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セイピースプロジェクトのブログ

東村高江におけるヘリパッド基地建設強行再開に対する抗議声明

2011年11月19日 | 沖縄・高江
東村高江におけるヘリパッド基地建設強行再開に対する抗議声明

 2011年11月15日、沖縄防衛局は沖縄県東村高江で北部訓練場内でのヘリパッド建設に関する工事を再開しました。
 同日午前10時20分ごろ、集落に最も近いN4地区で防衛局職員約45名がバスやトラック数台で現場に到着し、ヘリパッド建設のための測量や重機搬入を強行しようとしました。地元住民の抗議行動により、午後3時半ごろ、同局は重機を現場から撤収し、4時45分ごろには職員らも現場から離れました。しかし、翌々日の17日にはまたも大量の人数を動員して重機搬入を試みました。

 この高江ヘリパッド基地建設は、昨年12月末から沖縄県防衛局によって、住民に対して何ら説明のないまま、工事が強行されました。そして、絶滅危惧種のノグチゲラの繁殖期であり、防衛局側が工事をやらないとしている3月に入るまでの約2か月間、工事強行は続きました。この事態を受けて、私たちセイピースプロジェクトは、ヘリパッド建設強行に対する抗議声明を出し、年明けの1月から継続して高江現地にスタッフを派遣しました。(詳しくはブログ記事「高江現地派遣報告」参照)
 防衛局は3月以降の工事の方針については「ノグチゲラなど希少種の営巣時期となる3~6月は重機を使った工事は行わない」として、あくまで一時中断ということで重機を搬出しましたが、今回、約8カ月ぶりにまたしても住民に対して説明のないまま工事を再開したのです。

 高江ヘリパッド基地建設に関しては、2010年1月に日本政府から高江住民2名に対し通行妨害禁止の訴訟が提起されています。本訴訟はいまだに係争中であり、2011年12月14日に結審する予定です。その訴訟において、2011年8月25日に那覇地裁で行われた裁判では、裁判長が双方に話し合いの場を設置するように提案しました。しかし、その後政府側は対話の場設置への見解を示さず、そのまま判決を求めました。そして、政府側は結審を待たずに今回の工事強行に踏み切りました。
 この裁判は、政府への国民の抗議運動に対し、国が抗議を「妨害」に置き換えて裁判に持ち込んでいることを示しており、今回の防衛局の対応を見ると、政府側は対話による解決を志向していないことは明らかです。権力者が、自らに批判的な意見や運動を弾圧するために訴えるという目的が改めて浮き彫りになりました。

 また、ヘリパッドでの配備が予定されているMV22オスプレイの運用についても防衛局側は「係争中」であることを理由として、回答を拒否しています。しかし、そもそも提訴したのは防衛局側であるため回答を拒否する合理的な理由にはなりません。オスプレイ配備に関しては2011年7月14日に沖縄県議会が、米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備計画に反対する意見書と抗議決議を全会一致で可決しました。このように、オスプレイの配備問題はもはや、沖縄県全体で認識されており、墜落や山林火災が相次いでいる機種の配備を心配する住民を同局側はないがしろにしています。

 このような一連の防衛局の対応は怠慢の極みであるとともに、市民の生命や安全よりも米軍基地建設を優先するという姿勢であり、市民の基本的な生存権を擁護すべき政府としてあるまじき態度であり強く非難されるべきです。

 高江におけるヘリパッド建設は、96年のSACO合意に基づく北部訓練場の「過半返還」に伴う「移設」であるとされています。しかし、最新鋭ヘリであるオスプレイの配備に端的に示されるとおり、これは決して単なる「移設」問題ではなく沖縄の米軍基地機能の強化を図るためのものです。辺野古における新基地建設とともに、こうした現在の米軍基地再編は沖縄の基地負担を恒久化させる危険性をもち、さらには東アジア地域における軍拡を助長することとなり、世界と東アジアの平和を構築する上でも大きな桎梏となるでしょう。

 私たちセイピースプロジェクトは、このような民主主義と平和を否定する強行工事に抗議するとともに沖縄防衛局ならびに日本政府に対し住民への誠実な対応を求め、また広く日本社会に対して東アジアの平和の実現のために軍事基地に依存した安全保障からの転換を真剣に追求することを強く呼びかけます。

2011年11月19日 NPO法人セイピースプロジェクト

*なお、東村高江に関する最新情報は「やんばる東村 高江の現状」を参照してください。

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