1990年(平成2年)に三共から登場した旧要件ハネモノ「スウィングI」
★賞球…オール13
★最高8ラウンド継続
★非貯留タイプ
★当時の実戦店…新宿西口「ニューミヤコセンター」(閉店、跡地は現在「新宿カレイド」)など
懐かしの新宿「ニューミヤコセンター」(左下の写真が正面入口)ハネモノコーナーで、平和の名機「ビッグシューター」を打つ女性(平成2年)。当時、この店は「2.5円交換&3000発終了(ハネモノ)」で、探せば甘い釘の台も結構落ちていた。設置機種が多く出玉良好な上に景品も豊富と、今思えばかなりの「優良店」だったと思う。いわゆる「チューリップ台」(平台、普通機)も良く出していた。
なお、赤い矢印部分は、この店の台下に付いていた「灰皿」。可動タイプの簡易灰皿ではなく、手元のレール部分に直接穴が開いていて、火災防止の為に水が入っていた。当時、この灰皿に小銭を落として泣いた客は数知れず…。
(ゲーム性)
ヤクモノ自体は非常にシンプルな構成で、玉本来のアナログな動きを楽しめた。
本機は「時計」がモチーフで、盤面上部に懐中時計を持った「白ウサギ」が描かれている。これは、名作童話「不思議の国のアリス」に登場するウサギがモデルだろう。作品中、時計を手にした白ウサギが慌てて走り去る様子が、コミカルに再現されている。
また、ヤクモノ奥には「1~12」の数字が書かれた時計盤があり、時計の針は通常「1時50分」を指している(大当り中は、針の位置が変わる=後述)。
また、時計盤の上には鳩時計を模した「小窓」があり、通常時や大当り中に開閉する。さらに、ヤクモノ下には大きな「振り子」があって、盤面を落ちる玉が当ると、ブラブラと左右に文字通り「スウィング」する。
ハネに拾われた玉は、ヤクモノのステージ上に直接落下する。ステージは奥に向かって緩やかに下っており、玉はステージ左右の壁にバウンドして奥へと向かう。ステージの一番奥には3つの「仕切り穴」があって、左右の大きい穴がハズレ、中央の小穴がVゾーンとなっている。
本機のハネは、一番内側の部分が「突起状」に盛り上がっている。その為、ハネに乗った玉の大半は、この突起によって一旦動きが止まる。そして、ハネが閉じる際に、ハネの根元で静止した玉が、ステージに向かって力強く放り投げられるのだ。勢いづいて落下した玉は、ステージ左右の壁にクッションしてランダムに跳ね返るが、うまく中央のV穴に入れば大当りとなる。
まぁ、上記はV入賞の典型例に過ぎず、ハネの開閉タイミングによっては、ハネに乗った玉が根元で静止せず、いきなりステージに落下する事もあった。左右の壁をトリッキーに玉がバウンドして、「あれっ」という感じで知らぬ間にVへ飛び込む事も少なくなかった。
なお、ハネ開放時は、ステージ上の左右に埋め込まれた小さな白い「突起」が、交互に上下動を行う。この突起は、オトシ(1チャッカー)入賞時はそれ程意味をなさないが、ヘソ(2チャッカー)入賞時には、ヤクモノ内の玉の動きに影響を与える。
首尾よく大当りになると、ヤクモノ5個入賞までは、通常時と同様の動きをする。本機に貯留機能は一切なく、また大当り時にVゾーンが広がるような仕掛けもない。
ただ、ヤクモノに玉が5個入賞すると、ステージ奥の時計盤に付いた短針と長針が、クルッと180度上下に向きを変える。通常時「1時50分」を示していたのが、5カウント後は「8時20分」へと変わるのだ(下の画像を参照)。
(5カウント前の針の位置=上向き「1時50分」)
(5カウント後の針の位置=下向き「8時20分」)
針の向きが変わると、長針と短針の間にある二本の透明な長い突起(ガイド)が、ちょうどVゾーンの真上に来る。こうなると、ステージ奥に向かった玉はガイドのサポートで動きが安定し、V穴へ入賞し易くなる訳だ。これが、本機におけるラウンド後半の「継続サポート機能」といえる。
また、大当り中も、ステージ左右の白い「突起」は、交互に上下動を繰り返す。この突起の動きと独特のハネの形状が相まって、玉はヤクモノ内で千差万別の動きを見せた。構造的には極めてシンプルだが、通常時も大当り中も飽きることなく楽しむ事が出来た。
件の「ニューミヤコセンター」では、打ち止め3000発まで行かずとも、数百円の投資から1000発弱の出玉で満足し、そのまま「チョイ勝ち」を決めこんだ事も多い。まぁ、その程度の出玉で換金する事もあったが、換金所がエラく店から離れていた為、メンドークサイ時などは小説やレトルト食品などと交換して、帰りの電車内で取ったばかりの本を読んだりもした。
(ニューミヤコセンターの景品陳列棚。奥にカウンターがある。小説は右上奥の棚に並んでいた。)
当時、財布の中身はそれ程充実していなかったが、その中でのささやかなパチンコライフは、大いに充実していた。今の自分に、あれ程の気持ちや熱意が残っているかと問われれば、間違いなく「NO」である。パチもスロも引退同然の私にとって、現在のパチ・スロを存分に楽しめる方々は、ある意味で羨ましくもある。