本駒込の東洋文庫ミュージアムで開催されている「東洋文庫の北斎展」を見に行きました。
東洋文庫は、三菱3代目当主岩崎久弥氏が設立した、東洋学の専門図書館です。これまで何度も招待券をいただきながら訪れる機会を逸していましたが、今回は私にもなじみのある北斎展ということで、足を運んでみました。
ミュージアムの中心を成すのは、オーストラリア人ジャーナリスト G. E. モリソン氏が収集した約2万4千冊の書籍、通称「モリソン文庫」です。モリソン氏は中華民国総統府の顧問として20年間北京に駐在し、欧文で書かれた東洋に関する質の高い書籍を収集しました。
写真で何度も見て憧れていたモリソン文庫を目の前に見ることができて感激しました。まるで「美女と野獣」でベルが狂喜乱舞したビーストのライブラリーのようです。”天正遣欧使節記” や ”ペリー提督 日本遠征記” など、教科書にも登場する貴重な書籍が展示されています。
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この後はいよいよ北斎展です。北斎といえば、美術展では「富嶽三十六景」など多色刷りの版画が展示されることが多いですが、今回は東洋文庫が所蔵する墨一色の絵本が中心です。これまでにあまり見たことのない、東洋文庫ならではのセレクションで大いに堪能しました。(展示は写真撮影可です)
『諸国瀧廻り』全8図の中から「東都葵ヶ岡の滝」です。現在の溜池山王のあたりにあった人工の貯水池と滝が描かれています。今は溜池は埋め立てられ、地名と地形からその面影を知るのみですすが、かつてはこんな風景があったのですね。
総房海陸勝景奇覧 (1818-1819)
右端に房総半島、左手前に三浦半島、中央に見える海は東京湾を表しています。飛行機のない時代に、どうやってこんな詳細な鳥瞰図が描けたのか??と驚きますが、地図や地誌を参考に、北斎自身の旅の経験も生かされているそうです。地図好きにはわくわくする作品でした。
絵本隅田川両岸一覧 (1917復刻)
北斎は引越し魔で、93回引越したことが知られていますが、ほとんどは今の墨田区内でした。当時の墨田川は、水上交通の要所で沿岸は賑わっていたのだろうな、ということがうかがえる作品です。
画本彩色通 (1848)
北斎が亡くなる前年に刊行された、最後の絵手本です。これまでの画集と違い、絵を描くための指南書となっています。筆や刷毛の使い方、絵の具の種類と調合方法など、北斎が体得した画法が細かく説明された集大成ともいえる作品。後世の画家たちに残そうとして、 書かれたのでしょうか。
展示室に人がいなくなったところを見計らってパチリ。本が中心の展示というのが、ユニークでおもしろかったです。説明も平易なことばでわかりやすく書かれていて、親しみがもてました。
北斎展を見たあとは、ミュージアムに併設されているレストラン「オリエント・カフェ」でお昼をいただきました。こちらでは、小岩井農場(岩崎家がオーナー)のお料理がいただけます。
一日10食限定の「マリーアントワネット」というボックスランチにしたかったのですが、この日の分はもう終わっていたので、「マルコポーロセット」というふわとろのオムライスをいただきました。メインのオムライスにスープ、サラダ、コーヒーがつきます。穏やかな味わいでおいしかったです。
私はおなかいっぱいでいただかなかったのですが、チーズケーキが人気のようです☆
モリソン文庫は圧巻で、ベルならずともわ~っと声を上げたくなりました。
とてもすてきな空間でした。
北斎の地図は3点ほど展示されていましたが
なんと中国の地図もありました!!
北斎が訪れたことのない場所なので
さまざまな資料をもとに描いたのでしょうが
緻密さと想像力の豊かさに驚きました。@@
これはセレンさんらしい素敵な場所へいらっしゃいましたね~
本好きな人にとっては天国ですよね☆
北斎が地図も描いていたとは…
ドローンもないときに凄いです。北斎ならではの観察眼なのでしょうか?
ごみつさんはきっとご存知でいらっしゃるだろうな~と思っていました。
私も気になりながら、なんとなく畏れ多くて?足を運べずにいましたが
今回はなじみのある北斎展ということで興味深く見れました。
歴史に関する企画展も多いので、ごみつさんもきっと楽しめると思います☆
オリエントカフェもすてきでしたよ~♪
北斎の作品は大胆な構成で、デザイン性があって
今見ても新鮮な驚きがありますね。
今回は、精密な鳥瞰図や、絵の指南書など
これまでにはない視点で見ることができて興味深かったです。
芸術家って破天荒なイメージがありますが
緻密で知的で論理的な一面を知りました。
東洋文庫、根津からは近かったので、ず~っと行きたかった場所なんですよね~。
結局、行けないまま引越しちゃいましたが、本当に素敵なミュージアムですね。
北斎は、私も(恐らく誰でもでしょうが)大好きなので、行ってみたいです。
その時は「オリエントカフェ」で絶対お食事したいです。
マルコ・ポーロセット、食べたい!(笑)
江戸時代の絵画というのは、北斎のダイナミックな筆使いにあるように劇画的で、割とシンプルなスタイルが多い日本の芸術の中では、スケールの大きい方だと思います。
それだけ、庶民の目が肥えていた、という事で、自由で安定した社会環境でこそ、こうした、高いレベルの芸術と言うのは育つのでしょうね。個々の英雄画に敗けないくらい雄弁なのが、実際には多くの物事を表現の中で語っていると思います。それが北斎の風景画の流儀なのではないでしょうか。
凄い遠方まで視点が回りますから、北斎はアフリカ人並みの視力だったのではないでしょうか。日本語の言葉遣いは普通であって欲しいですが(笑)。