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【名古屋おもてなし武将隊】章右衛門さんお別れ会~2017/3/26

2017年03月29日 02時00分07秒 | 名古屋おもてなし武将隊

2017年3月26日、名古屋城。天気=雨。
『雨男』と言われていた章右衛門さん、出立日もやはり雨だった。
せめて曇り、せめて小雨と願いながらてるてる坊主を作る。
お願いします、土砂降りにだけはならないで下さい、と祈りながら。
彼がずっと演りたがっていた演目をやれるくらいの天候であってくれと願い続ける。

明るいのに雨が降ったり、どんよりしているのに降らなかったり、降ったり止んだりと定まらぬ空。
中止か決行か、判断すべきギリギリの時間になっても何も通知がない。
でも誰しもが決行を信じて疑わない。
彼を笑顔で送り出したいから。

小雨降る中、彼らは二之丸広場に現れた。
雨天時恒例の夏衣装で。
なんというか、これでこそ出立式だという気もする。


いつもどおり背中を向けて武将が立つ。
その前で深く呼吸をする章右衛門さん。
最後の演武を噛みしめるかの如く・・・





2016年11月5日。

七周年祭の翌々日の事。
利家様が章右衛門さんに「(寸劇は)なにがやりたいか」と尋ねた。
章右衛門さんはこう答えた。

清正様人参がやりたいです



だが以降一向にやる気配がない。
そして出立のお知らせ。
この時点で私は最後の演目は清正人参だと確信した。
絶対にやる。間違いなくやる。
だから雨天中止にだけはなってほしくなかった。
章右衛門さんがやりたいと願っていた演目をやらずに送り出したくはない。

名古屋おもてなし武将隊演武! 清正人参!

秀吉様の張りのある声が響いた。
観客から湧き上がる期待の声。
やはりみんな待っていたのだ。
章右衛門さんがやりたいと言っていた演目を。
古きからいる家臣にとって、特に加藤軍にとっては懐かしき演目。
また観れることがとても嬉しい。

章右衛門さんが清正人参(セロリ)を持って歩み出た。
踊舞さんがそのセロリを奪う。
清正様が出てきて「食べてみろ」と言い。
当時の日本人には慣れないその味。
ガブリ、ガブリと食べるものの、喉の奥になかなか入っていかない。
その姿、表情がおもしろくて観客は笑う。
そうそう、そういう演目なのだ。


演目の中で、清正様が夢を問うシーンがある。
誠の武士になりたかった章右衛門さん。
今の夢は「うまい野菜を作り、皆を笑顔にしたい」だと言った。
その言葉を聞いたとき、章右衛門さんは武将隊とは別の形で「皆を笑顔にしたい」と考えたのではないかと思った
だから出立という道を選んだ・・・そう感じた。



目に涙を浮かべながらも必死に太鼓を叩く姿。


パパイヤダンス=名城の舞、魂の六小節に想いを込める姿。


自ら出立式を「お別れ会」と言う章右衛門さん。
それを聞いて思わず笑ってしまう武将たち。
言い間違えが多いと常々言われていて、それがまた愛されるところだったりする。

涙すれども笑顔が絶えない『お別れ会』だった。
章右衛門さんらしい姿を見ながらお別れできた気がする。



章右衛門さん、旅先でたまには武将隊を思い出してね。
武将様がいて、陣笠隊がいて、そして家臣がいたことを。
苦しくなったり辛くなったりしたら空を見て。
信長様が言うように「空は続いておる」から。