『主らに届けたい想いがある』
信長様はそうおっしゃった。
残す演目はこれしかない。
第六天魔王の巻。
秀吉様が苦しそうな表情を見せるところから始まるこの演目。
初めて観たのはZEPP NAGOYAでの「太閤義塾」だ。
あまりの凄さに息を呑んだ。
激しい演目だと思った。
だけどそれは、照明が当たったところで観たからかもしれない。
名古屋城で、空の下で見るこの演目は同じように激しさを感じるだろうか。
杞憂だった。
信長様の想いが伝わってくる。
表情を観ているだけでゾクっとした。
そんな信長様にひっぱられるように、秀吉様の想いが強くなっていく。
嫌だと訴える秀吉様と
日ノ本を作るためだと言う信長様と
二人の落差ある、けれど純然たる想いが、当時の様子を切り取っているようだった。
“最期”の時。
私には、信長様は笑っているように見えた。
まるで(ああ、これで終われる・・・)そう思っているかのように・・・。