背寒日誌

2019年7月12日より再開。日々感じたこと、観たこと、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

「マドモワゼル」24時間の恋人

2005年09月19日 08時54分03秒 | フランス映画
 ビデオで「マドモワゼル---24時間の恋人」というフランス映画を見た。出張中の既婚女と演劇志願の男との行きずりの恋愛を描いた映画で、よく出来ていると思った。実は、ちょっと感動してしまった。最近の映画はつまらなくて、ビデオを途中で巻き戻してしまうものが多い。借りて損した、ときまって思う。だから、新作はめったに見ないことにしている。しかし、「マドモワゼル」は予想に反した。途中で「おっ、これは」と驚き、ひざを乗り出した。そして、最後までちゃんと見た。
 見た後で、なぜよかったのかと考えてみた。まず主演女優がよい。名前は知らない。はじめて見る女優だ。「マドモワゼル」と呼ばれて心躍る若いマダムを上品に自然に演じている。恋愛映画では女優が大事なのだ。輝いていなければならない。個人的に言えば、私はこのヒロインの女優が好きになってしまった。一方、男優の方はまあまあだった。及第点だが、少々薄汚い感じが気になった。フランスでは今大変人気のある俳優らしいが、これまた名前は覚えていない。別の日に私の女房もこの映画を見たそうだが、この男優がとても素敵だったと言っていた。男と女で見るところが違うのだろう。
 ストリーに関して言うと、フランス映画によくある取って付けたようなわざとらしさがない。ないというより、感じなかった。所々に奇抜なアイデアは仕組まれている。しかし、それが効果的でかえって印象に残る。三人組の余興演劇、灯台の置き物、灯台守の作り話など。この映画の監督は技巧派だと思った。
 二人の場面の最初と最後に、「ピクルスが好き?」と確かめ合うセリフがある。フランス語でピクルスは「コルニション」といい、「間抜け」の意味もある。ピクルス好きが共通点の男と女。その二人を巻き込む「間抜けな」出来事が、次第に笑えない不倫へと進んでいく。その展開がすばらしい。