スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

NO33 茨木キャンパスの市民開放型施設を巡る新たな混乱と疑惑の発覚

2014-06-28 07:15:41 | 立命館の再生を願って
常任理事並びに関係各位へ NO33

新たな混乱・疑惑を引き起こしている大阪茨木キャンパス(以下、OIC)の市民
開放施設問題

 
2014年6月28日 元立命館総長理事長室室長 鈴木元

OICを巡っては、このシリーズでも、そして拙著『続 立命館の再生を願って』(風涛社)において詳細に論述してきたので、ここでは出来る限り重複は避け、最近になって改めて明らかになってきた市民開放型施設問題を中心に論ずる。
1) 国の社会資本整備街づくり交付金制度の市民開放施設への基本は、広く市民に開放され
る施設に限って、国の施策として国1/3、自治体1/3、事業主体1/3負担で建設できるという制度である。私は拙著において、この制度を大学のキャンパスに適用した場合、当該組織(今回の場合は立命館)と茨木市民の間で、その利用の在り方を巡って紛糾し、しこりを残す危険があると指摘した。全国的に見て、この制度を大学のキャンパス施設において活用した例は皆無に近い。衣笠やBKC、APUと同様にあくまでも大学の責任(財政負担)で開設し、大学の利用を優先させた上で、市民にも開放することにすべきであろうと警告した。なお私は大学としてこの制度を活用すること一般に反対しているわけではない。実際、私は総長理事長室長の時に、梅田の富国生命ビルや東京八重洲のJR東海ビルにおいては、他大学と共にこの制度を活用し、周辺のビルの借用料の1/2での利用を可能とした。
 OIC建設予算が提出された段階では森島常務(当時)から(国も含めて茨木市から)60億円の補助金がでるとの一覧表が提出されていた(2010年11月3日)。しかしその後、2013年3月の茨木議会で予算として出された額は「国も含めて30億円を限度する補助」となることが明らかになった。一方建設費は当初の210億円に対して30億円増額されて240億円となった。したがつて当初予算と比較して60億円の増額が必要となった。森島専務等は、これをどのようにするのかを明確に示す義務がある。
2)2014年6月 17日の朝日新聞(大阪版 )によると、茨木市長は老朽化した市民会館大ホール(1969年建設)をつぶし、阪急茨木市駅前東口の市有地に100億円程度かけて、立命館大ホール(1000席)とバッティングしない1200-1500席のある大ホール(仮称・芸術文化ホール)を建設する案を発表した。これに対して市長与党の維新の会以外の自民・公明・共産・無所属会派などから定数32名中23名の議員が「慎重にすべきである。直ちに議決を行うべきでない」と市長に申し入れを行った。この経緯の中で、「与党であった民主党会派(4名)は 市長同調派2名と反対派2名に分裂し会派解散届を提出した」と報道されている。
慎重論の根拠は「茨木市は、国の補助もあって30億円(内訳-国6億円、市24億円)の補助金を立命館に提供し市民開放施設として1000席の大ホール建設を含む支援を決めたばかりではないか。なぜ新たにさらに大きいホールを建設しなければならないのか、立命館の施設の利用状況も見てから、判断したらいいのではないか」と追及しているのである。
 これに対して、市長は「ホールは大学の施設であり、市民が全面的に使えるわけではない。市として独自に使えるホールを確保する必要がある」としている。私が当初に提起した「立命館と市民の間で矛盾を起こす危険がある」といとう指摘が市長の発言によって証明されたのである。市民としては「何のために立命館に対して市民開放施設として30億円も支援したのか」という思いが強くなるだろう。またこうした一連の経過は、一貫しない市長の態度に対する疑惑とともに、市民の立命館に対する不信となり広がるだろう。
なお当時、茨木市側から「補助金を増やすから、ホールを1500名収容規模にしてほしい」との要望があった。しかし窓口担当者が奮闘し「立命館の利用を優先したいので、補助金の増額も1500名規模への増設もお断りしたい」と対応された。
また朝日新聞の同記事によると市長は「実際の総工費は相当程度かかるが、公募した民間事業者に建設から運営までをゆだねるコンセッション方式を採用するので、市の建設費負担はゼロである」と説明している。そしてすでにゼネコンや大手リース会社の実名が飛び交っている。立命館と同様にゼネコンに振り回されている懸念があると推察しても間違いではなさそうである。
3)さらにもう一つ新たな疑惑が判明した。
私は本シリーズN0 31で「商工会議所の施設は市民開放型施設の適用対象とならず、全額立命館の持ち出しで設置されることになった。なぜそこまでして茨木商工会議所に対して便宜を支払うのか」と問題を提起した。その時点では、私は、茨木市が商工会議所施設を含めて国に対して市民開放施設として交付金申請の対象としたが、商工会議所本部施設は不特定多数の市民が利用する施設では無いので、政府から外されたのだろうと思っていた。ところが本年6月市議会における議員の質問に対する市側からの答弁において以下の事が明らかになった。  
「(茨木市は)2010年3月の国に対する当初の交付金申請書を提出する以前において、立命館側から商工会議所の本部施設を市民開放施設交付金の中に入れないでほしいと申し入れがあり含めていない」と説明したのである。また茨木市長は「商工会議所現施設を大学が留学生のために使うという(両者に)バーターの合意があった」とも答弁した。
森島専務等は当初から商工会議所と密約を結び、自ら商工会議所施設は市民開放型施設の申請には含めないように茨木市に申し入れておきながら、学内においては商工会議所施設を含む建物全体が市民開放施設として対象となるような嘘を学内で語っていたのである。商工会議所との密約の存在を秘匿するとともに、補助金の額を大きく見せるため、商工会議所施設も補助の対象であるかのような意図的な嘘を行っていたのである。
また茨木市が27億円でURを通じて立命館から購入し、市議会で議決された市民開放施設用地無償貸し付け議案の「理由」には「本物件にかかる施設が市民開放施設として整備されるため」とし、さらに土地使用貸借契約書第5条(善管注意義務)「乙(大学)は、善良なる管理者の注意を持って本件土地を使用する義務を負う」と明記されている。立命館が商工会議所と事前にバーター密約を結び、市民開放施設ではない商工会議所を市民開放型施設であることを条件に茨木市が無償貸与する建物に入れたのである。これは立命館による契約違反である。もしも茨木市がそれを事前に知っていて了解していたとしたら、住民監査請求や住民訴訟の対象にもなり得る事案である。立命館(森島専務)は、学内関係者だけではなく茨木市民にもバーターの密約の存在の有無を説明する義務がある。
なお森島専務等が密かに商工会議所施設とOIC内の市民開放型施設とのバーター取引を行ったことについては、立命館側が真新しい700㎡の施設を提供し、商工会議所は490㎡の土地を所有権移転を伴わず利用権のみを提供するもので、およそ等価交換とは言えない。森島専務はなぜそのような事をしたのか説明する義務があることは既にNO31で提起している。
                                    以上


  鈴木元。日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、国際環境整備機構理事長。

 『続 立命館の再生を願って』(風怒社) ページ399。本体価格1600円
風涛社 電話03-3813-3421  ファクス03-3813-3422


NO33 茨木キャンパスの市民開放型施設を巡る新たな混乱と疑惑の発覚

2014-06-28 07:15:41 | 立命館の再生を願って
常任理事並びに関係各位へ NO33

新たな混乱・疑惑を引き起こしている大阪茨木キャンパス(以下、OIC)の市民
開放施設問題

 
2014年6月28日 元立命館総長理事長室室長 鈴木元

OICを巡っては、このシリーズでも、そして拙著『続 立命館の再生を願って』(風涛社)において詳細に論述してきたので、ここでは出来る限り重複は避け、最近になって改めて明らかになってきた市民開放型施設問題を中心に論ずる。
1) 国の社会資本整備街づくり交付金制度の市民開放施設への基本は、広く市民に開放され
る施設に限って、国の施策として国1/3、自治体1/3、事業主体1/3負担で建設できるという制度である。私は拙著において、この制度を大学のキャンパスに適用した場合、当該組織(今回の場合は立命館)と茨木市民の間で、その利用の在り方を巡って紛糾し、しこりを残す危険があると指摘した。全国的に見て、この制度を大学のキャンパス施設において活用した例は皆無に近い。衣笠やBKC、APUと同様にあくまでも大学の責任(財政負担)で開設し、大学の利用を優先させた上で、市民にも開放することにすべきであろうと警告した。なお私は大学としてこの制度を活用すること一般に反対しているわけではない。実際、私は総長理事長室長の時に、梅田の富国生命ビルや東京八重洲のJR東海ビルにおいては、他大学と共にこの制度を活用し、周辺のビルの借用料の1/2での利用を可能とした。
 OIC建設予算が提出された段階では森島常務(当時)から(国も含めて茨木市から)60億円の補助金がでるとの一覧表が提出されていた(2010年11月3日)。しかしその後、2013年3月の茨木議会で予算として出された額は「国も含めて30億円を限度する補助」となることが明らかになった。一方建設費は当初の210億円に対して30億円増額されて240億円となった。したがつて当初予算と比較して60億円の増額が必要となった。森島専務等は、これをどのようにするのかを明確に示す義務がある。
2)2014年6月 17日の朝日新聞(大阪版 )によると、茨木市長は老朽化した市民会館大ホール(1969年建設)をつぶし、阪急茨木市駅前東口の市有地に100億円程度かけて、立命館大ホール(1000席)とバッティングしない1200-1500席のある大ホール(仮称・芸術文化ホール)を建設する案を発表した。これに対して市長与党の維新の会以外の自民・公明・共産・無所属会派などから定数32名中23名の議員が「慎重にすべきである。直ちに議決を行うべきでない」と市長に申し入れを行った。この経緯の中で、「与党であった民主党会派(4名)は 市長同調派2名と反対派2名に分裂し会派解散届を提出した」と報道されている。
慎重論の根拠は「茨木市は、国の補助もあって30億円(内訳-国6億円、市24億円)の補助金を立命館に提供し市民開放施設として1000席の大ホール建設を含む支援を決めたばかりではないか。なぜ新たにさらに大きいホールを建設しなければならないのか、立命館の施設の利用状況も見てから、判断したらいいのではないか」と追及しているのである。
 これに対して、市長は「ホールは大学の施設であり、市民が全面的に使えるわけではない。市として独自に使えるホールを確保する必要がある」としている。私が当初に提起した「立命館と市民の間で矛盾を起こす危険がある」といとう指摘が市長の発言によって証明されたのである。市民としては「何のために立命館に対して市民開放施設として30億円も支援したのか」という思いが強くなるだろう。またこうした一連の経過は、一貫しない市長の態度に対する疑惑とともに、市民の立命館に対する不信となり広がるだろう。
なお当時、茨木市側から「補助金を増やすから、ホールを1500名収容規模にしてほしい」との要望があった。しかし窓口担当者が奮闘し「立命館の利用を優先したいので、補助金の増額も1500名規模への増設もお断りしたい」と対応された。
また朝日新聞の同記事によると市長は「実際の総工費は相当程度かかるが、公募した民間事業者に建設から運営までをゆだねるコンセッション方式を採用するので、市の建設費負担はゼロである」と説明している。そしてすでにゼネコンや大手リース会社の実名が飛び交っている。立命館と同様にゼネコンに振り回されている懸念があると推察しても間違いではなさそうである。
3)さらにもう一つ新たな疑惑が判明した。
私は本シリーズN0 31で「商工会議所の施設は市民開放型施設の適用対象とならず、全額立命館の持ち出しで設置されることになった。なぜそこまでして茨木商工会議所に対して便宜を支払うのか」と問題を提起した。その時点では、私は、茨木市が商工会議所施設を含めて国に対して市民開放施設として交付金申請の対象としたが、商工会議所本部施設は不特定多数の市民が利用する施設では無いので、政府から外されたのだろうと思っていた。ところが本年6月市議会における議員の質問に対する市側からの答弁において以下の事が明らかになった。  
「(茨木市は)2010年3月の国に対する当初の交付金申請書を提出する以前において、立命館側から商工会議所の本部施設を市民開放施設交付金の中に入れないでほしいと申し入れがあり含めていない」と説明したのである。また茨木市長は「商工会議所現施設を大学が留学生のために使うという(両者に)バーターの合意があった」とも答弁した。
森島専務等は当初から商工会議所と密約を結び、自ら商工会議所施設は市民開放型施設の申請には含めないように茨木市に申し入れておきながら、学内においては商工会議所施設を含む建物全体が市民開放施設として対象となるような嘘を学内で語っていたのである。商工会議所との密約の存在を秘匿するとともに、補助金の額を大きく見せるため、商工会議所施設も補助の対象であるかのような意図的な嘘を行っていたのである。
また茨木市が27億円でURを通じて立命館から購入し、市議会で議決された市民開放施設用地無償貸し付け議案の「理由」には「本物件にかかる施設が市民開放施設として整備されるため」とし、さらに土地使用貸借契約書第5条(善管注意義務)「乙(大学)は、善良なる管理者の注意を持って本件土地を使用する義務を負う」と明記されている。立命館が商工会議所と事前にバーター密約を結び、市民開放施設ではない商工会議所を市民開放型施設であることを条件に茨木市が無償貸与する建物に入れたのである。これは立命館による契約違反である。もしも茨木市がそれを事前に知っていて了解していたとしたら、住民監査請求や住民訴訟の対象にもなり得る事案である。立命館(森島専務)は、学内関係者だけではなく茨木市民にもバーターの密約の存在の有無を説明する義務がある。
なお森島専務等が密かに商工会議所施設とOIC内の市民開放型施設とのバーター取引を行ったことについては、立命館側が真新しい700㎡の施設を提供し、商工会議所は490㎡の土地を所有権移転を伴わず利用権のみを提供するもので、およそ等価交換とは言えない。森島専務はなぜそのような事をしたのか説明する義務があることは既にNO31で提起している。
                                    以上


  鈴木元。日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、国際環境整備機構理事長。

 『続 立命館の再生を願って』(風怒社) ページ399。本体価格1600円
風涛社 電話03-3813-3421  ファクス03-3813-3422