友達の話を聞いていて、じゃあ自分はいつからこんなに好きになったんだろうと考えた。
もちろん当初から応援していくつもりではあったけど。
むしろ最初の頃は(自分は加藤軍だから)と自身に言い聞かせていた気さえする。
でも、ある時気づいた。最初からじゃん、と。
お披露目式で見、その週末には群馬遠征。最初だし関東だし、と参陣。
その翌々週には東京遠征。地元ゆえむろん参陣。
あえて明確化するならば、もうこの時には堕ちていたんだと思う。
慣れ親しんだ甲冑、陣羽織。目が行くのは当然かもしれない。それはあるだろう。
よみがえりたての頃はまだ幼い笑顔、表情、槍使い。
けれど多くの戦場を乗り越えていくにつれ、どんどん変わっていく姿、声。
そのうちもっと見ていたい想いが溢れていった。
ただ悲しいかな、私には守らなければいけないものがあったから、毎週行くことはできない。
ひと月に一回、頑張っても二回。行くのは基本土日祝日。
そのうちそれさえ難しくなり、期間にして約半年程、会いに行くことができなかった。
この時が一番つらかった。会いたいけれど会いに行けない。姿だけでも見たいけれど見に行かれない。
楽しそうな笑顔、かっこいい姿、やっちまったという表情。
Twitterで流れてくるものさえ見るのが辛く、せっかくあげてくださっている動画もほぼ見れなかった。
それなのに会いに行けた時、顔を見るなり「・・・息災か?」と聞いてくださった。
覚えていてくださっただけでなく、行かれない理由をも覚えていてくれた。
嫌な予感はしていた。正確に言えば年度入ってからその可能性は否定できなかった。
個人的に確定したのは絆が発表された時。
ああ、おそらく清正様は出立される・・・そう思ってしまった。
でも当然その考えを本当にしたくない。もっともっと見ていたかったから。
そして発表。
この時ほど自分の『空白の時間』を悔しく思ったことはない。
迎えた当日。
清正様が思い入れのある演武と言っていたのは、ご自身のために描かれた演目『五常烈士・忠義の虎』
舞台・絆2019の最終日、清正様座長の昼の陣「三英槍 演乱舞」
この時見た忠義の虎は凄かった。
ものすごく熱く、ものすごく想いがこもっていた。
あまりの凄さに涙が止まらなかった。
一息ついて会場から出てきたら、同じように泣いていた加藤軍を見て、やはり想いは伝わっていたと再び涙が溢れた。
そして見ていない人に観てほしかったと思った。
普段三英槍を見ていない三英傑家臣にも見てもらいたかった。
だから出立式で忠義の虎をやってくれたことがなによりも嬉しかった。
そして・・・まさか華演武の舞を・・・見れるなんて・・・
清正様が「意外と思うやもしれぬ」とおっしゃっていたのは、華演武の舞だったのかもしれない。
清正様が信長様の肩に手を乗せ、飛び上がり、槍を回す。
これは実は先代の代表作「華演武・築城の巻」の一部分だ。
たしかによみがえった当初の頃は、築城の巻を見てみたいと思っていた。
清正様自身も「やりたい」とおっしゃっていた。
だが『五常烈士・忠義の虎』が出来、それを見るうちに自分の中でその想いは小さくなっていた。
けれど舞台「天華の城」を見てからは、逆にまたその想いが大きくなった。
これだけのものを演じられるようになった方が、今あの演目を演じたらどういう表情をするのだろう、どういう想いを伝えてくるのだろうと。
それでももう“時”はない。見ることは叶わない・・・そう思っていたのに。
最後の最後、すべてのものを見せてくれた。
ご自身の代表作『五常烈士・忠義の虎』
築城の巻の舞部分
そして三英槍での槍舞。
槍舞が見れたことが、どれだけ嬉しかったか。三英槍が揃って槍を回す姿が。
信長様の肩に手を添え、飛び上がる姿を見れたことが、どれだけ嬉しかったか。
虎之助から大名・清正へと変わる姿を見れたことが、どれだけ嬉しかったか。
最後の最後に、たくさんの願いを叶えてくれた。
会いに行かれなかった空白の時間を少しでも取り戻したいと2月の全員演武から毎週遠征したけれど、それでも取り戻せなかった『想い』が、この時取り戻せたような気がする。
すべてのものを見ることはできなかったけれど、清正様自身が「やりたい」と思っていただろうことがやれたであろうことが嬉しかった。
見ることが出来た事、その場にいることが出来た事、そしてなによりも「加藤軍でよかった」。
清正様。
泣かずに見送ろうと思ってはいました。でも最後のおもてなし列では何も言えないほど泣いてしまいました。
でも清正様は笑顔でしたね。
いつもなら式の最後に武将様方から出立される方に一言ずつあるのですが、それがなかったのも清正様の想いからでしょう?
「泣いて終わりたくない」からでしょう?
名古屋城から退陣するときも一列にいたのも「いつもどおり」でいたいからでしょう?
笑顔で終わりたい
それが清正様の願いだったのじゃないかと勝手に思っています。
いままで本当にありがとうございました。
私は本当に清正様の家臣でよかった。