まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

元祖パチンコ物語・温泉珍道中(1994年)

2017-09-02 00:12:41 | 懐かしのパチンコ・パチスロ映画


(C)ケイエスエス、ビデオチャンプ 1994.2




90年代パチンコ映画レビュー

「元祖パチンコ物語・温泉珍道中」

(1994年2月28日リリース)

出演:財津一郎、中原早苗、新藤栄作、桜金造、新藤恵美、麻生真宮子ほか

監督:坂下正尚

製作:ビデオチャンプ、ケイエスエス

企画:アルゴ・ピクチャーズ、シネウェーブ

制作:ヒーロー、シネウェーブ



(あらすじ)

恩田国松(財津)はパチンコ店「マツヤ」の会長。パチンコに対する強い愛情と
篤い人情を武器に、自身の店を一代で有名なチェーンにまで発展させた。現在は
息子の良介(新藤栄作)に社長の椅子を譲り、自身は会長に退いて半隠居の身。
その国松は無類の女好きで、妻の昌代(中原)には叱られてばかり。悠々自適の
日々…と行きたいが、肝心の財布の紐を昌代と良介に握られていては、女遊びも
自由にできない。良介が新たな店舗を作りたいというと、「地元のライバル店に
仁義を通してやる」などと上手い事を言って、必要経費の名目で小遣いをせびる
のが精いっぱい。そんな国松は、ある日馴染みだった美人芸者の桃奴(麻生)と
久々に再会。当然、女好きの「本領」を発揮して、妻に内緒で温泉旅行へと誘う。
それをいぶかしがる昌代に、「メーカー本社に出向いて、今度入れる新台を確認
してくる」と誤魔化す。だが、昌代も女の勘で夫の浮気を疑い、良介を工場へと
出向かせる。さらに、国松が置き忘れた温泉旅行のパンフレットを偶然見つけて、
不貞を確信。ベテラン店長の丸山(桜)を連れて、現地へ乗り込む。何とかして
見つからぬように逃げ続ける国松だったが、ついに桃奴とのツーショット現場を
昌代と良介に抑えられてしまう。窮地に陥る国松。さらに、社長、店長共に店を
留守にしている間、凄腕の女パチプロ・栄子(新藤恵美)率いるプロ軍団に店を
荒らされてしまう。果たして、国松は自身のピンチを乗り切れるのか、そして、
マツヤの命運や如何に…?




1990年代は、パチンコ・パチスロの大きなブームに乗って、多くのパチ・スロ
映画作品(ビデオ)が製作された。中でも、間部洋一氏原作の「パチンコ物語」
シリーズはよく知られており、本作含めて10作がリリースされている※。ただ、
シリーズ第一作目の松竹映画「パチンコ物語」に出演した、財津一郎、中原早苗、
桜金造などの「キーパーソン」を起用しているのは、初代と本作を含めて計4作
しかない(後の二つは「二代目パチンコ物語・一発勝負必勝篇(1991年)及び
「元祖パチンコ物語・駅前戦争(1994年)」)。本作のタイトルに「元祖」と
明記してあるのは、原作者共通のコンテンツが多く存在した中、初代の配役を
出来うる限り引き継いだ、「正統の後継作品」というアピールではないか。

※90年代前半リリースされた、間部洋一氏原作の映像作品
「パチンコ物語」シリーズ一覧

・パチンコ物語(1990年、古尾谷雅人、財津一郎)
・二代目パチンコ物語・一発勝負必勝篇(1991年、美木良介、財津一郎)
・大阪パチンコ物語・浪花の勝負師(1992年、長原成樹、長江健次)
・パチンコ物語・裏ワザ大勝負!(1992年、榊原利彦)
・新パチンコ物語・マル秘デジパチ攻略法(1993年、風見しんご)
・パチンコ物語番外篇・パチスロ一攫千金(1993年、勝俣州和)
・新パチンコ物語・パチプロVS伝説の釘師(1993年、西川弘志)
・元祖パチンコ物語・温泉珍道中(1994年、財津一郎、新藤栄作)
・新パチンコ物語・壊滅!闇のゴト師軍団(1994年、西川弘志)
・元祖パチンコ物語・駅前戦争(1994年、財津一郎)



’90年の初代「パチンコ物語」では、初代オーナー国松と故・古尾谷雅人演ずる
二代目社長が、プリペイドカード導入など経営方針を巡り親子で対立する構図が
赤裸々に描かれた。まさに、新旧経営者のぶつかり合いという、パチンコ業界が
直面していたシビアな問題がテーマだった訳だが、本作は打って変わってユルい
展開の連続。女好きなパチ屋のオーナーと長年連れ添った妻が、浮気騒動を巡り
ドタバタ劇を繰り広げるコメディー全開の内容だ。故に、財津のコメディアンと
してのパワーや実力も随所に見て取れる。パチンコに縁遠くても、純粋な「娯楽
作品」として大いに楽しめるハズだ。ホール内で知り合ったスナックの美人ママ
(春井ユカ)がヒモ付きだと判って「ヒッジョーに、寂しィ~」と嘆いてみたり、
温泉地で浮気がバレかけて「ヒッジョーにマズイ」と唸ったりと、お馴染みの
「財津節」をたびたび披露。また、自身がCMに出ていた「こてっちゃん」を
食べる朝食の場面では、「朝っぱらからこてっちゃんか、うん、うめぇや」と
アドリブとも思えるコミカルな台詞で笑いを誘う。


配役については、主演の財津は勿論、脇を固めるメンバーも実力派、個性派揃いで
注目に値する。「昭和のワンマンオーナー」ぶりが滲み出る国松(財津)と、長年
連れ添う強気な妻の昌代(中原早苗)。この二人の夫婦漫才的なやりとり(昌代は
国松を「お父ちゃん」、国松は昌代を陰で「マシュマロ(白くて太っているから)」
と呼ぶ)が何とも小気味よい。国松と店長・丸山(桜金造)のやりとりも、互いに
コメディアン出身だからこそ成し得る、絶妙のテンポとタイミングで痛快だ。父・
国松と対照的に真面目でクールな良介役には、NHK朝ドラ「心はいつもラムネ色」
に主演した新藤栄作を起用。国松が浮気の口実に使ったパチンコメーカー「桐生」
(モデルは明らかに西陣)の責任者・田川伸吉を、往年の喜劇俳優、故・平凡太郎
が演じた。さらに、パチプロ軍団の女リーダー栄子を好演したのが、ボウリングを
テーマにしたドラマ「美しきチャレンジャー」に主演した、実力派女優の新藤恵美。
レトロパチンコ的観点からは、国松の浮気相手、桃奴(ももやっこ)の役を演じた
麻生真宮子(あそうまみこ)を起用した点も見逃せない。昭和期に西陣がデジパチ
「キャプテンルーキー」を世に送り出した際、イメージキャラクターを務めたのが
彼女だからだ(「麻生真美子とキャプテン」の頃)。



それから、この時代のパチンコ作品は、ストーリー自体を楽しめるのは勿論だが、
当時出回った台が作品のあちこちに映り込んでいて、90年代パチンコの映像資料
としても大いに価値がある。本作も同様で、計75分の映像中、いたる所で往年の
「名機」の盤面、サウンド等が確認できる。以下、その抜粋(気づいた順に記載
してある為、順不同)。

・フィーバーオールセブンII(SANKYO、デジパチ)
・綱取物語(平和、デジパチ)
・春一番(西陣、デジパチ)
・フィーバーガールズI(SANKYO、デジパチ)
・ザ・忍者(京楽、デジパチ)
・エキサイトグランプリγ(ニューギン、デジパチ)
・獅子舞SVA(西陣、ハネモノ)
・球界王(西陣、デジパチ)
・パックンザウルスP-2(西陣、ハネモノ)
・アルファキング7(西陣、権利モノ)
・花鳥風月(西陣、デジパチ)
・ドラキュラ城(ニューギン、ハネモノ)
・アニバーサリーI(大一、一般電役)
・ニューヨーカー(平和、ハネモノ)
など

※社長の良介が桐生の工場に出向いた際、当時の新台「球界王」に
関する機種説明を、メーカー責任者の田川(平凡太郎)から受ける
シーン(ボールリーチ、ランナーリーチの解説等)も面白い。また、
当時の製造工程も映っていて、背中に「SOPHIA」のロゴが入った
Tシャツを着たソフィアの技術者が、人気デジパチ「花鳥風月」や
権利モノ「アルファキング7」を組み立てる場面などが登場する。
今となっては貴重な場面だ。



本作のロケ地となったパチ屋だが、基本的には東急・中目黒駅そばの
「マツヤ本店」が使われている(作品中でも「マツヤ」の名称のまま
登場するが、これは主人公・恩田国松の「松」の字にも掛かっている)。
但し、ラストの近くで、良介が父の国松にハッパをかけられて、栄子
率いるプロ軍団を強気で追い出す場面のみ、東急・大岡山駅「ジャンボ」
(閉店)の店内がロケ地になっている(但し、事務所と店外のシーンは
マツヤ)。また、正式なクレジットはないが、国松と浮気相手の桃奴が
仲睦まじく温泉街のパチ屋のチューリップ台で戯れる場面は、知る人ぞ
知る熱海の名店「トキワホール」(レトロなハネモノ、チューリップ台、
アレンジボール、スマートボール等設置)が撮影地である(同店店長の
故・山口政夫氏も、カウンターに佇む店長役として、ほんの一瞬映って
いる)。なお、パチ屋ではないが、箱根仙石原の老舗旅館の「仙郷楼」
が、国松らの温泉旅行の宿泊地として登場(「桐生の温泉宿」の設定)。



★キャスト

財津一郎、中原早苗、新藤栄作、桜金造、新藤恵美、麻生真宮子、
平凡太郎、重松収、高松誠、松本南美、佐藤幸雄、竜川誠、染谷勝利、
宮崎豊、林田和久、本城丸裕、澤井映里、寺田はるひ、阿南敦子、
岡本諭子、小貫加恵、春井ユカ


★スタッフ

監督:坂下正尚
企画:末吉博彦、アルゴ・ピクチャーズ、シネウェーブ
製作:ビデオチャンプ、ケイエスエス
制作:ヒーロー、シネウェーブ
原作:間部洋一
脚本:奥村俊雄
プロデューサー:吉田晴彦、伊藤靖浩、玉盛正陽
撮影:川﨑龍治
照明:小中健二郎
録音:武進
美術:宮野雅人
編集:神谷信武
記録:牧野千恵子
助監督:畠山典久
製作担当:小宮慎二
撮影助手:菊地亘
照明助手:原田洋明、山口賢二
録音助手:山口晃二、羽生研司
装飾:長谷川圭一
小道具:岩本一成、堀尾憲明
メイク:山上綾子
衣装:浜崎洋
演技事務:増田悟司
選曲:山川繁
効果:脇坂孝行
整音:中田裕章
編集助手:中川毅彦、小林由加子
ネガ編集:大橋まさみ
助手:加藤佳恵
スチール:奥川彰
製作進行:大沢忠生
プロデューサー補:桐山京子


★撮影協力:
・大岡山ジャンボ
・中目黒マツヤ
・ピラミデ(六本木)
・芦之湯フラワーセンター
・箱根駒ケ岳ロープウェイ
・仙郷楼(箱根)
・池上通信機


★衣装協力:
・ミキラメール
・サンローズ
・不二服飾
・愛ZECRA


★協力:
・報映産業
・東京現像所
・光映新社
・PLP
・山崎美術
・東宝コスチューム
・イトナガオフィス
・共映
・映広


★製作協力:オフィス点




(「元祖パチンコ物語・温泉珍道中」の項、了)