それはま夜中に聞こえた異常な音から始まりました。
ゴゴゴゴゴッ!!バボン!!ドン!!!
本能的に外に出ると
刺すような寒気の中。男の人が大きな声で電話をしている声が。
『…はい!!そうです!…丁目…番地付近。はい,今です.燃えてます!!」
そして煙。
場所は我が家のある路地の一つ向こう側。
目と鼻の先です。
いきおい良く燃え上がっているのは,長い間放置されていたバイクでした。
通報していたのは第一発見者らしき男性。
ほどなく騒ぎを聞きつけてご近所の人たちが集まってきました。
幸いな?ことに消火栓が目の前に。
消防士のyさんが非番で,数人の男性と一緒に消火にあたりました。
同時にバイクがおいてあった横に建っている木造の家にも水をかけて防火。
バイクの火も間もなく鎮火しました。
一件落着、
…と思われました。
その時
ふと見あげた木造の家の二階にある雨戸の戸袋の中が、何やら赤いのです。
羽目板の隙間から見えるいやな色の光
『火が中にはいってる!!』
『あーいかん!!!!』
『水だせ!みず!!』
ガチャン!!
町内の人が持ってきた竿で二階のガラス窓を破り、ホースの先を伸ばして放水。
しかしまったく効果なく、煙がどんどん上がり出しました。
『消防は?!!!』
ほどなく消防車が到着し、消火が始まりました。
辺り一面きな臭い匂いが立ちこめ、煙が充満して数m先もう見えません。
このあたりは住宅が密集している古い町。
この燃えている家の横にもうしろにもキッチリと家が建っています。
そのほとんどが、昔ながらの木造戸建て。
そして暮らしているのはお年寄りの世帯。
狭い路地に普通の消防車ははいることができず、
消火栓をさがして消防士が走り回ります。
周囲に人が集まり始めます。
やじ馬、と一言で括られますが
ほとんどの人は情報が欲しくてやってきているのだと痛感しました。
普段町内の消防訓練の指導員に来てくれる消防士の方たちが、
状況を説明しながら、不安そうなお年寄りを労っているのが印象的でした。
「怖かったでしょう。みなさんケガはありませんか?」
「いま,中に未だ火が残っているようなので、ベランダから消防士がはいります。」
「どなたか、この家の持ち主の方に連絡がとれるかたいらっしゃいますか」
もらい火食らったこの一軒家の主は先日亡くなり、今は空き家です。
すぐに町内会長さんが自宅にはしりました。
初めに燃えたのは一台の放置バイク。
それもミニ。
しかし、ガソリンタンクが爆発したときに巻上った火柱の高さは
二階建ての家の屋根に届くかと思われるほど大きなものでした。
その時の火の粉があの細い雨戸の戸袋の羽板の隙間から入り込んだのでしょう。
乾燥した空気と、無人の家屋はまさにオーブン状態。
火事がこんなに恐いと思ったのは正直初めてでした。
学校で避難訓練をしていても
町内の防災訓練に参加していても
実際には役にたたない事を痛感しました。
訓練が役に立たないのではなく,何となく参加しているだけでは役に立たないという意味、です。
炎もそうですが煙がとても恐ろしいもだと痛感しました。
この火がもし一件だけでなく延焼していたら?
狭い露地は行き止まりが多く入り組んでいます。
消防車は入れません。
そして今回の火事のいちばん怖いところは『放火』の疑いがもっとも濃厚という事実。
放置バイクだけでなく、
路上に出しっぱなしの違法駐車のバイクはこの町内の至る所に。
そのうちの一台は何と、
別の消火栓の前の消火用具入れの前を塞ぐようにおかれていました。
今回は初期消火が的確で通報が早かったため
一軒家の中が燃えただけで鎮火。
それでも確認作業を終えて消防隊が引き上げたのは明け方でした。
「火事は火が収まってからも,炎が残っていることがあります。
これが確実にないことを確認し終わるまでに時間がかかります」といわれました。
今、町内は見回りが厳しくなっています。
自分のところが火元にならないよう、
それ以上に火元にされないように
本当にご注意下さい。
火の用心。
放置バイク、時々街で見かけますが、
確かにガソリン背負っているのだから火災が起きたら・・・と思うとゾッとします。
ウチの近所、「廃屋」のような空き家がありました。
放火されたら、と心配でしたが、
2日前ほど前にサラ地になっていましたね。
最近「火の用心」の夜回りが聞こえるようになりました。
昨夜も寒かったのに、頭が下がります。
戸締まり用心、火の用心。