社会不適合者エスティのブログ

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三低男子の婚活事情 44ページ「極秘開発中最終兵器魔弾砲」

2018年12月30日 | 三低男子の婚活事情
ベルガは独裁官であるグラントの家に忍び込んだが、

そこにはボルゴ派の人間が勢揃いしていたのである。

ベルガ「(極秘で開発させている兵器だと。)」

ボルゴ「まだ開発段階ではあるが、これを使えばジパングを一瞬で壊滅させる事ができる。その名も魔弾砲。」

グラント「ほう、そんな大砲を開発していたとは。どういう仕組みなんだ?」

ボルゴ「爆弾の中央に閉じ込めた魔力を極限まで凝縮した事により、圧縮された魔力が爆発によって一気に拡散され、半径10キロ以内の敵を全て消し炭にする事ができる我が王国の最終兵器だ。これをネオトーキョーシティに投下する計画を立てているところだ。」

議員A「それは大したものですな。」

議員B「ジパングには何度も悩まされてきましたからな。これで黒杉財閥の圧政ともおさらばだ。」

グラント「なるほど、魔弾砲が完成したらすぐに撃てという事だな?」

ボルゴ「ジパングに平和条約の破棄をするよう最終通告した上で相手が断ってくるようなら、その時は頼むぞ。」

グラント「分かった。この手でジパングを終わらせよう。婚活法などうんざりだからな。」

ベルガ「(まずい事になったな。このままじゃジパングを滅ぼされてしまう。)」

ベルガはギルドカフェへと戻り、事情を仲間たちに伝えた。

計画を知った仲間たちは、驚きを隠せなかったのである。

ベルガ「実は・・・・というわけなんだ。」

ヘクセンハウス元帥「マジかよ。そんな事をすればネオトーキョーシティに住む都民たちもただでは済まないぞ。」

リコラ「そんな計画があったなんて。」

メルヘンランド女王「おお、何と恐ろしい事よ。」

ベルガ「婚活法を作ったジパングにも非はあるが、こればかりは賛成できない。奴らはこの兵器を極秘に発動させるつもりだ。ジパングにいるフィアンセたちが犠牲になる前に阻止しないと。」

ヘクセンハウス元帥「だったらそいつらに伝えてジパングに来てもらったらどうだ。」

ベルガ「そんな事をすればボルゴに情報漏れがばれる。」

ヘクセンハウス元帥「じゃあどうするんだよ。」

ベルガ「この事は奴らの計画を阻止するまで内密にしてくれ。特にドボシュやヘレンには絶対にばれてはいけない。もしばれればドボシュとボルゴの対立が決定的になる。そうなれば非常事態宣言が台無しだ。」

ヘクセンハウス元帥「分かったぜ。だったら私たちだけでやるしかないな。」

ベルガ「ネオトーキョーシティに魔弾砲が投下されれば、ジパングは壊滅的な打撃を受ける。だがそれは同時に何の罪もない人たちが犠牲になる事を意味する。開発を中止させるのは無理そうだし、無力化の魔法を発動させて、交渉で解決するしか方法はない。」

ヘクセンハウス元帥「そのためにはエトワールに尽力してもらうしかないな。」

ベルガ「エトワールが無力化の魔法を発動させるのが先か、ボルゴがジパングに魔弾砲を投下するのが先か。今、ジパングの運命は僕らの手の中にある。」

ヘクセンハウス元帥「エトワールに会いに行ったらどうだ?」

ベルガ「えっ、僕が会いに行っても困らせるだけじゃないの?」

リコラ「お兄ちゃん、本当は今でもエトワールさんの事好きなんじゃないの?」

ベルガ「そ、そんな事。」

リコラ「何年お兄ちゃんの妹をやってると思ってるの?婚約破棄した理由聞いたよ。こればかりはお兄ちゃんの手で決着をつけるしかないよ。エトワールさん、凄く悲しんでたよ。」

ベルガ「・・・・そうだよ。僕は今でもエトワールが好きだ。もっとも、今更こんな事を言う資格なんてないけどね。」

エトワール「そんな事ないわよ。」

ベルガ「エトワール。」

エトワール「ずっとここに隠れて聞かせてもらっていたの。あたし、ずっとベルの事を誤解してた。ベルはずっと昔から変わってなかった。あたしを守るために悪役を買って出るなんてずるいよ。」

ベルガ「君が無事だっただけで何よりだよ。」

エトワール「あたし、今でもベルが好き。婚活イベントの時も相手をベルと比べちゃって、それで何か違うなと思って別れるのを繰り返してた。ヘレンに指摘されて、やっぱりベルの事を諦められない自分に気づいたの。婚活法が終わったら、あたしとやり直してほしいの。」

ベルガ「うん、分かった。」

エトワール「ベル、無力化の魔法はあたしに任せといて。あたしもあんたの計画に協力するから。ジパングの事は好きじゃないけど、ベルのフィアンセたちがいるなら仕方ないわね。」

ベルガ「エトワール、感謝してるよ。んっ、ちゅっ。」

エトワール「うぅん、ちゅっ、ちゅっ。」

ヘクセンハウス元帥「だからここそういう店じゃねえから。」

桜子「こんにちはー。あっ、エトワールさんだけずるいですよ。」

エトワール「ずるいって、まるで自分の物みたいに言わないでくれる。彼はあたしたちフィアンセの共有財産なんだから。」

桜子「ずっと言うのを我慢してましたけど、私もベルガさんの事が好きなんです。ベルガさん私ともつき合ってください。私の心を奪っておいて断るなんて許しませんから。」

ベルガ「僕で良いの?」

桜子「はい。ちょっと面倒なところはありますけど、ベルガさんなら安心できるんです。」

エトワール「好きな人が目の前でキスされたからって嫉妬する事ないじゃない。」

桜子「嫉妬なんてしてませんよー。」

明歩「こんにちは。あれっ、エトワールじゃん。その様子を見ると和解したみたいだね。」

エトワール「うん、やっぱりあたしの直感は正しかったのよ。」

ヘクセンハウス元帥「ベル、後でちょっと良いか。」

ベルガ「うん、別に良いけど。」

ベルガたちは営業を無事に終えて明歩と桜子が帰り、

営業後のギルドカフェにはシュトゥルーデルが来た。

シュトゥルーデル元帥「お前の方から呼び出すとは珍しいな。何かあったのか?」

ヘクセンハウス元帥「ああ、そうだぜ。」

ベルガ「実はね・・・・というわけなんだ。」

シュトゥルーデル元帥「ボルゴの奴がそんな恐ろしい事を考えていたとはな。」

ベルガ「分かっているとは思うが、この事は問題が解決するまでは他言無用だぞ。」

シュトゥルーデル元帥「分かってるぜ。特にドボシュにばれたりしたらややこしそうだしな。」

ベルガ「僕が聞いた話だと、魔弾砲は王国軍司令部で極秘に開発されているそうだ。シュトゥルーデルは開発状況を見ながらできるだけ時間を稼いでほしい。」

シュトゥルーデル元帥「それは良いが、ボルゴがジパングを滅ぼす事を計画していたとは思わなかったぜ。ついさっきまではジパング寄りの政策ばかりをしていたくせに、どういう風の吹き回しなのやら。」

ベルガ「奴はジパングに平和条約の放棄を要求して、それを断れば魔弾砲を撃つそうだ。つまり魔弾砲を阻止する方法は3つだ。黒杉財閥にこの事を伝えて平和条約の破棄に応じてもらうか、魔法官の意向で開発を中止にしてもらうか、出来上がった魔弾砲を何らかの手段で無力化するしか方法はないだろうな。」

エトワール「その3つのうち2つには疑問が残るわね。黒杉財閥に計画をばらせばボルゴたちに目をつけられて国家反逆罪に問われる可能性があるわ。それにあたしが魔法科に命令を出しても、独裁官の命令には護民官ですら逆らえない。それはあんたも分かってるでしょ?」

ベルガ「そうだけど、人命尊重を唱えれば何とかなるんじゃないの?」

シュトゥルーデル元帥「ボルゴにその理屈が通るとは思えないな。奴は保守的ではあるが、やる時は徹底してやるところがある。グラントも防衛戦争では陸軍を指揮していただけあって軍人色が強い。」

リコラ「となると残りは3つ目の方法だね。魔弾砲を無力化するのってできるんですか?」

エトワール「魔弾砲の打ち上げ場所が無力化の魔法の圏内に入っていればできるかも。」

ベルガ「そういえば、まだ無力化の魔法は発動してないんだよね?」

エトワール「ええ、そう容易く発動できる魔法じゃないからね。」

メルヘンランド女王「しかし、ジパングを滅ぼす事などあってはならぬ事だ。エトワールよ、最悪の事態は免れるよう最善を尽くしてはくれぬか?」

エトワール「あたしに任せておいて、女王陛下。」

ベルガ「結界の魔法を閉じ込めた魔力発信機の設置を手伝おうか?」

エトワール「お願いするわ。ここは島国だから海沿いに設置していく事になるけど、長旅になるわよ。」

ベルガ「望むところだ。」

ベルガたちはメルヘンランドの国境沿いに、

魔力発信機を設置していったのである。

ベルガ「エトワール、こっちは終わったぞ。」

エトワール「えっ、ベルって魔法使えたの?」

ベルガ「うん、見よう見まねでやってたら使えるようになってたんだ。ただ、魔法を使うと使っただけ体力を消耗するから、あんまり使えないのが欠点だけどね。(本当はロムルの子孫だって事を知って気づいたんだけどね。)」

エトワール「ベルにも魔法使いの才能があるなんて知らなかったなー。ねえ、確かベルって生活に困ってたんでしょ?魔法科に入らない?福利厚生も保証するよ。」

ベルガ「断る。公務員や会社員みたいな仕事はやらないって決めてるんだ。」

エトワール「まあ、ベルらしいと言えばベルらしいか。先生といつも喧嘩してたもんね。言われてみれば人に使われるのは得意じゃなさそう。」

ベルガ「立場が上だから正しいとは限らない。労働において無能な上司を持つほど無理ゲーなものはないからな。学校も同じだ。怒鳴り散らす事しか能がない担任と当たったら殴り倒すか不登校になるしかない。」

エトワール「ベルは殴られた後に先生を殴り倒して不登校になってたけどね。」

ベルガ「あれは不登校じゃなくて出席停止処分なんだけど。」

エトワール「どっちも似たようなもんでしょ?ほんと変なところに拘るよね。」

ベルガ「エトワールだって拘らない事に拘ってるじゃん。」

エトワール「何そのとんち?」

ベルガ「誰でも何らかの拘りを持って生きてるって事さ。これで全部か?」

エトワール「東の方はね。西の方は他の魔法使いに任せてるわ。」

ベルガ「エトワール、確か魔弾砲の打ち上げ場所に無力化の魔法を発動すれば魔弾砲を無力化できるんだよね?」

エトワール「ええ、そうよ。魔弾砲も魔法兵器だから無力化の魔法で無力化できるはずよ。問題は場所だけど、恐らくメルヘンランドの領土の範囲内だから、今の状態で無力化の魔法を発動しても、領土内だと結界の魔法の範囲内だから無力化はできないわ。」

ベルガ「魔弾砲の打ち上げ場所のみ、結界の魔法が効かない魔法を使えば、メルヘンランドの魔法兵器を守りながら魔弾砲だけ無力化できるんじゃないかな?」

エトワール「それだと、魔法官であるあたしの責任が問われちゃうじゃない。他の方法を考えなさい。」

ベルガ「そう言われても、他に方法なんて。」

エトワール「魔弾砲を安全に無力化する方法を考えなさい。それがあたしからあなたへの課題よ。まだ時間はあるからゆっくり考えなさい。」

ベルガ「そんなー。」

ベルガはギルドカフェへと戻り仲間たちと営業していた。

すると芙弓が由実の結婚式の招待状を持って来たのである。

芙弓「ベル、久しぶり。明歩もいたんだ。」

明歩「芙弓さん、久しぶり。料理好き限定編以来だね。」

ベルガ「姉の結婚が相当嬉しいようだね。招待券でもくれるのかな?」

芙弓「相変わらずだね。ベルの言う通り、今日は姉の件で来たんだよ。」

桜子「あの、私は明歩さんの同僚で咲良桜子といいます。よろしくでーす。芙弓さんは明歩さんと知り合いだったんですねー。」

芙弓「ええ、料理好き限定編で知り合って、それからは度々連絡を取ってるの。これ、姉の結婚式の招待状。今度の日曜日に結婚式をするから是非来てね。」

ベルガ「無事にメルヘンランド人の女子とカップリングしたみたいだね。楽しみにしてるよ。」

桜子「えっ、女性同士の結婚なんですか?」

ベルガ「そうだ。由実さんはカップリング後に同性愛をカミングアウトして、今年中に同性婚をする予定だ。」

芙弓「そこまで見抜かれてたんだね。」

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