宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(13) パクト星域

2012-09-23 | Traveller
 ヴィラニ・メインは飽きたのでそろそろ新しい土地に向かうべき時期かと思い、今回はグシェメグ宙域の隣にあるダグダシャアグ宙域を紹介したいと思います。
 このダグダシャアグ宙域、日本語化された資料では「ルカンとデュリナーにボコボコにされた所」以外のイメージがわきませんが(汗)、実際、公式に発表されたシナリオ等の舞台になったことは私が知る限りではほとんどなく(巡洋艦Arrival Vengeanceが通過した程度?)、グランドツアーでアキッダ一行が訪れなかったのもあって、大多数の方には未知の世界ではないかと思います。
 しかし、実はこの宙域も、HIWGメンバーによる「Dagudashaag Development Team」が80年代末~90年代に膨大な設定を起こしており、その成果はファンジン『Signal-GK』誌にまとめられました。その量たるや、GURPSの『Behind the Claw』が出るまでは、宙域内全星系の設定があるのはダグダシャアグだけだった、というほどです。また、星系設定以外にも、知的種族、異星生物、企業といったものからスポーツ、噂話に至るまで、きめ細かく設定がなされています。
 残念ながら、現在では1星域分の資料が丸々消失してしまっているのですが、それでも15星域分の資料の量は現在でも最大級のものであり、スピンワード・マーチ宙域やソロマニ・リム宙域にも引けを取りません。
 2010年に『Signal-GK』誌は電子復刻されましたが、第6号のみが長年未公開のままとされ、1星域分の情報を得ることができませんでした。しかし2017年4月に突如その幻の第6号が復刻され、同年6月には全ライブラリ・データをまとめた『Encyclopaedia Dagudashaag』も公開されて、16星域分の情報が完全に揃いました。その情報量は最大級であり、スピンワード・マーチ宙域やソロマニ・リム宙域にも引けを取りません。
 今回はそのダグダシャアグ宙域の概要と、宙域首都メドゥーマを含むパクト星域について解説したいと思います。


 ダグダシャアグという名前は、古代高ヴィラニ語で「銀河辺境方面州(Rimward Galactic Province)」を意味するダククガ・グリケ・デュシャアグ(Dakhukhuga Gulike Dushaage)から来ています。これは、この宙域がそれだけ昔から定住されていたことを示しています。
 この宙域は銀河史において、植民と征服の多くの「波」をかぶってきました。レムナント星域のとある星系からは4000万年前の人工物が発見され、デネブ領域ほどではないですが太古種族の活動の痕跡もいくつか見受けられます。爬虫類の知的種族であるスムリイ(S'mrii)は、約27000年前に宇宙飛行を成し遂げ、紆余曲折を経て1万年前にヴィラニ人によって接触される頃には、ミムー星域に繁栄した恒星間国家を作り上げていました。そのヴィラニ人は-8300年頃から本格的に進出を始め、-4000年頃にはマアギシイン星系(現在のカンディ(2119))を州都としていました。やがてやって来たソロマニ人による入植活動は、ミムーからメドゥーマ、アルギにかけて強力な経済の「軸」を築き上げ、現在でもその生産力のかなりの量をグシェメグ宙域やザルシャガル宙域の発展途上星系に輸出しています。ダグダシャアグ宙域はヴランド領域の産業の中心であり、そのGSP(宙域総生産)はヴランド宙域を上回っています。

 ダグダシャアグ宙域には3つの「メイン」があります。ヴィラニ・メイン(※宙域図の桃色)は宙域の端のミムー星域やシャロウズ星域を通ってグシェメグ宙域方面に流れていきます。またヴランド宙域からリラドゥ星域を抜けてコア宙域方面にも向かいます。そのヴィラニ・メインに隣接するように、宙域の大動脈であるメドゥーマ・メイン(※宙域図の紫色)が走っています。ダグダシャアグ・メインとも呼ばれるこのメインは、宙域内の7つの星域首都及び宙域首都メドゥーマを結ぶ、最も重要な通商路です。そして最後に、宙域のトレイリング方面から帝国首都キャピタルまで通じるシレア・メイン(※宙域図の緑色)があります。

 宙域を初めて訪れる人がここをイメージする色は「灰色」でしょう。特徴のない工業地帯の色、そして真面目くさったヴィラニ人の色です。しかしそれは真実ではありません。ダグダシャアグ宙域には様々な色彩があります。メドゥーマの華やかで迷路のような都市、ウシュラの浮遊する夢の国、レナシュウクの硫黄火山、ゲイトウェイのマクロエンジニアリング、カウルガの未踏の平野…。
 そしてダグダシャアグ宙域の社会構造も同様に変化に富んでいます。どこの宇宙港でも、スムリイの歯擦音に、ジアッド人(Ziadd)の縞の入った顔立ちに、スキャニア人(Scanians)の鋭い目付きに、高価な服装をまとったアスランの商人に、遭遇することができます。ヴィラニ人の統合戦争以前からの緊張関係とライバル心は様々な集団に存在し、現在の宙域にも影響を与えています。

 宙域公爵家であるヴィイサリカア家の現在の当主はメドゥーマ公ラージス4世(Duke Raegis Viisarikaa IV)が務めています。彼の後継者には娘のカリン(Karyn Dea Viisarikaa)がいますが、まだ15歳と若く、彼自身も世代交代にはまだ早すぎる年齢です。
 ヴィイサリカア家の歴史は古く、暗黒時代の最中の-401年に「メドゥーマ協約(Medurma Pact)」の摂政であったアントン・ヴシュレイカー(Anthon Vusuraykhar)にまでさかのぼります。ヴィイサリカアの名は、このヴシュレイカーがヴィラニ語化したもので、今でもヴィイサリカア家の人は先祖のソロマニ人の特徴を受け継いでいます。
 90年にメドゥーマ星系が第三帝国に併合され、274年に宙域首都に指定されると、かつての摂政家であったヴィイサリカア家がそのまま宙域公爵家として取り立てられました。また内戦時代の615年には、ジュリアン・ヴィイサリカア(Julianne Viisarikaa)が当時の「自称皇帝」カール1世を打ち破り、クレオン5世の即位に貢献しています。


パクト星域 Pact Subsector
 パクト星域は、ダグダシャアグ宙域で最も人口密度が高く、技術の進んでいる地域です。帝国のある経済学者がかつて「ダシ(1723)とクスグルー(2525)とアルギ(1431)を結ぶ三角形(※この星域の大部分が含まれます)は、最強の工業地帯である」と発言したほどです。またコア宙域とグシェメグ宙域間の大多数の交通はメドゥーマ・メインのあるこの地域を通り抜け、同時に恒星間通信の拠点でもあります。
 メドゥーマ政府の開放貿易の方針により、最先端技術が「漏れ広がって」いきました。よって、キャンベル(1722)からディパ(2223)にかけてのメドゥーマ周辺の星系(メドゥーマ・スフィアとも呼ばれます)は、大部分がTL12以上(貿易分類の「高技術」世界)となっています。
 なお星域名は、暗黒時代のこの地に存在した小国家「メドゥーマ協約」に由来します。
 メドゥーマ協約は、-524年にメドゥーマとディパの両政府の合意によって設立され、やがて現在のパクト星域の多くが加盟した恒星間国家です。絶頂期にはTL11を誇っていた協約でしたが、軍国主義に傾倒していたことが没落を早めました。-250年頃からメドゥーマ協約は周囲と断続的に衝突を続け、特にリムワード方面のアアカリ帝国(Aakhri Empire)との奴隷戦争(Slaver Wars)によって経済的に疲弊し、-10年に滅亡しました。

 パクト星域には39の星系があり、総人口は898億人です。最も人口が多いのはディパの700億人で、最も高いテクノロジーレベルはメドゥーマの16です。また全星系が帝国の傘下にあり、星域艦隊として帝国第209艦隊が配置されています。


キャンベル Campbell 1722 B99A200-E W 海洋・高技・低人・非工 G Im
 キャンベル軌道上の施設は、パクト星域とウシュラ星域間の重要な通商の交差点の役割をしていることで有名です。しかしこの星系は、ほとんど知られていないもう一つの重要な役割があります。
 キャンベルは宙域で最も大きい廃棄物処理場です。ダグダシャアグ中の危険な化学製品などのゴミは、リサイクルや最終処分のためにここに送られます。キャンベルの厳しい寒さと安定した環境は危険物を保管するには最適で、処理場は小規模の家族企業によって運営されています。

ダシ Dashi 1723 C15098B-E 高技・高人・砂漠・貧困 G Im
 珪素の砂漠の世界であるダシは、地元では「企業連合(Combine)」として知られている、7社のメガコーポレーション(ナアシルカ、マキドカルン、デルガド、スターンメタル、LSP、SuSAG、インステラアームズ)の共同体によって運営されています。惑星では水耕栽培が営まれ、星系内のガス惑星カルトラ(Kaltra)のリングから氷を採掘し、徹底的な水のリサイクルを行っていることもあって、水や食料は自給自足が可能となっています(それでも水は貴重なので「水税」があることに旅行者は気をつけてください)。数十億の人々は、大きなガラスで築かれたピラミッド都市や、開発された洞穴の奥に住んでいます。
 惑星のその小ささと当初資源がないと思われたことから、ヴィラニ人にシュドゥ(Shudu)と名付けられて以後、第二帝国期に至るまで星系は無視されていました。やがてメドゥーマ協約がここに前哨基地を建設すると純度の高いプラチナと金の鉱脈が発見され、星系はにわかに活気づきました。当初はガスジャイアントのリングから氷を運んで水にしていた業者だけが儲かっていましたが、彼らがその利益でピラミッド都市を建設して電子機器の製造を始めると、色々なメガコーポレーションが地元企業を買収する形で進出を始め、やがてこれらの巨大企業は星系の実権を握るようになりました。そしてアルギ星域やサファイヤ星域からユーラシア系ソロマニ人の安い労働力が集められ、100年後にはダシの製造業は、安い立体テレビやホロレコーダーなどで、帝国内の市場を席捲するようになりました。
 485年にシュドゥは権力闘争の主戦場となりました。暗殺によって皇位を奪ったクレオン4世が、その皇位継承を認めなかった宙域公爵タレク・ヴィイサリカア(Tarek Viisarikaa)を追放し、代わってヒムウ・アサリア(Himuu Asaria)を宙域公爵に任命した際、逃亡した「元宙域公爵」が潜んでいるという誤った判断によってシュドゥは核攻撃を受けました。この結果、センニイ市(Sennii city)の3200万人以上が死亡し、完全破壊された都市はガラスの荒野と化しました。この惨劇を忘れないために、星系名はテラの日本語で大量死を意味する「ダシ」と改められました。
 現在でも主な輸出産業は、簡単に手に入るシリコンや他の金属、そして乾燥気候を生かした、多種多様で安価な電気・電子機器とその構成部品の製造です。商店には安い電子商品が溢れ、社会文化や慣習はとても開放的なため、ダシは短期滞在先として人気を集めています。

ニュー・タイタン New Titan 1726 CAAA772-B S 海洋・非水 G Im
 ニュー・タイタンの大気は主にメタンから成っています。そのため、旅行者は爆発を防ぐために慎重に行動しなくてはなりません。
 惑星では部族ごとに海藻のようなハヴァンギイ(Havangii)を収穫し、輸出のためにそれを布に仕立てています。

エクグシュ Ekhugush 1728 A63898A-D N 高技・高人 G Im
 常に同じ面を主星に向けているこの惑星の大部分の陸地は、薄暮帯と夜側にあります。ここの経済はビジネスやコンピュータのプログラミングや金融取引に特化されています。
 地元の大学は金融関係やブローカーの育成の手腕の高さで有名で、額に特徴的な3本爪の刺青を入れたエクイ(Ekhui)として知られている卒業生には、多くの需要があります。
 ハン家(House of Han)は、エクグシュを拠点とする宙域規模証券会社を所有し、高い〈ブローカー〉技能を持って卒業するエクイを主に雇用しています。支社はダグダシャアグ宙域中のA・Bクラス宇宙港に、提携企業はCクラス宇宙港に存在します。

ウシュメギリ Ushmegili 1729 D86A204-A S 低人・非工・海洋 G
 この海洋世界は、多くの特徴がサラッサ(2127)と共通しています。使える土地の少なさは宇宙港の拡張を制限し、理想的な大気にも関わらず、惑星の気候は人間の居住には不向きです(平均気温は-37度で、赤道地方の夏でようやく20~22度となります)。
 ここの居住者は、帝立メドゥーマ大学(Imperial University of Medurma)惑星物理学部の研究者と偵察局の職員で、「ウシュメギリの環」の共同調査を行っています。これは海底にある同心円の地形で、クレーター状の陥没の中心から均等な間隔で隆起が形成されています。これらの形成時期や起源、そして(あるとすれば)目的については謎のままです。

イアシュ Iash 1730 D203462-A 真空・非工・氷結 G Im
 イアシュはガス惑星グワーム(Gwaahm)の衛星です。最初の探査でランサナムの豊かな鉱脈が発見されたという話を受けて、一攫千金を狙った何千もの鉱夫たちがここに群がりましたが、実はそれは嘘であったことが判明して、結局彼らは全てを失いました。

アイアイヤル Aiaiyal 1821 A572845-E 高技 Im
 この世界は、メドゥーマに定住したアスランの第二世代の入植地として-877年に開発が始まりました。現在ではハイテクエレクトロニクス技術とコンピュータシステムの主要な輸出元であり、アオスペース社(Aospace)の乾ドック(宇宙船の製造・整備施設)があります。
 アイアイヤルは、アスランと人類がそれぞれ特徴的な文化を維持しつつも、平和的に協力しあっている理想的な例です。
 アオスペース社は、帝国に定住したアスランのアオハライ(Aohalai)氏族によって運営される宙域規模企業です。メドゥーマ・メインを中心に運行を行っている同社は、1000トン以下の105隻の船を所有しており、その全てが武装されています。

ブラドリー Bradley 1822 A246200-D N 高技・低人・非工 G Im
 ブラドリー星系は、第三帝国初期にメドゥーマ・メインでの海賊行為を防止するために建設されたデベイアー(Debeyer)海軍基地を起源としています。基地は現在、小さいながらも修理と補給機能を維持しています。また、伴星の赤色矮星バサ(Basa)の発する「雑音の多い」電磁波の環境下で、新しい宇宙船探知と通信システムの研究が行われています。
 ウシュラ(ダグダシャアグ宙域 1016)企業のテラテック社(TerraTech,LIC)は、惑星改造実験のためにここに約100人のスタッフを送り込んでいます。

イイニル Iinir 1823 A457885-D 高技 G Im
 その人口の数にも関わらず、イイニルは現代の「エデンの園」と呼ばれています。
 全ての都市は海中に建設され、陸地は全くの未開発のままにされています。この星の野生生物は皆、ヒトの血液にアレルギー反応を示すため、動物たちは人類もしくは2本足で立って歩く者を襲うべきではないことを学びました。観光客は、全長20メートルの肉食動物ヘキエー(Hxieh)の近くでも安全に歩いて行くことができます。また、この惑星には訪問客を悩ませる虫の類も存在しません。

カムギキイク Kamgikiik 1824 C43655A-C 高技・非工 G Im
 カムギク(Kamgiks)はとても保守的でおとなしい、生命を尊ぶように見える知的種族です。しかしカムギクが同胞の肉を食べるという事実は、他世界の人にショックを与えます。
 (しばしば何日も続く)葬儀の間に、彼らは骨をすり下ろし、肉を食材に混ぜ合わせて、料理された遺体を食べます。訪問客もさほど重要でないとされる部分を食べることで、この饗宴に加わることになっています。
 「肉」を口にした若者は、その食べられた者の名を引き継ぎます。この習慣は性別を考慮しないため、カムギクの女性の多くには男性名が付いており、その逆も当然あります。

プルギール Pr'Geehr 1829 B383435-9 S 非工 G Im
 プルギールは濃密な大気を持つ小さな寒冷の世界(平均気温は-9度)です。初期のヴィラニ人の探査は、群小種族ギールターエ(Geehrtahe)の存在を見落とし、惑星自体も投資を集められるような資源を持たず、さらに低重力が植民地化を阻みました。ギールターエの発見までは、この星は何の特徴もない小さな惑星と思われていました。
 ここを訪れる全ての旅行者は、着陸の前に完全な検疫を受けてからようやく入植者と接触することができます。
 ギールターエは、全長2メートルほどのトカゲのような狩猟採取知的種族です。彼らはプルギールの熱帯・亜熱帯にある、高さ50メートルの樹木状の植物相が織り成す天蓋の上に住んでいます。彼らは帝国の第一期探査(First Survey)まで発見されず、それ以来帝国偵察局はギールターエ文化の外部からの干渉を避けるために、星系内に基地を維持しています。ギールターエはゲイトウェイ星系(ダグダシャアグ宙域 1331)の伝説上の翼を持つ生き物「タンスイ(Tansui)」に似ており、ギールターエは何者かによってゲイトウェイから移されたのではないか、と考える人もいます。しかしこの説は大多数の知的生物学者(sophontologists)によって否定されています。

クラン・ホーム Clan Home 1830 D789535-5 低技・非工 G Im
 この星系は-1060年にグシェメグ宙域からのアスラン移民によって入植されましたが、入植地は自立した技術基盤を確立するには小さかったため、暗黒時代の間には工業化以前の技術水準に後退しました。さらにアスラン文化に対する偏見は世界を孤立主義に転向させ、第三帝国の時代になっても恒星間社会から自発的に孤立していました。
 しかし1100年現在、クラン・ホームは試験的にゆっくりと再工業化への道を歩み始めています。この星系への旅行者は、「カルチャーショック」から地元の人々を守るために帝国偵察局技術輸入制限令(IISS technology import restrictions)が施行されていことをあらかじめ認識しておく必要があります。

ノー・ホープ No Hope 1924 B341699-D S 高技・非工・貧困 G Im
 この星系は当初はヴィラニ語で「美しい」を意味するノコピイ(Nokhopii)と名付けられていました。実際、惑星は美しい自然で満ち溢れていました。
 しかし1万人のヴィラニ人入植者は、建物だけを遺して跡形もなく消え去りました。入植地の有機物も全て無くなっていました。第2の入植地も樹立されましたが、これも消えました。この時は住民が消えた時期を夏の3ヶ月間と特定することができました。
 やがてこの星系は不気味がられるようになりました。いつの間にか名前も似て非なるノー・ホープと変わり、756年にICE社が全てを記録するための研究所をここに作るまでは放置されたままでした。
 研究によって判明したのは、夏になって気温が上昇すると、肉食性の虫が地表に大量繁殖していたのです。かつての入植者たちにはそれを回避する手段がありませんでした。
 その後、その虫を絶滅させるよう命令が下り、それが成功した後にようやく植民地化は成し遂げられました。
 元々はテラの鉱業会社だった欧州インジウム社(Indium Corporation of Europe)が、初期のソロマニ人移民と共にパクト星域へ移転したのを起源とするICE社は、パクト星域からウシュラ星域にかけて広く鉱山を建設しました。主に露天採鉱技術を用いる同社は、地元市場の搾取的な操作と従業員への過酷な待遇で知られています。

シャキイ Shakhii 1926 A200697-D S 高技・真空・非工・非農 G Im
 シャキイはガス惑星ペシュ(Pesh)の最も外側の衛星で、世界はちりの海に覆われています。
 宇宙港を兼ねた唯一の都市ドゥソリエ(Du'Saurier)に住む人々は、ほとんどが独立鉱夫です。ここでの地位は、贈り物を自分よりも恵まれない人に贈ることで得られます。そしてより高い社会的地位を得られるような珍しい贈り物を見つけようと、ここの住民は大きな努力を払っています。

ジュニヴァール Junivaar 1927 C486112-A 低人・非工 Im
 主星のRS-453662-Gはミラ型変光星で、約4年半周期でソルの200倍から20000倍の間で明るさを変えます。最大光度の時(猛夏, Highsummer)はジュニヴァールは湿った熱帯世界となり、最低光度の時(厳冬, Deepwinter)は惑星は極寒の荒野となり、空気さえ地表で凍りつきます。
 ジュニヴァールの生命はこのような奇妙で厳しい気象条件に適応しました。植物や動物は断熱のために甲羅や甲皮を持つか、寒さを耐え抜くために深く地下に潜りました。猛夏が来ると植物相は速やかに成長し、人が入り込めないほど密集した森をわずか1ヶ月ほどで作ります。
 メドゥーマのラフォージ・バイオテクノロジー社(LaForge Biotechnology)とディープレベル・ハーベスティング社(DeepLevel Harvesting)は、この生物形態の商業的可能性を調べるために、ジュニヴァールに共同で研究所を建設しました。

アシイ Asii 1928 C335894-7 G Im
 アシイの約2500万人(大多数はヴィラニ人とソロマニ人の混血です)の人々は、厳しい寒さと薄い空気のために、陸路のモノレールで接続されたそれぞれのドーム都市の中で人生の全てを過ごしています。
 アシイは美しい自然の星という評判を得ています。観光客の間で有名なのは、広大な氷の海、壮大なチューブウッド(Tubewood)の森、そしてエニシ砂漠(Enishi Desert)の「歌う洞窟」です。この洞窟では、内部を通り抜ける風が死ぬ運命にある人の名を呼ぶ、と多くの人は主張しています。

イカビ Ikabi 1929 C0009DE-D 工業・高人・高技・小惑・非農 Im
 俗に言う「戦士の世界」に分類されるイカビは、失われた宗教である神道の流れを汲むクウニ(Kuuni)を崇拝する人々で人口は構成されています。
 クウニの社会はいくつかの宗派に分かれていて、穏健派のテチオ(Tchio)から、自己を鞭打ち、時には自傷行為に至るリ(Rhi)まで様々です。どの宗派に属するかに関係なく、全ての信徒は、己の唯一の存在理由は戦士であることと考えています。
 クウニの氏子たちは通常は極端に外世界人を嫌っていますが、彼らにこの神聖な土地を汚す存在ではないと思われている間は安全です。
 クウニの教えでは、極楽への門は戦いにおいて異教徒や無神論者を殺すことで開かれるとされています。これらの理由から、イカビは常に帝国各地の傭兵部隊の、良く訓練された兵士の供給元となっています。

ヴィパク Vipac 1930 A401230-D 高技・真空・低人・非工・氷結 G Im
 パクト星域とサファイア星域を結ぶ交通の拠点として、半自動化された宇宙港施設が置かれています。この施設を管理しているのはイカビ(1829)の出身者です。
 この地にはかつて起源不明の犯罪組織ピット・ストップ(Pit Stop)の闇市場がありましたが、785年に壊滅しました。
 レフリー情報:ピット・ストップ自体が壊滅したわけではありません。現在も彼らはパクト星域のどこかを秘密の根拠地にして暗躍を続けています。

ジャンセン Janssen 2022 B220310-B N 砂漠・低人・非工・貧困 G Im
 この星系には、IPP社(Interstellar Petrochemical Processing LIC)の大規模な石油化学施設がありますが、あまり評判はよくありません。

ドラスケラン Draskeran 2023 B211454-C S 高技・非工・氷結 G Im
 ガスジャイアントの衛星であるこの星には、かつては帝国中心部で最も大きな銀の鉱脈がありました。現在ではそれは枯渇してしまい、雇用を求めて多くの地元住民が去ってしまった結果、星系はますます寂れていってます。

ジャーメル Jarmael 2024 C512669-9 非工・非農・氷結 G Im メドゥーマが統治
 ここは帝国中心部のズーカイ結晶(Zuchai crystals)の大規模鉱脈の一つで、星系が発見された頃では惑星表面ですらクリスタルが見つかるほどでしたが、残念なことに現在ではそのほとんどが採掘されてしまいました。現在では残った鉱石から価値ある資源を得るために、今も鉱業が営まれています。
 パクト星域の多くの世界と異なり、ジャーメルの住民は主にヴィラニ人です。これは、第一帝国の間に入植した鉱夫の一族たちが利益を独占する仕組みがそのまま継続されていて、後の時代もそれが他星系からの鉱夫の流入を阻んできたからです。

センニラク Sennirak 2026 A401797-C N 高技・真空・非農・氷結 G Im
 当初はダシ星系(1723)から入植されましたが、この星で産業を起こす目算が立たず、ダシの統治者である企業連合は損失を抑えるために、357年に植民地を撤収することにしました。しかし、一部の家族はここに留まりました。
 この星系では、植物は酸素を作り出すためにとても大事にされています。また酸素プラントを故意に破損することには死刑が適用されます。なお、旅行者は空気税の支払いが滞ると即座に星系外退去させられることに注意すべきでしょう。

カキルサル Kakhirusar 2028 A664378-B N 低人・肥沃・非工 G Im
 カキルサルにはあらゆる種類の金属が豊富です。ここではそれをアルギ星域やパクト星域の工業世界のために、非常に価値ある資源に加工しています。
 星系には現在約9200人が住んでいます(ほぼ全員が混血の人類です)。ほとんどの人は鉱業会社か海軍のために働いていますが、いくらかは独立鉱夫として活動しています。
 第一帝国の頃から鉱業活動が行われていたこの星系には、82年に宥和作戦のために帝国海軍基地が建設されました。ちなみに海軍基地の司令官は、カキルサルの知事の役割もします。
 政府の仕事は様々な鉱業会社から送り込まれる代表団によって遂行されますが、世界を管理する方法を巡っての彼らの意見は頻繁に変化します。カキルサルを訪れる旅行者は、まず海軍基地に現在の法律がどうなっているか確認すべきでしょう。

ココー Cocor 2030 C6B2665-8 S 非工・非水 G Im
 ココーは、惑星を横断する不思議な石造りの道がなければ、おそらく見捨てられていたであろう星系です。訪れた観光客は、道の何キロかを見てはその起源をあれこれ推測しています。
 惑星上の唯一の施設はメドゥーマ大学(University of Medurma)が建てた研究所で、石の道と鉱山遺跡の研究を行っています。

チャンドラズ・ワールド Chandra's World 2122 C9966AA-7 農業・肥沃・非工 A G Im
 パクト星域の「穀物庫」であるこの星系は、遺伝子操作に頼らない栽培を確立しているとの評判を得ています。
 アヤウ(Ayau)という穀物は、人類には小麦粉代わりに用いられていますが、その品種の一つであるレア・アヤウ(Rea Ayau)はアスランには精神分裂症の症状や戦闘ドラッグのような効果をもたらすことが最近判明しました。その原因はまだ解明されていませんが、帝国研究基地(Imperial Research station)はどうやらその研究を始めたようです。
 また惑星は、有機物なら何でも食べて大きな群れを成す雌雄同体の昆虫アダイン(Adayn)に悩まされています。これまでアダインに農薬は役に立たないことがわかっています。

ケディイガ Kediiga 2123 B778411-8 肥沃・非工 Im
 この星では主にグロート(groat)の牧畜が営まれていますが、最も有名なのはヤナ(Yana)という赤い葉の植物です。ヤナの葉からは非常に有用な薬を抽出することができます。個人がヤナを所有したり販売することは違法ですが、植物自体はエキゾチックな装飾品として輸出されています。
 なお、ここの法律は非常に複雑で、多くの法律家の頭痛の種となっています。
 グロートはフューラキン(スピンワード・マーチ宙域 2613)原産の草食動物で、アラミス星域のフォーキャライン(同 2607)など各地に移植されています。グロートの毛は肌触りが良く、化学処置を行うことで表面が虹色に輝くため、グロート布は非常に人気があります。またグロートの肉はヴァルグルの好物として重宝されています。グロートは個体ではおとなしい動物ですが、群れになるとどんな敵でも恐れずに攻撃します。

メドゥーマ Medurma 2124 A67399C-G 工業・高技・高人 G Im 宙域首都
 ダグダシャアグの宙域首都であるメドゥーマは、-2093年頃からソロマニ人の大規模な入植が行われ始めました。それ以前にヴィラニ人はいくつか惑星上に採掘調査の施設を造っていましたが、星系の探査はあまりなされませんでした。
 ソロマニ人はすぐに、驚くべき発見をしました。大きな遺跡から、-19000年頃まで人類の群小種族がこのメドゥーマに存在していたことが分かったのです。発見されたミヤヴィン(Miyavine)の文明は、出土品からTL4~5までは達していたと推測されますが、彼らが消え去った理由についての手がかりは見つかりませんでした(現在主流の説は、彼らの遺伝子の中に「時限爆弾」が仕掛けられていたのではないか、というものです)。
 メドゥーマには広範囲に入植されました。最大の都市は山頂に建設され、数少ない高高度の大地ではハイテク技術による農業が営まれました。なぜなら高度の低い地域(現地語で「深階層(DeepLevel)」)は気温が80~95度に、気圧は6.5気圧に達するほど環境が厳しいのです。低地ではまず採掘活動が行われ、やがて奇妙な「シモンズの樹(Symmonds Tree)」の栽培も行われるようになりました。その結果、メデューマは食料をそれなりに自給できています。
 -1000年頃からこの地に住んでいるアスランのかなり大きなコミュニティがあるなど、メドゥーマの住民は著しく国際的です。また住民が高度によって社会的に層化される傾向があり(居住地の高度が低くなるほど社会階層が下になります)、帝国の社会学者の興味を惹いています。
(※元々のUWPは「A9D7954-G」でしたが、トラベラー・ニュースサービスで使われていたUWPの方が今では一般的です。そのため、大気コードがD(超濃厚大気)であることを前提にしたこの設定とは食い違いがありますが、そのままにしています。余談ですが、GURPS版のTNSでは、メドゥーマの位置は同じでもなぜかサファイア星域にあることになっています(おそらく反乱時代の不正確な帝国全図を見て勘違いしたのではないかと思われます))
 シモンズの樹(学名:Caligoarbor subtilis symmondsi)は、メドゥーマの低地で高さ8メートルになるまで成長する、厚い茎のある「茂み」です。これらは菌糸や栄養分を運ぶ地下茎からなる共生体で、その広さは数キロメートルに及びます。シモンズの樹の生態はいまだ多くの面で謎が多いのですが、現在のメドゥーマ経済にとっては必要不可欠なものとなっています。ちなみに名前は、最初にこの植物に目をつけて財を成したフレデリック・マクシミリアン・シモンズ(Frederick Maximillian Symmonds)に由来しています。

サラッサ Thalassa 2127 D56A557-9 海洋・非工 G Im
 ダグダシャアグ・メイン上にあるにも関わらず、この海洋世界は主要な通商路から外れています。利用できる陸地の少なさから宇宙港施設は比較的貧相で、自由貿易商船にとっても単に燃料補給のために立ち寄る程度にしか利用されていません。
 地元住民は、様々な食事に用いられたり、薬のような性質もあるクァ(Qha)という植物を細々と栽培しています。これが安く大量に生産できるようになれば、少しはこの星系も変わってくるかもしれません。
 なお、この世界の野生生物には注意すべきです。全ての水生生物は暖かい赤道の海に集まっていますが、その中でも危険なのは巨大な肉食生物のタロク(Tarok)と、擬態甲殻類のジローチ(Zyroach)です。

メイデン Maiden 2130 B13069B-C N 高技・砂漠・非工・非農・貧困 G Im
 メイデンは、メドゥーマがジャンプ技術を取り戻した頃に、男性優位なメドゥーマ社会に不満を持っていた集団によって入植されました。メイデンの最初期の女性移民の多くは軍人、もしくは元軍人でした。
 メドゥーマでカチャ(Kacha)と呼ばれる致命的な伝染病が流行した際、当時のメドゥーマ最高評議会(Medurman High Council)は媒介防止のために女性全員に体毛を全て剃るよう命令しました。しかし一方で男性には命令が出なかったため、女性の多くはこの性差別的な命令に従うよりは、メドゥーマを退去してメイデンに向かう方を選びました。疫病の治療法はすぐに見つかりましたが、メイデンの女性は自分たちが故郷を捨てた理由を忘れないために、今でも髪を長く伸ばしています。
 初期の入植者が持ち込んだメドゥーマ文化の影響で、ほとんどの住民は鞘に入れたナイフか、小さな決闘用のピストルを腰から下げていて、住民間の紛争の解決に決闘を用いる傾向があります。
 メイデンの人々は歴史的に軍事に慣れ親しんでおり、帝国海軍がこの地に海軍兵学校(Naval academy)を建設する理由となりました。
 なお、地元政府は女性のみによって支配されていますが、法律上は男性も平等関係にあるとされています。

ディパ Dipa 2223 C200AEB-F S 工業・高技・高人・真空・非農 G Im
 ディパはパクト星域最大の人口密集地で、主な工業世界の一つです。この星系はまず最初にブレスレン教(Brethren religion)の開祖であるエマニュエル・ディパ神父(Father Emmanuel Dipa)の支持者によって入植されました。現在でもここは信仰の中心地であり、何百万人もの巡礼者が毎年この地を訪れます。
 ブレスレン教は大部分の住民に信仰されていますが、他宗教の信仰も認められており、安定した法の支配の下、広範囲な個人の自由も認められています。
 その信仰において慈善活動は特に重視されていて、教会が「不幸である」と認定した者(主に外世界人や非ブレスレン教徒)に対しては、政府から手厚く施しが与えられます(逆に、仕事に就くことが許されません)。
 火山活動によって惑星表面のかなりの部分が利用できないため、住民のほとんどは2つの巨大都市、ヨハネパウロ(John-Paul)とメシア(Messiah)に集まっています。
 ディパはメドゥーマと密接に結びついています。「協約」時代にはこの2つの世界は協約の核となっており、現在でも大部分の恒星間の課題で意見が一致する傾向があります。この関係は近年さらに強化され、ブレスレンの信条はメドゥーマの方針に大きな力を与えると地元では考えられています。
 ブレスレン教会(Church of the Brethren)は、テラの宗教であるローマ・カトリックから分派しました。-2503年に時の法王の方針に不満を持った一部の聖職者が新たに建てた教会を起源としています。ブレスレンの教義は儀式だらけですが、一番重要なのは困っている人に慈善を施すこととされています。また全ての生命は尊く、全ての知的生命は皆神の子であると教会は教えています(※この宇宙のローマ・カトリックは「人類だけが」神の子であるとしているらしいので、その点で大きな差異があります)。

ネクサス Nexus 2225 B666666-7 N 農業・肥沃・非工・富裕 G Im 宙域公爵家が所有
 ここはパクト星域に2つある農業世界の1つです。チャンドラズ・ワールド(2122)ほど大きくはありませんが、それでも星域のリムワード方面の主要な農産物供給元として考えられています。
 この世界はヴィイサリカア家個人の封土です。ここは革新的な農業技術で有名で、多くの珍しい移植種をうまく栽培しています。
 また第一帝国時代からずっとダグダシャアグ宙域の芸術の中心地であり、ヴィイサリカア家は芸術家の住民(画家、詩人、デザイナー、その他)に積極的に支援を行っています。
 この星系の大きな海軍基地はガス惑星オブリア(Obria)の衛星ケレメティア(Kelemetia)に置かれ(この立地はヴィイサリカア家の要望でもあります)、関係する人員もそちらに住んでいます。

シータ・キグニ Theta Cygni 2226 A424100-E S 高技・低人・非工 G Im
 星域首都メドゥーマとメインのリムワード方面地域を繋ぐ、戦略的に重要な世界です。激しすぎる気温の変動がここの植民地化を阻みましたが、それでもこの星系を通り抜ける大量の交通をさばくために、この地に高品質な宇宙港が建設されました。

アアスニ A'A'Suni 2227 C5468AD-5 S 低技・肥沃 Im
 惑星アアスニとその衛星イヌイルスク(Inuirsuk)は、7日ごとに交互に螺旋を描くようにして公転している二重惑星です。アアスニは数キロメートルの厚い氷の層に覆われていて、現地の生物はその厳しい寒さに適応しました。
 この星系は、知的生命のアサー(Athar)の故郷であること以外には特に魅力的なものはありません。平和的な種族であるアサーは、6本足の肉食動物から進化しました。彼らにとって理想的な気温は-130度のため、アサーはアアスニ以外ではほとんど見ることがありません。
 世界を統治する、アアスニに住む全ての種族が参加する官僚機構は、いくつかの評議会に分割されています。中でも重要とされているのは、環境評議会、供給評議会、防衛評議会です。一般的に、一つの有力な大家族が一つの評議会の中核をなし、その家長が評議会を主導しています。
 アサーはアアスニ星系の6本足の肉食動物から進化した知的生物です。彼らにとって一番大切なのは食欲です。食事は日常の中で最大のイベントで、生きた獲物の捕獲と殺害を含めて一連の儀式となっています。彼らが食事にそれだけの重きを置くのには理由があります。アサーは長期間食事を摂らないと休眠状態に陥ってしまい、そしてそれは単なる動物への退行と評されてしまうのです。

クルキ Kurkhi 2228 C401578-8 S 真空・非工・氷結 G Im
 小さく寒い惑星のクルキは、主星近くの軌道の小惑星帯に価値ある鉱物資源が最近発見されるまでは、あまり重要でないと思われていた世界です。この発見は、クルキ星系への探鉱者とそれを支える人々の流入につながり、人口も50万人まで増えました。その8割の人は、クルキの地下の複合施設に住んでいます。
 クルキの水分の多くは岩石の多い地表で凍結していて、惑星の巨大な発電所の燃料となります。一方で宇宙船用の燃料はガス惑星アンキ(Ankhi)で採取され、宇宙港で精錬されています。
 現在SuSAGと星域政府の合弁企業が、今後の開発需要に備えて宇宙港の拡張に投資を行っています。

イシグマム Ishigumam 2322 B100587-D NS 高技・真空・非工 G Im
 鉱物資源を含んだ大きな小惑星が、イシグマムとして入植されました。都市は小惑星の凹みに建設され、酸素は周囲の小惑星から採掘されました。
 この小惑星は明らかに、何千年も前に爆発した惑星の一部です。そして考古学者は、この破片の中にもしかすると知的生命の痕跡があるかもしれないと考えています。

ティルメス Tilmes 2324 C233644-8 S 非工・非農・貧困 Im
 元々は鉱業社会だったティルメスの人々は、その外世界人嫌いの文化で知られています。星系への全ての訪問客は(地元民の)許可があるまでは口を覆ってなくてはならず、勝手に発言することも許されません。また地元住民も直接外世界人と話すことは禁じられていて、外世界人との全ての会話は筆談で行われます。これらの法律を守れない者には、長期間強制的に浄化の儀式が科せられる場合があります。

ステーション・ツー Station Two 2327 C160004-B 砂漠・低人・非工 G Im
 第三帝国の拡大期に、ダグダシャアグ宙域内の荒涼とした世界に建設された10基の「ステーション」の一つです。これらは「協約」のような潜在的紛争地域を監視することを目的としていましたが、342年にはその役割を終え、過半数のステーションは名前を変えて偵察局に引き渡されました。しかしこのステーション・ツーは有益性が少ないと判断され、単に放棄されました。
 現在の宇宙港は、メドゥーマメイン・スターライン社の人員によって維持される半自動化施設となっています。
 宙域規模企業のメドゥーマメイン・スターライン社(MMSL)はインペリアル運輸の子会社で、旅客と貨物の輸送を主にダグダシャアグ・メインのA・Bクラス宇宙港を結んで行っています。

モライン Mo'line 2424 B335655-C 高技・非工 A G Im
 この星からは、まず自発的に退去することが求められます。それでも残る場合は、顔に刺青を入れ、髪を決して切ってはなりません。高い技術水準にも関わらず、この星系の住民はとても迷信深く、全ての物事はまずアイ・チャン(I-Chang)に相談してからなされます(※このアイ・チャンが何者なのかは不明です)。

フォースター For'star 2426 A623025-A S 低人・非工・貧困 G Im
 この星系は運輸の中継点として利用されています。
 惑星の全ては哺乳類の生命体には有毒です。大気は内部から肺を破壊する微細な寄生生物を運び、土には最も厳しい汚染除去処置を経ても生き残る、人体には劇物となる微生物が含まれています。そして森や密林には、ものの数秒で相手を殺すことができる生物でいっぱいです。これらの理由から、ここで働く(主にダシ星系の)人は、最大でも3ヶ月契約です。
 最も有名な輸出品は、ラッガア(Laggaa)という高い知性を持つ小さな「ペット」です。ラッガアは全長80センチの猫のような生き物ですが、飼い慣らされると、その高い忠誠心と、相手が20メートル先でも酸を含んだ毒を吐いて正確に命中させる能力で、主人を守ります。


【参考文献】
・Signal-GK #1,#2
・The Traveller Adventure (Game Designers' Workshop)
・Survival Margin (Game Designers' Workshop)


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