
※以下のルールはあくまで作りかけのアルファ版なので、不明確な点は、大本の『Fate Accelerated Edition』(以下FAE)に準じて解決される。また、レフリー(ゲームマスター)の裁定がそのテーブルにおいての「鉄の掟(Bronze rule)」である。
※ゲーム内用語・訳語は今後修正される可能性が大いにある。
はじめに
このゲームは未来の物語です。「わずか1週間」で隣の星まで船旅ができる恒星間航法によって人類は銀河系各地に植民し、水素を燃料とする常温核融合がエネルギー問題を解決し、反重力技術によって飛行機と地上車の区別がなくなり、戦場ではレーザー光の輝きが飛び交っています。地球とは環境の全く違う惑星で進化した知的種族と接触して、共に恒星間国家を建設したり、逆に反目しあっているかもしれません。
プレイヤー・キャラクターは、様々な理由で日々の仕事に一区切りをつけて『旅人』になった者です。宇宙には危険と発見と…冒険が満ち溢れています!
準備
『Traveller: Accelerated Edition』(以下TAE)ではファッジ・ダイス(Fudge Dice)と呼ばれる特殊なサイコロを用いる。6面体サイコロに2面ずつ「-」「 (0の意味)」「+」が書かれており、できれば参加者全員が4個ずつファッジ・ダイスを持つことが望ましい。
ファッジ・ダイスを振って判定する、という行為を以下の文中では略して「ndF」と表記する。nには振るファッジ・ダイスの数が代入され、4dFなら4個ファッジ・ダイスを振って出目を合計する、という意味である(※詳細はFAEルールブックを参照)。また、ndFの後に数式が書かれている場合は、ndFの合計値にその数値を加えるという意味である。
注:ファッジ・ダイスが無い場合
普通の6面体サイコロの「2」と「3」の面の点をそれぞれ線で結んで「-」を作り、「4」と「5」は同様にして「✕」を作って「+」とみなし、「6」の面は「□」になるよう点を結んで「1」と共に「0」とみなすことでファッジ・ダイスと同等の機能を持たせることができる。
(※見間違えない自信があるのなら、「1と2は-」「3と4は0」「5と6は+」と決めておくのでも良い)
また、個々人のRU(Fate Point)を管理するためにコイン等が、更に一時的な設定を書き留めるメモ用紙や付箋があると便利である。
キャラクターの設定(Aspect)
経歴(High Concept)
この欄には必ず「元職業(もしくは今の職業)」と「勤務期数」と「現在の年齢」が記載される。
【例】
元商船二等航宙士 5期 38歳
元陸軍少尉 2期 30歳
ソルスティス男爵家庶子 4期 34歳
職業の決定
プレイヤーは任意でキャラクターの職業を決めて構わないが(例:報道記者)、18歳の時点で本当にその職業に就けたかは4dFを振って-1以上を出せばその職に、-2以下となった場合は軍隊に徴募されたものとする。徴募されたなら直ぐに1dFを振り、-なら陸軍、0なら海兵隊、+なら海軍に進む。
職業を任意で決めずランダムに任せるなら以下の表を使用する。この場合は自動的にその道に進んだものとする。
職業決定表
-4:悪党
-3:科学者/医師
-2:宇宙鉱夫
-1:偵察局
0 :軍人(再度1dFで -:陸軍 0:海兵隊 +:海軍)
+1:商船
+2:会社員/官僚
+3:工作員/司法官
+4:貴族/富豪
悪党:暗黒街の犯罪者や宇宙海賊であったが、服役してカタギになった(かもしれない)。
科学者:学問の探究を目指していた。いや、今もそのつもりでいる。
医師:科学者の中でも医学を専門としている。宇宙には自分の治療を待つ者がいるかもしれな。
宇宙鉱夫:小惑星の鉱物を採掘して生計を立てており、新たな鉱脈(より良い稼ぎ先)を求めて星々をさすらうこともある。
偵察局:新発見の星系探査や恒星間通信の維持など、危険と隣合わせの職場にいた。
海軍:宇宙艦隊に配属され、恒星間国家の安定に寄与していた。
海兵隊:海軍艦船に同乗して敵星系や海賊船などに強襲攻撃を仕掛ける、恒星間国家の「矛」だった。
陸軍:主に惑星に駐留して有事に備える、恒星間国家の「盾」だった。
商船:恒星間貿易企業や自由貿易商船の船員として、操舵や機関制御、スチュワードなどの技術を磨いた。
会社員/官僚:企業/政府の下で職員として働いていた。
工作員:政府/企業に雇われ、秘密裏の任務をこなしていた。
司法官:恒星間/地方政府の警察など治安機構で働いていた。
貴族/富豪:社会の上流階級で自由に旅ができる立場にいる。もしくは外交などの任務を帯びている。
年齢の決定
キャラクターが何歳までその職に居たかを決定する。
プレイヤーキャラクターは基本的に18歳で元職に就き、以後1期4年として「4dF+5期」を勤め上げたものとする。プレイヤーはサイコロを用いず任意で期数を決めても構わない。
ここで決めたのはあくまで退職時の年齢なので、そこから任意で加齢しても良い。
弱点(Trouble)
身体面・精神面の欠点、永遠の宿敵、足手纏いな身内の存在、己に立てた誓いなど、あえて状況を混迷させる何かを1つ記入する。
更なる設定
キャラクターの設定をもう1つ決定して記載する。望むなら、ここで更に1つか2つの設定を記載しても良いし、空欄のままにしてプレイ中に書き足しても良い。
名前と外見
キャラクターに名前を与え、できるならその外見を描写する。
【例】
エネリは、自分のキャラクターを「アレグザンダー・ジェミスン」と名付けた。
ジェミスンは18歳で商船会社の門を叩き、4dFで0を出して無事雇用された。彼はその会社で操舵士として様々な経験を積んでいたが、(4dF+5で)4期が過ぎた時に会社の経営が傾いて彼はいきなり解雇された。34歳で世間に放り出された彼は、旅立つ準備に1年を掛けて35歳で旅人になった(とエネリは設定した)。
能力値DM(Approaches)
全てのキャラクターは以下の6つの能力値を持つ。
筋力:文字通り筋肉・力の強さを表す。
敏捷力:手先の器用さ、身のこなしの素早さなどを表す。
耐久力:肉体の頑強さ、意志の粘り強さなどを表す。
知力:頭の回転の速さ、ひらめきなどを表す。
教育度:蓄積された知識・経験、教本通りに的確に行えるかなどを表す。
社会身分度:生まれや身なりの良さ、立ち振舞、金銭面での恵まれ方などを表す。
この6つの能力値は、以下の要領で修正値(DM)を決定する。
- 2dF+1を6回振る。ただし-2が出たら振り直す(つまり得られる数値は0~+3の範囲となる)。
- 得られた数値を6つの能力値に割り振っていく。
【例】
エネリは2dF+1を6回振り、得られた出目は以下の通りとなった。
0、-2、+2、+1、+3、+1(ただし-2は振り直して+1となった)。
そしてエネリは自分のキャラクターである「アレグザンダー・ジェミスン」の能力値にDMを以下のように配置した。
筋力0、敏捷力+1,耐久力+1、知力+3、教育度+1、社会身分度+2。
特記事項:
※貴族/富豪出身のキャラクターは、社会身分度が必ず+2以上であること。+1以下しか割り振れない(振らない)場合は、社会身分度が高くない理由を考えて弱点か設定に書き込む(親が不名誉な行いをした、等)。
※悪党出身のキャラクターは能力値DMを割り振った後、社会身分度を1減らして、+3ではない他の能力値DMを1増やさなくてはならない。この場合、社会身分度DMが-1になることがある。
オプションルール:
プレイヤー間の公平性を求めるなら、6つの能力値に「+3を1つ」「+2を2つ」「+1を2つ」「0を1つ」と割り振っていく。
特技(Stunts)
経歴で決めた現在の年齢によって、取得できる特技の数と潜在力(Refresh)の値が決定される。
34歳以下:特技1つ、潜在力は3。
35~44歳:特技2つ、潜在力は2。
45歳以上:特技3つ、潜在力は1。
特技はなるべく特徴に記載したことに関連する事柄にする。書式は、
- 『特徴に関連した理由』なので『特定の状況』の時に『能力値DMの1つ』で『攻撃/防御/優越/克服』しようとするなら+2を得る。
- 『特徴に関連した理由』なので、1シナリオで1回だけ『何らかの行いを描写』することができる。
【例】
- 軍隊出身なので、銃器を使って敏捷力で攻撃しようとするなら+2を得る。
- アブラットを着ているので、レーザー火器で撃たれた時に耐久力で防御しようとするするなら+2を得る。
- 汚れ仕事に手を染めていたので、交渉の場で賄賂を渡して社会身分度で優越しようとするなら+2を得る。
- 経理に通じているので、書類作業を教育度で克服しようとするなら+2を得る。
- 教官時代の教え子が各地にいるので、1シナリオで1回だけ海軍基地で便宜を図ってもらえる。
潜在力はゲーム開始時のRU(ルー)の最低保証値である。シナリオ終了時に余ったRUは次のシナリオにそのまま持ち越せるが、潜在力を下回っていた場合には潜在力と同値に戻る。
行動(Action)
- 自分が何をしたいかを説明する。
- 次のどの行動を取るかを宣言する:「優越する」「克服する」「攻撃する」「防御する」
- その行動に相応しい能力値を決める。
- ダイスを振り、能力値DMを加える。
- (状況が合致するなら)特技によるボーナスを加える。
- 設定発動のボーナスを加える。
- レフリーの定めた目標値、もしくは目標となる相手の数値と比べて結果を見る。
結果(Outcomes)
失敗:あなたの数値が目標より低い。
同数:あなたの数値が目標と同じ。
成功:あなたの結果が目標より1か2高い。
例外的成功:あなたの結果が目標より3以上高い。
優越(Create an Advantage)
設定を作成する、もしくは発見することで優越するなら:
失敗:設定の発動や発見は行えない、もしくは相手が無償の発動1回を得る。
同数:新規作成なら1回の添加を得る。既存の物を探すなら成功として扱う。
成功:設定の作成や発見を行い、無償の発動を1回得る。
例外的成功:設定の作成や発見を行い、無償の発動を2回得る。
既に発見している設定を優越するなら:
失敗:優越は付与されない。
同数、成功:その設定に関して無償の発動を1回得る。
例外的成功:その設定に関して無償の発動を2回得る。
克服(Overcome)
失敗:失敗、もしくは重い代償を伴う成功。
同数:少々の代償を伴う成功。
成功:課題を達成する。
例外的成功:課題を達成した上で、添加(boost)を1回得る。
攻撃(Attack)
失敗:効果なし。
同数:攻撃は対象を傷つけないが、添加を1回得る。
成功:命中してダメージを与える。
例外的成功:命中してダメージを与える。ダメージを1点減らして添加を1回得ても良い。
防御(Defend)
失敗:相手の成功による悪影響を受ける。
同数、成功:あなたにとってそれほど悪い効果はない。何が起きたかは、相手の行動の説明を見る。
例外的成功:相手が望む結果は得られない。加えてあなたは添加を1回得る。
課題(Challenges)
競争(Contests)
衝突(Conflict)
FAEルール通りに解決する。ただし「物理的衝突」は敏捷力の高い順、「精神的衝突」は知力の高い順に処理する。
活力(Stress)と悪影響(Consequences)
各キャラクターには3つの活力ボックス(Stress box)がある。それぞれの活力ボックスの大きさは、能力値DMの筋力、敏捷力、耐久力に割り振った+の数と同じである。
【例】
元海兵隊員のアンドリューは、軍隊の訓練で肉体が鍛え上げられた設定だ。彼には筋力+2、敏捷力+2、耐久力+3が割り振られているので、活力ボックスの大きさは2と2と3となる。
一方頭脳派の元偵察局員メイサは、筋力0、敏捷力+2、耐久力+1しか割り振っていない。活力ボックスは筋力からは得られず、敏捷力と耐久力から得る2と1のみとなる。
オプションルール:
キャラクター間の公平性を求めるなら、FAEの規定通りに全員が「3と2と1の活力ボックスを1つずつ」とすること。
悪影響は、活力ボックスで吸収しきれなかった(しなかった)ダメージを受け止めるために使われる。全てのキャラクターには「軽度(2点)」「中度(4点)」「重度(6点)」の悪影響ボックスがあり、書かれた点だけダメージを吸収した際にその欄に悪影響の内容を設定として書き込む。
悪影響は基本的に以下の時に自然回復する。
軽度:シーンの終わりに回復する。
中度:次のセッションの終わりに回復する。
重度:キャンペーンシナリオの終わりに回復する。
なお、医療行為などで悪影響を1段階低く付け替えられることがある。
排除
ダメージに対して全てを対処できない(しない)場合はシーンから排除され、相手は排除した者をどうするか好きに決定できる。
勝ちを譲る
相手に対して勝ちを譲ることを選択したら、どのようにしてシーンから退場するかを好きに決めることができる。加えてRUを1点以上得る。
設定
・発動
RUを1点使って+2を得るかサイコロを振り直す。もしくは相手の難易度を2上げる。
・強要
設定が状況を混迷させた時、RUを1点受け取る。
・事実の構築
設定の分類
キャラクター設定
・作成時に記入したもの。
・到達点に来た時に変更することができるかもしれない。
状況設定
・シーン開始時に配置される。
・優越を作る行動で制作されるかもしれない。
・克服行動で消去されるかもしれない。
・その状況が終われば消滅する。
添加設定
・無償で1回発動して消滅する。
・相手の克服行動で消去されるかもしれない。
・使用されなかった添加設定はシーン終了時に消滅する。
悪影響
・成功した攻撃からダメージを吸収する際に書き起こされる。
・相手はこれを状況設定として発動させるかもしれない。
到達点(Milestone)
基本的にFAE準拠だが、TAEでは到達点に着いた際に経歴や能力値DMや潜在力を変更したり、上昇させたりできないものとする。特技の変更はできるが追加はできない(※例外として、加齢によって35歳か45歳を越えた場合は特技を増やして潜在力を減らす)
付録:
大学/士官学校への進学
キャラクター作成時にキャラクターを大学/士官学校に通わせたことにしたい場合は、以下のルールに従う。
18歳の時点で4dFを振り、+1以上の結果が出れば自分が希望した進学先に進めたものとする。0以下の場合は改めて通常ルール通りに就職先を決定する。合格した場合、4年間通うため卒業時には22歳となり、そこから職業の期数を重ねていく。
なお、大学/士官学校を卒業した者は教育度に+1される(ただし+4以上にはならない)。また、階級(次の項目を参照)を決める際に「既に1回昇進した」扱いとなる。
進学先は以下の中から選択する。
一般大学:自動的に企業勤め/官僚、科学者に進める。
医科大学:自動的に医師に進める。教育度に1以下を割り振ってはならない。
商船学校:自動的に商船に進める。
陸軍士官学校:自動的に陸軍に進める。
海軍兵学校:自動的に海軍、海兵隊に進める。
階級
キャラクターの経歴で最終階級が欲しい場合は以下のルールに従う。
4dFをキャラクターの期数回振るが、まずは+1以上の結果を「昇進」とする。1回「昇進」すればそれ以降は0以上を「昇進」とみなし、最終的に「昇進」した数を数えて職業ごとに用意された表を参照すること。
なお、徴募されたキャラクターは4dFを振る機会を1回減らすものとする。
軍人
0:兵卒/下士官(※)
1:少尉
2:中尉
3:大尉
4:少佐
5:大佐
6:准将
※階級0で終わった場合は「2dF+期数」で最終階級を確定させる。ただし徴募された場合は+の出目は0とみなす(出目が「-+」なら-1)。
-1:一等兵 0:上等兵 +1:伍長 +2:軍曹 +3以上:曹長)
偵察局/会社員/官僚
0:職員
1:主任
2:主任長
3:副係長
4:係長
5:課長補佐
6:課長
商船
0:見習
1:四等航宙士
2:三等航宙士
3:二等航宙士
4:一等航宙士
5:船長
6:船団長
司法官
0:巡査
1:巡査部長
2:巡査部長
3:警部補
4:警部
5:副署長
6:署長
今後の課題
武器と防具
武器はダメージを増やし、防具はダメージを減らす(攻撃や防御の判定を修正するのではない)。武器には射程を設けるため、戦闘ルールにも修正が必要になる(距離線ふたたび?)。
金銭管理
従来通りの管理法を導入すべきか。
輸送機器・宇宙船
年齢効果
そもそも『Fate Core』で作れば良かったんじゃね?
【あとがき】
元々「現代的な」トラベラーシステムを模索するためにFateシステムの研究用として試作したものですが、そのまま長期間放置してしまったので思い切って公開することにしました。ルールの骨子はFAEそのままなので、FAEを運用できる人なら足りない部分を補ってプレイすることができると思います。
細かい点でトラベラー「らしさ」を追求はしてみましたが、実際に遊べるようにするにはもう少しディテールを作り込まないといけないかな、とは思っています。ただそれがいつ形になるかは別ですが…。
なお、FAEのルールについては様々な方々の協力を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。