本末転倒

　マイクロソフト、Longhornの先行デモをスタート（CNET JAPAN）ということで、虎につつかれていよいよ牛君がお目見えらしい。十二支では先を行ってるはずなのにねぇ。

　ところで、Tigerで言うところの「Spotlight」に当たるデスクトップ検索システム「クイックサーチペイン」（やっと名前が公開されたみたい）。これは「MS社がOSXに追いつき追い越そうと躍起になっている（が全然出来ていない）」ということで世のマカー達にコケにされ、世のマカーたちを優越感に浸らせる一助となっているわけであるがそれはまぁさておき、「Spotlight」でも「クイックサーチペイン」でもどっちでもいいがとりあえずこの「デスクトップ検索機能」についてちょっと考えてみる。

　実は私はこの「デスクトップ検索」なる技術（というかTigerの「Spotlight」）に対してつい最近まで全く興味が無かった。きちんきちんとフォルダ整理をしてどこに何を入れたか管理できる人ならそもそも必要ないシステムではなかろうか、と浅はかにも考えていたのだ。しかし、どこかのBlogだかサイトで（不覚にもブックマークし忘れてしまいトラックバック＆リンクが出来ません…。ごめんなさい）「PCの中にある全てのファイルが瞬時に検索出来るようになる、ということになれば、そもそもフォルダを階層構造によって仕分けするというファイル管理の概念そのものが取っ払われることになり、結局たった一つのフォルダに何もかも全部ぶち込んでやればそれで済むということになる」というようなことが書かれていたのを見てまさに目から鱗が落ちた思いだった（ちょっと物事を深く考える人ならこんなことはすぐ気がつくのだろうけど私は言われないとピンとこないのだなぁ）。実際「Spotlight」というのはそもそもあらゆるファイルに色々なタグ要素を打ち込みそれに基づいて検索するという、従来のように階層構造を順次追って探して行く検索スタイルとは全く異なるアプローチをすることで驚異的スピードで検索出来る技術なのだということをどこかで見聞きしてはいたのだが（詳しい事は判りません…。違ってるかも）、「階層的なフォルダ整理の呪縛から解き放たれるということはすなわちフォルダによる仕分けなんてぇもんが要らなくなるという事だ」という観点にまで思い至らなかった。

　さて、ここで先ほどのCNETさんの記事をもう一度見てみると（長いけど以下引用。「マイクロソフト、Longhornの先行デモをスタート」より）。

LonghornにはTigerに似たところが数多くあるものの、それ以外にも同社が初めて実現した部分があることをAllchinは強調した。たとえば、アイコンは単にファイルの種類を知らせる手がかりではなくなり、代わってファイルの中身を縮小した画像になるという。そのため、たとえばWordファイルのアイコンは、1ページ目の様子を再現した小さな画像になる。またフォルダも、その内部にどんなファイルがあるかが見られるようになる。このような画像は比較的小さなものだが、何かを探している際に役立つ視覚的なヒントを与えてくれるとAllchinは述べた。

（http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20082811,00.htm）


　最初読んだ時は不覚にも「ほぉ、なかなかいいかも」なんて思ってしまったのだが、デスクトップ検索機能が確実なものであるならばそもそも「ファイルに視覚効果を持たせて何かを探す目安にさせる」なんてことはしなくていいはずではないか？

　確かに「視覚からでも探しやすく、更に検索機能も使える」というツープラトン攻撃はアリかもしれない。何かを探すのに一つの方向からだけでなく別の角度からアプローチするというのは有効な手段だ。一つ一つのアイコンが独自の画像になっているなんて見た目もオシャレで可愛いかもしれない。しかし、どうも技術そのものの存在理由を見失っているというか、技術が目指すところが統一されていないというか、「検索機能が不十分だから見た目からでも探せるようにせねば」「なんとかTigerと違う部分を作らねば」といった場当たり的思想による産物だと思えて仕方ないのはMac信者の穿った見方というものであろうか。

　（先日「Windowsに対してあまり低レベルな糾弾をするのはどうか」と言っておきながら、結局これもただの揚げ足取りのような気がしなくもないですね。ちょっと反省。でも「一枚一枚のファイルに独自の画像を当てたことによりOSが激重化した」なんてのは更に本末転倒ですからね、MSさん）

　＜追記＞
　「徒然想」さんの記事にトラックバックし忘れてました（汗）。
　　マイクロソフト、Longhornの先行デモをスタート　（徒然想より）