麗しの青林檎 -Marine & Silk-

AN OLD & A NEW MAC A NEW LEGEND ~だって俺、MACだもん~

PCI Extreme! を使うその前に(Radeon 増設記録その3)

2006年04月22日 | 増設改造の予定&記録一覧
 前回の予告をいきなり裏切ってしまいますが(汗)、PCI Extreme! のお話の前にまず Radeon 9200 を増設した直後の段階でやってみたことを先に書かねばいけませんね。

 一般に、わざわざ高価なグラフィックカードを買う目的はと言えばもちろんグラフィック性能をより高めるためなんですが、具体的に何をどうしたいのかっちゅー問題がありますよね。で、「とにかくベンチマークをあげたいんじゃ」というベンチマーク至上主義の方というのは流石に少ないでしょうから(笑)普通は体感速度の向上、つまり「2D性能をあげたい」とか「3D性能を高めたい」ってことになります。そこでまず3D性能が「体感上」どのくらい変わるのかテストしてみました。

 使ってみたソフトは、私が持っている数少ない 3D ゲームソフト(当然フリーの体験版:爆)である「NoLimits Simulator」であります(Windows版もあります)。3D 酔いする人や絶叫マシンがとにかくダメという人にはオススメできませんが、効果音と相まってデモを見ているだけで「その気に」なれるかなりお気に入りのソフトです。これまで CPU を300Mhz→350Mhz(ジャンパピンでアップ)→450Mhz(交換)とクロックアップしてきた際必ずこのゲームで体感速度を検証してきました。ATAカードでHDD性能を上げているので 300Mhzでも遊べないということはないのですがコースターが急激に落ちるような時にやはり描画が重くなるんですね。それが CPU のアップごとにちょびっとずつ改善され、現在の G3/450Mhz では「う~ん、やはり落ちる時にちょっと突っかかる感じがあるなぁ」というところでした。スピードが明らかに遅くて「重い」と感じるのではなくて、スピードを遅くしないように描画を端折(はしょ)っていると言いますか、「普通は1秒間に24コマのアニメを、高負荷の時には12コマに減らして全体のスピードを下げないようにしている」というそんな感じ。それが、450Mhzの今は16コマくらいに増えたかな、みたいな。

 で、Radeon 9200 の増設後はどうなったかと言いますと、その突っかかりが「微妙に」改善されたかなぁという感じです。ほとんど気にならなくなったんですが、コースターが落ちる時に画面をよ~く見るとまだ少し「突っかかっている」ということが感じられます。上の例えで言うと20コマくらい。

 因みにこれは余談ですが、実はこのソフトもう随分前にインストールしたにも関わらずこれまでずっとゲーム設定を弄らずに遊んでいたんですね。今回の検証で今更ながら実は色々設定項目があることを発見して、16ビットに設定されていたところを32ビットにとか背景を「Most」とかにしたりとかごちゃごちゃやっていたらこれまでよりはるかにリアルで細密なグラフィックになったんです。でもってその「超リアルになって明らかに負荷もこれまでよりかかるに違いない」設定で遊んでみたところ、それでも以前と体感上全く変わりませんでした。この設定のまま再び Radeon から Rage128 へカードを戻して検証すれば(そして Rage128 だと重くて遊べね~ってことになれば)Radeon のパフォーマンスがより一層明確になるんですが、面倒なのでそこまでやることは当分無いと思います(ごめんなさい)。

 体感上の3D性能に関してはこのくらいにして、ベンチテストもしてみましょう。OSX用の定番ベンチマークソフトと言えば「X bench」なんですが、このソフトはグラフィックに関してはかなり評判が悪いようで「Radeon の評価は他のソフトを使うか3Dゲームでの体感をもってせよ」というのが一般的なようです。1.1.3から1.2にバージョンがアップした際、ほとんど別のベンチアプリと言ってもいいくらいに計測方法というか出てくる数字が変わってしまったので「グラフィック関連も性能に見合った数字を出すように改善されたのかな?」と期待して一応計測してみたんですが、やはり X bench 上ではRadeon は Rage128 よりも低性能ということになっています(涙)。また、「CocoaBench」というソフトでも試してみましたがこれまた「X bench」同様増設後の方が数値が下がってます(更に涙)。

 そんなわけで今回のグラフィック性能の計測には「CINEBENCH 2003」を使用。計測終了までには相変わらず時間がかかりますが(苦笑)、Radeon 増設後は「おぉ、確かに3D計測画面(あの変な顔した変な奴が風船の豚飛ばしてる画面ね)が早く動いてらぁ」というくらいには3D性能がアップしていました。OpenGL の具体的な数値としては以下のように 1.83 から 2.62 にアップ。






 さて、3Dに関してはとりあえず向上していることが(ベンチは微妙ですがとりあえず体感上では)なんとなく分かりました。次に2D性能です。実は私が Radeon を増設しようと思った意図はコレでありまして、「グラフィックカードの性能は果たしてどこまで動画の再生に影響するのか」という事が知りたかったんですね。もちろん「動画の再生にはグラフィックカードの増設なんかより CPU 性能を上げる方がはるかに効果が高い」と思いますし、「しょぼいクロックの CPU では高性能のグラフィックカード増設したってむしろパフォーマンスは下がる」という話もどっかで読みました。しかし、それを承知であえて「しょぼいクロックの CPU に高性能のグラフィックカードという組み合わせでほんのちょっとでも動画再生の改善は得られるのか?」ということが知りたかったんです。

 で、結果。QuickTime や、Flip4mac のおかげで既に無用の長物と成り果てている(笑) Windows media player で重い動画を見てみたりしましたが、やはりというかなんというか特に体感上の改善は見られず。DVD再生に関しては、「ルーク篁 直伝 エヴォリューション・オブ・ギタープレイ(TAB譜付き)」というDVD(笑)で検証してみましたが、これも特に大きな変化無し。私はDVDを(この子で)見る時は基本的にフルスクリーンで見ますが、フルスクリーンで篁氏の顔や指のドアップを見ると、輪郭がかなりギザギザになるんですよ。あとギターの弦とか。止まっている時はキレイなのですが動くと、アンチエイリアスがかかっていないフォントとかかっているフォント(Windows ユーザーに喧嘩売るようで申し訳ないんですが分かりやすい例として、Windows の日本語フォントとMac OS X のフォント)の違いとか、昔の白黒ゲームボーイで止まっている時はキャラがはっきり見えるけど動くとぼやけるみたいな、そーいう感じなんですね。モニターの解像度なんかも関係してそうですし、まぁフルスクリーンじゃなければ気になるほど汚いってことはないんですけど。

 ここで補足説明。この Power Mac G3 にはもともとDVD再生できる機種とできない機種というのがありまして、グラフィックカード(Rage 128)にデコーダーカードっちゅーのがついている機種じゃないとDVDが見れなかった(らしい)んです、OS9までは。で、OSXになってからは「ソフトウェアデコード」だか「ハードウェアデコード」だかなんだか(どっちがどっちか忘れた)という機能(?)で、ハード的な問題でこれまで見れなかったDVDをOSの方でサポートしてくれちゃってるんで、グラフィックカードを増設したりデコーダーカードを付けたりということをしなくてもDVDは再生できてしまうんですね。ただし「デコーダーカードが付いているとより一層滑らかに再生される」という情報がありまして、デコーダーカードを付けたり Radeon を増設したりすればこの「フルスクリーンにおけるギザギザ現象」は解消されるのかな?と気になっていたんです。

 そんでもって結果。やっぱり変わらず。はじめは「う~ん、微妙にキレイになったかなぁ?」と思ったり、この前書いたように ATI Displays の設定(順応性インターレースがどうちゃらって奴)をオンオフしてみたりしましたが、「もしかしたらキレイになってるかもしんまい」程度にしか違いが分かりませんでした。

 最後になっちゃいましたが、最も注目すべき点であるファインダのきびきびさ加減とかジニーエフェクトの滑らかさ等についても特にRage 128 との体感差は感じませんでした(これについては次回補足事項アリ)。

 以上の事を踏まえて、次回は(次回こそ?)いよいよ「PCI Extreme!」の出番であります。

ATI Displays(Radeon 増設記録その2)

2006年04月20日 | 増設改造の予定&記録一覧
 Radeon 9200 のお話続き。増設後のシステムプロフィールはこんな感じ。



 Radeon 9200 と表示されるのではなく「RV280」などという聞き覚えの無い表示になる。なんか車みたいだなぁ。

 次に「ATI Displays」というソフトをインストール。以下面倒なので「ソフト」と記述。CD-ROMの中身は↓。



 インストール後はシステム環境設定の「その他」に追加されます↓が、他のものと違いシステム環境設定を終了してもこのソフトは Dock に残ります。環境設定から独立しつつ密接に関係もしているアプリって感じでしょうか。




 インストールしたら早速設定を色々と弄ります。まずはパフォーマンス。



 実はここがイマイチ悩むところです。というのは我が Yosemite はグラフィックの PCI バス速度が66Mhz。この Radeon 9200 PCI はバス33Mhzのいわゆる「G2」Mac と呼ばれる Yosemite より古い機種や、G3 であっても Yosemite 以前のDTやMTで使用している方が結構おられるんですね。で、そーいうMacだとここをオンにしてもあまり効果がないらしく、「よりバス速度の高い(速い)」機種でオンにしてこそ効果がある…らしいんですが、果たしてそれが我が Yosemite の66Mhzに該当するのかどうか???
 Yosemite 以後の Power Mac は一部(Yikes)を除いて AGP モデルですからそもそもこんなカードは使わないわけで、だとするとこのカードを必要とするマシンの中で最も新しいモデルと言ってもいいのがこの Yosemite なわけですから多分この「よりバス速度の高い」機種というのは Yosemite のことを指すんじゃないかなと勝手に思うことにしてとりあえずオンにしてます…がやはり思いとどまってオフにしてみたり、まぁ後でまた詳しく書きますがオンでもオフでもどっちでもかわんね…(略)。

 次に詳細設定の項目。



 よくわかんないんですがとりあえずオンとオフでDVDを見比べてみました。結果は…これも特にオンとオフで変わる気配無し。



 最後にディスプレイの細かい設定。画像↑はデフォルト状態です。一番上をオンに、二番目をオフにして後は変えてません。

 さて、とりあえず増設しソフトを弄っただけでは特に体感的な差は感じませんでした。次回はいよいよ「PCI Extreme」を使ってQuartz Extreme をオンにしたらどうなるか、詳細なレビューをお届けします。Radeon 9200 増設、果たしてその衝撃の結末とは!!!?

ATI RADEON 9200 MAC EDITION 到着!

2006年04月14日 | 増設改造の予定&記録一覧
 お正月に注文したRadeonがやっと入荷しましたよ~。うぅ、長かった。



 箱フェチの私にはたまらないこのかっこいい箱。これは開封前の写真ですが、開封時にシュリンク(って言うんですっけ、外装フィルム)を箱が開けられる必要最低限しか切ってないので今でもパッと見新品状態でございます。初めてこの箱(の写真)見た時に一目惚れしたんですよねー。ってかRadeonシリーズの箱はみんなかっこいいよなぁ。しかし中身の割に箱デカイぞ。こんなにデカイとは思わずオイラびっくり(あ、比較対象物も撮ればよかったな…)。



 中身の写真。静電気防止の袋は増設後にそれまで使ってたカードを入れられるのがいいですね。ただ考えたらどうせ縮小するんだしこんなよくわかんない写真よりむしろ付属物をどーんと撮っておけばよかったな…S端子ケーブルとか変換コネクタとか色々付いてるんですよ。ケーブルは早速リビングのDVDプレーヤーに使用(笑)。

 

 増設後の写真です。あ、増設前とかカード外したとことかも撮ればよかった(って後悔ばっかりやがな)。このブログで記事にしようしようと思いつつなかなか書けない、自分で取り付けた市販ヒートシンクファンがなかなかオサレでしょ(いや、おもいっきり普通すぎだぞ…)。

 それにしてもやはりハード弄りは緊張しますね。静電気除去をとにかくマメにやりつつ決して力を無理に入れないことを念頭に置けば大丈夫だとは思いますが、怖いです。根元までしっかり入らなくて「もちつけ、もとい落ち着け」と何度もくり返しながらおっかなびっくり(笑)。

 説明書にはまずカードを増設する方法が書かれ、その後にソフトウェアをインストールすることが書かれているのでその順番でいいんだろうとまず増設からやりました。で、最初の設定だと解像度800×600に設定されているみたいなんですよね。いつもは1024×768なので突然画面にでっかい林檎マークが出てきた時は一瞬ビビりました。「もちつけ…」と呟きつつくるくる回るヒマワリのようなマーク(って言えばMacユーザーにはわかりますよね)を見ていたら突然回転がピタっと止まったんです。「も、も、もちつけ…」と言いつつこれは結構焦りました。ちょっと待っていたらその後普通に起動しましたけど(笑)。因みにこのカード増設後は必ず起動時にヒマワリの回転が止まってから起動画面になりますね。ってか前からこうだったっけ?

↓因みにヒマワリマークとはコレのこと。


 で、現在各種ベンチマークなんぞをそこはかとなく取りつつ、3Dゲームなんぞを試しつつ、こちょこちょとレビューのネタを溜めております。使用感等はまた後日ということで今日はこの辺で。

こりゃ便利! アイコンファイルを画像ファイルに一発変換するソフト

2006年04月10日 | Tips
 例によってまた長話になりそうなので「ごたくはいいから早く教えろ!」というひとのために初めにダウンロード先にリンクしておきます(苦笑)。

 IconExporter(AYNiMac)

 以下、駄文におつきあいして頂ける心優しい方、よろしくお願いします(笑)。

 Macでアイコンを変える方法は割と有名…というか、ちょっと検索すればすぐ見つかります。で、例えば↓こんな感じで、HDDアイコンをフリーのアイコン素材を使って変更したりできるわけですが(HDD名を見て思わず笑った貴方は同じ穴の狢ってことで。←ってか同世代)。



 ただ、このようにHDDアイコン等を変える目的で配布されているようなアイコン素材って、画像ファイルじゃないんですね。右クリック(コンテクストメニュー)で「情報を見る」と、書類ファイルってことになっていて拡張子も無ければ「プレビュー」で開く事もできません。

 で、実はMacにスイッチしたての頃に「iChatやMicrosoft Messengerでこういうアイコン使いたいんだけどなー」と思ってみーにゃさんに相談したことがありましてですね、その時みーにゃさんに三つ程のアイコンファイルをPhotoshopにてjpgファイルに変換してもらったんですよ。

 それから一年あまり。再びinterfacelift.comにお出かけしてまたまたかわいいアイコンを物色したりDLしたりしてですね、そういえばこれはたやすく画像ファイルにできないシロモノだったと思い出しまして。「情報を見る」のプレビュー画面をそのままキャプチャーすればいいんじゃん?と思いついて試してみたら「情報を見る」の画面では背景に変な横線が入ってるし…。で、「そういえばみーさんはPhotoshopを使っていたぞなもし。ってことはPhotoshopと同じ事がほとんどできるGIMPならアイコンファイルも開けるかもしんまい」と思って試してみたんですよ。そしたらこれがダメ。GIMPはPictファイルを読む事はできるみたいなんですがどうやらこのアイコンファイルというのはPictファイルでも無いらしい。拡張子を足してごまかそうとしてもダメ。「フォトショキラー」のGIMPでダメならと、「イラレキラー」のスーパー無料ドローソフト(爆)「Expression 3」でも試してみましたがやはりダメ。途方に暮れつつ色々と調べていましたら、どうやらこのアイコンファイルは実は拡張子が「.icns」というもので「X code」っつーもんをインストールしないと扱う事ができないみたいなんですね(「Icns Browser」で見たり「Icon Composer」で作ったりするらしい)。

参考:あさおかホームページ さん(「勉強部屋」にアイコンの説明)

 「えぇ~、HDDの容量も最近かなりやばいしそんなもん入れたくないよぅ~、でもそうなるとPhotoshop Elementsの体験版でも入れるしかないかなぁ。どっちにしてもアイコン画像変換のためだけにそんな大層なもん入れたくないんだけどなぁ」と思って更に調べていたらですね、先日ようやく「Heartfield」さんでこの「IconExporter」が紹介されているのを発見したわけなんです。早速使ってみたらこれがもう今まで色々GIMPと格闘したのはなんだったんだというほどあっけなく一瞬でアイコンファイルがjpgに早変わりです。TIFFにもPNGにも出来ます。サイズは16(×16。以下略)、32、48、128が選択でき背景色を付ける事も可能。いやーもう必要にして充分な機能を備えたすんばらしいソフトです。大拍手!!!

 え? iChatやMicrosoft Messengerでどんなアイコンを使いたいんだですって? やだなぁもう決まってるじゃないですか。可愛いうちのMarineちゃん(Power Mac G3(B&W))アイコンとか奇麗な青林檎のアイコンですよっ!

Boot Camp 発表による不安と淋しさ

2006年04月06日 | NEWS!
 Infoseekニュースみておったまげました。

 マックでもXP作動、アップルが試作ソフト公開 (読売新聞)

 タイトルで「あ、あの話かぁ」と思ったらなんとどっこい、Mac上でXPを動作させる「ブート・キャンプ」なるソフトをAppleが開発したそうです。

 News Release アップル、Boot Campを発表

 最近IntelMacにXPを入れて云々って話で各所盛り上がってましたが、もういい加減Appleがこの世間の流れを無視できなくなって自ら動いた、というよりはまず間違いなく「最初からその気でこれまでの動向をせせら笑って見ていた」んでしょうね。うぅーむ。まさかApple自らがソフトを出すとは、恐るべしジョブズ。


さて、とりあえず↑こんだけ書いて寝ようと思ったんですがこりゃ眠れませんわ。もう徹夜覚悟で追記します。色々とこの情報について書いているブログを拝見しているうちに思ったこと。

 それは、「ちょっとした淋しさ」と「わくわくの終焉」。元々私はMacとWindowsのデュアルブートってそれほど興味が無くって、Macを起動した状態でWindowsを使えるVertual PC とかMac上でWindowsのアプリケーションを使えるDarwineとかの方がよっぽどそそられる話だったわけです。だってめんどくさいじゃないですかいちいちブートしなおすのなんて。

 で、私も思わずこのニュースには興奮してしまいましたが落ち着いてよく考えてみるとですね、この報に狂喜乱舞して「うわーんIntel Mac買わなきゃー」とか「XPのパッケージ版買わなきゃー」って思ってしまう人がたくさんいるというのはやっぱり、それだけ「Windows XP が必要とされている」世の中の状態を示すわけですよ。MacユーザーであってもXPを使いたいっていう人、もしくは使わざるを得ない人がまだまだゴマンといるわけですよ。

 このブログで度々書いていますが、私はWindowsのシェアを減らしたくて仕方ない人なんです(苦笑)。というのはどういうことかというと、少なくとも「パソコンを買おうという人が、まずWindows搭載のパソコンを買うのかどうか選択してから購入する、という世の中になって欲しい」っちゅーことなんです。

 元々私は「使えりゃーいいじゃんがたがたうるさいな」というタイプですので、自分の意思でWindowsを選んで使用している人にとやかく言う気は全くないんですが、世の中の大部分の人ってWindowsを「選んで」買ったわけでは無いと思うんですね。今はWindows搭載マシンを買う事=「ぱそこん」を買う事になっていて、選ぶのはせいぜいSONYのにするかパナソニックのにするかそれとも自作するのか、みたいなことだけです。お店にいって初めてパソコンを買おうっていう人はそもそも「Windowsじゃない別のOSが入っているパソコン」なんてものがあることさえ知らないんじゃないでしょうか。私はこれが怖いなーと思うわけなんです。このマイクロソフト一色の世の中が怖い(同様にiPod一色の世の中もちょっと怖いんですが、少なくともiPodに関しては「携帯型音楽プレーヤー」のいくつかある選択肢のうち本人の自由意志でiPodを選んでいるのが大半であって「iPod以外のものがあるなんて知らなんだ」って人はほとんどいないと思うのでWindows的な怖さはありませんね)。

 仕事でWindowsが必要な人、会社でWindowsを使う必要のある人は会社で使うとして、家に帰ったら家のコンピュータは仕事用とは違う奴がいいんじゃないかなぁというのが私の感覚です。だからイラストやデザイン関係の仕事でMacを使っている人が家(自分の趣味用)ではWindowsを使いたがるというのも分かります。しかし一般的に言ってやはり、事務・業務用コンピュータ=Windows搭載機 家庭用パーソナルコンピュータ=Macというのが、インターフェイス的な面でも個人的には最もしっくりくるスタイルだと思うんですよ。ドックアイコンがぐわんとでかくなったりウィンドウがうにょ~んとドックから出てきたり、ウィジェット使って波紋がぼよんぼよんするなんてのはやはり「業務用」より「家庭用」って気がするじゃないですか(笑)。傍から見れば遊んでるようにしか見えませんよMacOSXは(爆)。

 で、まぁそういうわけで「少なくとも家庭用のコンピュータとしてMacがもっと普及してくんないかな」と思う事は思うんですが、先ほど言った「なんだって普通に使えればそれでいい」という気持ちもあるので家庭用コンピュータとしてWindowsマシンを積極的に自由意志で選んだ人には何も言うつもりはありません。ただ「盲目的にWindowsを選ぶことしか許されない・ありえない」という世界の状況はもう少しなんとかしたいなと思うんです。前述のように(見た目とかセキュリティ面とか考えると)、私は家庭用・お遊び用のパーソナルなコンピュータとしてはMacは最高のものだと思うんですが、現実はそうじゃないわけです。どーいうことかっちゅーと、家庭用・趣味用のコンピュータが何を求められるかというとそれはやっぱりインターネット上のサービスなんですね。金融機関が対応しているかどうかとか、オンラインゲームが対応しているかだとか、ストリーミング配信されている映像が見れるかどうかとか、どんなOS(とブラウザ)で見てもレイアウト崩れないようにWebページ作ってくれてあるかどうかとか、家庭用コンピュータには結局そーいうことが重要な要素なわけです。ここが弱いというのは「趣味用パソコン」としては致命的で、もし私がPCショップの店員だったら私はお客さんにMacを強く薦める事ができません。「アンタがいいって言うからMac買ったけどネットのサービスやゲームほとんど使えねぇじゃねーかこの野郎」って言われたら返す言葉が無いからです(まぁ現実にはもちろんMacを薦める前にどういうことをしたいか一応確認するとは思いますけど)。

 でもって、この状況を打破するにはどうしたらいいかっていうとやっぱりこれはWindowsのシェアを減らすしかないわけですよ。PCショップに行って、バイオかプリウスかを決める前にまずそれはWindows搭載マシンなのか別のOSが載ったマシンなのかを判断して決める世の中にならないと、ネット上のサービスでWindows以外のOSにも対応させようなんていうことはなかなか「当たり前」にはならないと思うんですよ。また、これも何度も過去に述べていますが私はWindowsの牙城を崩せるのであればそれはMacじゃなくてもいいと思ってます。そもそも「Windows以外のOSが入ったコンピュータ」をお店で買おうと思ったら、ハードOS全て込みのMacintoshを選ぶ以外選択肢が(まず)無いという現在の状況もまた異常と言えば異常です。Linux等のWindowsでもMacでもないOSがシェアの30%くらいでMacは20%、Windowsは50%(でも家庭普及率はMacがトップ)みたいな世界が個人的に最も理想です。Macは孤高のマイノリティである方が嬉しいっちゃー嬉しいんで(笑)。そういう世の中であれば、Web上のサービスはMacやWindows以外のOSを無視することもなくなり、少なくとも家庭用マシンとしてはMacはトップにすら立てるんじゃないかと(むしろそーいう世の中なら私は色んなOSを使えることを礼賛して抵抗無くWindowsも使うと思います)。

 で、ですね。そういう世の中にするためにはこれはもう「意図的にWindowsを使わないに限る」と、これは私の極めて個人的な判断ですが、思ったわけです。例えばここにWindowsマシンとMacがある。自分は両方を所有している。ストリーミング配信がMacでは見れない、Windowsを使えばすぐ見れる。と、ここで「じゃあWindowsをつかおっと」というのはなんだか「負け」のような気がするのです。両方を所有してどちらかができないことはもう片方にやらせる、というのはおそらく最も好ましい機械の使い方だと思うんですが、そこで簡単にWindowsを使ってしまうといつまでたっても「Windowsを使わなくてもいい」とか「Windows以外のものにもネット上のサービスが対応してくれている」という世の中はやってこないぞ、と。だから私は歯を食いしばって「とりあえずMacで出来ないか頑張ってみる、それでダメなら(Windowsマシン持ってても)諦める」という姿勢をなるべく頑張って貫いているわけです。

 さて、やっと話が元に戻ってきましたが、このニュース。これはつまり、Appleの事実上の敗北宣言と言えるのではないかとさえ思えてきたのです。「Windowsでしか出来ない事はどうぞWindowsでやってください」と。「Macを使っていてWindowsにしか出来ない状況が来たらブートしなおしてWindows使ってね」と言うのは、やっぱこれは負けですよ。こうなると、Web上のサービスは全くMacに対応しようとしなくなりますし、ソフト会社もWindows用のアプリケーションしか販売しなくなります。現にPhotoshopなんかはユニバーサルバイナリ化が困難ということで、これでもうMac版の販売は打ち切られるんじゃないかとすら思えます。「Mac(OSX)で無理ならMacにWindows入れて使えよ」と。そしてそれをApple自らが言う事。私がMacを使うようになって一年数ヶ月の間、必死で「Winで出来てMacで出来ない事」を一つでも減らそうと、なんとかMacで同じ事はできないかと頑張ってきたり、泣く泣く諦めたりしたことはなんだったんだと思うとなんだか悲しいというか。XP on Mac を喜ぶ人がいればいるほど、まるでOSXがWindowsに完敗したかのような淋しさを、OSX大好きっ子(子じゃなくておっさんだけど)の私は感じてしまうのです。

 もう一つは、その淋しさに伴ってわくわくも無くなってしまったことです。先に述べたDarwineというプロジェクト、これはMacOSX上(Darwin上)でWindows用アプリケーションを動かしてしまおうというもので、今後の動向に期待大のものでした。まだようやく芽が出てきたばかりという感じですがこれがもし実現すればWindows用の膨大なフリーウェアが使えることになります。まぁそうなると「Windows用のフリーゲームをMacに移植したい」なんていう私がプログラムのお勉強をする動機すら無くなってしまうんですがそんなものはいいとして、これは非常にわくわくさせられるプロジェクトでした。私はWindowsというOSには魅力を感じませんが、Windows用のフリーウェアには面白いものや役立つものが多くあり、それらをOSに(というかWindowsに)依存する事無く使えるのであればそりゃもうとにかく非常に便利で素敵です。デュアルブートなんかよりよっぽどいいです。ところが、今回のこのAppleの「無理しないで必要な時はWindowsを使いたまへ」という態度は、このプロジェクトチームのやる気をなくさせるのに充分なのではないかと危惧してしまうのです。Darwineばかりではありません。これまでに思い描いてはわくわくしたような未来、例えばWindowsのシェアがどーんと下がるとか(爆)、Web上のサービスが当たり前にMacに対応してくれるとか、そういうことやらなんやら全てが「使いたいならWindowsを使え」というAppleのこの態度で失われてしまったというか。

 結局のところ、MacとWindowsと(そして時にはUNIXも)を使える環境というのは、最も恵まれ求められている環境なんですね。「別になんだっていいんだよ普段普通に使えれば(やりたいことがやれれば)」という人、これまでも何の抵抗もなく必要に応じて両方使っていた人にとってはこれ以上の朗報はおそらく無いわけですし、それが現在求められている世界の姿でもあり、そうすることが「最も賢く合理的な機械の使い方」なんでしょう。ただ、それがこれほど世間に求められ受け入れられているものなのだなと。どうしてもWindowsを使う必要がある世界というのはもはや避けられないものなのだなと。そして他ならぬAppleが、ジョブズが、「そのような世界こそがこれからのあるべき世界の姿」として認めてしまったのだなと思うと、なんだかとっても淋しく思えてしまうのです。