ベルギー発のジュヴナイル映画。監督は本作が2作目となるルーカス・ドン監督です。
CLOSE クロース (Close)
予告を見て気になっていた本作を、ようやく見に行ってまいりました。ルーカス・ドン監督作品を見るのは初めてですが、グザヴィエ・ドラン監督のテイストもあって、カンヌで評価されたのも納得の、少年のデリケートな心理を描いた佳作でした。
予告を見た時点で、なんとなく結末は読めてしまったのですが、それゆえに最初から、レオとレミ2人がかわす何気ない会話に、切なくて、胸が締めつけられて、涙がこぼれてしまいそうになりました。
少年同士に限らず、少年と少女であっても、気が合って何の疑問も持たずにずっと仲良くしてきたのに「つきあってるの?」と言われたことで急にお互いを意識するようになって、距離を置いてしまうこと、あると思います。
レオとレミもお互いが大好きで、小さい頃から家族ぐるみでつきあってきて、ただいっしょにいたい、仲良くしたいだけで、それが恋愛とよべる特別な感情であるかどうかも、お互いにわかっていないのだと思います。
クラスメートにからかわれた時に、大人だったら、あるいはもっと口が達者だったら、うまく言い返すことができたかもしれない。未熟ゆえにうまく対処できなくて、結果としてレミを突き放すことになってしまったレオの行動はよく理解できます。
もっと時間をかければ、成長してから「あれはこういうことだった」とお互いにわかり合えたと思うのですが、レミは今、レオを失うことが耐えられずに、自ら別れの道を選んでしまいます。
人生を終わりにすることは、本人の、そして家族やまわりの人たちの未来が、ぷっつりと失われてしまうことなのだと思います。問いかけても答えが返ってこないことは、自分の気持ちの置き所がなく、何よりつらいことです。
レオがレミにしたアヒルとヘビの話、レオがレミをどれほど大切に思っているかが伝わってきて、胸が震えました。それゆえに、これからレオが背負っていくであろう思いの重さを想像して、心が打ちのめされました。