候補だったが、防衛戦争で指揮の乱れから敵の砲撃を受け、その時同行していた四男のリンツをかばって戦死。その後リンツは不動産兼カフェで成功した。」

ジュリー「揃いも揃って実力者ばかりなのね。」

ロミー「幼少期から英才教育を受けてるからな。教育費も桁違いだ。」

リコラ「オーブさん後悔させてやるって言ってたけど、どうなっちゃうのかな?」

ベルガ「ロミーの情報は全部筒抜けだろうから、婚活法対策課を全力で潰しにかかるだろうな。」

ロミー「そうなったらベルが言ってた通り、婚活法対策課と同じ事業内容の会社を作るしかないか。」

ジュリー「それは良いけど、利益を上げられなかったら倒産だから今までみたいにのんびり仕事をするわけにはいかないよ。」

ロミー「何とかなるだろ。」

それからしばらく時間が過ぎたが婚活法対策課は解体する事となった。

ロミーたちは全員解雇となり新たに結婚相談所を創設する事となった。

ロミー「婚活法対策課は婚活法の廃止を理由に解体されたが、事業のバックアップをしておいたおかげで傷が浅くて済んだ。予定通りジュリーを柱にして一緒に解雇された連中を社員として雇った。」

アーサー「つまり親父が所長でお袋が結婚相談所専属の婚活コンサルタントになったわけか。」

ジュリー「そういう事。名前はあたしが決めたの結婚相談所ノヴァーリス。ノヴァーリスは古代メルヘンランド語で新開墾地という意味なの。メルヘンランドではまだまだ結婚相談所が少ないし、みんな職を失った状態だったし、まさに今のあたしたちにピッタリの名前だと思うの。」

ルーシー「良かった。あたしがわがまま言わなかったら、婚活法対策課は存続してたかもしれないのに。」

リコラ「ルーシーが気に病む事ないよ。お兄ちゃんも言ってたけど、遅かれ早かれどの道解体される破目になるって。」

ジュリー「そういえば、ベルはどこに行ったの?」

リコラ「お兄ちゃんならワンダー島までみんなと遊びに行ったよ。婚活法が終わった事を祝いたいんだって。」

ロミー「ワンダー島か。確かメルヘンランド諸島の東海岸にある島だよな。」

ジュリー「東海岸の近くにある島は防衛戦争の被害を受けなかったから人気なのよ。」

ルーシー「えー、あたしも行きたかったなー。」

アーサー「無理だろ。ルーシーは俺の会社の専属モデルとして、宣伝をする仕事があるだろ。」

ルーシー「啖呵切ったのは良いけど、あれじゃトップモデルの道は遠いわね。」

ロミー「会社の名前は何にしたんだ?」

アーサー「前の会社と一緒だよ。株式会社ミンネザング。ミンネザングは古代メルヘンランド語で愛の歌って意味だ。愛の歌は目には見えないが、どんなに時代が変わっても色褪せる事はない。そんな会社にしたいんだ。」

リコラ「素敵な社名だね。」

アーサー「ありがとう。今度は潰れないようにしないとな。リコに心配はかけたくないし。」

リコラ「アーサー、私の事なら心配しないで思う存分事業を成功させてよ。」

アーサー「そうだな。そういえば、俺がまた事業を始めた時、かつてうちと取引してた会社の人がこぞって来たんだ。みんなモードレッドに圧力をかけられて俺との取引を中止したって言って謝りに来たんだ。」

リコラ「それでアーサーはどうしたの?」

アーサー「俺はそいつらを許した。もう権力に屈しないと約束するなら取引を再開しても良いって言ったんだ。どちらかと言えばあいつらも被害者だからな。」

メルヘンランド女王「成長したのう。」

アーサー「女王陛下。」

メルヘンランド女王「以前のそなたであれば突っぱねていたであろう。困難を乗り越えた器はまた一段とその大きさを増すのだ。」

アーサー「あいつらは好きで権力に屈してたわけじゃない事に気づいてただけだよ。」

シュトゥルーデル「婚活法がなくなってから顔色が変わったな。」

アーサー「シュトゥルーデル、何でここに?」

シュトゥルーデル「女王陛下にベルの代役を頼まれたんだ。」

ヘクセンハウス「兄貴と戦場以外で仕事をするとは思わなかったぜ。」

シュトゥルーデル「リコちゃんはベルと一緒に遊びに行こうとは思わなかったのか?」

リコラ「うん、全然。アーサーと一緒にいたいから。」

ヘクセンハウス「カップリングしたもんな。」

シュトゥルーデル「そりゃ良かったな。俺の見立てではもうとっくにカップリングしてるものだと思ってたけどな。」

リコラ「色々と障害があったから、思うようにデートもできなかったの。アーサーが一度倒産するまでは女子が取り合いしてたの。」

ヘクセンハウス「倒産してからリコとデートしたって事は、他の女子は三高男子という肩書きの男子とつき合う事を目標にしていた事になるな。」

ジュリー「どうりでアーサーとつき合いたい女子が急に減ったわけね。」

リコラ「私は条件とか考えてなかったから、気にならなかったんだけどね。アーサーはアーサーだし。」

ジュリー「そうそう。相手が落ち目になっても全く態度を変えないところが決め手になって、あたしはアーサーの相手はリコが良いんじゃないかって思ったの。」

ロミー「俺もリコちゃんの誠実なところが気に入って、リコちゃんならアーサーと支え合っていけると確信したんだ。」

シュトゥルーデル「親を攻略してから恋人を落とす作戦か。外堀から埋めて本陣を叩くあたり意外と戦略家だな。」

ヘクセンハウス「兄貴、それは戦場の見過ぎだぜ。」

ジュリー「リコ、最近ショコラティエ教室を開いてるって聞いたけど本当なの?」

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メルヘンランド王国Wikipedia17ページ

2020年03月01日 | メルヘンランド王国Wikipedia
メルヘンランド王国に登場する店舗一覧

ギルドカフェ
ベルガとリコラが共同で経営しているクエスト制のあるカフェ。通常通りカフェとして過ごす事も可能だが、クエストを掲示板に張り出して依頼をする事ができる。その際に依頼を誰かが達成した場合、報酬の2割がギルドカフェに入り、8割が依頼を達成した人に入る。元々はただのカフェだったが、ベルガが事件を解決した事をきっかけに、メニューに使われていた掲示板にクエストが張り出されるようになり、依頼を解決するためのギルドと化していたため、いつしかギルドカフェと呼ばれるようになった。注文はタッチパネルで行うため店員とやり取りをする必要がないため、コミュニケーション能力に難がある人でも業務をこなす事ができる。コンビニやスーパーと差別化を図る目的で高級なコーヒー豆を取り扱っているためかコーヒーの値段が高い。労働環境重視のため営業時間も短くマニュアルも緩い。なおこの店の正式名称はアウグスツスである。

フェアリーテイル
キルシュトルテが所属するスイーツショップ。見習いでもパティシエの世界大会まで行けてしまうレベルであり、子供の頃から見習いとして入る人が多いためその実力は計り知れない。味は数あるスイーツショップの中でも群を抜いており、数多くの国内予選優勝者を輩出している。アウグストの中央にあり常連の数がかなり多く、美味しさだけでなく店員目当てで来る者も多い。店員が話した事はすぐにアウグスト中に広まってしまうため、パティシエたちの情報の発信地にもなっている。

ペンタメローネ
バウムクーヘンが所属する工芸菓子店であり、フェアリーテイルのライバル店である。店舗にある工芸菓子は食べる宝石と呼ばれており、熱変動に強いため土産物屋として人気である。アウグストの中央から離れているが常連は多く、外国人観光客から最も支持された店である。値段も高いため客は高所得層に絞られている。外国では高く売れるため盗まれる事もある。

シュペッサルト
王制時代から続くロイヤルファミリーレストランでかつての王室があった家でもある。現在はカトルカールが管理している高級レストランとなっており、歴代の管理者が店長を務めている。12000年前から存在する建物であるため世界遺産にも登録されている。主に昔からある伝統料理のフルコースがこの店の特徴である。高級料理が中心であるため一般の人はなかなか手が出せない。

アレッサンドリア
ザッハトルテの父であるフランツが経営するアイスクリームショップである。ザッハトルテの祖母の代から続いている店であり、一時は好評を博したが母親の代になると、病弱で宣伝をしている余裕がないために急速に客足が途絶えるようになった。その後は中継ぎでフランツが経営するが、ベルガがザッハトルテからの依頼によって経営を立て直した事で事なきを得た。

フォルクスメルヘン
メルヘンランド最大のテーマパークであるエウロパーク内にあるレストランである。エウロパの料理に加えてエウロパークのキャラクターを意識した料理やスイーツなどが売っている。料理の見た目が派手であるためかスマートフォンや写真に撮ってSNSに投稿されたりしている。エウロパ出身のシェフを雇っており、常にエウロパ料理の追求をしている。

クンストメルヘン
エウロパーク内にあるヘクセンハウス専門店である。ヘクセンハウスの大会店舗にもなっており、美術点や技術点を競うだけでなく観客による投票点もあり、それらの総合点が最も高い者が優勝となる。優勝者が飲食店を持っていた場合はその店舗を宣伝してもらう事ができ、宣伝された店は基本的に大ヒットするために競争が激しい。リコラもこれに優勝してギルドカフェに貢献している。

ストラパローラ
プファンクーヘンが経営するベーカリーレストランである。プファンクーヘンの父親が小麦粉農園を営んでいる事もあって始まった店であり、全国にはチェーン店を展開しているほど人気である。1人前あたりのボリュームが多いためかハーフサイズも用意されている。パリジャンやサンドウィッチが名物である。通常のベーカリーとは異なりテイクアウトも店内飲食も可能である。

ファンタスティック
マドレーヌとモンブランが所属していたアパレル会社である。大手ではあるが経営難であるため、少し圧力をかけただけで簡単に部署1つが潰れてしまう脆さを持つ。ウィトゲンシュタイン家からの要望で民族衣装部を作ったが、ファンタスティックは民族衣装作りには消極的であったためにやる気のある新人や部署移動となった人を入れるための窓際部署になってしまった。

パンチャタントラ
シュトレンが経営しているヘクセンハウス専門店である。初代店長がウィトゲンシュタイン家から買い取った土地に建てた店であり、売られているお菓子の全てがヘクセンハウスの材料である。様々な形のクッキーがあり屋根として使われる板チョコや雪を演出するためのシュガーパウダーなどもあるため、様々な形の家を作る事ができる。初心者のためにレシピなども用意されている。

ファルドゥム
メルヘンランドにある数少ない化粧品会社である。裁判でモードレッドに味方したカスタードが所属している。メルヘンランドでは画一化教育が行われていないため、メルヘンランド人で外見にコンプレックスを持つ人がほとんどいないためにあまり売れていない。魔法メイクで本来の自分と全く違う顔にしたり他人に化けたりできるため悪用が懸念されている。

オフターディンゲン
シュトゥルーデルが経営するカクテルバーである。嬉しい事があった日の祝い酒はもちろんの事、嫌な事があった日にやけ飲みするための場所にもなっている。カクテルなどの果物をベースとしたアルコールが中心だが、ベルガからコーヒーカクテルの作り方を教えてもらってからはコーヒーカクテルもメニューに追加されている。サイドメニューは控えめで必要最低限の軽食があるのみである。

ノヴァーリス
婚活法対策課が潰れたためロミーが建てた結婚相談所である。事業内容は婚活法対策課の模倣であり、元々は個人で婚活コンサルタントをしていたジュリーが専属の婚活コンサルタントとして所属する事となった。メルヘンランドは恋愛結婚が主流であるために結婚相談所はほとんどないが、婚活法の影響で婚活が根づいた事もあって多くの登録者が在籍している。

ミンネザング
アーサーが経営する食材リサイクル会社である。かつては一度モードレッドに潰されたが、リンツァートルテから送られたの戦利品を売って起業資金が貯まったため、アーサーは再び会社を取り戻す事ができた。余った食材を安く買い取ってから、魔法で食材を新鮮な状態に戻して新たな食品として売り出すのが主な事業である。かつてこの手法は貧困者が行っていた苦肉の策であったためタブーとされていたが、今では多くのスーパーやコンビニで取引されるようになった。