嵐の中のお通夜

4月3日のことです。その日午前中は甲府城北史蹟めぐり主催の甲府城ツアー当日。

朝の時点ではこれから大荒れの天気になるとはとても思えないような晴天。

しかし、時間がたつにつれて雲行きが怪しくなり時々小雨も降りツアー終了後にはすっかり曇り空に変わっていました。

そして午後には東京で行われるお通夜に行くことに。本当は暴風雨に見舞われる前に出発したかったのですが、この甲府城ツアーが午前中にあるためどうしても出発が午後になってしまったんですね。

午前中のツアーを終え、自坊に戻り昼食を取り、天気が心配で指定席を予約していた列車の時刻より早めに甲府駅に着いたのですがすでに午後2時すぎからの特急はすべて運休に。

「えーーお通夜に間に合わない」と軽いパニック。数分後に出発する高尾行きの普通列車に飛び乗ってとりあえず出発。お通夜の会場は高幡不動ですから普通列車で高尾までは通常時間で2時間、高尾から高幡不動の会場までは30分もあれば到着するのでなんとか間に合うはず。

しかし、列車は笹子付近で風が強いために途中停車、お通夜の施主さんからは心配の電話が掛ってきましたがとりあえずそちらに向かっていることを報告。

強風のため停車とのことでしたが窓から見える風景には風もなく雨も小雨程度、一体どこが強風なんだという感じでした。

やっと列車が動き、なんとか高尾駅に到着。ＪＲ高尾駅と京王高尾駅は接続しているので駅の外に出ることなく京王線のホームへ。

ところがこの京王線のホームが大変なことになっていました。高架なので本来は周りの山や住宅などが良く見える見晴らしの良い場所なのにあたりは真っ白で何も見えません。しかも横殴りの雨と強風でホームに立っているのも難しいほど。気象庁の予報の通り台風の暴風雨の真っただ中にいるようでした。

そして、やっとのことで高幡不動駅に到着。駅から会場までは3分、なのに会場に着いた時は全身ずぶぬれ状態になっていました。まあ雨に濡れることは想定内なので全身防水、衣や袈裟が濡れないようしっかり予防していたので法要には差し支えはありませんでしたけれど。

施主さんも「お坊さんのいないお通夜なんて考えられない、間に合わなかったらどうしよう」とずいぶん心配していらっしゃったのでなんとか間に合ってほっとしました。

お通夜に参列するはずだった方も交通機関の運休で来られなかったり、ずぶぬれになりながら来られた方などそれぞれに大変な思いをされていたようです。（きっとこの方々の記憶にもずっと残るお通夜になることでしょう）

しかし、一難去ってまた一難。今度は帰りの問題です。このまま泊りであれば問題なかったのですが、今回は都合で翌日の朝また甲府から来ることになっていたのです。夜7時台にはまだ暴風雨の真っ最中、ＪＲ中央線は運転見合わせ中で甲府まで帰りつけるのかどうか確認のため駅に電話をかけてみますがどの駅もつながらず、最悪宿泊の場合も考えてホテルをチェックしますがどこも満室。こうなればどうしても帰らなければなりません。幸いこの暴風雨は通過速度が速いのでしばらく待てば風も収まるはず。ただいつ運転が再開されるのか？それがわかりません。

仕方がないので甲府の知人に直接甲府駅に行ってどういう状況なのか確認してもらうことに。駅員の話では少しづつでも列車は動いているのでとりあえず高尾駅に行くことをお勧めするとのこと。

その連絡を受けてさっそく出発。会場を出てみるとすでに雨も上がりさっきまでの暴風雨が嘘のようです。慌てて京王線に飛び乗ったため、高尾駅に行くはずが京王八王子駅行きに乗ってしまい、仕方なく京王八王子駅から外へでてＪＲ八王子駅まで移動。八王子の路上には折れ曲がった傘の残骸が多数散乱、暴風雨のすごさの痕跡があちこちで見られました。

ＪＲ八王子駅で待つこと数十分、やっと小淵沢行きの普通列車が到着し乗車。しかし不思議なことにその列車、途中で甲府行きに変更になっていました。小淵沢に行きたかった人はあせっただろうな。

終点甲府駅に着いたのは23時過ぎ、改札では甲府より先に行きたい人が後続列車の予定を尋ねていましたが駅員の話ではあと５分ほどで松本行きの特急が来るとのこと。

だったら、もう少し八王子駅で待っていたら特急に乗れたということか？

確かに翌日ダイヤ通りに運行するためにはどうしても松本まで下りの列車を走らせなければ上りの列車が確保できませんからね。

なんという一日だったのか？いろんなことが満載の記憶に残る一日になりました。

ということで、甲府城ツアーの模様は後日ご報告させていただきます。

 
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