Senboうそ本当

広東省恵州市→宮崎県に転居。
話題は波乗り、流木、温泉、里山、農耕、
撮影、中国語、タクシー乗務、アルトサックス。

歌手当打之年 (第三期) を解説

2020年02月24日 | テレビ番組(中国)

先週2月21日に放送された歌手当打之年(第三期)について書きます。毎回湖南省のテレビ局内にある超大型スタジオ内に500名の観客を入れて収録されるリアル対決型の歌番組。なんですが、新型コロナウィルスの大流行の影響を考慮して収録方法が今回から変更になりました。(番組の収録日は2月17日)
出演者は原則として各々のホームグランドにあるスタジオにて出演。それを光通信でネットワークしたものを放送します。500名の観客はそれぞれ自宅のPCで放送をチェック、自分が気に入った3組を投票します。当然「音響環境」はバラバラになる。そういう意味ではかなりアバウトな評価方法になってしまうのが残念。中の会話は全て中国語です。言葉が分からなくても歌番組なので、歌唱の部分だけでも十分楽しめます。


北京、上海、長沙(湖南省)、台北、河口湖(山梨県)の5か所をネットワークしての放送。

この番組の最大の魅力は音楽のクオリティー。それをこんな製作スタイルで? 上手くいくはずない。ところが私の予測とは真逆の結果が。今シーズンこれが3回目の放送ですが、内容的には今回がNo.1の出来でした。


この3名は、レギュラー入りを狙う挑戦者。この日にエントリーするか来週にエントリーするか本人が選ぶことできます。


ここからが歌の本番。トップバッターで登場した黄霄云【huáng xiāo yún 】(北京のレコーディングスタジオから)曲名は《你的答案》
ネットで彼女のことを調べたら、2015年に浙江テレビ局の人気番組《中国好声音 第四季》に出演していたことが分かりました。当時16歳というのに、すでに歌唱スタイルが完成されてる。 1998年生まれ。
   ↓
The Voice of CHINA- All By Myself cover by 16 years old黃霄雲

※もし番組後半での出演だったら1~3位の成績が出たはず! (出演する順番は毎回クジ引きで決定)
※彼女の繊細なボーカル、楽器(Sax)では再現不可能。今後の活躍が楽しみです!


挑戦者の1人、隔壁老樊【gé bì lǎo fán 】。収録場所は湖南テレビの大型スタジオ。歌ったのは《多想在平庸的生活拥抱你》。この直後に黄霄云と人気投票で競い、もし負けたらレギュラー入りレースから脱落。日本に例えるなら❝四畳半フォーク❞の世界観。心に滲みる歌声ですが、大きなステージ向きではありません。  1998年生まれ。


再びレギュラー出演者の登場。日本から参加のMISIA  1978年生まれ。
歌ったのは《明日へ》。歌唱も素敵でしたが、演出(ビジュアル)が大成功。その前の週(2月14日)は中島みゆきの歌をカバー。これも演出が秀逸でした。収録場所は河口湖ステラシアター。
ところでオンエア時点では日本語∔中国語の歌詞が画面に出てますが、はたして収録日に500名の採点者がライブ映像をPC画面でモニターしている時にはどうなってるんでしょうか? 中国語歌詞の表示があるかないかでMISIAへの評価が大きく変わるはずです。


北京の録音スタジオから袁娅维【yuán yà wéi 】。 歌ったのは《有一种悲伤》。 1984年生まれ。
2017年にもこの番組に出演してます

ここまでで登場した4曲、私の中ではいずれも高評価。今回の放送内容は出来過ぎ! もしかしたらアコースティック風に編曲されてたからかも。だからボーカルの魅力が引き立ってる感じ。これまで袁娅维の歌唱力を過少評価していたことを反省しました。
曲の最後、あれは別の楽曲。Alicia Keys の「 If I Ain't Got You 」です。この番組はある意味何でもあり。過去には2つの楽曲、前半と後半で1曲に仕上げた人もいます。


番組MCも兼務する萧敬腾【xiāo jìng téng】ですが、今回は歌唱だけ。台北のスタジオからの中継。歌ったのは《太阳》。 1987年生まれ。
2017年にもこの番組に「狮子合唱团」メインボーカルとして出演してます
※2年前の活躍に比べ、ややトーンダウンした印象あり。今後の巻き返しに期待。


2人目の刺客 白举纲【bái jǔ gāng】 歌ったのは《安排好的人生》  1993年生まれ。


総合優勝最有力候補の华晨宇【huá chén yǔ】。北京の録音スタジオから。歌ったのは《你要相信这不是最后一天》   1990年生まれ。
2018年にこの番組に出演した時は準優勝の成績でした


台北から徐佳莹【xú jiā yíng 】 歌ったのは《小半》 1984年生まれ。
いい歌なんですが、原曲はやや迫力不足。私はこのカバーバージョンの方が変化に富んでいて好きです。
2016年にもこの番組に出演してます
※この歌詞、中国語学習にぴったりだと思います。日本語に訳したものを後日このブログに投稿予定。→《小半》の歌詞を解説 2020年03月27日  中国語のこころ(宮崎)


最後に登場した周深【zhōu shēn】。上海の自宅で収録。歌ったのは《能解答一切的答案》 1992年生まれ。過去この番組に出演した男性歌手の中で、中性的なハイトーンボイスが魅力の出演者が何名も登場してますが、私はこの周深の歌声が一番好きです。

今回の放送分も、私の知らない曲がほとんどでしたが、そんなの関係なしで「粒ぞろい」でいい楽曲が多かったと思います。放送回によっては「この曲を選ぶか?」って感じるものも少なくない。そこは出演者の経験値がものを言う。本人が好きな曲が、必ずしもその人の持ち味が光る曲とは限らないので。


出演者の歌唱が出揃った直後に、レギュラー7名の中から3名を選ぶインターネット投票が行われます(500名が投票)。ただし成績発表は上位4位までしか行いません。来週放送分との総合成績によって順位を確定。成績最下位の出演者が脱落となります。競技ルールは毎年ちょっとずつ違います。

審査・投票する500名の内訳について。昨年までは10代~50代を各100名ずつという内訳。でも今年は出演者の若返りを図ったので10代~40代で各125名ずつとなっています。

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以下、ややマニアックな視点から書きます。

いったいなぜ今回放送分の出来が良かったのか? 考えられる理由の1つは、準備時間がたっぷり取れたから。第一期の収録日が1月3日→第二期の収録が1月8日。第三期は当初のスケジュールであれば2月の頭あたりだったはず(1月25日は春節なので)。それが結果的に2月17日まで延びたうえ、たぶんその他の仕事も大半が中止に。なので出演者も裏方も、たっぷり準備できたというわけ。

それともう1つ思い当たるのは、小さなステージ(またはスタジオ)で演れたのがいい結果につながったのでは? バックバンドの編成も必要最小限となるから、ボーカルの魅力で勝負するアレンジになる(その方が私好みになる)。規模が大きくなるとリハーサルの機会も限られる。

番組の音楽監督は今年も梁翘柏【liáng qiào bó 】です。5か所のスタジオ全てに出向いてチェックするのは不可能。なのに各楽曲のクレジットには梁翘柏の名前。リハーサルもインターネットを介して行い、微調整が行われたということかも? これ以降も5か所に分かれての出演になるとしたら、優秀なスタッフが周りを固めているMISIA(デビュー22年のベテラン)が有利でしょうね。


《你的答案》のクレジット


《明日へ》のクレジット


《小半》のクレジット


《能解答一切的答案》のクレジット  この収録だけは、別録りした伴奏(またはプログラム)を使い、ボーカルだけライブ音源のようです。

※狭いスタジオ内での収録は、映像でも新鮮味が出せてよかったと思います。観客がいないからミュージシャンの真ん前にカメラを構えることも可能。人物にあてる照明も、繊細に仕上がってました。これが大型ステージだとダイナミックな光の演出が優先するため、光と影のグラデーションが犠牲になりやすい。

 

この番組の本編、日本からでも無料で視聴することができます。
歌手当打之年(第三期)  2020年2月21日放送 

 

追記: 番組製作方法を短期間でどうやって変更したのか? その舞台裏を追った特番を見つけました(ただし中身は全部中国語です)。
   ↓
《在线2:我们在战“疫”》第8集:破局(22分)

 

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