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セイピースプロジェクトのブログ

【高江】高江現地派遣報告

2011年04月14日 | 沖縄・高江
 私たちセイピースプロジェクトは、昨年12月末に沖縄防衛局によって高江ヘリパッド建設工事が強行されたことを受け、年明けの1月から、絶滅危惧種のノグチゲラの繁殖期であり、沖縄防衛局側が工事をやらないとしている3月に入るまでの2か月間、継続して高江現地にスタッフを派遣しました。

■1月の報告
 私たちはまず、現地からの情報発信をツイッターやブログを通じて積極的に行うことを心がけました。現地で何が起きているかを正確に把握し、少しでも多くの人たちに知らせていくためです。
 1月は沖縄防衛局に対して住民による工事中止の要請行動が行われ、その結果、1月13日には防衛局長が高江現地に視察にも来ました。しかし、そのような状況であっても、週に1度のペースで工事を強行するなど、住民との対話を全く無視している沖縄防衛局の姿勢に怒りを感じました。さらに、1月26日には住民たちの座り込みに対して国が起こした「SLAPP裁判」の最中に工事を強行するという、卑怯としか言いようがないやり方に深い憤りをおぼえました。たとえ、防衛局や作業員が工事に来ない時でも、現地では常に警戒していなければならず、車やバイクの音にものすごく敏感になるなど、座り込みの厳しさを肌で感じました。また、早朝に作業を行われた経験から、住民の方たちは座り込みを24時間体制で続けており、そのような日常生活が脅かされている状況は決して続けていいはずがありません。


■2月の報告
 2月に入ると、防衛局側は1月よりもさらに強硬的な態度を取り始めました。50人以上の防衛局員や作業員を現地に送り込み、N1ゲートではトラックやダンプに積んだ土嚢を運び入れ、建設予定地までのアクセス路を整備する作業を行い、N4ゲートでは作業員を建設予定地内に入れ、木の伐採作業を行いました。N4での木の伐採はヘリパッド本体の工事に入ったことを意味します。事態は緊迫の度合いを増す中、現地には上関原発の建設に反対する祝島の若者たちや県内外の支援者が訪れ座り込みに参加するなど、確実に高江への支援の輪が広がっていると感じました。また、工事の様子を取材に来るメディアも増え、特に琉球朝日放送(QAB)は毎日のように取材に来て、テレビでの報道だけではなく、動画をホームページで流すなど、積極的に高江について扱ってくれました。
 2月中旬以降になると、防衛局側の強硬的な態度はその度合いを増し、作業を阻止しようとする人々の頭上から土嚢を投げ入れるなど、怪我人が出てもおかしくないような状況で工事を進めようとしました。不幸にも、土嚢を運ぶ作業員と押し合いになり、実際に怪我人が出る事態に発展してしまった日もありました。住民および支援者が求めていることは、話し合いです。裁判所からも「対話による解決」が求められており、それに防衛局が応じようとしないため、現場で体を張って作業を止めることを余儀なくされているのです。しかし、防衛局が強硬的な態度で工事を進めようとする様子からは、明らかに焦りが感じられました。また、実際に作業をする作業員は下請けやアルバイトであり、彼らは防衛局の指示に従うだけです。防衛局も作業員も、それぞれ上からの圧力によって工事を進めなければいけない立場になっているのです。現場にはヘリパッド建設を進めたいと心から思っている人などいないのに、工事だけは進んでいく、という異様な状況が生まれているように感じました。そして、その工事を阻止するのにとても心強かったのは、国会議員や県議会議員の支援でした。沖縄県選出の国会議員や県議会議員の方々がいらっしゃった時には、防衛局も下手に手が出せずにいました。沖縄県選出だけではなく本土の国会議員に対して、高江の問題を広めていく必要性を改めて感じました。


 結局、工事はN4では多くの木々が伐採されてしまい、深刻な状況ですが、N1では建設予定地のアクセス路の整備が若干進んだだけで、工事の進行を遅らせているといえます。防衛局からは「3月から6月は一切工事を行わない」という言葉を引き出すことはできませんでしたが、重機も搬出され、今のところ工事は行われていません。

■全体を通して
 2か月にわたり、現地にスタッフを継続して派遣するというのは、セイピースにとって初めての試みでした。現地での住民の方たちとの交流や、支援者との出会いは、本当にかけがえのないもので、個人だけでなく団体としても大きな刺激となりました。支援の輪も確実に広がっており、2月後半には100人を超える支援者が現地に集まったこともありました。本土でも、東京新聞などで高江について取り上げられるなど、少しずつ高江の問題が広まり始めています。
そのように状況が変化する中で、セイピースとしての役割も変化してきたように感じました。現地に行って座り込みに参加するだけではなく、高江現地に人を連れて来て、支援の輪を広げることや、初めて高江を訪れた人に対して、この問題について本土の若者の立場から伝えるなど、高江の住民の方と支援者をつなぐ架け橋のような役割が求められているように思いました。その役割についてスタッフ同士できちんと共有し、現地と連携しながら、本土での取り組みをつくっていくことが重要であると感じています。
 現在、震災や原発のニュースがさかんに報道されており、沖縄の基地問題について本土の関心が薄れてしまっているように思います。しかし、問題は決して解決されたわけではありません。高江現地でも工事は行われていませんが、3月23日に防衛局員や作業員とみられる十数名が現地を視察するなどの動きがあり、常に警戒していなければならず、住民の日常生活に支障をきたす状況は変わりません。高江のヘリパッド問題を決して埋没させないよう、これからもツイッターやブログなどを通じての情報発信を行い、特に若い世代に対してこの問題を広く伝えていきたいと考えています。また、時機を見て、議員に対するロビイングを行っていきたいと思います。

 高江現地では、今日も座り込みが続いています。

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