伝統文化★資料室

東京成徳大学・日本伝統文化学科の学生と教員が「伝統文化資料室」から、情報発信します!

増尾先生御遺著刊行

2015-08-10 16:09:34 | 増尾伸一郎先生

つい先ごろ一周忌を迎えました、増尾先生の御遺著、『日本古代の典籍と宗教文化』が吉川弘文館より刊行されました。早川万年、吉田一彦両先生の編にかかるもので、最近十年ほどの御論考が収められております。どの御論も親しく目にしたものばかりで、このように排列されますと、おのずから東アジア全体を見据えた先生のマクロ・ミクロの視座が浮かび上がってまいります。「補論」の「村神郷」論は、東京成徳大学のキャンパスに程近い八千代市村上の氏族と墨書土器について述べたもの、そうした手近なところから大きな視野を導き出す、先生一流の筆法がよく現れていると思います。謹んでご紹介申し上げます。

序章 中国・朝鮮文化の伝来—儒教・仏教・道教の受容を中心として
第1部 古代の天皇と道教思想
天皇号の成立と東アジア—近年出土の木簡と朝鮮の金石文を手がかりにして

金液丹と禅師—仁明天皇の道教的長生法実践とその背景
第2部 古代の典籍と外来文化
道教・神仙思想と仏教

『藤氏家伝』の成立と『懐風藻』
今の時の深く智れる人—景戒の三教観をめぐって
源為憲と初期天台浄土教—慶滋保胤との対比を通じて
第3部 古代東国の信仰と仏教
神仙の幽り居める境—常世国としての常陸と藤原宇合

「七世父母」と「天地誓願」—古代東国における仏教受容と祖先信仰をめぐって
東国における一切経の書写と伝播
禅師広達とその周辺—古代東国仏教史の一断面
墨書土器にみる信仰と習俗
(補論)律令制下の「村神郷」—墨書土器が物語るもの

ついでながら、吉田先生の解説のなかで、当『伝統文化資料室』の追悼文が取り上げられておりました。ご高配に感謝申し上げます。


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