この街の冬は暗く、いつも灰色の雲が垂れ込めていて、昼近くになっても裏通りには、まだまだ陽が差し込まない。
覆い被さるような雪が、両側の小屋根から垂れ、道に残された雪は硬く滑りやすい。
今朝降った雪を踏みしめて赤い長靴に黄色のワンピースの女が、覚束ない足取りで小路の行き止まりまで歩いてきた。突き当たりの雪の壁を払いのけるとガラス戸が出てきた。ガラス戸には「古書今昔」とやっと読める文字が書いてあった . . . 本文を読む
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