社会不適合者エスティのブログ

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三低女子の婚活事情 41ページ「最高裁の戦いに燃える男」

2020年01月19日 | 三低女子の婚活事情
リコラは証拠を掴む事を急いだのが災いしてティラミスに刺されてしまう。

しかしアーサーの会社を潰したのがモードレッドである事を突き止めた。

リコラ「ごめんね・・・・心配ばかりかけて。」

ベルガ「良いんだよ。無事だったから良かったけど、今度からこういう事をする時は透明の魔法を使う事だ。」

アーサー「透明の魔法って公共の場所じゃ禁止されてなかったか?」

ベルガ「証拠隠滅のために始末されるよりかはずっとマシだろ。一応僕、魔法が使えるって事が最近分かったんだ。」

リコラ「えっ、お兄ちゃん魔法使いだったの?」

ベルガ「うん、リコも魔法を学習して活用すると良いよ。僕が使えるならリコも使えるはずだからね。」

アーサー「リコ、あとの事は俺たちに任せてくれ。リコが命懸けで掴んでくれた証拠は無駄にしない。必ず裁判にも勝ってあの傲慢野郎に一泡吹かせてやるからさ。」

リコラ「分かった。ここから見守ってるからね。」

ベルガ「任せろ。アンブローズにはもう伝えてある。」

アーサー「この状態なら婚活イベントには行けないな。」

リコラ「そうだね。皮肉な話だけど、大怪我したおかげで婚活イベントから逃れたようなものだからね。」

アーサー「ベル、ティラミスがリコを刺したのも婚活法の弊害から生まれた悲劇なんだ。あいつは仕事を失ったら親に結婚させられて、専業主婦として家に縛りつけられるって言ってた。だから一刻も早く婚活法を廃止してほしいんだ。」

ベルガ「分かってるよ。僕も婚活法は嫌いだからね。」

リコラ「というかそんなに結婚するのが嫌だったんだね。」

ベルガ「モードレッドはクビになると結婚させられるのがティラミスの弱みだと分かってたんだな。」

アーサー「だがモードレッドの事だ。他の会社には何も喋らないように手を回してるだろうな。」

ベルガ「だったらティラミスを法廷に出席させれば良い。」

アーサー「ティラミスは殺人未遂の罪で警察に捕まってるんだぞ。どうやって引きずり出すんだ?」

ベルガ「今から僕が言った通りにしてほしい。」

それからしばらくして最高裁が始まり、アーサーとモードレッドの、

最後の戦いが幕を開け、傍聴席に至っては満席になっていたのである。

裁判長「ではこれより最高裁を始めます。被告は友人を傷つけられた事に腹を立て、原告に対して暴行を振るった件ですが、原告側の弁護人は質問を始めてください。」

ガウェイン「友人を傷つけられたというだけで殴る事について聞いた際、被告は自分の常識と相手の常識が違うと言ったが、常識が違うからと言って法律に違反してはいけないとは思わなかったのか?」

アーサー「こいつが言っただけで分かる奴なら説得に甘んじていただろうな。あんたも知っていると思うが、そいつは筋金入りの減らず口だ。言っただけで分かるような奴じゃないし、リコに対する脅迫を止めなかったら止めなかったでこいつの脅迫に黙認という形で加担した事になる。それでも説得だけで済ませるべきだったと言うのか?」

ガウェイン「他にも方法があったはずだ。殴る以外の手段は考えられなかったのか?」

アーサー「今まで誰からも躾けられてこなかったような奴に、交渉の余地なんてないと思うけどな。それとも一旦踏みとどまって脅迫罪で訴えた方が良かったか?」

ガウェイン「・・・・俺からは以上だ。(くっ、こいつが脅迫の事実を認めていなければ、ここまで押される事はなかったというのに。このままではまずい。何か策を考えなければ。)」

裁判長「検察からは何か質問はありますか?」

ランスロット「はい。被告は原告に対する暴行を正当防衛だと思っていますか?」

アーサー「ああ、もちろんだ。」

ランスロット「前回の裁判では原告がリコラさんに執拗にメールを送っていた事、周囲の方の証言から脅迫を行っている事も確認されましたが、それらの事情を考慮しても過剰防衛にあたると考えます。もしそちらが承諾していただけるのであれば、被告から原告への和解金の支払いで被告の罪を問わないと原告側から案が出ておりますが、いかがなされますか?」

アーサー「断る。」

ランスロット「アンブローズさんはどうお考えですか?」

アンブローズ「お断りします。今和解などすれば、原告の罪を問うタイミングがなくなりますからね。」

裁判長「それはどういう事か、お聞かせ願えますか?」

アンブローズ「はい。実は原告が被告の会社を倒産に追いやった事が判明したのです。」

ガウェイン「異議あり。これは原告を不当に侮辱している。」

裁判長「異議を棄却します。被告側の弁護人は説明を続けてください。」

モードレッド「(ふん、ティラミスは今警察署内にいる。他の連中も裁判が終わるまでは何もしゃべらないよう約束させた。この裁判さえ乗り切れば後はどうにでもなる。)」

アンブローズ「リコラさんが被告の会社と取引していた会社、ルンペルシュティルツヒェンに調査をしに行った結果、そこの社長が原告から圧力を受けた事で、取引の担当だったティラミスさんが被告の会社と取引をしなくなった事が判明したのです。そのため被告の会社は取引できる相手がいなくなって倒産したのです。」

モードレッド「言いがかりだ。名誉棄損で訴えるぞ。」

裁判長「静粛に。原告は勝手に発言しないように。」

アンブローズ「ティラミスさんは取引中断の秘密をリコラさんに知られた事で、証拠隠滅のためにリコラさんをナイフで刺して社長用の更衣室に閉じ込めましたが、被告によって救出されました。しかしリコラさんはリンツァートルテさんに証拠となるメールを既に送っていたため、この事が発覚したのです。」

ランスロット「しかしメールだけでは証拠になりませんよ。もしかしたらリコラさんが被告と手を組んで謀略を働いた可能性もあります。」

傍聴人A「なあ、あの男どっかで見なかったか?」

傍聴人B「そうだな。リコラさんって確か俺たちを助けてくれた人だよな?」

傍聴人C「お前ら今頃気づいたのかよ。あそこにいるのはあの時リコラさんと一緒にいたアーサー君だよ。」

傍聴人A「そうだよ。きっとそうだ。婚活法対策課の人だよ。」

裁判長「傍聴人は静粛に。」

アンブローズ「メールだけで証拠にならないのでしたら、ティラミス容疑者に来ていただきましょうか。」

ランスロット「容疑者はここには来れないはずですが。」

アンブローズ「裁判長、証人を呼んでもよろしいでしょうか?」

裁判長「構いません。」

アンブローズ「ではティラミスさん、入場してください。」

モードレッド「嘘・・・・だよな?」

アンブローズ「では質問を始めます。」

ガウェイン「異議あり。殺人未遂を犯した犯人を証言台に立たせるなどもってのほかだ。こいつは刑務所内にいないといけない人間だぞ。警察の許可は取ったのか?」

アンブローズ「許可なら取りました。ティラミスさんは司法取引により、証言台に立って証言する事を条件に罪を減刑する事が決定していますし、被害者であるリコラさんの許可も得ています。」

ガウェイン「ぎっ・・・・ぐぅ。」

裁判長「異議を棄却します。被告側の弁護人は質問を始めてください。」

アンブローズ「はい。ティラミスさんは原告に弱みを握られ、被告の会社との取引を中止しましたか?」

ティラミス「ああ、間違いない。俺はモードレッドに弱みを握られていた。俺が会社をクビになったら専業主婦として好きでもない相手とお見合いっ婚させられるところだったんだ。モードレッドはそれを知って俺にアーサーの会社との取引を中止しろって言ってきたんだ。」

モードレッド「てめー、いい加減にしろよ。どこにそんな証拠がある?」

ティラミス「社長はまだ口を割ってないけど、あの様子じゃ吐くのは時間の問題だ。それに会社にはお前が俺と話してた時の防犯カメラの映像もあるんだ。」

モードレッド「防犯カメラだと。」

アンブローズ「仕事用の建物は防犯カメラの設置が法律で義務付けられています。記録を消した場合は証拠隠滅罪に問われるため、ルンペルシュティルツヒェンの防犯カメラに残っていました。その映像がこちらです。」

傍聴人D「確かに映ってる。モードレッドだ。」

傍聴人A「間違いないな。」

モードレッド「だっ、だからって俺がこいつの弱みを握った証拠にはならないだろ。」

アンブローズ「ではティラミスさんと何を話していたのか、答えていただきましょうか。」

モードレッド「今後の仕事について話してたんだ。うちはルンペルシュティルツヒェンとも繋がりがあるからな。」

ティラミス「さっきのところをもう1度再生してくれ。音声がないから俺が台詞を再現する。」

アンブローズ「分かりました。」

ティラミス「このまま好きでもない奴と結婚させられるなんて嫌だよなー。アーサーとの取引を中止しろ。さもないと一生専業主婦だぞ。」

モードレッド「おいおい、嘘八百の吹き替えも大概にしとけよ。」

ティラミス「俺は一度見たり聞いたりした事は絶対に忘れられないんだ。たとえそれがどんなに嫌な事であってもな。」

アンブローズ「あなたはもしや、完全記憶能力の持ち主ですか?」

ティラミス「ああ、俺はそれのおかげで物忘れとか一度もした事ないし、そのおかげで大学まで卒業できた。でもうちの親は俺を幼馴染の娘と結婚させて相手の家の家業を継がせようと必死だった。俺はそんなの嫌だったから、自由にさせてもらう代わりに会社をクビになったら結婚して相手の家に入ると約束した。それをうっかり口の軽い同僚に話したのが間違いだった。」

モードレッド「何故俺がそんな事をしないといけねえんだよ?」

アンブローズ「原告はリコラさんといつも一緒にいた被告が気に入らなかったのでしょう。原告が被告に対して会社を潰すと言っていた事も、リコラさんとその周囲にいた人が証言していました。そこで原告は被告の会社を潰す事で被告をリコラさんから引き離そうとしましたが引き離せず、リコラさんの友人がいた会社の部署を解散させ、結果的にリコラさんの友人を辞職に追いやった。」

モードレッド「だからそんな証拠があるのかって聞いてんだよ。」

アンブローズ「証拠ならあります。リコラさんの友人が所属していたファンタスティックの民族衣装部がマロリー商社の人に言われて解散させられたとファンタスティックの社長が認めました。マロリー商社は原告が役員を務めている会社です。」

傍聴人A「ひでえ事しやがる。」

傍聴人B「ああ、全くだ。」

傍聴人C「アーサー君だけじゃなく関係ない人まで巻き込むなんて。」

傍聴人D「噂通りきたねえ奴だ。」

モードレッド「うるせえぞてめえら。黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって。」

裁判長「原告と傍聴人は静粛に。」

アンブローズ「ティラミスさんは原告の言う通りにした事がばれそうになってリコラさんを刺したのですか?」

ティラミス「そうだ。これがばれたら俺はクビになって結婚させられる。それだけは絶対に避けないといけないと思った。だが殺人未遂で捕まった事で結婚はもうしなくていいって親に言われたよ。親の幼馴染からも縁談を断る申し出が来たからな。」

アンブローズ「そこまでして結婚をしたくなかった理由は何ですか?」

ティラミス「結婚して専業主婦になったら、相手の娘の家業を継がないといけなくなる。そうなったらもう自由に生きられなくなるし、大体結婚制度自体が時代遅れなんだよ。どいつもこいつもいつまでも家に囚われやがって。ジパングが婚活法なんて制度を押しつけてきやがったせいで俺の人生滅茶苦茶だよ。」

アンブローズ「なら何故戦わなかったのですか?」

ティラミス「結婚したくないなんて言ったら、世間体が悪いから言えなかったんだよ。」

アンブローズ「世間の目が何です。あなたは自分のために戦うべきだったのです。今のリコラさんたちのように。」

裁判長「質問は以上ですか?」

アンブローズ「はい。証人への質問は以上です。」

ランスロット「では私から被告へ質問をさせていただきたいのですが?」

裁判長「構いません。」

アーサー「(今さら俺に聞きたい事って何なんだ?)」

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