朝から気持ちよく晴れた最終日、三島由紀夫の小説「奔馬」(ほんば)の舞台となった三輪山に登ってみようと思い立ちました。いつか機会があったら訪れたいと、長らく心の中で温めていた場所です。(三島由紀夫「奔馬」の感想)
三輪山は大神(おおみわ)神社のご神体で、山そのものが信仰の対象となっています。そのため入山に際しては、撮影、飲食、トイレ、木の伐採すべてNGと厳しい約束事があるようです。ちょっぴりドキドキしながら、まずは大神神社をめざしました。
大神神社は、JR奈良駅から桜井線に乗って30分弱、三輪駅から歩いて10分のところにあります。小さな駅ですが、この日は大神神社で大きな祭事が営まれていて、屋台が並び、おおぜいの参拝客でにぎわっていました。それでも二の鳥居から参道に入ると、うっそうとした杜に厳かな空気を感じました。
大神神社の境内の奥まったところに、荒魂(あらたま)を祀る狭井(さい)神社があり、三輪山の登拝口は、狭井神社の境内にあります。入山する前には禰宜(ねぎ)の方から注意・説明を受け、登拝申込書を出さなければなりません。
山登りをする物好きがそうそういるとは思わなかったので^^ もっとひっそりとした神秘的な空間を想像していましたが、登拝者がおおぜいいてびっくりしました。といっても「奔馬」とは関係なく、昨今ここはパワースポットとして人気を集めているようです。
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入山中は撮影禁止で写真がないので、私の下手な説明でご容赦を...。三輪山は、頂上にあたる奥津磐座(おくついわくら)まで片道1時間半の道のりです。それほど急ではありませんが、ぬかるみや滑りやすい場所もあるので、神社にある杖を借りると歩きやすいかと思います。神の山ということで、裸足で登っている方も結構いらして驚きました。
途中の中津磐座(なかついわくら)までは沢や滝があり、せせらぎを聴きながら楽しく登れましたが、後半はやや退屈するかもしれません。でも緑の木々に包まれながら、高みを目指して無心に登ることは、なかなか得難い経験でもありました。
山道の途中に、三光の滝があります。小説の中で狂言回しをつとめる本多が、亡くなった親友 清顕の生まれ変わりを見つけるドラマティックな場面です。ベニヤ板でできた粗末な脱衣所があるだけの場所ですが、「また会おう。滝の下で」という台詞とともに鳥肌が立ったことを思い出しました。
三輪山に登った後に、大神神社を参拝しました。日本最古といわれる由緒ある神社です。小説ではここで剣道大会が開催され、上司の代理で来賓として出席した本多は、ここで本作の主人公である凛々しい少年剣士 飯沼勲に出会います。
さて...三輪といったら三輪そうめん。大神神社の二の鳥居のすぐそばにある そうめん処 森正 (もりしょう)さんでお昼をいただくことにしました。堂々と風格のある門構えが目を引きます。麻の暖簾をくぐって中に入ると、よしずが掛けられ、玉砂利を敷き詰めたお庭で食事ができるよう設えてありました。重厚な旧家の風情を楽しみつつ、ほっと人心地着きました。
そして氷できゅっと締めた冷やしそうめんのおいしいこと! 生き返りました。こちらでは、同じく奈良名物の柿の葉寿司もいただけます。
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厳しい取り決めのある参拝なのですね。登山ではなくて登拝とは…
より厳かで清々しい気持ちになって心が洗われそうです。
麻の暖簾とは粋ですね~
こういった雰囲気ですと格段にそうめんに高級感が増しますね♪暑い頃(?)でしたら尚美味しかった事でしょう。
京都の伏見稲荷の稲荷山もご神体でしたが
こうした取り決めもなく、カジュアルに上れたので
今回の厳しい取り決めにびっくり。でも厳かな気持ちで登れました☆
きれいな氷に、冷たくぎゅっと締まった素麺は
家でいただくものとは別物と感じました。
9月のまだ暑い時期でしたので、おいしくいただけましたよ。(^_-)-☆
撮影禁止だなんて!とても厳かな場所なんですね~。
今はどこもインスタ等で来客を増やそうとする施設の多い中、とても貴重に思えますね。
そんな神聖な場所が舞台になっているとは、改めて4部作読み返したくなってきますね~😆
セレンさん「潮騒」の舞台にも行かれているんですね!!
素敵な旅行記をたくさん拝見できて私も一緒に訪れているような気持になります
「奔馬」の滝の場面が印象的で、いつか訪れたいと思っていました。
厳しい約束事が多くて、腰が引けそうになりましたが^^;
今回思い切って足を運んでみてよかったです。
貴重な体験になりました。
今回、本も持っていって再読しましたが
描写が的確で、さすがは三島だ...とうなりました。
三光の滝も、脱衣所があるだけでなんということもないのですが
小説の場面を思い出して感無量になりました。
「潮騒」も実際の島に忠実に描かれていて驚きましたが
本の中を旅しているような気持ちになりましたよ。(^_-)-☆