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セイピースプロジェクトのブログ

【活動報告】福島原発事故緊急報告~放射線被曝を考える~

2011年05月04日 | 活動報告
4月27日に武蔵野公会堂にて「福島原発事故緊急報告~放射線被曝を考える~」を実施しました。
長年放射線医学を専攻なさっている岐阜環境医学研究所所長の松井英介先生に講演していただきました。年齢や地域を問わず、若い人も含めて多くの参加者の方に参加していただき、原発による問題の深刻さが世代を超えて浸透していることを深く感じました。

イベントでは、急きょ取材のためお越しいただくことができなかった、フォトジャーナリストの森住卓さんの出演する映像を見ました。原発周辺にある役所を訪れていて、放射線測定機に電源を入れると、小さいメーターではすぐに振り切れてしまうといった現状が映し出されていました。また、無人となった避難指定された地域で役所にだけ電源が流れていて、そこの電灯掲示板に「原発との豊かな暮らし」といった文字が書かれていて、その虚構さに胸が痛くなりました。いつ復興するかわからないだけでなく、今なお放射能の影響にさらされている現地の様子を全員で共有しました。

その後、松井先生の講演に入りました。話の流れは、放射線の影響全般、イラク戦争時に使われた劣化ウラン弾による現地の子供やアメリカ軍兵士の帰国後に生まれた赤ちゃんへの影響、チェルノブイリ原発事故直後の放射性物質の大気への流れと数年後の人体への影響について講演いただきました。

イラク戦争では、通常の鉄鋼よりも貫通力があるという理由で、多くの劣化ウラン弾が使われました。米軍は当初、劣化ウラン弾の放射能は微量であるためその影響を公表しませんでした。しかし、その劣化ウラン弾の影響と思われる、イラクでがんや白血病にかかった少年の写真を多数見せていただきました。自分がどんな病に侵されているかもわからず、体がむくんで痛みを抑えることができずにただベッドで寝ている様子でした。また、アメリカで生まれた奇形児の写真とその父親が兵士であることを示すデータがいくつか紹介されました。手足がついているかもわからない赤ちゃんや目のない赤ちゃんの写真でした。松井先生の講演を聞いている中で、目で見ることもできず、手で感じ取ることもできない放射能の影響によって、何の罪もない多くの子供たちが犠牲になっていることに悲しさを感じ、同時に、人体に悪影響が出るとわかっていても、ウラン弾の使用をやめず、その被害を認めない集団に怒りを感じました。

チェルノブイリ原発事故の紹介では、原発事故後の大気圏への放射性物質の流れが紹介されました。チェルノブイリから発生した放射性物質は大気圏に上昇し、その周辺だけでなく、ヨーロッパや日本、アメリカの上空にも運ばれ、世界中に広まっていました。その空気の流れが上空にある岩手県や秋田県では、他県と比較して、チェルノブイリの5‐10年後に乳がんの発生が急激に上昇しているデータが出ていました。政府官僚が「直ちに影響はない」と言っていますが、直ちに影響がなくても、時を置いて必ず影響が出ます。その時に「当時は知らなかった」などと言い訳をさせてはなりません。また、「プルトニウムは重いから遠くに飛ばない」といった非科学的なことを言っていますが、目に見えない粒子が飛ぶのですから、そのようなことはないという松井先生の指摘は心に強く響きました。



 質疑応答の中で、福島大学では現在、原発による問題はないという「キャンペーン」が行われているということが出されました。被害を最前線で受け、対処していかなければならない学生がこのような事態におかれていてよいのでしょうか。責任を回避するための根拠のない「安全」という主張によって、一般の学生や市民の生存権が脅かされてはならないと思います。東京だけでなく、現場との結びつきをもって、行動をしていかなければならないと思いました。

(福島大学で行われている安全キャンペーンに対し、同大学の石田葉月先生が中心になって現状を改善するための活動を行っています。詳細はこちらから。)

講演の中で松井先生は市民や高校生や大学生といった学生が動いていくことの大切さをおしゃっていました。ドイツの原発の反対運動でも最初に動いたのはベルリンの中学生だそうです。「原発列島」といわれるほど、原発ありきの構造がある日本で原発をなくしていくことや福島原発について正しい情報を流していくことは、多くの市民社会の要求なくしてはできません。連日のように全国で反原発・脱原発を求めるイベントや集会が行われていますが、この声をひとつにまとめ、動きを大きくしていくことが大切だと思います。

最後になりましたが、岐阜からお越し頂いた松井先生、お忙しい中ご参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

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2 コメント

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校正 (としきぴ)
2011-05-16 00:03:58
文中の「チェルノブイリ原発事故の紹介では、原発事故後の大気圏への放射線の流れが紹介されました。チェルノブイリから発生した放射線は大気圏に上昇し、」の箇所に放射線という言葉が2箇所ありますが、正しくは放射能(本来の意味としては放射性物質)とするのが正しいように思います。
放射線:光のように直進するもの
放射性物質:ガス、ミスト、粒子状のものなど
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Unknown (セイピース)
2011-05-18 10:48:42
ご指摘ありがとうございます。

訂正させていただきました。
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